個人が亡くなられてから1年後に行われる法要の「一周忌」。
親族側が準備する法要・お布施・案内状・引き出物や、参列者の服装や挨拶など、それぞれのマナーを解説します。
記事の最後では当日の流れもご紹介するので、一周忌を控えている方は恥をかかないように予習しておきましょう。
目次
一周忌とはどんな法事?どんな意味がある?
一周忌とは、故人が亡くなられてからちょうど1年後の命日に執り行う法要のことです。
正確には一周忌法要と言い、年忌法要の中で最も大切なものとされています。
一周忌は亡くなられてから1年経った命日当日に行われるものですが、最近ではその直近の休日に行われることも増えました。
その場合は、後ろ倒しでなく命日より前に行うのが習わしとされています。
一回忌とはどう違う?
一周忌と似た言葉でよく混同されるのが、一回忌です。
一見同じ意味のように思えますが、これは「忌日」という考え方を知ることで理解ができます。
「忌日」とは、故人が亡くなったその日(命日)のことを言います。
一回忌とは、一回目の忌日のこと、つまり命日のことを指すのです。
もし一周忌を「~回忌」という形で表現するならば、二回忌ということになります。
ちなみに、一周忌の次に行われる大きな法要は三回忌になります。これは3度目の命日、つまり一周忌の1年後ということになります。
一周忌のお布施について
お布施の相場について
一周忌において僧侶に読経をしてもらった際には、お礼をしてお渡しするお布施が必要になります。
この読経に対するお布施の相場は、3~5万円と言われています。
ただし宗派や地域によって違いがあるため、よくわからなければ僧侶や檀家の方に聞いてみると良いでしょう。
この他に、お車代、御膳代、納骨代などが存在します。
・お車代…菩提寺ではなく自宅や霊園などで一周忌を行う際に、交通費として 包むもの。5千~1万円ほど。 ・御膳代…僧侶がお斎(法要後の食事)を辞退した際に、食事代として包むもの。5千~2万円ほど。 ・納骨代…一周忌に納骨まで行う際、追加して包むもの。1~5万円ほど。 |
お布施を入れる袋は、正式には半紙の中包みに入れたうえで、奉書紙で慶事の上包みの折り方をします。
市販の白封筒に入れる形でも問題ありませんが、郵便番号欄が記載されていないものにしましょう。
表書きは薄墨ではなく、濃い墨で記載します。
お布施について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼一周忌のお布施の金額やマナーについて
一周忌の法要の準備について
日程を決める
まずは一周忌法要の日程を決定しましょう。
一周忌は故人の命日からちょうど1年後に当たります。当日に法要を行うのが理想的ですが、現代では関係者が集まりやすい直近の休日などに行われることが多くなっています。
この時、一周忌当日よりも前倒しで行うのが習わしとされています。
法要を後回しにするのは縁起が悪い、という理由によるものです。
会場と食事の手配
一周忌法要を自宅で行うのか、菩提寺や式場などで行うのかを決めましょう。
菩提寺や式場などで行う場合は、早めに予約を取るのが良いでしょう。
また一周忌法要では、「お斎」と呼ばれる法要後の食事をいただくのが一般的です。
仕出し弁当にするのか、料理店やレストランでいただくのか形式を決め、こちらも早めに予約をするようにしましょう。
この際、一周忌のお斎であることを伝え、鯛や伊勢海老など法事にふさわしくない料理にならないよう注意しましょう。
宗派や地域によって違いますが、現代では必ずしも精進料理である必要はない、と考えられています。
お寺への連絡
場所と日時が決まったら、お経を上げてもらう僧侶がいるお寺に連絡をしましょう。
菩提寺がある場合は菩提寺へ連絡します。
菩提寺がない場合は葬儀社に依頼するか、僧侶手配サービスを活用するのも良いかもしれません。
葬儀社であれば状況に応じた適切な手配方法を教えてもらえますし、僧侶手配サービスは定額での僧侶派遣などを行っており、近年人気が出てきています。
いずれにせよ急な連絡ですと、先方も対応できない可能性があります。2か月ほど前までに連絡をしたほうが良いでしょう。
案内状について
日時と場所が決まり、お寺への連絡が終わったら参列者への出席確認をしましょう。
