故人を偲ぶ一周忌では、一般的に喪服(礼服)を着用するのがマナーです。
ただし、家族のみなど小規模で行う場合は必ず喪服というわけではないので、シーンに合わせて選べるようになりたいですね。
メイクやアクセサリーにも注意が必要ですので、この記事で詳しくご説明していきます。
一周忌について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼一周忌とは?マナーや準備について解説
目次
一周忌法要で服装は何を着るべき?
一周忌は故人の冥福を祈るための大事な行事の1つです。
多くの方が訪れるため服装もマナーとして定められています。
三回忌までの法事では喪服(礼服)がマナー
喪が明けると法事での服装も変わるのかと考えがちですが、一周忌から三回忌までは喪服(礼服)を着用するのがマナーです。
一周忌は故人が亡くなってから満1年の命日に行う法要のことで、翌年の満2年の命日には三回忌が行われます。
三回忌までの年忌法要は故人への追悼を含めとても重要であると考えられ、遺族・親族をはじめとした大勢の人が集まることが多いので、お互いへの気遣いとして服装にもこだわりがあるのです。
ただし、故人との関係が友人・知人で法要の案内状に「平服でお越しください」と記載があった場合は、略喪服にあたる平服でも失礼にはなりません。
喪服(礼服)とは?
喪服とはその言葉が示すとおり「喪に服している」ことを表す服装のことです。
喪服は礼服と混同されやすい言葉ですが、礼服は冠婚葬祭の儀式・典礼全般で着用する衣服なので、礼服のカテゴリーの1つとして喪服があると考えるとよいでしょう。
喪服は格式が高い順に正喪服・準喪服・略喪服の3種類に大別されており、故人と関係性が深い遺族・親族は一周忌の法要では準喪服以上で参列するのが望ましいです。
正喪服 | 男性 | 和装モーニングコート |
女性 | 和装ブラックフォーマル | |
準喪服 | 男性 | ブラックスーツ(ブラックフォーマル) |
女性 | ブラックフォーマル | |
略喪服 | 男性 | 黒、紺、グレーなどのダークスーツ |
女性 | 黒、紺、グレーなどのワンピース、アンサンブル、スーツ | |
学生 | 制服リクルートスーツなど |
一周忌で着用する喪服(礼服)
一周忌で着用する喪服は故人に哀悼の意を表すためのもの、マナーにあった喪服の選び方を男性・女性別に確認していきましょう。
男性の服装
男性の正しい喪服の選び方として、ここでは最低限必要なスーツ、ネクタイ、ワイシャツについて解説します。
(必要に応じて身につけるベルト、靴下などの小物類については下記の「一周忌で喪服を着用する際のアクセサリー・小物の注意点」の章をご覧下さい。)
【スーツ】
スーツは光沢素材ではないブラックスーツを選びましょう。
ジャケットはシングル・ダブルどちらでも失礼にあたりませんが、パンツは裾がシングルの物を着用します。
【ネクタイ】
喪服に合わせるネクタイは、模様や刺繍が入っていない黒無地で光沢素材でない物を選びましょう。
お悔やみの場でのマナーとして、ネクタイピンは使用せず、結んだときにできるくぼみ(ディンプル)をできるだけ小さくすることにも気をつけてください。
【ワイシャツ】
喪服の中に着るワイシャツは、色柄物やボタンダウンのシャツは避け、白無地のレギュラーカラーを選びます。
白無地でも光沢のある素材やしわ加工などが入ったデザイン性の高いものはNGです。
女性の服装
女性はブラックフォーマルなら喪服とみなされマナー違反になりません。
黒のアンサンブルやワンピースなどでシンプルなデザインであれば大丈夫ですが、特別な事情が無ければパンツスーツは避けましょう。
トップスの袖丈は、肌の露出の少ない長袖から5分袖が好まれます。
ノースリーブしか用意できない場合はジャケットやブラウスで調整します。
スカートも肌の露出をおさえた膝からふくらはぎ丈を選ぶようにしましょう。
女性は服装に合わせたメイクの仕方も重要です。
ノーメイクで参列するのは無作法にあたるので、素肌を隠す程度のナチュラルメイクをおすすめします。
制服がある子供の服装
学生服やセーラー服は学生の礼服にあたるので一周忌法要など法事に着用できますが、最近よく見られる派手な色味の制服は避けた方が良いでしょう。
なお、黒の制服でも着崩して着用するのはマナー違反です。
靴や靴下、ベルトなどの小物は黒が基本ですが、学校指定であれば白でも問題ありません。
制服のない子供の服装
制服が無い場合、無理に子ども用の喪服を購入する必要はありません。
男の子なら、黒か紺かグレーのブレザーとズボンに白シャツ。
女の子は、黒か紺かグレーのワンピースやスカートに白のブラウスで大丈夫です。
子どもの参列でありがちなNGとして、
