孤独死の事例:いまや高齢者だけの問題ではない!特殊清掃作業員からみた実態と現状とは

孤独死は核家族化が進む現代ならではの社会問題となっています。

この30年で数は急激に増加し、その数は3倍になったとも…。

我々は、孤独死などで人が亡くなり汚染された住居の清掃・原状回復をする特殊清掃業を行っています。

そこでこの記事では、弊社が実際に特殊清掃を行った事例から、現代の孤独死の実情を皆さんに知っていただき、孤独死の原因・今後どのように対策すべきかをお伝えしたいと思っています。

孤独死について詳しくはこちらの記事をお読みください。
孤独死とは?増加の原因や対処・予防方法について

特殊清掃現場で見た孤独死の事例:20代 男性

アパート 外観

数年前の夏:死後一週間で発見された

弊社に孤独死による特殊清掃の依頼が来るのは、高齢者が亡くなった場合だけではありません。

まだ若い20代でも孤独死を迎えるケースがあるのです。

数年前の夏に届いた依頼の連絡は、あるアパートのオーナーからのものでした。

住民のお一人が亡くなった部屋の特殊清掃の見積もりの依頼でしたが、亡くなった方を発見したのは会社の上司だったというのです。

特にトラブルなくいつも普通に出勤しているのに無断欠勤が数日続いて、上司が様子を見るために部屋を尋ねたところ、亡くなっていたということでした。

その後、発見された時にはすでに死後一週間経過していたことがわかりました。

遺体の損傷は軽いものの酷い悪臭

夏場というのは気温が高く、遺体の腐敗が早く進むものです。

今回依頼をいただいたオーナーからご遺体の写真を見せていただきましたが、写真からはひどく損傷をしている様子はなく、死後一週間経過したご遺体にしてはキレイな状態に見受けられました。