一周忌法要を大々的に行うことは少なく、親族のほか、故人にとって親しかった友人や知人までにとどまるのが一般的です。
限られた親族のみなど、参加者が少ない場合は電話連絡でも問題ありませんが、ある程度の参列者がいるのであれば案内状を出したほうが無難でしょう。
案内状には日時と時間、そして法要とお斎どちらに参加するのかを確認する内容を記載しましょう。返信用はがきも忘れずに同封します。
弔事に発送するものにはいくつかのマナーがあり、その点も注意が必要です。
文面に句読点を使わない、二重封筒で発送しない、などが代表的なものになります。
案内状は1か月前には参列予定者の手元に届くようにし、2週間前までに出欠の確認ができるようにすれば、予約の人数変更などもしやすく余裕を持って準備することができます。
案内状について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼一周忌の案内状の書き方と送り方
引き出物について
一周忌法要で参列者から供物料(香典)をいただく場合は、引き出物を準備します。
引き出物の相場は地域などによっても違いますが、いただく供物料の3分の1か半分、2千~1万円であるのが一般的です。
ただしお斎を振る舞うのであれば、この相場より下げても問題ありません。
引き出物の内容は、洗剤などの日用品またはお菓子などの食品であることが多いです。
これらは使うとなくなることから「消えもの」と呼ばれ、これは故人のご不幸がいつまでも続かないように、と祈る理由があります。
しかし最近では、カタログギフトを用意することが増えてきているようです。
カタログギフトは、もらった側が品物を自由に選べる、金額の区切りが容易、などさまざまな利点がありますが、無機質にも感じられることから敬遠するご遺族も少なくありません。
引き出物に掛けるのしの表書きは「志」が一般的ですが、地域により「粗供養」「茶の子」なども使用されます。水引は黒白か銀の結び切りを用いましょう。
引き出物について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼一周忌の引き出物の金額相場と選び方
供花・お供えを手配する
供花やお供えは、親族や出席者が前日までに準備します。
故人が亡くなられて間もない四十九日の法要までは、明るい色の花を供えるのはあまりよろしくないとされていますが、一周忌では明るい色の花を供えても問題ありません。
もし故人が好きだった花があるのであれば、それをお供えするのも良いでしょう。
ただし、毒や棘がある花はタブーとされているので気を付けましょう。
お供えも、線香のほかに飲み物や食べ物など、故人が好きだったものをお供えするケースが増えています。
しかしどんなに故人の好物であっても、肉や魚を供えるのは殺生を連想されるためタブーとされています。
お供え物について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼一周忌のお供え物の選び方とマナー
一周忌のご遺族の服装
一周忌法要でのご遺族の服装は、通夜や葬儀の際と同じく正礼装か略礼装が良いとされています。
どのような服装なのか、男女別に解説します。
男性の場合
男性は略礼装である上下黒のスーツと、白いワイシャツに黒のネクタイを締めた服装が良いでしょう。
正礼装ですとモーニングコートに縞柄のズボン着用になりますが、これは喪主であっても最近は着用する方が少なくなってきました。
靴は黒の革靴で、できるだけ光沢がないものを履くようにしましょう。
またアクセサリーは結婚指輪か婚約指輪までにとどめ、時計も光沢がない目立たないものを付けるか、外したほうが無難でしょう。
女性の場合
女性は全体として露出を極力控え、黒のワンピースかスーツを着用します。
履物は黒のストッキングと黒のパンプスが良いでしょう。
アクセサリーは基本的に婚約指輪か結婚指輪のみとされていますが、パールのネックレスやイヤリングは許容範囲です。
ただし、ネックレスは一連のみとされていますので注意しましょう。
一周忌の法要の際の喪主による挨拶の文例
葬儀や四十九日法要と同様、一周忌の施主も参列者へ挨拶をする必要があります。
