一周忌法要では、お供え物を持参するのがマナーです。
お供えの相場は3,000~2万円で、一般的には「消え物」と呼ばれる形に残らないものを選びます。
故人が生前に好きだったものを用意したいところですが、お供えに適さないものもあるので注意しましょう。
本記事では、一周忌法要のお供えの選び方や渡し方を解説します。
お供えのかけ紙(のし紙)の選び方や書き方も解説するので、遺族に迷惑をかけたり失礼な印象を与えたりしないようマナーを理解しておきましょう。
目次
一周忌法要にお供えは必要

一周忌法要は、遺族にとって喪が明ける頃に行われる大切な法要です。
一周忌法要に招かれた際は、マナーとしてお供えを持参しましょう。
なお、お供えは食べ物や飲み物、洗剤、線香など「消えもの」と呼ばれる形に残らないものが定番です。
お供えの選び方は、後ほど詳しく解説します。
品物ではなく現金を包む場合がある
近頃は、お供え物の代わりに御供物料として現金を包む場合があります。
一般的にはお供えか御供物料のどちらかを持参しますが、故人との関係性や地域の慣習を考慮し、両方を用意する場合もあります。
自分の住んでいる地域には、どのようなしきたりがあるのかを確認しておきましょう。
お供えと香典の違い
一周忌法要などの法事に持参するお供え物は、故人を偲び供養する気持ちを込めて贈るものです。
一方、「香」の文字が用いられる香典は、お香やお線香の代わりに供えるという意味を含み、また出費が多い法要での助け合いの側面をもちます。
一周忌法要の香典については、こちらの記事をご覧ください。
【一周忌の御香典の相場】御香典袋の書き方や選び方のマナーも解説
一周忌法要のお供えの相場
一周忌法要にお供え物を持参する場合、個人で用意するなら3,000~1万円、連名で贈るのであれば1~2万円が一般的な相場です。
遺族に余計な負担や気遣いをさせないように、特別な理由がない限りは相場の範囲内でお供え物を用意しましょう。
一周忌法要では故人の子や孫もお供え物を用意しますが、その場合は「子一同」または「孫一同」としてお供え物を贈ります。
ただし、お供え物の金額の相場は住んでいる地域によって、相場より金額が高めだったりあるいは安めだったり、さらにはお供え物を持ち寄る習慣がない場合もあります。
あらかじめ親族や地域の人、同じ一周忌法要に参列される方に相談しておくと安心です。
なお、御供物料を持参する場合の相場は、お供えと同じと考えましょう。
法要後に会食がある場合は、会食が軽食や立食なら2,000~5,000円、食事代が高額になるお寺や会館、レストラン、料亭での会食なら3,000円~1万円を加える場合もあります。
一周忌法要のお供えの選び方