しかし、それでも腐敗はかなり進んでいて、第一発見者の上司とアパートのオーナーが目にしたのは、強い死臭を放ち大量の虫が群がった遺体でした。

今回のように亡くなったのが若い方の場合、生前の食生活の影響や高齢者に比べてエネルギー量が多いことから死臭が強くなりがちなのです。

孤独死の場合、発見されるまでに腐敗が進んでしまうので、より酷い異臭となってしまうのです。

孤独死する人の特徴には当てはまらない異様なケース

若い方が孤独死になる場合、さまざまな理由が考えられます。

・人とのつながりがない
・経済的に困窮している
・病気

しかし、このアパートで亡くなっていた方は普通に会社勤めをしていて、家賃の滞納などもなく金銭的に困っていた様子もありませんでした

持病があったというわけでもないようで、死因は未だ不明のままです。

そんな故人の部屋の中は家財道具はほとんどなく、寂しいくらいにすっきりとしていました。

20代の孤独死事例について詳しくはこちらもお読みください。
20代・若者の孤独死の現状と原因

特殊清掃現場で見た孤独死の事例:30代 男性

夏の夕方

クローゼット内での首吊り自殺:死後2週間

以前から取引のある不動産業者から連絡が入ったのは夏の暑い時期。

管理物件で自殺があったということで、故人の家族が訪れる予定の日に合わせて現場を拝見しに伺いました。

亡くなったのは30代後半の独身男性で、自宅マンションのクローゼットのなかで首吊り自殺を図ったとのこと。

ご遺族はご両親と妹さんです。

中でも妹さんはお兄さんの死にとてもショックを受けていて、その日も現場である部屋に足を踏み入れることはできず、1人車の中で待つことになりました。

クローゼット内では体液・血液が層をなしていた

現場であるマンションの部屋は1DKで、玄関から伸びる廊下の先にある扉を開けた部屋の右手にそのクローゼットはありました。

小さなクローゼットの床は、まるでもともと黒い色に塗装されていたかと思うほどに全体が黒い液体のようなもので覆われていました

それは、首吊り自殺を図った故人の血液や脂、糞便などが層のようになったもの。

粘土のような塊と液体が重なり合っていて、触ってみると随分と厚みがあります。

私共が現場に入ったのは死後3週間のころでしたので、時間経過でこのようにドロドロとした状態になったのでしょう。

また、クローゼットからは死臭のような臭いはありましたが、虫はそれほどわいてはいませんでした。

家族仲は良好:家族はひどくショックを受けた

亡くなっていた男性と家族はとても仲が良く、特に妹さんは現場となった部屋にもよく遊びに来ていたと言います。

珍しく連絡がつかない状態が続いて、心配になった妹さんが部屋を訪れて、変わり果てたお兄さんを発見したのでした。

クローゼットの中で首を吊っているお兄さんを発見したのは、すでに死後2週間が経過した後。

夏のマンションの室内は温度が高く随分腐敗した状態で、虫が大量にわいていたそうです。

第一発見者である妹さんが受けたショックはとても大きく、ご両親は息子を失った悲しみと同時に娘の心の傷を心配していらっしゃいます。

30代の孤独死事例について詳しくはこちらもお読みください。
30代の孤独死現場で見た2つの事例

特殊清掃現場で見た孤独死の事例:40~50代 男性

コンビニ レジ

死後1週間で発見:発見者はコンビニ店員?!