法要の始まり、法要の終わり、お斎(会食)の始まり、の3回行うことが一般的です。
難しく考えてしまいがちですが、要点さえ抑えていれば簡素なもので十分です。
以下にその文例を紹介します。
始まりの挨拶の文例
「本日は参列された皆様のおかげで、無事に○○(戒名)の一周忌法要を取り行うことができました。 皆様のお気持ちに、故人も心から感謝していることと思います。 皆様には今後とも変わらぬご支援のほどを、よろしくお願いいたします。 ささやかではございますが、お食事を用意させていただきました。 どうぞ、心行くまでおくつろぎくださいませ。 本日はありがとうございました。」 |
故人のためにご足労いただいたことに対する、感謝の言葉を入れるようにしましょう。
最後にお斎への誘導をして終了となります。もし食事の会場へ移動する必要があるのであれば、その説明も忘れないようにしましょう。
もちろん、お斎が無いのであればこの部分は省略します。
会食時の挨拶の文例
「本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございました。 一周忌法要も滞りなく済み、故人も喜んでいるものと思います。 これよりは故人の思い出を語り合いつつ、のんびりお過ごしくださいませ。 それでは○○様に献杯の挨拶をお願いいたします。」 |
会食時の挨拶では、参列者に改めて感謝の意を伝えたうえで、故人を偲びゆっくり過ごしていただくよう伝えます。
以上で施主の挨拶は終了です。
一周忌の挨拶について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼一周忌での挨拶文例とマナー
参列者の服装のマナー
一周忌法要に参列する際は、場に適した服装をする必要があります。
一般的には、参列者は略礼装で臨むのが無難でしょう。
もし案内状で平服を指定されていても、いわゆる普段着で臨むのは避けましょう。
この場合の「平服」は、「略礼装より格式の低い礼装」という意味ですので、それに則した服装をするのがマナーです。
男性の場合
男性は上下黒のスーツと、白いワイシャツに黒のネクタイを締めた服装が良いでしょう。
靴は黒の革靴で、できるだけ光沢がないものを履くようにしましょう。
またアクセサリーは結婚指輪か婚約指輪までにとどめ、時計も光沢がない目立たないものを付けるか、法要中は外したほうが無難でしょう。
平服でも良い場合は、黒色の喪服ではなくダーク系色のスーツ・ジャケットなどを着用しても良いでしょう。
その場合であっても、ネクタイは黒色を締めていったほうが無難です。
女性の場合
女性は全体として露出を極力控え、黒のワンピースかスーツを着用します。
履物は黒のストッキングと黒のパンプスが良いでしょう。
バッグやポーチは、毛皮のものは避けましょう。
アクセサリーは基本的に婚約指輪か結婚指輪のみとされていますが、パールのネックレスやイヤリングは許容範囲です。
ただし、ネックレスは一連のみとされていますので注意しましょう。
平服を指定されていた場合でも、ダーク系色のスーツかワンピースで参列するのが無難であると言えます。
一周忌のお供えと供物料について
一周忌法要に参列する際、供物料やお供えを持っていくこともあるでしょう。
その際の注意点や、マナーについて解説します。
金額の相場
一周忌法要では、香典のことを供物料と呼びます。
この供物料をそもそも必要ないとする一周忌法要も増えていますが、案内状に指定がなければ持参するようにしましょう。
金額の相場は、地域などによっても違いますが血縁者であれば1万~3万円。友人や知人の場合は5千~1万円ほどであるのが一般的です。
ただし友人や知人であっても、故人にお世話になったようなケースでは多めに包むことが多いようです。
また、お斎に参加して食事を振る舞われるのであれば、少し多めに包んだ方が良いかもしれません。
渡し方
一周忌法要で供物料を渡す際は、葬儀などと同じく不祝儀袋を使用します。
黒白か黄白の色で、結び切りか淡路結びの水引のものを選びましょう。
表書きは、一周忌の時点では故人はすでに仏さまになられているため、「御仏前」「御供物料」と記載します。
その際は、薄墨ではなく黒色の濃い墨で書くようにします。
