【20代の若者にも広がる孤独死のリスク】若者が孤独死する原因や対策、孤独死する人の特徴とは

孤独死 20代_若者

我々は、人が亡くなり腐敗したことでダメージを受けた住居を清掃し、再び人が住める状態まで原状回復する「特殊清掃」という業務を請け負っています。

孤独死と聞けば多くの人は高齢者を思い浮かべるかもしれませんが、現代は若者にも孤独死のリスクが広がり、さまざまな問題が取り上げられています

本記事では、我々が見た若者の孤独死の実態をはじめ、原因や対策を解説します。

若者にも孤独死のリスクが広がる

一般的に孤独死と聞けば「一人暮らしの老齢者が古いアパートで誰にも看取られることもなく亡くなっていた」という光景を思い浮かべる人がほとんどではないでしょうか。

実際、日本での孤独死は60代が最も多く次いで70代と、高齢者が多数を占めています。

しかし、日本少額短期保険協会の第8回孤独死現状レポート(2024年公表)では、孤独死者全体の4.7%を20代が占めていました。

男女別死亡年齢の構成比

引用:一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会

一見、少ない割合に思えますが、2015年4月~2023年3月までに402人もの若者が孤独死していたことが判明しており、独居の高齢者だけでなく若者にも身近に孤独死のリスクが潜んでいることがわかります。

また、自殺により死亡した孤独死者全体の約4分の1を20代が占め、中でも20代女性の割合は36.4%と極めて高いことが問題視されています。

孤独死者の年齢階級別自殺者の割合引用:一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会

孤独死増加の背景はセルフネグレクト

孤独死増加の背景として、自分の生活や健康の管理を放棄してしまうセルフネグレクトに陥る若者が多いことが挙げられています。

現代の若者は社会に出るとともに親元を離れ、都会での一人暮らしを始める人が多く、慣れない仕事・土地での生活に孤独感を感じたりストレスを感じたりする場面が多いのが現状です。

また、単身用の賃貸マンションやアパートでは近所付き合いがあることは稀。

実際に単身マンションでの一人暮らし経験がある方の中には、職場以外で話す人や場面がほとんどないために、休みの日など家にいる時間に孤独を感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。

職場での人間関係が良好であれば、大きな問題はないでしょう。

しかし、「理不尽な上司がいる」「嫌味な同僚がいて困っている」というケースでは、相談できる相手がおらず、発散する気力もなく、人知れずストレスは溜まる一方になってしまいます。

その結果、自室での自死を選択し誰にも気づかれることなく命を絶つのです。

彼らの一定数は、どこか自身の境遇にコンプレックスを抱き「親や地元の友人にバレたくない」「何事もなかったようにこの世から消えたい」というような思いが根底にあるのではないかと感じました。

20代の若者が孤独死する原因

白い家

20代の若者が孤独死する原因として、社会的孤立経済的困窮が大きく絡んでいると言えます。

以下で詳しく説明します。

社会的孤立

社会的孤立とは、家族や友人を含め人とのかかわりが極端に少なくなり、孤立してしまう状態のことです。

現代はライフスタイルや働き方の多様化が進む一方、孤立しやすい環境に置かれてしまう場合があります。

人間関係が薄れることで異変が起きても誰にも気づいてもらえないため、孤独死に至る原因になります。

経済的困窮

収入が安定せず基本的な生活がままならなくなり、生活の質が急激に悪化してしまうことも孤独死に至る原因です。

健康状態に問題が生じても適切なケアを受けられず、また社会的に孤立した状態では周りに助けを求めることも難しくなります。

経済的困窮は社会的孤立とも深く関連しており、悪循環に陥ってしまう若者が多いと言えます。

【孤独死の実態】20代男性の事例

ご依頼を受け特殊清掃を行なってきた中で、とても印象に残った20代男性の故人様がいます。

ここからは、この男性の事例をご紹介します。

アパートのオーナーから一本の電話

夏の日差し

数年前の夏、とあるアパートのオーナーだという方から一本の電話がかかってきました。

「人が亡くなった部屋があるので見積もりを依頼したい。」

現場は、20代の男性が一人で暮らすアパートの一室。

真面目に出勤していたはずの男性が突然会社に来なくなり、勤めていた会社の上司が様子を見に来たところ発見されたという。

男性は死後1週間だったそうです。

夏場は温度・湿度がともに高いことから遺体は腐敗しやすく臭いもたちやすいため、迅速な作業の開始が望まれます。

そのため、お見積もりにご納得いただくとすぐに作業開始となりました。

現場は質素で、ものがほとんどない

「孤独死」と聞くと、多くの人は「ゴミ屋敷」を同時に思い浮かべるのではないでしょうか。

実際、我々のような特殊清掃作業員はもので溢れかえりゴミ屋敷と化した住宅での特殊清掃が多いです。

しかし、この男性の場合は極端にものが少なく異常だとも思えるほど。

室内の間取りは広めの1LDKでリビングはおよそ10畳。

広々としたリビングには、洗濯物を干すラック、20型程度の小さめのテレビ、テレビを置くためのカラーボックス、そしてキッチンには単身用の小さな冷蔵庫が置かれているのみ。