先述の通り、一周忌法要では「消え物」がお供え物の定番です。
ここでは、お供え物の選び方を解説します。
菓子折り
購入がしやすく軽くて持ち運びが楽なお菓子はお供え物の定番です。
一周忌法要のお供え物としてお菓子を贈る際は、下記を参考に選びましょう。
○故人が好きだったお菓子 ○焼き菓子や羊羹など日持ちがするお菓子 ○個包装で分けやすいお菓子 ○親族に子どもが多いならゼリーも人気 △生菓子や形が崩れやすいお菓子は避ける |
お供え物は遺族や親族、関係者で分けて持ち帰ることが多いので、日持ちがして個分けされているお菓子が喜ばれます。
また、ゼリーなら小さいお子さんでも食べやすく、さっぱりしたものが食べたくなる夏場には特におすすめです。
逆に、おはぎやケーキのような持ち運びに気を遣う生菓子や形が崩れやすいお菓子は、遠方から足を運ばれる人が多い一周忌法要では避けたほうが親切です。
果物
お菓子と並んで人気があるお供え物が果物です。
一周忌法要のお供え物として果物を贈る際は下記を参考に選びましょう。
○故人が好きだった果物 ○形が丸い果物 ○季節の果物 ○籠盛なら見栄えもよい △潰れやすく汁気の多い果物は避ける |
一周忌法要では、角がない丸い果物がよいとされています。
スイカやメロン、りんご、桃など季節に合わせて選んだり、故人や遺族の好みに合わせたりするのもいいでしょう。
潰れやすく汁気の多いブドウやミカンは、持ち帰るのに大変な思いをすることも予想されるので避けたほうがよいですが、故人の好みを尊重してどうしてもお供えしたい場合は、箱詰めや籠盛にします。
複数の果物を入れるときは、「死」と「苦」に通じるとされる4個と9個は避けたほうが無難です。
お花
法事などで使われるお花は購入先のお花屋さんに相談すると、地域の情報や適切なアドバイスがもらえます。
一周忌法要のお供え物としてお花を贈る際は、下記を参考に選びましょう。
○故人が好きだった花 ○四十九日を過ぎているので白以外もOK ○供花は基本的に二基一対 ○アレンジメントフラワー △とげのある花、香りの強い花はNG |
お供えするお花は、四十九日までは故人が亡くなったことに対する悲しみを示す白色を基調としますが、それを過ぎた一周忌では、白色に加えて淡い色合いの他の色を合わせて贈ることができます。
白い菊やユリを中心に、故人が好きだったお花を足すのもよいかもしれません。
お供え物として生花を供えることを供花といいますが、供花は二基一対が基本です。
場所の問題で二基置けない場合もありますので、あらかじめ施主に確認を取っておきましょう。
お供え物の花としてアレンジメントフラワーも人気があります。
アレンジメントフラワーは、カゴなどに水を含ませたスポンジを入れて花を挿したもので、花瓶に移し替える必要がないので花束で贈るより手間がかかりません。
慣れない法要の作業に追われる施主にとって、負担の少ないアレンジメントフラワーはよいお供え物となるでしょう。
反対に、危険なとげのある花や香りの強い花は、ケガの原因になったり臭いに敏感な人には苦になったりして施主をわずらわせることにもなりかねないので選ばないようにしましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
一周忌法要のお花、マナーや金額の相場は?お供えに相応しい花について紹介
飲み物
長い時間がかかる一周忌法要では、法要後の喉を潤したり、会食にも添えられたりする飲み物類もお供え物として人気があります。
故人がお酒好きなら仏前にお酒を供えるのもよい供養となるでしょう。
ペットボトルや缶で用意する場合は、小さめの飲みきりサイズがお裾分けとして持ち帰るのに都合がよいでしょう。
茶葉やスティックタイプのお茶やコーヒー、紅茶なら日持ちもするので特におすすめです。
線香・ろうそく
一周忌法要に線香やろうそくをお供え物として贈るのは昔からの定番でしたが、最近では家で日常的に線香やろうそくを使うご家庭も減ってきています。
お供え物として贈られた線香やろうそくが使い切れず余ってしまうことも多く配慮が必要です。
家のしきたりや地域の習慣などでどうしても線香やろうそくにしたい場合は、桐箱や化粧箱などに入っている高級な進物用や贈答用にすると喜ばれます。
また、遺族がマンションなどの集合住宅で暮らしているケースでは、煙が少ないタイプや香りが柔らかいタイプの線香を選ぶ気遣いも大切です。
【マナー違反】お供えに適さないもの

お供え物には適さないとされているものもあるので覚えておきましょう。
殺生を連想させるもの
仏教では肉や魚は殺生を連想させることから、お供え物としては不適切とされています。
肉や魚は持ち帰りにも苦労するので、たとえ故人の好物であったとしても一周忌法要ではマナー違反となるので避けなければいけません。
故人との思い出のためにどうしても、という場合は一周忌法要の場所以外で贈るようにしましょう。
持ち帰りにくいもの
一周忌をはじめ法要では、遠方から足を運ばれる方も多く、小さなお子さん連れのご家族も少なくありません。
そういった方々もお供え物を分け合って持ち帰られることが多いので 、品物の重さや大きさにも配慮が必要です。
加えて、高価すぎるお供え物は遺族に気を遣わせたり、お返しに困わせたりすることもあることを頭の隅に入れておきましょう。
一周忌法要でのお供えの渡し方

