一周忌法要では故人の供養のために僧侶にお経を読んでいただき、お布施としてお金を渡します。
一般的な相場は3~5万円ですが、実は地域や宗派によってやや異なる場合があります。
また、金額だけでなく封筒の書き方や渡し方にもマナーがあるため、初めて一周忌法要を行う方は把握しておきましょう。
本記事では、一周忌法要のお布施の相場を中心に、封筒の書き方や渡し方も解説します。
目次
一周忌法要のお布施とは
一周忌法要のお布施とは、僧侶の読経に対して感謝の気持ちを示すために渡すお礼で、対価ではありません。
そのため、お布施の金額は明確に定まっておらず、一般的な相場(3~5万円)を参考に用意します。
なお、一周忌法要での僧侶の主な役割は、読経と法話です。
故人の魂を供養するのはもちろんのこと、一周忌法要に集まった遺族、親類、友人、知人といった参列者が心に区切りをつける助けにもなります。
一周忌法要のお布施の相場【宗派別】
一周忌法要のお布施の相場は、宗派によってやや異なる場合があります。
宗派 | お布施の相場 |
浄土真宗 | 3~5万円 |
浄土宗 | 3万円 |
真言宗 | 3万円 |
日蓮宗 | 3~5万円 |
曹洞宗 | 3~5万円 |
天台宗 | 3万円 |
臨済宗 | 3~5万円 |
大きな差はありませんが、一つの参考として考えましょう。
一周忌法要のお布施の相場【地域別】
一周忌のお布施の相場は、都市部ではやや高めになる傾向があります。
地域 | お布施の相場 |
関東地方 | 3~5万円 |
関西地方 | 3~5万円 |
北海道・四国・九州地方 | 3万円 |
お布施の金額に悩む場合の対処法
一周忌のお布施の金額に悩む場合は、直接お寺に問い合わせるのもよい方法です。
ただし、金額をストレートに聞くとお布施を受け取る側は答えにくくなってしまうため、一周忌法要を初めて行う旨を伝えたうえで「みなさんはおいくらくらい包まれますか?」など丁寧に聞きましょう。
また、一周忌法要を経験したことがある家族や親戚に相談するのも一つです。
一周忌法要のお布施の書き方
お布施は、通常の黒墨や濃いインクを使って書きます。
お香典では悲しみの意を示すために薄墨が使われるので混同されがちですが、お布施を受け取る僧侶やお寺にお悔やみごとがあるわけではないためです。
ここからは、お布施の書き方を解説します。
表書き
お布施の表書きは、封筒の上段に「お布施」や「御布施」と書くのが一般的です。
下段には施主の氏名か姓(「〇〇家」)を記入します。
「お布施」や「御布施」の代わりに下記の書き方が使われることもありますが、特にお布施を仏様への感謝の気持ちととらえている浄土真宗などでは好まれないので避けたほうがよいでしょう。
△寸志 △志 △読経料 |
他にも地域によって違う書き方をすることがありますが、その場合は身近な習慣を優先しましょう。
・御礼 ・御経料 ・御回向料 |
裏書き
お布施は直接手渡すので住所は書かなくても問題ありませんが、裏面に住所の記載があるとより丁寧な印象を与えます。
住所を書く場合は、封筒の裏側の左下に縦書きするのが基本ですが、市販されているお布施用の封筒に記入する枠がある場合はそちらを利用して下さい。
金額は記入しないのが一般的ですが、中袋がある封筒を使う場合は中袋の表側中央に縦書きで金額を記入します。
金額は通常の「一、二」といった漢数字ではなく「壱、弐」など字画の複雑な大字(旧字体)を用います。
<金額を表すのに必要な大字一覧>
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
四 | 肆 |
五 | 伍 |
六 | 陸 |
七 | 漆 |
八 | 捌 |
九 | 玖 |
十 | 拾 |
百 | 陌 |
千 | 阡 |
