家を解体する際に、自治体から補助金や助成金などの支援を受けられる場合があります。
ただし支援を受けるには、自治体が定めた一定の条件を満たしていなければいけません。
本記事は、補助金や助成金を受け取るために必要な条件のほか、空き家の相続や売却についても紹介します!
家の解体について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼家を解体すべき理由と解体に関するよくある疑問を解説
目次
家の解体時に受給できる助成金・補助金とは
そもそも補助金と助成金の違いは?
助成金と補助金は、どちらも建物の解体工事を行う時に自治体から支払われるお金ですが、それぞれ意味が違います。
補助金 | 空き家対策などのために自治体が行う措置の一つで、予算が設定されている。 予算を超えてしまうと、支給の条件をクリアしていても支給を受けることができない。 |
助成金 | 老朽化した建物の解体に対して自治体がその費用を助成する制度。 特に決められた予算はなく、支給の条件をクリアしていれば受けられる。 |
補助金・助成金制度の目的
空き家や老朽化した建物の解体に対して補助金や助成金が支給されるのには下記のような理由があります。
・景観を守るため ・放火を防ぐため ・不法投棄を防ぐため ・害虫害獣の発生を防ぐため ・倒壊の危険性がある場合 |
空き家がそのまま放置され続けると老朽化によって景観が損なわれるだけでなく、さまざまな犯罪につながる可能性も。
近隣の住民の生活を守るためにも空き家問題は解決すべき問題で、自治体から解体に対して補助金や助成金を支給する制度が設けられているのです。
特定空き家は支給対象となりやすい
建物の解体に支給される補助金や助成金の支給対象はその制度ごとに違い、自治体によっても条件が異なります。
その中でも多くの場合「特定空き家」は支給対象になりやすいです。
・放置しておくと倒壊の危険性がある ・違法薬物の取引に使われている ・犯罪に使われている ・害虫が多く発生し衛生上問題がある ・街の景観を激しく損なっている |
といったような、明らかに近隣の住民の生活に悪い影響を及ぼしている住居は、早急に取り壊す必要があるため、支払い対象になるケースが多いのです。
補助金制度の種類
補助金制度は自治体によって名称が異なりますが、その一部をご紹介します。
老朽危険家屋解体工事補助金
維持管理をする人がなく、何年も長い期間放置された家屋の解体の費用の一部を助成する制度です。
老朽化して倒壊する危険性がある家屋が支給の対象になります。
危険廃屋解体撤去補助金
住民の安全で快適な暮らしを守るために定められた補助金制度です。
所有者が自治体が定めた給付の条件を満たしていることや、耐震診断を受ける必要などがあります。
支給されるのは解体費用の1/5~1/2程度となり、家財道具の処分などは含まれません。
木造住宅解体工事費補助事業
地震が発生した時に、家屋の倒壊によるさまざまな災害が発生することを防ぐために行われる施策を指します。
自治体が行う耐震診断の結果、基準を満たしていない木造住宅を解体する際に必要な費用に対して、補助金が支給されます。
都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金
景観を守り、安心安全な暮らしができる街づくりのために行われる事業で、解体費用の1/5~1/2が支給されます。
解体工事をした後に、自治体が定める景観形成基準を満たす必要があります。
建て替え建設費補助金
耐震強度に問題がある家屋や景観を損なう老朽化した家屋を取り壊し、一定の基準を満たした住宅を建てる場合に、補助金が支払われる制度。
解体費用や建築費用の一部の補助を受けることができます。
空き家解体補助金の実例
自治体 | 事業名 | 内容 |
宮城県仙台市 | 仙台市危険空家等除却工事補助事業 | 倒壊などの危険がある空き家の工事費用を補助。最大60万円 |
東京都文京区 | 空家等対策事業 | 条件を満たした空家を解体、跡地を区が借り受ける(無償)。上限200万円 |
愛知県名古屋市 | 名古屋市老朽危険空家等除却費補助金 | 保安上の危険がある特定空家等に給付される。工事費の1/3~2/3 |
