一周忌を夏に迎えるとなると、気になるのが真夏の暑い時期でも喪服を着用すべきなのかどうか。
葬儀であれば必ず喪服着用であることは誰でもわかることですが、法事となると悩みますよね。
夏は暑苦しいし、できれば喪服は着たくない…。
しかし一周忌法要では喪服着用がマナーです。
そこで、この記事ではおすすめの暑さ対策から、夏に喪服を着用する際のマナーについて紹介します。
夏以外に一周忌がある場合の服装はこちらの記事をご覧ください。
目次
真夏に一周忌の法事…服装はどうする?
一周忌などの改まった場面では、それに相応しい服装で臨むのがマナーですが、近年は以前にも増して夏の暑さが厳しくなっています。
法事を無事に済ませるためにも、マナーを守りつつしっかり暑さ対策をしておきましょう。
基本的に一周忌でも喪服(礼服)着用がマナー
一周忌は年忌法要の中でも最も大切な法要、基本的に服装は喪服を着用するのがマナーです。
遺族にとって一周忌は喪が明ける節目であり、故人にとっては極楽浄土に成仏するうえで重要な意味を持つと言われています。
また、故人を偲ぶために遺族や親族だけではなく、故人の友人や知人も多く参列します。
そのため一周忌では、場に相応しいとされる喪服の着用がマナーとされるのです。
施主の判断で平服OKなことも
一周忌は基本的に喪服を着用しますが、家族のみやごく親しい親族だけを招いて行う場合、施主の判断次第では平服(へいふく)を着ることもあります。
案内状に「平服でお越しください」などと書かれますが、慎みのある装いが求められる一周忌などの弔事では、平服は黒やグレーのダークスーツといった略喪服を指します。
漆黒にこだわる通常の喪服より涼しく過ごせることもあり、夏場は身内だけの法事の場合に施主の心遣いとして平服で営まれることがよくあるのです。
近頃は正式な喪服にこだわらない傾向もあるので、法事の案内状はしっかり確認しておきましょう。
とはいえ喪服は暑い…おすすめの暑さ対策は?
夏の暑い最中、普通に喪服を着て参列していては汗だくになるばかりか熱中症なども心配です。
できるだけの暑さ対策をして一周忌に臨みましょう。
男性の場合
一周忌法要では、男性は上着着用がマナーですが、中に着るシャツは半袖がおすすめです。
法要前の待ち時間や法要後の会食(お斎)では、上着を脱いで半袖になっても失礼にはあたりません。
女性の場合
肌の露出が好ましくない法事ですが、夏場ならトップスは5分袖までの長さなら失礼にあたりません。
喪服が半袖やノースリーブなら上から薄手のジャケットやカーディガンを羽織るのがマナーです。
女性の場合、喪服を着ていればカーディガンの着用はマナー違反とならないので、利用するときは無地で喪服に近い色、かつシンプルなデザインの物を選んでください。
子供の場合
大人に比べて外気の温度に影響されやすい小さな子供には、冷感タオルやハンカチに包んだ保冷剤をポケットに入れてあげるのも良い方法です。
ただ、小物を与えると遊んでしまうこともあるので、その場合は親御さんが弔事用の扇子で仰いであげるといいかもしれません。
みんなに使える便利なアイテム
熱中症対策で有名になったアイテムの1つに冷却スプレーがあります。
冷やしたい場所に吹きかけるとあっという間に温度を下げてくれる冷却剤で、肌に直接スプレーする物や服やハンカチなどの布に使用する物などたくさんの種類があります。
携帯用の小型のタイプもあるので、バッグに1つ入れておけば真夏の法事でも暑さをしのげるかもしれません。
一周忌で着用する服装:基本の喪服(礼服)と平服とについて
一周忌などの法事で着用する服装は守るべきマナーがたくさんあります。
基本の喪服から平服までを男性、女性、子どもの場合別に解説します。
男性の喪服(礼服)と平服
喪服は格式が高い順に正喪服・準喪服・略喪服の3種類に分かれます。