誰にも知られず亡くなっていた一人暮らしの男性が死後1週間で発見されたのは、あるコンビニ店員の機転によるものでした。

その中年男性は、毎日コンビニで買い物をする生活をしていたと言います。

しかし、ある日を境にその男性がコンビニに顔を出すことがパタリとなくなったのです。

風邪でも引いたのか、それとも引っ越したのか…いろいろな憶測ができましたが、コンビニの店員は何かおかしいと感じ、警察に相談。

様子を伺うために警察が男性の住む部屋を訪れると、廊下で男性が倒れていて、すでに亡くなっていました。

おそらくトイレで発作か何かを起こし、トイレから廊下へ出たところで倒れたのでしょう。

彼は助けを求めようとしたのでしょう。遺体は玄関の方を向いていたそうです。

“孤立”が孤独死に直結することを痛感した事例

男性の住んでいた部屋は1Rで、必要最低限の家財道具が揃ったキレイな部屋でした。

家族は兄弟がいたようですが特に頻繁に交流があるわけではなく、近所付き合いにも積極的なタイプではなかったようです。

そんな故人が唯一コミュニケーションをとっていたのが、コンビニの店員でした。

コンビニの店員以外、誰も彼の安否を気遣う人がいなかったという事実。

孤独死というのが特に珍しいものではなく、すでに社会問題の一つであるということを突きつけられました。

その反面、社会的に孤立しているように見える人でも、誰も存在を知らないわけではなく、安否を気遣ってくれる人は必ずいるということでもあります。

この件で、「日本もまだまだ捨てたものではないな」と実感することができました。

40代の孤独死事例について詳しくはこちらもお読みください。
40代・50代の現役世代にも孤独死予備軍は多い

特殊清掃現場で見た孤独死の事例:高齢者の夫婦

老夫婦

老々介護が生んだ悲劇:夫は認知症で何もわからなかった

孤独死とは、一人暮らしの人が家の中で誰にも看取られず亡くなること。

本来の解釈で言うと、夫婦二人暮らしのため孤独死とは言えないのかもしれません。

しかし、夫と2人で暮らしていた妻の死が発見されたのは亡くなってからすでに1週間経過した後

見つけたのは、この家に通っているヘルパーさんでした。

夫は認知症を患っていて普段は妻が介護をし、時々ヘルパーさんに来てもらっていたそうです。

いつものように連絡をしようとしたところ繋がらず、ヘルパーさんが心配をして訪ねてきて遺体を発見したのです。

異臭や体液汚染はほとんどなかった

夫婦が住んでいたのは3LDKの団地でした。

間取りは玄関を入って右に一部屋、奥に一部屋、そして左にはダイニングキッチンとさらにその奥にもう一部屋。

妻が亡くなっていたのはダイニングキッチンと洗面所の間だったと言います。

そんな場所に自分の妻が倒れていたら普通ならば気付くところですが、夫は認知症の症状が激しく、気付くことはなかったのです。

もちろんお世話をしてくれる妻はいないので、飲まず食わずのまま。

亡くなった妻からは特に強い死臭があったり、体液で部屋が汚れるようなこともありませんでした。

仲が良かった夫婦:彼はこれからどう生きるのか

2人が住んでいた部屋には、夫婦の仲睦まじい写真や似顔絵があったり、若い頃に2人で乗っていたと思われる2台のロードバイクがありました。

お世話をしてくれていた妻がいなくなり、認知症の夫は息子の元に身を寄せることになったそうです。

高齢者の孤独死事例について詳しくはこちらもお読みください。
高齢者の孤独死の現状について

孤独死現場を見てきた我々が思う「孤独死しやすい人」

孤独

一番は「人づきあいが無く孤立した人」

核家族化が進む現代では、独居老人の数も昔に比べて増えています。

とはいえ一人暮らしだったとしても、近所付き合いや友人知人、親戚など人との繋がりがあれば孤独死を避けることは可能です。

しかし特に都会では近所付き合いが希薄になっている傾向があり、困った時に周りに頼れる人がいないと言う人は珍しくありません。

人間は本来、集団を作り群れる生き物。

そんな私たちは、1人で生きていくことはできません。

私共が特殊清掃にあたった孤独死の事例の数々を見ると、生前人との繋がりを持たず孤独だった人が多いように感じます。

金銭面での無頓着さが仇となる

孤独死で亡くなった方の住居の清掃をしている時によく目にするものが、借金返済を促す督促状や大量のクレジットカードです。

また中には小銭が散乱している部屋もあります。

もし、人付き合いが好きではないとしても、経済的に安定していればヘルパーを依頼したり病院や介護施設などに入ることができます。

経済的に困窮していると、そういったサービスを利用することもできずに孤立していってしまうのです。

孤独死の現状と孤独死を予防するために

1人の老人

近年の孤独死の傾向

孤独死というと高齢者のイメージが強いかもしれませんが、実際には幅広い年代の人が孤独死で亡くなっていて、平均年齢は61歳

孤独死で亡くなる人の約半分は65歳未満だと言うのです。

また死因はもっとも多い病死についで自殺や事故死、また死因不明の人も少なくありません。

特にまだ若い世代の孤独死の死因だけに注目すると、死因の7割以上が自殺となっています。

亡くなっているのが発見されるまでの期間は平均して2〜3週間。

音信不通になったり、郵便物が溜まっていることで発見されたり、部屋から異臭がすることで近所の人が気付くというケースもあります。

人は孤独な状態では生きられない

社会から孤立して孤独死を迎える人が絶えないこの状況は、社会全体で変えていく必要があります

・高齢者のグループ活動に参加する
・見回り見守りサービスを利用する
・家族親族とこまめに連絡を取る
・新聞を取る
・緊急時に連絡をしたり助けを呼べるように準備しておく

特に高齢者は、外に出る機会が減ってしまって人との繋がりが希薄になりがちです。

本人が積極的に外に出るのはもちろん、周りの人も一人暮らしの高齢者の様子を見守れるような社会になるといいですね。

孤独死の予防・対策方法について詳しくはこちらの記事をお読みください。
孤独死を防ぐための対策まとめ
孤独死対策アプリのご紹介

まとめ

虹 人との繋がり

高齢化が進む日本では、これからも独居老人は増える傾向にあり、孤独死はもはや無視することができない問題です。

また若い人でも社会から孤立し、ストレスによって心身が衰えたり、経済的に困窮してしまったりすることで孤独死につながる場合があります。

孤独死は、残された人に「1人で死なせてしまった」という辛い気持ちを残したり、発見した人にも苦しい記憶を残すことになります。

孤独死が問題なのはそれだけではありません。

発見されるまでに遺体が腐敗してしまうことによって、住居の特殊清掃が必要になったり場合によっては「事故物件」になることも。

私たちは誰もが1人では生きていけません。

社会との繋がりを持ち、いざという時にSOSを発信できるようにしましょう

林商会では、遺品整理や特殊清掃を通じ、依頼いただいたお客様の不安を少しでも多く取り除けるよう、個々に寄り添ったサービスを提供しております。

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