静岡県静岡市 | 静岡市空き家改修事業補助金交付制度 | 空き家を有効活用して地域の活性化に繋げる施策。補助対象経費1/3(上限70万円、子育て世帯or県外からの移住者は上限100万円) |
富山県富山市 | 富山市空き家再生等推進事業補助金 | 地域課題の解決や活性化のために行う空き家の除去に。工事費4/5(上限160万円) |
和歌山県和歌山市 | 不良空家の除去に係る補助金の交付事業 | 認定を受けた不良空家に給付される。工事費の2/3(上限60万円) |
そのほか全国の自治体では、それぞれ空き家の解体を補助する取り組みが行われています。
この表に記載していない地域でも、同様の補助金の給付を行なっている可能性があるので、問い合わせをしてみてください。
補助金や助成金を受けられる条件
補助金や助成金を受けるための条件は、自治体によってさまざまです。
ここからは、補助を受けるための条件としてよく挙げられる項目について見ていきます。
①空き家か
補助金や助成金を受けるための絶対条件が「空き家」であることです。
国土交通省が定義する空き家というのは、「1年以上人が住んでいない、使われていない家」のことを指します。
・人の出入りがない ・電気やガス、水道が使用されていない ・電気やガス、水道が使用できる状態ではない ・物件の不動産登記と所有者の住民票の内容が合わない |
1年間使われていない物件は、管理する人がいる場合は「空き家」となり自治体から空き家対策の助言や指導が入ります。
それでも放置し続けて、老朽化して景観を害するようになったり、防災面や衛生面などで問題が生じるようになると「特定空き家」に指定されることに。
空き家が増えたり、長い間放置されることは自治体としても問題があるため、解体費用を補助することで、空き家を減らそうとしているのです。
➁腐朽破損レベルはどのくらいか
空き家であっても住むことができる状態では、補助金や助成金を受けることは難しい場合もあります。
自治体が定める基準よりもひどい腐朽破損レベルだと補助を受けられる可能性が高いです。
腐朽破損についての調べ方は自治体によって違い、目視や詳しい調査によって判断されます。
・耐震診断の結果、倒壊する可能性がある ・柱が傾斜している ・筋交が腐朽している ・基礎や土台が破損している ・下地が見えている ・屋根や外壁が落ちて飛散する可能性がある |
など、放置していると危険だと判断された空き家は解体する必要があるため、補助を受けて解体することができます。
③築年数はどれくらいか
1981年に耐震基準に関する法改正があったことをきっかけに、補助金や助成金を受けるための条件に築年数を指定している自治体も少なくありません。
昭和56年5月31日まで提要さていた旧耐震基準で建築した建物は、老朽化することで倒壊する恐れがより高まるので、解体に対しての補助を受けることができるケースが多いです。
④税金の支払いが滞っていないか
補助金や助成金は自治体が行なっている制度なので、その経費は税金でまかなわれています。
そのため、多くの自治体で補助を受けるための条件として提示されているのが、住民税など税金を正しく納めているかということ。
自治体によっては、空き家の所有者だけでなく世帯員全員が税金を滞納していないことを条件にしているところもあります。
⑤前年の所得や資産はどのくらいか
補助金や助成金は、費用が工面できないなどの事情で空き家を解体できない人に対して給付されるものです。
前年の所得が多い人や資産を持っている人については、補助する必要がないということで給付されません。
⑥その他
・新たに建物を建てるための解体工事ではない ・公共事業のための移転補償の対象になっていない ・申請している人が暴力団員ではない ・自治体の空き家バンクに登録されている |
そのほか、すでに解体工事に着手している場合は申請できなかったり、同じ自治体以外の解体業者が請け負うことはできないなど、さまざまな条件があります。
実際に申し込んで手続きをしないとわからない点もあるので、まずは詳しく確認してみることをおすすめします。
補助金や助成金に関する注意点
自治体によって制度が異なる
空き家の解体に関する補助金や助成金は、国ではなく各自治体が定めている制度です。
そのため、申し込みができる条件や給付される金額、応募の時期などはそれぞれ違います。