薄墨は、急であったので墨が磨れなかった、涙で墨が薄くなったなど急な別れに動転している様を表すものです。
四十九日以降は時間も経過しているため、普通の墨を使っても問題ありません。
お供えを渡す場合は
供物料の代わりに、お供えを持参する方も多く見られます。
一周忌法要では、供物料かお供えどちらかを持参するのが一般的であり、特に指定がない限り両方持っていく必要はありません。
お供えの金額の相場は、5千~1万円ほどとされています。
お供えの種類は、線香やお花、故人が生前好きだったお菓子や食べものが一般的です。
お供えの種類にかかわらず気を付けたい点として、ご遺族の負担になる品物は避けるようにしましょう。
重い物やかさばる物、腐りやすい物などは避けたほうが良いです。
お花の選び方
故人が亡くなられて間もない四十九日の法要までは、お供えする花は白色のものか、菊など決まった種類以外のものは基本的にマナー違反になります。
しかし一周忌では忌中が明けてすでに故人を偲ぶ段階であるため、明るい色の花を供えても問題ありません。
もし故人が好きだった花があるのであれば、それをお供えするのも良いでしょう。
ただし、毒や棘がある花はタブーとされているので気を付けましょう。
お供え品の選び方
お供え品は、故人が好きだったお菓子や食べ物であることがほとんどです。
酒類などであってもかまいませんが、日持ちがして皆に分けることができるお菓子などが無難かもしれません。
また、いくら故人が好きだったものであっても、肉類や魚類は殺生をイメージさせるためタブーとなっています。
のしの種類や表書き
お供え品には、必ずのしを掛けて渡しましょう。
一周忌法要のお供え品ののし紙には、弔事用の掛け紙を選択します。
表書きは「御仏前」や「御供物」と書くのが一般的です。
墨は薄墨を使わず、通常の濃い墨を使用しましょう。
一周忌の法要に参加できない場合の対応について
一周忌法要の案内状が届いても、用事などがありどうしても参列できないことがあるかもしれません。
そんな時、礼を失することなく対応するにはどのようにすれば良いのでしょうか。
早めに欠席の連絡をする
まずは欠席しなければならないことが判明した時点で、できるだけ早めに欠席の連絡をするようにしましょう。
案内状を受け取っている場合は、返信用はがきの「欠席」に〇を付けて投函します。
早めの連絡をすることで、ご遺族が余裕をもって食事や引き出物などの人数調整を行うことができます。
供物料やお供えを贈る
一周忌法要に参列できない場合でも、故人への誠意を表すために供物料やお供えを贈ることをおすすめします。
供物料を贈る場合は、必ず現金書留で送るようにしましょう。
ご遺族が受け取りをする必要があるので、当日ではなく前日までに到着するよう日付を指定して送るのが無難です。
お供え物は受け取れない場合も想定して、日持ちがしないものを贈るのは避けましょう。
お詫びの手紙を添える
一周忌法要に参列できず供物料やお供え物を贈る場合には、必ずお詫びの手紙を添えるようにしましょう。
内容は単に参列できないことを詫びるだけではなく、故人のご冥福を祈ることや、ご遺族を労わるような内容を記載します。
通常の手紙文とは違い、お悔やみを表す文には以下のようなポイントがあります。
・頭語や時候の挨拶は必要なく、お悔やみの言葉から書き始める。 ・欠席の理由は簡潔に記し、自身の近況などは記載しない。 ・故人の人柄や思い出を偲ぶ内容を記載し、ご冥福を祈る言葉を記す。 ・ご遺族を気遣う言葉で締めくくる。 ・結びの言葉は仏式であれば「合掌」だが、省略しても問題ない。 |
故人を偲び、ご遺族に寄り添う心情が伝わるような内容にしましょう。
一周忌を欠席する際はこちらの記事もお読みください。
▼一周忌を欠席する際のマナー
一周忌の法要の当日の流れ
一周忌法要には、法要として決められている流れというものは特に存在しません。
一般的な流れとしては、おおよそ以下のとおりになります。
1.僧侶の入場 2.施主による法要開始の挨拶 3.僧侶による読経 4.お焼香 5.僧侶による法話 6.施主による法要終了の挨拶 7.お墓参りまたは納骨式 8.施主による会食開始の挨拶 9.会食 |
一周忌の法要はやらなくてもいい?
