終活をしていて、お墓の購入を検討している方もいるのではないでしょうか。
お墓を事前に準備しておくことは、自由なお墓を選べる点や、相続税の対策になる点などさまざまなメリットがあります。
ここでは終活におけるお墓選びのメリットやお墓の種類、注意する点などについて解説します。
▼終活での葬儀関連全般の準備についてはこちらの記事をお読みください
終活で葬儀の準備はどうする?葬儀の種類や費用について解説
目次
お墓を終活中に準備するメリット
お墓を生前購入すると、自分だけでなく遺族にもメリットがあります。
好きなお墓を建てられる
生前に準備すれば、自分好みのお墓を建てることが可能です。
昔ながらの和型や近年人気になっている洋型、オリジナルの型など、好きなお墓を選べます。
花やメッセージを彫刻したり、多数ある墓石の中から好みのものを指定することもできます。
また、遺族が管理しやすい土地にするなど、お墓を建てる場所も選べるのがメリットです。
遺族の負担を軽減できる
生前にお墓を建てておけば、遺族がお墓を準備する必要がなくなります。
時間の面でもお金の面でも負担を減らすことが可能です。
また、家族関係によっては、先祖と同じお墓に入れてよいものか悩む場合もあるでしょう。
親族や家族で意見が分かれることもあるかもしれません。
しかし、お墓が準備されていれば、準備されたお墓を故人の意志として尊重することができます。
遺族の精神的な負担も減らせるはずです。
相続税が課せられない
お墓は「祭祀財産(さいしざいさん)」に含まれ、相続税が課せられません。
祭祀財産とは、位牌や仏壇、家計図など先祖を祀るための財産のことです。
一般的な財産とは区別されており、分配するのではなく誰か1人が承継することになっています。
つまり、生前にお墓を建てておけば、その分の相続税はかからないということです。
相続した財産をお墓購入の費用に充てるよりも、お墓を祭祀財産として承継した方が遺族に負担もかかりません。
終活でお墓を準備する注意点
生前にお墓を建てるメリットは大きいものです。
ただし、注意しなければならないこともあります。
維持費(墓地管理費)がかかる
お墓は建てる以外にも、墓地管理費と呼ばれる維持費がかかります。
これは、墓地の管理人が水道や歩道といった共有部分を管理するための費用になります。
費用は年間で5,000~15,000円程度です。
遺骨が入っているかは関係なく、お墓を建てた時点で維持費は発生します。
つまり、早く建てればそれだけ維持費がかかるということです。
ただし、永代管理費といって一括で費用を支払う墓地もあり、その場合は維持費を支払い続ける必要はありません。
家族ともしっかり相談する
自分のお墓だからといって、すべて1人で決めるのはおすすめしません。
お墓を管理するのは遺族ですので、家族や親族と相談しながら進めていきましょう。
墓地の場所、宗教や宗派などを考慮しなければ、後々トラブルに発展する可能性もあります。
自分と遺族、双方が納得できるお墓を建てるようにしましょう。
霊園や墓地の違い
お墓を建てる場所は大きく分けて3種類あります。
それぞれ特徴があり、メリット・デメリットも異なってくるので注意しましょう。
寺院墓地
寺院の境内や敷地内にある墓地が寺院墓地です。
寺院が管理しているので安心感が強く、手厚く供養してもらえるというメリットがあります。
ただし、利用するにはその寺院の檀家となる必要があり、継続してその寺院と付き合っていかなければなりません。
宗教や宗派によって違いがあるので、自由に建てられるわけではないことは理解しておきましょう。
寺院への寄付やお布施を求められる場合もあり、霊園と比べて費用は高めになります。
民営墓地
民間団体が管理している墓地のことで、民間霊園ともいいます。
宗教や宗派などの条件がなく、自由度が高いのがメリットです。
樹木葬に対応していたり、ペットと一緒にお墓に入れたりする墓地もあります。
団体によってサービスもさまざまです。
また、民間墓地の最大の特徴は、生前予約がしやすいという点でしょう。
お墓の面倒を見る遺族がいないおひとり様にも対応しているので、生前にお墓を建てたいと考えている人には民間墓地が向いているかもしれません。
公営墓地
都道府県や地方自治体などが運営している墓地のことで、公営霊園ともいいます。
宗教・宗派の条件がないうえに、民間墓地と比べると安価であるところがメリットです。
ただし、公営墓地にお墓を建てるには、本人または管理する人がその自治体に住んでいることが条件になります。
お墓の大きさや形が制限されることも多く、自由度が低いのがデメリットです。
しかも、応募者多数の場合は抽選になり、外れてしまえばお墓が建てられません。
生前予約を行なっていない自治体も多く、終活中にお墓を建てるには向かないタイプだといえるでしょう。
お墓のタイプの違いについて
墓地だけでなく、お墓にもさまざまなタイプがあります。
かかる費用についてもあわせて見ていきましょう。
一般墓
日本各地で見られる一般的なタイプのお墓です。
家族や近親者が供養を行い、子孫へと受け継がれていくものになります。
屋外に建てるので定期的な掃除が必要であり、管理は大変です。
ただ、墓石の材質やデザインを自由に選ぶことができるというメリットもあります。
一般墓は、お墓の中でも費用がかかるタイプです。
墓石代以外にも、墓地管理費と呼ばれる維持費が必要になります。
一括で永代使用料を支払う場合以外は、毎年費用が発生することを覚えておきましょう。
納骨堂
遺骨の入った骨壺を安置しておく建物が納骨堂です。
