家を解体するには「業者に依頼をして家を解体するだけ」ではなく、様々な法的手続きや届出が必要になっています。
中には書類に不備があると罰則が発生するものもあり、事前に下調べし正しい知識で手順を踏まねばならないものも。
この記事では、家を解体する際に必要な手続きや注意点についてわかりやすく解説します。
家の解体全般について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼家の解体にまつわる疑問や費用を解説
目次
家の解体工事が始まる前に必要な手続き・届出
家の解体工事を始める前には、いくつかの必要な手続きを踏まえなければいけません。
具体的には下記の7点です。
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それでは一つひとつ確認していきましょう。
解体工事届出(建設リサイクル法)
解体工事届出とは、解体したい物件が属する地域の都道府県知事宛てに提出する届出書のことです。
延床面積80㎡以上の物件を解体する場合には、この届出を必ず提出しなければいけません。
解体する物件によって細かい点は異なりますが、解体方法や工程表、現場案内図等をまとめて提出します。
この届出は、解体業者に課せられている義務でなく、解体主本人に課せられている義務です。
遅滞なく管轄窓口へ届出を提出するよう気をつけましょう。
道路使用許可申請
道路使用許可申請とは、作業に使う重機が入るスペースや、駐車スペースが作業場所に十分に確保されていない場合に提出する申請書のことです。
解体したい物件前の道幅が狭く、道路上に止める必要が出る場合はこの申請を行わなくてはいけません。
申請の際には、道路への駐車方法を記した図面などを、所轄の警察署まで提出する必要があります。
道路によっては、管轄する警察署が2つにまたがるケースもあるので、その際は両警察署に申請を出す必要があります。
警察署によっては書類手続きに1週間以上かかるので余裕を持った申請が必要ですが、この申請は工事業者がしてくれる場合がほとんどです。
ライフライン停止
建物解体工事を始める前には、電気やガスなどのライフラインをすべて止める必要があります。
具体的には、電気、ガス、水道、電話、インターネットなどです。
それぞれを止める際には、請求書や料金通知書などに記載の電話番号へ連絡してください。
インフラ供給元によって手続きにかかる日数は異なりますが、遅くとも1週間前には連絡をしておきましょう。
水道については、解体業者が工事中や工事終了後に散水を行うケースもあるので、事前に解体業者と打ち合わせを行うことをおすすめします。
浄化槽の汲み取り
浄化槽とは、住宅などから排出される汚水を分解・処理する装置のことで、衛生的に問題のないレベルにまで達したら河川等へ放流します。
解体工事を行う際にはこの浄化槽の汲取り(バキューム)を行う必要がありますが、個人レベルでの対応は難しいため、解体業者に事前に相談をしておきましょう。
汲み取り後には解体業者が浄化槽の撤去作業を行います。
この汲み取り費用は、浄化槽の種類や大きさによって相場が変動しますが、一般的には数万円ほどが相場です。
特定粉じん排出等作業実施の届出
家の解体工事を行う際、建築物に「特定建築材料」が使用されている場合には、石綿の大気中への飛散を防止するために事前の届出を行うことが義務付けられています。
これは石綿飛散防止対策の強化と、人の健康への被害を防止するための措置です。
解体業者が囲い込みや封じ込めをする場合も届出は必須となりますが、ほとんどのケースでは解体業者がこの届出まで請け負ってくれます。
解体前には「特定建築材料」が使用されているかの事前調査が行われますが、もし心当たりがある場合には事前に解体業者に話を通しておくとスムーズでしょう。
近隣住民への説明
解体工事を行う前には、近隣住民への挨拶と説明を行うのが一般常識となっています。
また、自治体によっては近隣説明が条例で義務付けられているケースもあるので、その際は近隣住民への説明を必ず行わなくてはいけません。
標識の設置など細かい点にまで配慮する必要性も出てくるため、事前に当該自治体で定められている条例を確認しておく必要があります。
家具・家電など残置物の処分
家の解体工事が始める前には、当然ながら家の中の残置物(家具や家電など)はすべて移動または処分する必要があります。
残置物が残っていると、解体工事の遅れや処分費用の追加などの不具合に繋がってきますので、解体工事が始まる前にすべて片付けて綺麗な状態にしておきましょう。
しかし、解体業者によっては残置物の処分まで請け負ってくれる業者もあるため、どこまで対応してくれるのかという点について一度相談してみると良いでしょう。
注意しなければいけない事は、冷蔵庫・テレビ・洗濯機・衣類乾燥機等といった家電リサイクル法の対象となるものは、自分で処分をしなければいけないという点です。
これらの処分のためには、各メーカーや対応業者などへの連絡が必要になるということを覚えておきましょう。
家の解体工事完了後に必要な手続き・届出
家の解体工事を終えた後には、工事開始前と同じくいくつかの手続きを踏んでいく必要があります。
下記の内容は滞りなく行うように意識しましょう。
- 建物滅失登記申請
それでは具体的に確認していきます。
建物滅失登記申請
建物滅失登記とは、家の解体工事を行った後に「建物が無くなったことを法務局へ申請する登記」のことです。
