一周忌同様、生前の故人とゆかりのある人が参列することの多い三回忌では、喪主から参列してくださった方に対してお返しを用意する必要があります。
しかし一周忌から期間が空いたせいで、お返しに何を選ぶか・マナーはどうだったか忘れてしまった…という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事ではお返しの相場や渡し方のマナーをわかりやすく紹介します。
三回忌について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼三回忌とはどんな法要?基本的なマナーについても紹介
目次
三回忌でのお返しについて
三回忌でのお返しは、四十九日法要や一周忌のときとほぼ同様の考え方で選びます。
三回忌でも「香典返し」のようなお返しは必須
通常、三回忌の法要に参列される方はお供え物を持参されるため、香典をいただいたときの香典返しに相当するお返しを引き出物として準備します。
お返しには、わざわざ足を運んでくださったことに対しての感謝の気持ちと、無事に法要が終了したという報告の意味合いもあります。
三回忌のお供え物とは、「御仏前」や「御供」と表書きされた金銭や、お花やお菓子、線香、果物などの品物を指します。
香典返しのようなお返しは、主に「御仏前」や「御供」に対して行われます。
御仏前や御供が香典と呼ばれることも多いですが、厳密に言うと、香典は故人の霊前にお供える物で、御仏前などは四十九日以降に仏様になったとされる故人にお供えするものです。
そのため、三回忌では香典返しと呼ばず、単に「お返し」となります。
お返しの品は消えものが一般的
三回忌などの法要は「不祝儀」となるため、お返しも手元に長く残らない「消え物」を選ぶのが一般的です。
法事・法要での消え物とは、食べたり使ったりするとなくなってしまう消耗品のことを指し、派手なもの、赤いものなどを避けた食料品や日用品などが定番になっています。
三回忌でのお返しの相場
お返しは金額の相場を知っておくと品物が選びやすくなります。
お返しの一般的な相場
三回忌でのお返しの相場は香典返しと同様の考え方で、受け取った金額のおよそ3分の1から半分程度が目安です。
後日改めてお返しを贈る際の目安は下記の通りです。
受け取った金額 | お返しの目安 |
---|---|
50,000円 | 16,000円~25,000円 |
30,000円 | 10,000円~15,000円 |
10,000円 | 3,000円~5,000円 |
5,000円 | 1,500円~2,500円 |
一方、法要当日にお返しを渡すときは、前もって準備しておかなければいけません。
その際に基準となるのが親族や友人知人のお供え金額の相場です。
・父母………3万円~10万円 ・兄弟姉妹…3万円〜5万円 ・祖父母……1万円〜5万円 ・叔父叔母…1万円〜3万円 ・甥姪………1万円〜5万円 ・いとこ、その他親戚……3千円~1万円 ・友人知人…5千円〜1万円 |
三回忌法要の招待状を出した人の割合にもよりますが、お供えの金額をおよそ1万円と考えてそのお返しは3,000円~5,000円程度とすると良いでしょう。
法要後に会食を行う場合は?
法要後に会食を行う場合、参列者もそれを考慮した金額を包むのが一般的です。
そのため、お返しの金額は会食代を差し引いて計算します。
受け取った金額 | 5,000円の会食を用意した場合の お返しの目安 |
10,000円の会食を用意した場合の お返しの目安 |
---|---|---|
50,000円 | 15,000円~22,000円 | 13,000円~20,000円 |
30,000円 | 8,000円~12,000円 | 6,000円~10,000円 |
10,000円 | 1,500円~2,500円 | 1,000円程度 |
三回忌でのお返しの選び方
お返しの予算が決まったら次は品物選びです。
消えものや消耗品でおすすめのもの
三回忌のお返しは、消え物の中でも日持ちするもので個包装になっているものがおすすめです。
・乾物…のり、お茶、椎茸、麺類、調味料など ・洋菓子…クッキーやフィナンシェなどの焼き菓子、ゼリーなど ・和菓子…羊羹や饅頭など ・日用品…洗剤、石鹸、タオル、ハンカチなど |
逆に、持ち運びに気を遣うケーキなどの生菓子や、賞味期限が短いおはぎなどは避けた方が親切です。
カタログギフトも人気
最近ではカタログギフトがお返しに利用されることも多くなりました。
受け取った参列者が好きなものを選ぶことができる、持ち帰りが楽、など多くのメリットがあるからです。
特に三回忌ともなると、通夜や葬儀・告別式、四十九日、一周忌と出席されている方がほとんどなので、マンネリ化した引き出物より選ぶ楽しみがあるカタログの方が喜ばれるといった事情もあります。
これはマナー違反!お返しで避けるべきもの
お返しで避けるべきものとして、殺生をイメージさせる肉、魚などがあります。