また、制度自体がないという自治体も。
自治体から発信されている補助金や助成金に関する情報はこまめに確認し、わからないことは問い合わせをして、補助を受けられるチャンスを逃さないようにしましょう。
審査に時間が掛かる・落ちる可能性もある
補助金や助成金を受けるためには自治体に申し込み、審査を受ける必要があります。
担当者が実際に空き家を調査して、補助金や助成金を給付するべきかを決定するまでに数週間~1ヶ月以上かかります。
また、申し込みをすれば必ず給付が受けられるというわけではないので、審査に落ちる可能性も。
補助を受けたいと考えた際は、早めに申し込みをするなど余裕を持ったスケジュールで行動する必要があります。
なるべく自分で手続きを行う
解体を請け負った業者が代わりに自治体へ申請をして、補助金や助成金に関する手続きを進めてくれるケースもあります。
詳しい人に手続きを任せることができるのは助かるのですが、人に頼む以上手数料を支払わなければなりません。
補助金や助成金の申し込みは、個人でできないほど難しいということはないので、経費を抑えて空き家の解体をしたいという人は自分で手続きを行うのがお勧めです。
補助金や助成金はすぐに振り込まれない
補助金や助成金の金額は実際の工事費の金額が出ないと決定しません。
そのため、振り込まれるのは工事費を支払った後ということに。
一度全額を現金や分割払いなどで支払う必要があるので、お金の工面は必要となります。
家の解体費用について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼家の解体にかかる工事費用の相場について
解体以外の補助金・助成金制度も
アスベスト除去
防音や耐火、断熱の目的で使われていたアスベスト(石綿)は、1956年頃~1975年頃までよく使われていました。
飛散したアスベストを吸い込むことで健康被害が出るということで、建物にアスベストが使われているかを調査したり、使われているアスベストを除去する際の工事費を補助するという制度があります。
ブロック塀撤去
コンクリートブロックやレンガブロックなど、地震が発生した際に倒壊する可能性のあるブロック塀は、撤去する際の費用を一部補助するという施策が行われています。
全国の自治体で行なっているこの制度は、ブロック塀が倒壊することで怪我をしたり、通行の妨げになるリスクを無くすために行われているのです。
空き家は解体して売却しよう
空き家を相続したら3年以内に売却を
相続した家に住む予定がないのなら、3年以内に売却するのがおすすめです。
増え続ける空き家に対しての措置として施行された「空き家対策特別措置法」によって、相続が始まった日から3年目の年の12月31日までに空き家を売却した場合、贈与所得税の優遇を受けることができるのです。
空き家を売却するときは、まずこの制度が利用できるかどうかを確認しましょう。
解体しただけでは固定資産税が掛かり続ける
建物が建っている状態の土地には「住宅用地特例」によって固定資産税が優遇されています。
しかし、空き家を解体して更地にした状態で土地を保有していると、「住宅地用特例」が適用されないので固定資産税が6倍になってしまうのです。
空き家対策特別措置法による勧告
きちんと管理せず空き家を放置し続けると、空き家対策特別措置法によって「特定空き家」に指定されてしまいます。
特定空き家になると自治体からの助言があり、それに対応しないと次は「勧告」されることに。
「住宅地用特例」が適用しなくなるため固定資産税が高くなり、50万円以下の科料が請求されます。
勧告を受けても空き家を放置すると、行政代執行によって空き家が解体されて費用が徴収されることもあるので、早めに解体売却しましょう。
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まとめ
家を解体すると費用がかかり、更地にすると固定資産税が上がってしまうことから、国内には誰も住んでいない空き家が数多く存在します。
もし自身が管理している家が空き家の場合は、放置ぜずに売却や解体することが望ましいです。
長く放置していた空き家の場合は危険家屋となるため、補助金や助成金を活用し解体しましょう。