終活と一言で言っても、エンディングノートの作成や遺言書などさまざまな準備が必要です。
なかには本人にしか知り得ないこともあるでしょう。
終活をしっかりと行うことで、いざというときに一から情報をまとめる必要がなくなり、家族への負担を大きく減らすことができます。
そのためには終活で何をすべきかをきちんと把握しておきましょう。
この記事では財産整理や相続の準備、介護の準備など終活に必要な情報を一つひとつ解説しますので参考にしてみてください。
目次
終活とは
人生の総まとめ
終活とは人生の終わりを迎えるための活動を指します。
終活を行うことで自分自身の人生の総まとめを行い、余生を豊かに過ごすことが目的です。
「終活」という言葉は、2010年に流行語対象になったことも相まって、社会的に広く知られるようになりました。
昨今の日本は超高齢化社会であり、残りの人生をどう生きるや、介護などで家族にかかる負担の軽減方法などに関心が持たれるように変化してきています。
自分の死後に家族の負担を減らす
死後に行う葬儀や相続の手続きは、遺族が行うことが一般的です。
手続きにはさまざまな故人の情報が必要ですが、あらかじめ準備をしておけば遺族の負担を減らせます。
また、持ちものを生前に整理しておくことで、死後に行う遺品整理の手間も大幅に短縮できます。
終活は自分の人生を見つめ直すと同時に、遺される家族のことも考えながら行いましょう。
終活を始めるタイミングは?
終活を始めるタイミングに決まりはありませんが、体が元気なうちに始めるのがよいと言われています。
なぜなら身の回りの整理や相続、葬儀の準備など終活ではやることが多く、心身的な負担が大きいからです。
体が動かしづらくなるとかかる負担も大きくなるため、元気なうちに少しずつでも終活を進めておきましょう。
特に行動力のある現役世代の方におすすめです。
あらかじめ人生の整理をしておくことで、今後の生き方や目標が明確になります。
終活を死の準備としてネガティブに捉えるのではなく、自分の人生を見つめ直す機会としてみるとよいでしょう。
終活ではエンディングノートを書こう
終活ではエンディングノートを書くことが推奨されています。
エンディングノートとは、自分の情報や家族へのメッセージをまとめたものです。
ここではエンディングノートに書く内容などを詳しく解説します。
エンディングノートで人生を振り返ることができる
エンディングノートを書くことで、現時点での自分の状況やこれまでの歴史を客観的に振り返ることができます。
そのうえで今後の人生をどのように過ごしたいかを明確にしていきましょう。
やり残したことや、挑戦してみたいことなどをリストアップするのもよいですね。
エンディングノートは遺族の負担も減らす
エンディングノートには、死後にかかる遺族への負担を減らす役割もあります。
エンディングノートは身辺の状況を詳しく記載するため、財産や葬儀などで発生するさまざまな手続きがスムーズになるからです。
また、家族へのメッセージを遺せることもエンディングノートの特徴です。
メッセージを遺しておくことで、悲しみに暮れる遺族を励ます役割も担ってくれます。
エンディングノートは、遺された家族の気持ちも考慮しながら作成しましょう。
エンディングノートは書き方に決まりがない
エンディングノートは書式や媒体に決まりがありません。
お手持ちのノートや手帳などに自分が思うままに記載してもよいですし、販売されているエンディングノートを購入するのもよいでしょう。
市販のエンディングノートには書くべき項目がまとめられているため、項目に沿って記入するだけで手軽にエンディングノートを作成できます。
そのため、早く仕上げたい方や書く内容に迷っている方には市販のノートがおすすめです。
また近年では、デジタルエンディングノートと呼ばれるパソコンやスマートフォンで作られるエンディングノートも注目されています。
デジタルエンディングノートのメリットは、管理や書き換えなどが容易なことや、画像などを一緒に記録しておける点にあります。
それぞれの特徴を理解して、自分に合ったエンディングノートを作成しましょう。
エンディングノートに書く内容とは?