生き物の命を奪う殺生は仏教では最大の罪とされ、法要・法事などのお返しではマナー違反となるのです。
また、持ち帰る途中で肉や魚が傷む可能性があることなども参列者への配慮が足りないと思われてしまいます。
三回忌で渡すお返しのマナー
三回忌のお返しに掛ける掛け紙の表書きや水引には、地域や宗教ごとのマナーがあります。
のしの表書き
はじめに、のし紙と掛け紙は混同しやすいですが、のしは慶弔用の印がついたもの、弔事には何もついていない掛け紙を使用します。
よって、三回忌のお返しにおいても「のし」ではなく厳密には「掛け紙」を使用します。
お返しの掛け紙の表書きは「志」「粗供養」などがあります。
志は、全国的に使われる一般的な表書きで、どのような宗教でも使えることが多いため覚えておくと便利です。
粗供養は、四十九日以降の法事に使える表書きで、関西・四国・中国・九州地方の一部などでは志より一般的に使われています。
表書きは薄墨ではなく普通の濃い墨で書きますが、印刷された掛け紙を使っても失礼にはなりません。
なお、店舗で購入する際は、「のし紙」ではなく「掛け紙」を注文しましょう。
加えて、蓮の絵柄が入った掛け紙は仏式専用であることにも注意が必要です。
水引の色
水引の色は、仏式の一周忌までは黒白か双銀、三回忌以降は青白か黄白の水引を用います。
神式やキリスト教式では黄白が使われます。
いずれの場合も水引の形は、一度結んだらほどけにくいことから「繰り返さない」という意味がある結び切りです。
挨拶状を添える
お返しの引き出物には、三回忌法要に集まってくれたことや、いただいたお供え物に対して挨拶状やお礼状を添えます。
<例文>
拝啓 ○○の候 皆様にはすこやかにお過ごしのこととお慶び申し上げます 過日 亡父○○ の三回忌に際しましては ご多用中にもかかわらず 遠路お運びくださいまして 誠にありがとうございました ささやかながら 御礼のしるしとして心ばかりの品をお贈りさせていただきます 略儀ながら 書中をもちましてご挨拶申し上げます 敬具 令和○年○月 〒000-0000 ○○県○○市○○町1-1 山田一郎 |
挨拶状などは印刷物を利用することが増えてきましたが、手書きする場合は、下記の点に注意しましょう。
・縦書きが基本 ・繰り返し言葉は使わない ・句読点を入れない |
三回忌でお返しを渡すタイミング
三回忌のお返しは法要の当日でも後日改めて送ってもかまいません。
一般的には会食後に渡す
三回忌のお返しは、施主が会食後に参列者に渡すのが一般的です。
お返しは荷物になるので、参列者に余計な負担をかけないよう配慮します。
渡すときは、一人一人に参列へのお礼を述べるのが望ましいですが、参列者が多くそれが困難な場合は、会食の最後にあいさつをして持ち帰ってもらうようにすることもあります。
また、ホテルなどを利用したときはお願いしてそれぞれの食事の席に置いておいてもらってもいいでしょう。
会食が無い場合や会食に参加しない人がいるときは、当日の法要行事が全て終了し参列者が帰るタイミングでお返しを渡します。
後日郵送する場合いつまでに送ればいい?
三回忌法要の当日ではなく、後日お返しを郵送という形で送る場合は1~2週以内がマナーです。
お返しは三回忌法要が無事に済んだことの報告を兼ねているため、余計な心配をかけないようできるだけ早めに送っておきましょう。
送る際は下記の点にも気をつけてください。
・包装紙は落ち着いた色(灰色・紺・紫など) ・送り状には品物の具体的な品名を書く ・品物を入れる紙袋は新しいもの |
三回忌に参列していない人へのお返し
三回忌に参列していなくてもお供え物をいただいたならお返しはすべきです。
発送は1~2週以内、参列された方にお返しするのと同じタイミングにしましょう。
お返しの品を送る際には、法要が無事に終了したとの報告を兼ね、お礼状や挨拶状を同封します。
<例文>
拝啓 ○○の候 ご尊家ご一同様には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます この度は 亡母 ○○儀 三回忌に際しまして ご厚志を賜り 誠にありがとうございました ○月○日に法要を無事済ませることができました つきましては 供養のおしるしまでに粗品ではございますが 御受納下さいますよう御願い申し上げます まずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます 敬具 令和○年○月 〒000-0000 ○○県○○市○○町1-1 山田一郎 親族一同 |
まとめ
三回忌のお返しは、お供え物や参列に対する感謝の気持ちと、無事に法要が終了したという報告の意味合いがあります。
お返しの相場は半分~1/3程度、日持ちする消え物で個包装になっているものが理想です。
掛け紙は地域や宗教ごとのマナーを守り、挨拶状などを添えることも忘れないようにします。
マナーを守って故人の供養のために集まってくれた方々に失礼のないよう心がけましょう。