・正喪服…和装、モーニングコート ・準喪服…ブラックスーツ ・略喪服(平服)…黒、紺、グレーなどのダークスーツ |
一般の葬儀や法要では、遺族・親族は正喪服か準喪服、友人・知人は準喪服を着用します。
最近では正喪服となる和装やモーニングコートを持っていない人も多く、葬儀や法要でよく見かけるのは準喪服です。
準喪服となるブラックスーツは、シングルでもダブルでもいいので上・下とも必ず光沢の無い黒でそろえますが、黒が深い漆黒ほど格式が高いとされています。
それに合わせるネクタイ、ベルト、靴下も黒、中に着るシャツは無地の白です。
カフスボタンやポケットチーフなど結婚指輪以外のアクセサリーは身につけないようにします。
案内状に「平服でお越しください」と書かれてあった場合は、略喪服にあたる黒、紺、グレーなどのダークスーツにして、いずれも光沢素材を避けてください。
ネクタイは黒か柄がないシンプルなデザインで合わせ、シャツや他の小物類は準喪服と同様にします。
女性の喪服(礼服)と平服
女性も男性と同じく、喪服は格式が高い順に正喪服・準喪服・略喪服の3種類に分かれます。
・正喪服…和装、ブラックフォーマル ・準喪服…ブラックフォーマル ・略喪服(平服)…黒、紺、グレーなどのワンピース、アンサンブル、スーツ |
一般の葬儀や法要では、遺族・親族は正喪服か準喪服、友人・知人は準喪服を着用するのも男性と同じです。
準喪服となるブラックフォーマルは、光沢の無いシンプルなデザインの物を選びます。
女性はできるだけ肌の露出をおさえるために、トップスは長袖から5分袖にし、ノースリーブの場合は、上からジャケットを羽織るか下に黒のブラウスを着ますます。
ボトムスは、膝からふくらはぎ丈のスカートにしてパンツスタイルは避けましょう。
足元は、黒のストッキングとヒールが低い(3~5cm程度)黒のパンプスが好まれます。
案内状に「平服でお越しください」と書かれてあった場合は、黒、紺、グレーなどのワンピース、アンサンブル、スーツを選びますが、パンツスーツでも大丈夫です。
準喪服でも平服でも女性の場合は、ネックレスなどのアクセサリーは黒か白の真珠や濃い色のオニキスであれば身につけてもマナー違反になりません。
また、ノーメイクで参列するのは無作法にあたるので、素肌を隠す程度のナチュラルメイクを心がけてください。
制服のある子ども
中学生や高校生など学校の制服がある場合は、それを着用するのが基本です。
例え半袖の夏服でも学校で決められた服装であれば正装になるので問題はありません。
気になる場合は、黒ネクタイを足してもいいでしょう。
ただし、最近よく見かける明るい色の制服やチェック柄のスカートは、平服の集まりなら問題はありませんが、そうで無い場合は周囲の大人に準じた格好に変更しましょう。
制服のない子ども
小学生など制服の無い子どもの服装は、黒や濃いグレーといった地味目の色合いが好まれますが、体に熱がこもりやすい夏場は白という選択肢もあります。
黒白のモノトーンでまとめた清楚な服装や、あるいは制服風の服装にすると良いでしょう。
例えば、男の子なら黒や紺、濃いグレーなどのズボンに白シャツ。
女の子なら、黒や紺、濃いグレーのワンピースやスカートに白のブラウスを合わせます。
乳幼児の場合
乳幼児も黒や濃いグレーといった地味目の色合いの服装が良いのですが、乳幼児の夏服でそういった色はあまり売られていません。
特に何か言われていなければ、白やベージュ、薄い水色といった控えめな色味でシンプルなデザインの服でも大丈夫です。
キャラクター入りの物や派手な柄を避ければマナー違反にはなりません。
夏にありがちな喪服(礼服)着用時のNGマナー
夏だからこれくらいはいいだろう、とちょっと油断するとマナー違反になることもよくあります。
夏にありがちな喪服着用時のNGマナーを知っておきましょう。
男性の場合
・ノーネクタイ ・ネクタイを緩める ・シャツの袖をまくる |