エンディングノートに書く内容を解説します。
迷ったときは以下の例を参考にしてみてください。
自分の情報
すべての手続きにおいて必要なのは本人の情報です。
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本人がわかっていても、家族は知らない情報があります。
家族がエンディングノートを見たときに、情報を把握しやすいようにまとめておきましょう。
資産の情報
資産の情報は遺産相続の際には必須となるため、すべてリストアップしておきましょう。
また、エンディングノートとは別に財産目録を作るのもおすすめです。
※財産目録と書く内容については後述します。
契約している会社
死後、自分で契約していた保険や各種インフラ、賃貸などの解約手続きが必要です。
解約手続きは遺族の役割になるので、契約情報や書類をまとめたうえで、会社の情報なども記載しておきましょう。
また、サブスク(定額制のサービス)などに登録している場合、解約にIDやパスワードが必要です。
サービスごとに登録しているIDとパスワードを記載しておきましょう。
医療や介護の情報
かかりつけ医や薬局の情報も載せておきましょう。
もしものときに家族がどこに連絡するかを把握するためです。
また、延命治療や介護が必要かどうかも記入しておきましょう。
認知症や植物状態などでも、エンディングノートを通して家族に自分の意思を伝えることが可能です。
死後の情報
自分が入るお墓が決まっている場合は、住所や墓地の管理者などの情報を記載しておきます。
葬儀社を決めている場合も同様に、葬儀社の情報や葬儀内容を遺しておきましょう。
また、遺言書を作成している場合は、遺言書の置き場所や遺言執行人の連絡先なども必要です。
家族へのメッセージ
日頃なかなか伝えられていない家族への感謝の気持ちを書き留めておくとよいでしょう。
家族にとっては励みになりますし、何より自分で気持ちを伝えられなかった後悔を防ぐことができます。
また、家族へのメッセージを書くことで自分の本当の気持ちに気付き、これからの家族との接し方に変化が生まれるかもしれません。
▼エンディングノートについて詳しくはこちらの記事をお読みください
エンディングノートに記載する内容などを解説
財産の整理と相続の準備をしておこう
財産の整理や相続の準備も終活の大事な要素です。
遺族間での相続トラブルを防ぐためにも、しっかりと準備しておきましょう。
財産は目録を作ってまとめておく
財産の目録をまとめておくと遺族が情報を把握しやすくなります。
こちらも決まった書式はありませんが、財産の種類ごとにそれぞれまとめておきましょう。
内容は以下の通りです。
預貯金
預金している銀行名や支店名、口座番号などを記載しておきましょう。
複数の銀行に預金している場合は、それぞれの口座情報と預金額もまとめておきます。
また口座が複数ある場合は、1つの口座にまとめておくなど、遺族が行う手続きの手間を減らせるように検討してみてはいかがでしょうか。
株式や投資信託など
株式や投資信託も目録にまとめ、証券会社や銘柄、株式番号、数量も同時に記載しましょう。
また、株式や投資信託は、家族に知識がないと手続きが困難になる場合が考えられます。
可能であれば現金などに換金しておくとよいでしょう。
不動産
不動産とは所有する土地や建物のことです。
自宅だけでなく、店舗や農地なども該当します。
その土地の所在地や建物の屋号は必ず記載しておきましょう。
マイナスの遺産
遺産の中にあるマイナスの遺産に注意してください。
借入金の他にも、住宅ローンや未払いの医療費・税金などもマイナスの遺産に該当します。
借入者(債務者)が亡くなった後は遺族に催促が来るので、包み隠さず記載しておきましょう。
あまりにもマイナスが多い場合、遺族は相続放棄を検討できます。
もし財産の目録作成に不安があれば弁護士などの専門家に相談しましょう。
相続には遺言書を作成しよう
相続には法的効力のある遺言書を作成しておくとよいでしょう。
エンディングノートには相続について記入すること自体は可能ですが、法的な相続の権利は認められません。
相続の権利をめぐった遺族間トラブルを防ぐためにも、法的効力のある遺言書を作成しておきましょう。
また、遺言書には「要式性」といって、法令に基づいた一定の形式に沿って書くことが求められます。
要式性は厳格なので、少しでも間違えると法的な効力を失うため注意が必要です。