・裸足 ・サンダルまたはミュール ・大きなリボンやフリル |
などがありますので、気を付けてあげましょう。
赤ちゃんの服装
赤ちゃんの場合、決まった服装はありませんが、周囲の大人が喪服を着ているのでそれに合わせた地味で落ち着いた色合いにしましょう。
派手な色柄は避け、黒やグレー、白などにするのが好ましいです。
それが難しければ、ベージュや薄い水色といった控えめな色味でシンプルなデザインであれば失礼にはあたりません。
一周忌で喪服を着用する際のアクセサリー・小物の注意点
一周忌などの法事は故人を偲ぶために集うところで、おしゃれをする場ではありません。
喪服を着用したらアクセサリーや小物にも気を配りましょう。
男性の場合
男性が結婚指輪以外のアクセサリーを身につけるのは場に相応しくないとされています。
金時計や金色のネックレスなどの光り物をはじめ、カフスボタン、ポケットチーフもNGです。
特に、殺生を連想させる皮革や毛皮製品はタブーとされています。
それらをふまえてアイテムごとの選び方をみてみましょう。
【ベルト】
黒無地でシンプルなデザインのベルトを選びましょう。
目立つバックルはNGです。
【靴】
黒で金具なしの紐で結ぶタイプの靴を選びましょう。
ただし、黒でもエナメルやスエード素材はNGです。
【靴下】
黒の無地で白や柄物の靴下は避けましょう。
法事・法要では土足厳禁の場が多いのを忘れてはいけません。
【バッグ】
男性は手ぶらが一般的ですが、バッグを持つ場合は、黒で金具など装飾のないシンプルなデザインのセカンドバックを選びましょう。
女性の場合
女性は男性に比べてアクセサリーや小物の許容範囲は広いですが、やはり「華美にならない」「奇抜にならない」ことが大切です。
【アクセサリー】
アクセサリーの定番は白か黒の真珠ですが、濃い色のオニキスなども許容範囲です。
ネックレスは、2連以上は「不幸が重なる」とされるため必ず1連の物を選びます。
指輪は結婚指輪であればダイヤモンドでも失礼にあたりません。
【バッグ】
バッグは光沢や飾りのない黒の布製が基本ですが、近年では色褪せしにくい革製品も一般的になってきました。
香典や数珠、ハンカチなどが入る大きさが目安で、あまり大きいとカジュアルにみられるので注意してください。
【手袋】
色は黒に限って光沢の無い素材の手袋を選びましょう。
手袋は肌の露出をおさえたり派手なネイルを隠したりするのに有効なアイテムです。
【ストッキング】
黒で20~30デニールの薄手のストッキングが最適ですが、60デニール程度までのタイツなら見た目にあまり差が無いので許容範囲です。
【靴】
シンプルな黒のパンプスで、布または革製品、ヒールの高さは3~5cmの靴が理想です。
つま先はとがった物や素足の見えるミュールやサンダルはNGです。
一周忌に参列するときの服装、こんな時はどうする?
一周忌などの法事は季節を問うことがなく、特に暑い時期や寒い時期では気をつけることも多くなります。
また、女性のための妊娠・授乳中の服装についても考えてみましょう。
真冬の寒い時期
寒い季節はコートやマフラーといった防寒具も必要になります。
それらは基本的に会場に入る前に脱ぐのがマナーです。
コートは、革やスエード、毛皮製を避け、黒や濃紺、ダークグレー系のダークカラーでシンプルなデザインの物を着用しましょう。
マフラーは、白色やファー素材は失礼にあたるので、コートと同様のダークカラーにします。
真夏の暑い時期
暑い季節では、熱を吸収しやすい黒い喪服やダークスーツでは大変な思いをすることもあります。
一周忌などの法事では上着着用がマナーですが、施主が上着を脱いでいる時や施主にすすめられたら上着は脱いでも構いません。
また、子どもの制服は正装にあたるので半袖でも失礼にあたりません。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
妊娠中・授乳中の場合
妊婦さんであっても授乳中であっても、一周忌に参列するときの服装のマナーは通常と変わりありません。
ただ、実際問題として普通の喪服では不便な点もあるので事前の準備が大切です。
【妊婦さんの場合】
妊婦さんは、お腹の赤ちゃんの安全を一番に考えなければいけませんし、お腹が目立ってくると周囲の人も気を遣います。
できるだけ負担のかからない黒を基調としたワンピースで代用したり、妊婦さん向けの喪服をレンタルしたりすることも考えましょう。
【授乳中の場合】
授乳中は、前開きの喪服や授乳口つきの喪服が便利です。
授乳口つきの喪服は、合わせるブラウスやアクセサリーを工夫することで、幼稚園や小学校の入学式・卒業式でも着ることができます。
状況によっては授乳口つきの喪服を新たに購入するのもいいかもしれません。
一周忌法要を家族だけor小規模でする場合の服装は?