なかには一周忌の法要を行わなくてもよいと考えている方もおられるのではないでしょうか。
ここでは、一周忌をやらなくてもよいのかについてご紹介します。
一周忌の法要は減少傾向にある
一周忌法要は故人を悼むための重要な年忌法要の一つですが、近年は必ず執り行うものではなくなりつつあります。
特に2020年以降は新型コロナウイルスの影響により、感染症予防として人が集まるのを避けるようになりました。
年忌法要でも同様に、中止や延期になるケースが増えており、執り行っても小規模で済ませる傾向があります。
この他にも、故人が遺族に対して負担をかけたくないという意向を示しているため執り行わないこともあるようです。
近年は以前に比べて家族関係も変化しており、昔ほど親戚付き合いがさかんではなくなりつつあります。
また、日本は少子高齢化が進んでいるため、一周忌を主催する側も高齢化しています。
このように家族関係の変化や社会情勢などから、必ずしも一周忌を執り行うわけではなくなりました。
一周忌の法要を家族のみで行うケースも増えている
一周忌を行う場合、家族のみで執り行うケースも増加しています。
参加人数が減ることで主催側への負担も軽減され、遠方に住む親族にも負担がかからないことなどメリットも多いです。
法要は行いたいものの、主催者側と参加者側の負担を考えて規模を縮小することは悪いことではありません。
法要に関する意見は家族ごとに異なるため、状況に合わせて変化させることも大切です。
故人を悼む気持ちを忘れず、できる範囲で供養をすることは、立派な供養の一つです。
ただし、家族のみで行う場合は配慮を怠らないように気を付けましょう。
参加を考えてくれている親族がいる可能性があるためです。
家族のみで法要を行う場合は事前に親族に相談し、法要後は報告の手紙や挨拶状を送るようにしましょう。
家族のみで一周忌の法要を行う際に気をつけたいマナー
以下では、家族のみで一周忌の法要を行う際に気をつけたいマナーについて紹介します。
連絡について
通常、一周忌の連絡は案内状を送りますが、家族のみで執り行う場合は親しい人しか参加しないためので電話やメールで連絡を入れてもよいでしょう。
招かない人には法要が終わってから無事法要が終わったことと併せて挨拶状で連絡します。
法要前に連絡を入れるとお供え物の催促と思われる可能性があるので避けましょう。
もしお供え物を送っていただいたら、挨拶状ではなくお礼状を送ります。
服装について
一周忌では通常、喪服を着用することがマナーであり、家族のみで執り行う場合でも変わりません。
喪服のうち、準喪服とされる一般的な喪服の着用がマナーです。
家族によっては略喪服である平服での参列もあるでしょうが、そのような場合は事前に僧侶に平服で執り行うことを伝えておくと、トラブルの予防になります。
香典について
家族のみで一周忌を行う場合も、施主が不要としない限り香典は必要です。
相場は相手との関係性によって変動するため、下記の相場を参考にしてください。
自分の親の場合:1~5万円 自分の兄弟姉妹の場合:1~3万円 配偶者の親や兄弟姉妹の場合:1~3万円 |
お布施・御膳料・お車代について
また、香典と同様にお布施・御膳料・お車代も必要です。
寺院以外の場所で法要を行う場合は用意しましょう。
僧侶に渡す際は切手盆で渡すのがマナーですが、法要を行う会場に切手盆がない場合は封筒の下に袱紗を敷いて渡します。
一般的な一周忌法要での相場は下記のとおりです。
お布施:3~5万円 御膳料:5,000~1万円 お車代:5,000~1万円 |
普段から付き合いがある菩提寺で行う場合は事前に打ち合わせを行い、費用についても聞いておくことをおすすめします。
もし葬儀業者から紹介をされた場合は、葬儀業者からどれくらいの謝礼が必要かを聞いておきましょう。
納骨する場合は「納骨式」も同時に行われる
納骨は、現代では四十九日の法要と同時に行うことが一般的です。
しかし実は、納骨には決められたタイミングというものが存在せず、墓地埋葬法にも特に規定があるわけではありません。
そのため、一周忌と併せて納骨式を行うケースも存在します。
その場合はどのような点が変わってくるのか、解説します。
何が変わる?