不安な場合は、弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼するとよいでしょう。
また、遺言書の作成にはそれぞれ特徴がありますが、以下の3つの方法から自分に合った遺言書を作成しましょう。
自筆証書遺言
遺言者が全文を自筆で書きあげる遺言書を自筆証書遺言と言います。
紙とペンがあれば気軽に作成できるうえ、手数料も必要ありません。
ただし、先ほど述べた通り書式は厳格なので以下の点に注意してください。
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自筆証書遺言は他人に遺言書を見られることがない反面、死後に遺言書が見つからないリスクがあります。
そうなると執行もできなくなってしまうため、遺言書があることや置き場所は家族に伝えておきましょう。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人と2人以上の立会人がいる状態で、公証人が遺言者の遺言内容を聞き取り作成する遺言書のことを指します。
作成後は公証人と遺言者の間で内容の確認が行われ、間違いがなければ双方の署名捺印を行なった遺言書が公証役場にて保管されます。
立会人がいるため、遺言の内容が他人に知られてしまうデメリットはありますが、書式の不備が起こらない作成方法です。
ただし、費用がかかる点は考慮しておきましょう。
秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言者によって作成された遺言書を、内容は秘密のまま存在を公証役場で証明してもらえる遺言です。
遺言の内容を人に知られることはありませんが、書式に不備があれば無効となる場合もあります。
また、手続きの煩雑さも相まって、あまり利用されていません。
お墓や葬儀は生前に準備しよう
先祖代々の墓は場所などを家族に伝えておく
先祖代々のお墓や、新たに自分が入るお墓がある場合は、前もって家族に伝えておきましょう。
そうしないと、遺族がお墓の場所を特定できない可能性があるからです。
また、お墓が遠方の場合は、負担を減らす意味合いで改葬(お墓の引っ越し)も検討するとよいでしょう。
お墓や仏壇は生前購入がおすすめ
お墓や仏壇は生前購入することで相続税を節約できます。
お墓や仏壇は「祭祀財産」といって、先祖を祀るために必要な財産とみなされるため、相続税の対象にはなりません。
相続税が免除されるのは、あくまで生前に購入していた場合に限ります
死後に購入した場合は課税対象です。
また例外として、骨董品としての価値がある仏壇や、金銀でできた仏壇などの資産価値があるものは課税対象になる場合があります。
税金逃れとして税務署の調査が入る可能性もあるため注意しましょう。
葬儀の費用は積立がおすすめ
葬儀はある日突然起こるので、葬儀費用は遺族が負担することがほとんどです。
そのような事態を防ぐために、あらかじめ葬儀費用の積立をしておくとよいでしょう。
葬儀費用の積立には「互助会(ごじょかい)」というシステムが便利です。
互助会とは「冠婚葬祭互助会」の略称で、加入者が一定額の掛け金を前払い金という形で支払うことで、結婚式や葬儀の際に対応するサービスが受けられます。
いざというときにかかる費用が軽減されるため、便利なサービスである一方で、遺族が把握していないと積立金を受け取れない場合もあるため注意が必要です。
また、葬儀費用は自分の口座の預金から捻出すればよいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、故人の口座は死後すぐに凍結させられる仕組みになっているので、家族であっても預金を下ろすことは難しくなるでしょう。
もし積立ではなく自分の預金から葬儀費用を捻出したい場合は、前もって葬儀費用を家族に預けておくのも一つの方法です。
介護が必要か家族と相談しよう
介護が必要かはあらかじめ家族と相談しておきましょう。
自宅のバリアフリー化なども検討
自宅での介護の場合は、自宅をバリアフリー化する必要があります。
今は大して気にならなくても、思わぬところで思わぬ事故につながる危険を想定しなければいけません。
段差がある場合は解消するかスロープを取り付け、廊下や階段は必要に応じて手すりを取り付けたり床材を滑りにくいものに変えたりします。
また、トイレやお風呂といった水回りも事故が起きやすいため、バリアフリー化が必須です。
費用は家の広さや状態、施工内容、リフォーム業者によって異なりますが、およそ数万~500万円程度が目安です。