およそ10畳ほどのリビングは、ものが少ないせいで余計に広く感じました。

フローリングには、故人のものだと思われる衣服が点々と置かれてはいたものの、生活感とはほど遠い室内。

荷物や家財道具がほとんどなく、故人の生前の様子など全く想像がつかないほどでした。

現場に慣れた我々でさえ耐え難い臭い

人は亡くなると20時間程で死後硬直が最も強くなり、その後徐々に遺体は腐敗し始めます。

腸や胃などの消化器官から腐敗は始まり、2~4日で体液や腐敗ガスが漏出し始めると、遺体は見た目にも大きな変化が現れます。

とはいえ、我々のような特殊清掃を行う作業員は、警察が遺体を搬出後に作業を開始するため、直接遺体を目にする機会はほとんどありません。

ですが、今回はたまたま作業開始前に遺体の様子を写真で見る機会があり、男性の遺体を見ました。

しかし、死後1週間が経過している割には腐敗を感じさせない綺麗な状態。

腐敗が少なったことから室内にも体液はほとんど漏出しておらず、比較的短期間で作業完了が見込める状況ではありました。

ところが、この男性の「死臭」と言われる何とも言えない強烈な腐敗臭が室内に充満しており、現場に慣れた我々でさえ耐え難いものでした。

これは聞いた話ですが、食生活の違いやエネルギー量の違いから若者のほうが死後の腐敗臭がきつくなる傾向にあるようです。

そのため、今回の現場では我々でも体験したことのないような強烈な臭いが立ち込めていたのでしょう。

室内には死臭を嗅ぎつけたハエやゴキブリといった虫が大量に集まっていました。

20代男性の死因は最後までわからず

20代で亡くなった今回の男性はどのような最期を迎えたのでしょうか。

ものが極端に少なく、引きこもっていたような形跡は全く感じられないアパートの部屋。

セルフネグレクトや「うつ」のような、若い世代の孤独死でよく聞く精神的な疾患もなかったそうで、“至って普通の社会人”だったそうです。

清掃作業や遺品整理をしていても、薬物や治療薬のようなものは一切見当たらず、健康状態は良好だったとか。

そのため彼の死因は最後までわからない、異様なケースでした。

彼の家族が現れることはなかった

孤独死のあった現場には、故人の家族や親族が来られることがほとんど

それは故人と家族が絶縁していた場合でも、親族全員に嫌われていた場合でも、です。

「この人のことは心底嫌いだったけど最期くらいは…」と仰り遺品の整理にあたられます。

ただ、中には身寄りがなく家族が現れないことも。

通常そういったケースは、故人も高齢ですでに家族が他界してしまっている場合などが大半で、中には40~50代の方でもいらっしゃいますが、あくまで稀なケースです。

しかし、彼は20代という若さでありながら、身寄りがなく家族が現れることは一切ありませんでした。

「なぜ家族が居ないのか?」と気がかりだったことを今でも覚えています。

我々のような特殊清掃を行う作業員は、様々な方の“最期”を日々目の当たりにしています。

そのため、亡くなられた方に対して個人的な感情を抱くことはあまりないのですが、今回亡くなった彼のことは数年たった今でも強く印象に残っています。

孤独死の事例について詳しくはこちらの記事をお読みください。
特殊清掃員がみた孤独死の事例とは

 

孤独死する若者の特徴・共通点

孤独死する若者には、以下のような特徴・共通点があります。

セルフネグレクトに陥っている

冒頭でもお伝えしたように、若者の孤独死増加の背景にはセルフネグレクトが挙げられます。

基本的な生活を放棄するだけでなく自分で改善する意欲もないため、状況が深刻化しがちです。

心身ともに健康状態が悪化しやすく、孤独死のリスクを高めます。

人とのかかわりが少ない

日常的に人と接する機会がない場合は、体調や行動に異変が起きても気づいてもらいにくくなります。

また、問題が生じたときに助けを求められず、結果として孤独感を強めたり孤独死のリスクを高めたりします。

家族が遠方に住んでいる

気軽に相談できる家族が遠方に住んでいると、一人暮らしの若者は物理的に孤立してしまいます。

定期的に顔を合わせることが難しいため、普段から連絡を取り合っていなければ、多少連絡が途絶えても異変に気づけない可能性があります。

若者の孤独死を防ぐための対策

スマホを使う手元

若者の孤独死を防ぐためには、家族や友人など身近な人と連絡を取り合い、人とのかかわりを維持することが大切です。

特に一人暮らしをしている若者は社会的に孤立しないよう、適度に外出し近隣の住民と顔を合わせたり挨拶を交わしたりすることで、異変が起きたときに助けてもらえる可能性が高くなります。

もし人付き合いが苦手であれば、SNSを活用するのも一つでしょう。

人と接する機会が増えることで孤立感を軽減できるため、同じ趣味や悩みをもつ人と積極的に交流してみるのもよいかもしれません。

まとめ

社会から孤立してしまう人ほど孤独死といった形で亡くなってしまう方が多いように感じます。

地域、職場、友達など、周りにいる人達が少しでも小さなSOSに気づき、支えあえる社会になることを願います

 

林商会では、遺品整理や特殊清掃を通してさまざまな孤独死の事例を目の当たりにしてきました。

その中で、突如訪れた故人の死を悲しむすべてのお客様の不安を少しでも取り除き、安心して弊社にお任せいただけるように日々努めております。

「特殊清掃」「消臭」「遺品整理」「遺品供養」など、孤独死に関するご相談を一括でお受けしておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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