お供え物は祭壇に飾られるため、一周忌法要の開始前に渡すのがマナーです。
施主や親族に挨拶をした後に、品物を紙袋や風呂敷から取り出し、表書きを相手に向けて手渡しましょう。
渡す際は「心ばかりですが、ご仏前にお供えください。」と一言添え、紙袋や風呂敷は持ち帰ります。
一周忌法要を欠席する場合
喪が明ける一周忌は重要な法要なので、案内状を受け取っていればなるべく出席するようにしたいですが、仕事などで参列できないこともあります。
その場合、施主側は法要後に予定している会食の人数や引き出物の数を変更する必要があるので、欠席が決まった時点で、遅くとも法要の前日までには連絡を入れておくことが大事です。
一周忌法要に参列できなくてもお供え物や御供物料を贈るのはマナーです。
時間があれば事前に訪問してお参りをし、お供え物などを手渡しするのをおすすめします。
それも難しければ郵送という手段もあり、御供物料といった金銭は一般郵便物より安全性の高い現金書留で送れます。
お供え物は手紙を添えて、法要の日より早く届くように手配しましょう。
手紙には、
・法事の案内状のお礼 ・欠席に対するお詫びの言葉 ・故人との関係性や思い出 |
などを書き添えましょう。
お悔やみの手紙では句読点を用いないという慣習がありますが、これは毛筆で行書を使った場合です。
読みやすさも大切なので活字で書く場合は、適宜句読点を入れましょう。
また、ここでは横書きで例文を紹介しますが、本来お悔やみの手紙は縦書きになります。
<一周忌のお悔やみの手紙・例文> 一周忌の案内をいただきまして、ありがとうございました。 本来であれば出席すべきところなのですが、一身上の都合により予定を合わせることが難しく、参列できずに申し訳ございません。 早いもので○○様が亡くなられてもう一年になるのですね。 幼いころよく一緒に近所の公園でブランコや鬼ごっこをして遊びました。 今もなお、あの頃の○○様の優しい顔が昨日の様に思い浮かびます。 在りし日のお姿を偲び、謹んでご冥福をお祈りいたします。 ○○様がお好きだった菓子を贈りますので、どうぞご仏前にお供えください。 皆様にはどうかお体に気をつけご自愛ください。 |
一周忌法要のお供えのマナー

一周忌法要のお供えには、のしが印刷されていないかけ紙を使用します。
のしは縁起物の象徴であり、弔事でのお供え物に使用するのはマナー違反です。
ここでは、かけ紙の選び方と表書きの書き方を解説します。
お供えのかけ紙の選び方
一周忌法要のお供えには、一般的に白黒または双銀の結び切りの水引が印刷されているかけ紙を選びます。
関西地方では、地域の習慣として黄色と白の水引が使われることもあり、地域によって違いがあるので事前に確認しておきましょう。
なお、仏教式の一周忌法要では蓮の花がデザインされたかけ紙を使用する場合もあります。
かけ紙の表書きの書き方
かけ紙の表書きは、水引の上段に黒墨か濃いインクで以下のいずれかを書きます。
・御供 ・御供物 ・御仏前 ・御佛前 |
水引の下段には、贈り主の名前を書きましょう。

個人の場合 | フルネームを書く |
連名の場合 | 代表者のフルネームと横に「他〇名」を書く ※子や孫が贈る場合は「○○家子一同」または「○○家孫一同」と書く |
夫婦の場合 | 夫のフルネームと横に妻の下の名前を書く |
会社関係の場合 | 「会社名」または「○○課一同」と部署名を書く |
一周忌で使用するかけ紙(のし紙)の選び方や書き方は、以下の記事で詳しく解説しています。
一周忌で使うのし(熨斗)表書きの書き方やマナーは?香典袋・お供え・お返しの引き出物別に宗教宗派、地域に合わせて解説
まとめ
一周忌法要に招かれた際には、お供え物を持参するのが大切なマナーです。
お供え物の金額は、個人で贈るなら3,000~1万円、連名で贈るなら1~2万円を目安にしましょう。
お供えの渡し方にも気をつけて、故人を偲びつつ遺族に喜ばれるものを用意してください。
終活に関するお悩みやお困りごとがあれば、終活のトータルサポートを行う林商会へお気軽にご相談ください。