クールビズが浸透しノーネクタイで仕事をする人も増えていますが、一周忌ではネクタイ着用がマナーです。
ネクタイを緩めるのもマナーの観点から言えばNGです。
また、弔事の場では女性と同様に男性の肌の露出も嫌われるので、暑くてもシャツの袖をまくることはやめておきましょう。
女性の場合
・パンプス以外の履物 ・ベージュのストッキング ・派手なネイル |
上記の3つの共通点はカジュアルさが出てしまうことです。
ローファーやサンダル、ミュールといったパンプス以外の履物やベージュのストッキングはマナー違反となります。
平服の場合はベージュのストッキングでもいいという地域もありますが、黒にした方が無難です。
ネイルはおとなしい感じの色ならあまり問題ありませんが、派手な色は良くありません。
どうしても落としたくない場合はビーズなどの、光沢やビーズなどの飾りのない落ち着いた黒の手袋をしていくといいでしょう。
子供の場合
・裸足 ・くるぶし丈の靴下 ・制服の着崩し |
子供のNGマナーで夏場に特に多いのがこの3つです。
小さい子供でも裸足はNGです。
また、靴下をはいていてもくるぶし丈では短すぎます。
制服の着崩しは一周忌などの改まった場面ではやはり相応しくありません。
暑くてもきちんとした身なりを心がけてください。
夏の一周忌法要、こんな時はどうすればいい?
夏という季節柄、一周忌ではどうすればいいのか悩むことは多いですが、ここでは特に悩まれる方が多い3つの疑問について解説します。
子供の制服にジャケットは必要?
子供の夏の制服がシャツのみの場合、ジャケットは必要ありません。
一周忌などで上着着用がマナーとされるのは場に相応しい品格を保つためです。
学校指定の制服であれば、それが正装なので品格は充分保てています。
男性用の喪服スーツがどうしても暑い…
男性用の喪服スーツはオールシーズン用がほとんどですが、夏の暑さに対応した夏用の物もあります。
暑いのを我慢したくないときは、夏用を新たに購入するかレンタルするのが有効な対処法です。
夏用の喪服スーツは、通常よりも裏地が少なく素材もメッシュや吸汗速乾、接触冷感などが採用されているので通気性が良くなっています。
スーツを選ぶ際は、普段より1サイズ上ぐらいを目安にすると風通しが良くなって背中の蒸れを防ぐこともできるのでおすすめです。
妊婦・授乳中の女性は何を着用する?
妊婦さんや授乳中の女性にとって一周忌法要はとても大変な行事です。
特に妊婦さんは体調管理が大切なのでお腹の赤ちゃんのためにも無理は禁物、喪服が重要視される法事でもゆとりのある服装で臨んでください。
定番は体を締め付けない大きさの黒のワンピースですが、最近ではマタニティ用の喪服もあるのでレンタルする人も増えています。
女性はストッキングがマナーの1つになっていますが、妊娠時は体を冷やさない厚めのタイツでも失礼にあたらないので体調に合わせて選びましょう。
また、出産直前であれば服装を気にする以前に参列を辞退することも選択肢に入れておきましょう。
授乳中の女性には、授乳口のついた喪服もあります。
購入もできますが、最近ではレンタルできるお店も増えているので前もって確認しておくといいでしょう。
どうしても見つからないときは、前開きの喪服にすると授乳もしやすいです。
まとめ
一周忌を夏に迎えると服装で悩むことは多いですね。
基本的には喪服着用がマナーですが、案内状に平服で、とあればそれに従うのもまたマナーです。
暑い最中の一周忌では、マナーを守りつつ暑さ対策をするのが大切ですが、前の年に行われた葬儀ではどうしていたかを思い出しながら自分に合った対策法を試してみてください。
一周忌について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼一周忌とは?マナーや準備について解説