万 | 萬 |
円 | 圓 |
書き方は、お金という意味をもつ「金」を頭に添えて「金 ○○圓」。
たとえば、2万円は
金 弐 萬 圓 |
となります。
※市販の封筒や袋で横書き仕様の場合はアラビア数字でも構いません。
一周忌法要のお布施の渡し方
施主の手から直接僧侶の手にお布施を渡すのは、マナー違反です。
お布施は「切手盆」や「布施盆」という専用のお盆に載せて渡しますが、ない場合は小さめのお盆を代用します。
お盆が用意できなければ、袱紗(ふくさ)と呼ばれる包みに載せて渡すという方法もあります。
お布施を渡すタイミング
お布施は、一周忌法要が始まる前の挨拶で僧侶へ渡しましょう。
時間的に難しければ、一周忌法要が終わって僧侶が帰られるときや、僧侶が法要後の会食に出席する場合は会食後に渡しても問題ありません。
御車代や御膳料があればお布施とともに渡しますが、お布施を渡す際は「お納めください」、あるいは「本日はありがとうございました」といったお礼の挨拶などを忘れないようにしましょう。
一周忌法要のお布施に関するマナー
お布施は僧侶へ感謝の気持ちを示すためのものです。
マナーを守って気持ちよく受け取っていただきましょう。
お金の入れ方
お布施に包むお札は、感謝の気持ちを示すために新札を用意しましょう。
新札を用意できない場合は、できるだけきれいなお札を用意するのがマナーです。
また、お布施に包むお札は肖像画が描かれた面を表にし、かつ封筒の口に近い向きで入れましょう。
封筒の選び方
お布施を包む封筒は、郵便番号欄や水引などが印字されていない白無地の封筒を用意するのが一般的なマナーです。
また、二重構造になっている封筒は不幸が重なると連想されるので使用を控えましょう。
最近では、市販品でお布施と印刷されている封筒もあります。
なお、お布施、御車代、御膳料は、白い封筒をそれぞれ用意すると丁寧です。
一周忌法要でお布施以外に用意するお金
一周忌法要ではお布施以外に「御車代」「御膳料」といった費用が必要になる場合があります。
御車代
御車代とは、僧侶が寺院から法要を行う会場まで移動するためにかかる交通費のことで、相場は5,000~1万円とされています。
交通費という建前で包む謝礼金という側面もあり、実際にかかる交通費より多めに包むのが一般的です。
表書きは黒墨や濃いインクで上段に「御車代」と、下段に施主の氏名か姓(「〇〇家」)を記入します。
ただし下記の場合、御車代は必要ありません。
・僧侶の寺院で一周忌法要を行う ・遺族側が自家用車で送迎する ・遺族側でタクシーを手配し直接タクシー会社に運賃を支払う |
御膳料
御膳料は、一周忌法要が終わった後に行われる会食(お斎)に僧侶が出席しない場合に会食の代わりとして渡します。
一般的な相場は5,000~1万円ですが、住んでいる地域やお寺、法要の規模や内容などに応じて5,000~2万円の場合もあります。
表書きは黒墨や濃いインクで上段に「御膳料」と、下段に施主の氏名か姓(「〇〇家」)を記入します。
ただし下記の場合、御膳料は必要ありません。
・僧侶が会席に出席する ・会食を行わず、折り詰めの料理など現品を渡す |
まとめ
一周忌法要のお布施の相場は、3~5万円です。
宗派や地域によってやや異なる場合があるため、不安な場合は事前に家族や親戚に相談することをおすすめします。
なお、お布施は白無地の封筒に入れ、お盆または袱紗に載せて僧侶へ渡しましょう。
一周忌法要は初めて行う年忌法要で勝手がわからないかもしれませんが、一つひとつ丁寧に対応すれば難しい作業ではありません。
一周忌法要がスムーズに取り仕切れるよう、事前の準備をしっかり行いましょう。
終活に関するお悩みやお困りごとがあれば、終活のトータルサポートを行う林商会へお気軽にご相談ください。