もちろん内容が増えるほど費用は加算されますので、予算と相談しながら決めましょう。
家族に介護が必要かどうか伝えておく
介護は自分だけではなく家族全体の問題になるため、元気なうちに相談をしておきましょう。
介護が必要になってからでは自分の意思を伝えることも難しくなり、家族もどうしてよいのか不安に思うかもしれません。
家族の介護を望むのか、施設に入るのかなど選択肢はさまざまです。
お互いに納得できるように話し合っておきましょう。
施設に入る場合は費用の調査をしておく
施設に入る場合は事前に費用の調査を行いましょう。
施設によって月々の費用は変わるため、場合によっては施設の費用が家族の家計を圧迫する可能性もあります。
ある程度の費用を見積もっておいて、老後の資金をためましょう。
医療に関する情報は家族と共有を
かかりつけの医師を決めておく
高齢になると体の不調が増えるため、体の状態を管理してくれるかかりつけ医を決めておきましょう。
急に体の異常がみられた場合でも、日頃の状態を把握している医師ならば気付きやすく、また原因の特定もしやすくなります。
家族にかかりつけ医の連絡先などの情報は共有しておきましょう。
延命治療が必要かを家族に伝えておく
延命治療が必要かはあらかじめ家族に伝えておく必要があります。
もし伝えないまま昏睡状態などに陥ってしまうと、自分の望まない形になってしまう可能性も考えられます。
万が一のために、自分の意思を家族に伝えておきましょう。
終活にかかわる資格とはどんなもの
専門家に相談することで、終活はスムーズに進みます。
相談の費用などはかかりますが、不備なく手続きを済ませられるのでおすすめです。
弁護士や行政書士などの法律の専門家
相続税は、弁護士や行政書士といった法律の専門家に相談できます。
法律に基づいた対応をしてくれるため、相続時遺族間のトラブルを減らすことも可能です。
また、弁護士や行政書士は遺言書の作成も行なっています。
前述の通り、遺言書には要式性(法令で定められた厳格な書式)があり、少しでも間違えると遺言書が無効になりますが、弁護士や行政書士に頼めばその心配もいりません。
遺言書の作成自体にかかる手間も減らせるためおすすめです。
終活全般の相談なら終活カウンセラーに
終活にかかわる専門家として終活カウンセラーが挙げられます。
終活カウンセラーとは、終活に関する悩み相談を受けたうえで、相談者が次に何をすべきかを提示する仕事です。
エンディングノートの作成サポートなども行なっています。
また終活カウンセラーは、終活に必要な専門家や専門企業につなぐ役割も担っています。
いきなり弁護士や行政書士に相談するのはハードルが高いと悩んでいる方も安心です。
終活では生前整理も必要
故人の大量の遺品に悩ませられる遺族も少なくありません。
遺族の負担を減らすためにも、持ちものの生前整理をしておきましょう。
▼終活における断捨離・整理について詳しくはこちらの記事をお読みください
断捨離・整理のコツや注意点をわかりやすく解説
大量の遺品が遺族の負担に
家族が亡くなった悲しみを抱えた状態での遺品整理は、遺族にとって大きな負担です。
また、ゴミ屋敷状態になった部屋を掃除する場合、心身だけではなく費用面でも大きな負担がかかります。
あらかじめ身の回りのものを整理しておけば多少は遺族の負担を減らすことができるでしょう。
整理された家で快適な余生を過ごそう
生前整理は遺族のためだけにするのではありません。
ものが少ない生活によって、自分自身の生活を豊かにできます。
近年では「断捨離」という言葉も流行りました。
断捨離とは不要なものを減らし、ものへの執着を捨て、生活の調和を取り戻すための思想です。
ものが少ない生活は管理が簡単で、余計なストレスを減らすことが期待できます。
生活を豊かにするためにも、生前整理を行うとよいでしょう。
生前整理は業者に頼むのがおすすめ
生活が豊かになるとはいえ、1人で身辺の整理をすべて行うのは大変です。
特に高齢になるほど1人での作業は難しいものです。
そのようなご自身の負担を減らすためにも、生前整理の専門業者を利用してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
終活ですべき内容はおわかりいただけたでしょうか。
財産整理や介護・葬儀の準備など終活にはさまざまな負担がかかります。
なかでも生前整理は肉体労働を伴うため、負担を減らすためにも専門業者に依頼してはいかがでしょうか。