納骨式を伴わない一周忌法要では、僧侶の読経と法話が終了した後にお墓参りという流れになることが一般的です。
納骨式を行う場合は、このお墓参りが納骨式に変わります。
流れとしては、お墓に移動し、施主が挨拶を行い、僧侶の読経と焼香の元で納骨をするのが一般的です。
納骨式が終了した後にお斎が行われ、一連の法要が終了します。
埋葬許可書が必要
納骨を行うには、「埋葬許可証」が必ず必要になります。
火葬場で収骨が終わった後、ご遺骨とともに火葬場から渡される書類になります。
埋葬許可証が無い場合は遺骨の証明ができず、当日納骨をすることができなくなってしまいます。
一周忌法要と併せて納骨式を行う場合は葬儀から時間が経っているため、無くさないように大切に保管しておきましょう。
再発行できない自治体も存在するので、注意が必要です。
納骨式のお供え物
納骨式では、お墓に供えるお供え物が必要になります。
お花
納骨式でお墓にお供えするお花は、基本的に施主が用意するものとされています。
お墓の両脇にお供えするため、原則として二束必要です。
生花の種類に特に定めはなく、故人が好きだった花や、季節の花を選ぶと良いでしょう。
ただし、香りが強いものや棘があるもの、すぐに花が落ちてしまうものは避けるべきです。
よくわからない場合は、花屋さんに相談すれば適切なものを選んでもらえるでしょう。
果物やお菓子
お墓に果物やお菓子をお供えする場合は、故人が好きだったものをお供えするのが一般的です。
果物であれば、その季節のものをお供えするのも良いでしょう。
いずれにせよ、食品類は放置すると臭いや虫が集まる原因になるため、基本的にはその日のうちに持ち帰るのがマナーとされています。
まとめ
一周忌のさまざまな事柄について解説をさせていただきました。
簡単にまとめてみましょう。
・一周忌とは、故人が亡くなられてからちょうど一年目の命日のこと。一回忌とは違い、一回忌は「一回目の忌日」のことで故人が亡くなったその日のことを指す。 ・お布施の相場は3万~5万円。宗派や地域によって違う。お車代や御膳代、納骨代などが発生することもある。 ・日程は一周忌の当日直前の休日になることが多い。僧侶やお寺、式場、お斎の場所などは早めに予約する。 ・参列者の出欠は案内状で取りまとめるのが無難。ルールに気を付けて記載し、早めの発送と回収を行う。 ・引き出物の相場はいただく供物料の3分の1~半分が相場。 ・法要でのご遺族の服装は、通夜や葬儀の際と同じく正礼装か略礼装が良い ・法要での施主(喪主)の挨拶は、法要開始と終了、会食開始の3回行われることが一般的。 ・参列者の服装は、略礼装が無難。平服可とあっても普段着ではなく、略礼装の一段下の礼装で臨むこと。 ・供物料の相場は、血縁者であれば1万~3万円。友人や知人の場合は5千~1 万円ほどが一般的。 ・供物料の代わりにお花やお供え品でもよく、相場は5千~1万円ほどとされている。 ・法要に欠席する場合は、早めの連絡を行う。供物料やお供え品に、お詫びの手紙を添えて贈る。 ・法要当日の流れは、読経→焼香→法話→お墓参りまたは納骨式→会食が一般的。 ・一周忌法要当日に納骨する場合は、お墓参りのタイミングで納骨式が行われる。 |
以上になります。
一周忌は故人の冥福を祈るとともに、遺族にとっては喪が明ける節目となる大切な法要です。
しかしその存在は誰もが知っていますが、いざ準備や流れとなると詳しくは知らない方がほとんどでしょう。
昔ほど厳格ではないものの、それでもマナーや形式が多数存在するのが、一周忌を代表とする法要です。
もちろんそれらを守る必要はありますが、最も大切なのは故人を偲び、冥福を祈ることなのです。
一周忌に対する理解を事前に深めることで、故人への感謝をいっそう深めるようにしたいものです。