コインロッカーのような形の「ロッカー型」や仏壇の形をしている「仏壇型」、コンピューター制御で遺骨が運ばれてくる「自動搬送型」などがあります。
屋内にあるので管理しやすいのが特徴です。
永代供養となっている場合も多く、継承者に悩む必要もありません。
ただ、安置期間が決められており、その期間を過ぎると合祀されることが多くなっています。
費用は「永代使用料」や「管理料」のほか、「永代供養料」「戒名(法名)料」「プレートや墓誌などへの彫刻料金」などがかかる場合もあります。
墓石がない分、費用が安いのがメリットです。
集合墓
集合墓は、1つのお墓に複数の人の遺骨を納める方法です。
モニュメントのような墓石の下に骨壺を納めるスペースがあり、そこにまとめて埋葬します。
墓地の管理者が一括して管理してくれるので、定期的に掃除をする必要もないでしょう。
永代供養を行なってくれる墓地であれば継承者の心配もいりません。
多くの人と同じ場所にいられるので寂しくなりにくいでしょう。
費用は納骨堂とほぼ同じで、土地代や墓石代がかからない分、費用を安く抑えられます。
合祀墓(合葬墓)
合祀墓や合葬墓も、1つのお墓に複数の人の遺骨を納める方法になります。
集合墓や納骨堂との違いは、遺骨が他の人と混ざってしまうという点です。
合祀墓や合葬墓は、骨壺から遺骨を取り出し、他の人の遺骨とひとまとめにして埋葬します。
そのため、遺骨を後から取り出すことはできません。
ただし、費用は安く抑えられるというメリットがあります。
継承者がいない場合や遺族に負担を残したくないと考える方に、よく利用される埋葬法です。
先祖代々のお墓はどうする?
自分のお墓を建てる場合は、先祖代々受け継がれてきたお墓をどうするか考えなければなりません。
ここでは2つの方法をご紹介します。
改葬
改葬とは、簡単にいうとお墓の引っ越しです。
現在のお墓から遺骨を取り出し、別のお墓に埋葬し直すことを指します。
新たな埋葬先は、別の場所に建てた一般墓、集合墓や納骨堂などさまざまです。
自分で建てたお墓に埋葬する方法もあるでしょう。
先祖代々のお墓が地方にあり、管理が難しくなった場合に行われることが多くなっています。
改葬の手順は以下を参考にしてください。
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改葬は、お金も時間もかかる方法です。
しかし、先祖代々受け継がれてきたお墓を放っておけば、無縁仏になってしまう可能性もあります。
自分のお墓を建てるのであれば、責任を持って現在のお墓を処分する必要があるのです。
墓じまい
現在のお墓を処分することを墓じまいといいます。
改葬との違いは、遺骨の納め方です。
改葬はお墓などに埋葬しますが、墓じまいは埋葬をしません。
その代わり、海や山に散骨したり、手元供養を行なったりします。
エンディングノートなどでその後の管理方法を伝えておけば、手元供養の場合も困らないでしょう。
亡くなった際に、自分の遺骨と一緒に埋葬してもらうという方法もあります。
墓じまいの場合は、改葬の手続きは必要ありません。
ただし、管理者によっては改葬許可証の提示を求められることもあります。
この場合は、市町村区役場で自宅供養する旨を伝え、改葬許可証に記載してもらいましょう。
閉眼供養などのお寺とのやりとりは改葬のときと同じ手順になります。
お墓選びのポイント
お墓選びにはどのような点に気を付けて選べばよいのでしょうか。
予算を考えて選ぶ
一番大事なのは予算です。
お墓を建てるためには、墓石代だけでなく管理料や永代使用料などがかかります。
墓地の種類やお墓のタイプによって費用は異なるので、予算内で購入・維持できるお墓を選ぶようにしましょう。
墓石代も、材質やデザインで費用が異なります。
購入する前には、墓石業者に見積もりを取るのがおすすめです。
家族がアクセスしやすい位置に
お墓を管理するのは遺族です。
特に、一般墓の場合は定期的にお手入れをする必要があります。
遺族が無理なくお参りできるように、アクセスのよい場所を選びましょう。
自分の希望だけを優先して遠方にお墓を建てれば、遺族に負担がかかってしまいます。
無縁仏になってしまう可能性もあるでしょう。
家族ときちんと話し合えるのがお墓を生前購入するメリットですから、自分だけで決めることがないようにしましょう。
家族形態によって選ぶ
お墓に入る人は自分以外に誰がいるのかも考えましょう。
一般墓はお墓の下に遺骨を埋葬しますが、スペースには限りがあります。
夫婦だけであれば狭くても問題ありませんが、家族や子孫に受け継いでいくのであればそれなりのスペースが必要です。
継承者がいない場合には、永代供養を行なってくれる墓地や集合墓などを選びましょう。
管理体制の整った場所を
きちんと施設全体が管理されているかどうかも、お墓選びの重要なポイントになります。
継承者が管理をする場合も、共有スペースが掃除されているか、設備が整っているかはきちんと確認しましょう。
水はけや日当たりもチェックしておくと、後々の管理が楽になります。
管理費についてもきちんと確認し、信用があるところにお墓を建てましょう。
まとめ
終活でお墓を準備するメリットは、遺族の負担を減らし、自分が望むお墓に入れるということです。
そのためには、家族としっかり話し合うことが必要になります。
一般墓以外も選択肢に入れながら、後悔のないお墓選びをしたいですね。
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