一周忌法要は基本的に喪服着用がマナーですが、家族だけで行ったり特に親しかった人だけを招いて小規模に済ませたりする場合は、施主の判断で平服にしても問題はありません。
家族にあまり迷惑をかけたくないといった故人の意向や、遺族や親族に高齢者が多いといった状況、家族の事情などもあるからです。
平服は普段着とは違う?
平服とは本来普段着を指しますが、一周忌などの法事では礼服・礼装でなくても良いという意味になります。
普段着でいいならTシャツとジーンズでOK!ということにはなりません。
故人を偲ぶかしこまった場であることには変わりが無いので相応の服装を心がけましょう。
男性の平服
男性の平服は、喪服よりも一段カジュアルな略喪服と考えて整えます。
【スーツ】
黒・紺・濃いグレーなどのダークスーツを選びましょう。
できれば無地がいいですが、織柄や薄っすらとしたストライプまでなら周囲の理解も得られるでしょう。
【ワイシャツ】
白無地のレギュラーカラーが適切です。
色柄物やボタンダウンのシャツは避けましょう。
【ネクタイ】
色は黒が最適ですが、スーツ同様に地味な色や柄であれば問題ありません。
アクセサリーや小物のマナーは喪服の時と同じです。
(上記「一周忌で喪服を着用する際のアクセサリー・小物の注意点」男性の場合をご覧下さい。)
女性の平服
女性の平服も略喪服と考えますが、小規模の場合は、手伝ってくれる人数も限られて周囲のお世話も増えるので動きやすい服装であることも大切です。
ブラックフォーマルでアンサンブルやワンピースの他、パンツスーツでもマナー違反になりません。
全体的に肌の露出をおさえたコーディネートにしましょう。
平服でもノーメイクで参列するのは無作法にあたるので、素肌を隠す程度のナチュラルメイクをおすすめします。
アクセサリーや小物のマナーは喪服の時と同じです。
(上記「一周忌で喪服を着用する際のアクセサリー・小物の注意点」女性の場合をご覧下さい。)
子供の平服
学校の制服があればそれを着用しましょう。
学生服は正装とされているので、平服の場合は明るい色の制服でも問題ありません。
制服の無いお子さんは、地味な色合いのキャラクターなどの絵柄が入っていないシンプルなデザインの服を心がけてください。
例)白シャツに黒や紺、グレーなどのズボンやスカート
詳しくは以下の記事もご覧ください。
一周忌に参列するときの持ち物
【香典】
地域によって異なりますが、親族の場合には1万円で、両親の場合には3万円、友人の場合には3千円~5千円が一般的な相場です。
なお、一周忌で会食がある場合には別に食事代金を用意する必要があります。
【お供え物】
お供え物は、個人の場合で3千円~1万円、数人でまとめるなら1万円~2万円が相場です。
お菓子、お花、果物、飲み物などが喜ばれます。
【数珠】
数珠は玉の数や大きさに若干の違いがありますが、手元にある物で大丈夫です。
ただし、一部の地域では一周忌の数珠は暗い色もの、明るい色といった風習もありますので事前に確認しておいた方がいいでしょう。
数珠の使い方を知りたい方はこちらの記事もお読みください。
【ハンカチ】
ハンカチは白色と言われた時代もありましたが、白以外に黒色という選択肢もあります。
どちらの場合も無地で光沢の無い素材にしましょう。
まとめ
一周忌の服装は家族・親族であれば喪服を着用するのがマナーです。
友人・知人でも喪服が好ましいですが、「平服でお越しください」といった施主からの心遣いがあればそれに従います。
また、施主の判断によっては小規模な一周忌法要でも平服で行われます。
服装の他に、アクセサリーや小物では細かな点で注意が必要となりますが、故人や集まった方々への気遣いを忘れない正しい服装を心がけてください。