これにより登記されていた家の登記簿が登録から外れます。
この申請は解体工事後1ヶ月以内に行うことが義務付けられていますが、通常は解体業者が申請を行ってくれるため、解体主が特別何かを行う必要はほとんどありません。
仮に自分で行う場合は、下記の書類を集める必要があります。
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土地家屋調査士に依頼することもできるので、「この申請を誰が行うか」を事前に明確にしておきましょう。
申請を怠った場合には、10万円以下の過料を支払うことになるので注意が必要です。
建物滅失登記申請と土地滅失登記申請の違い
上述の通り建物滅失登記申請とは「建物が無くなったことを法務局へ申請すること」です。
では、仮に土地が無くなった場合はどのように処理すればいいのでしょうか。
もし土地が海面下または河川の流水下に没したことで無くなってしまった(不存在となった)場合などには、土地滅失登記を行う必要性が出てきます。
しかしこれは土地家屋調査士などによる専門調査が必要ですので、一般個人にはほぼ関係のない領域と捉えて問題ありません。
解体において「土地が不存在」となるケースもほぼ無いものと考えられます。
解体工事にかかる費用目安と節約するためにできること
解体工事には多額の費用が発生します。
そのため、何の計画性もなく「ただ建物を解体したい」という思いのみで進めていくと、思わぬ壁に当たってしまうことでしょう。
少しでも費用を節約するために、その目安と節約のためにできることをここでは紹介していきます。
家の解体に必要な費用の目安
一般的には家の解体費用として、坪あたり以下の費用が発生すると考えられています。
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しかし家の構造や立地、解体業者などによってこの相場は変わりやすいので注意が必要です。
たとえば、広い家や2階建ての場合は解体する手間が増えるので、よりコストが上がる傾向にあります。
また、地下室などがある場合も同様です。
特殊なケースの場合には、専用の重機や埋め立てる作業も必要となるので、解体費用は「坪あたり~万円」と簡単には算出することが難しいといえるでしょう。
解体にまつわる手続きや届出を自分ですると費用節約になる
家の解体を実施する際に必要となる公的な手続きや届出は主に以下の4点です。
【解体の際に必要となる公的手続きとその費用】
手続き名称 | 必要費用 |
解体工事届出 | なし |
特定粉じん排出等作業実施の届出 | なし |
建物滅失登記申請 | 1,000円 |
道路使用許可申請 | 2,000~2,700円 |
これらの手続きを解体業者および土地家屋調査士に依頼すると、一項目あたり数万円の費用が発生します。
合わせると10万円を超えるため、かなりの額が申請手続きにかかると考えておく必要があるでしょう。
しかし、「解体工事届出」以外は基本的に解体業者が行う手続きがほとんどです。
自分で手続きを行うこともできますが、専門性が高くなるため事前に各自治体や関連省庁のホームページの確認、電話による問い合わせが必須となります。
また、認識のズレを防ぐためにも「この手続は自分でやります」と必ず解体業者とすり合わせを行わなければいけません。
依頼することによる金銭コストと、自分で行うことによる時間コストをよく比較してから手続きを進めることをおすすめします。
家の解体費用について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼家の解体費用の相場や補助金制度について
家を解体後の固定資産税について
「家を解体したから固定資産税は大きく減る(またはなくなる)」といったお考えの方は注意が必要です。
土地がある以上固定資産税はなくなりませんし、反対に家が立っていた場合よりも何倍にも増額されます。
ここではその理由と固定資産税の計算方法について触れていきます。
解体後の固定資産税が増額する理由
家を解体すると、その更地になった敷地分の固定資産税額は税額が増額します。
その理由としては、建物が建っている土地に適用されていた「住宅用地特例」による税額軽減措置が失われるからです。
この特例が適用されなくなることにより、固定資産税は建物があった時点と比べて、約3~6倍まで増加します。
また、市区町村が建物と土地との所有者に課している地方税「都市計画税」の減税措置も受けることができなくなります。
この2点の軽減措置が適応されるかどうかは、毎年1月1日時点に建物が存在しているか否かで決まります。
固定資産税・都市計画税の計算方法
固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額を課税標準として計算されます。
それぞれの計算方法は以下のとおりです。
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この「課税標準」は土地の課税標準額と家屋の課税標準額を足したものです。
土地と家屋の課税標準額についても事前に把握しておく必要があるでしょう。
固定資産税評価額は3年に一回見直すことになっています。
加えて、この課税額は各自治体が定める基準に委ねられています。
そのため、1.4%以上の税率に設定している自治体も存在します。
一方で都市計画税は、0.3%が上限と決まっています。
固定資産税が免除されるケース
固定資産税は一定の要件を満たした場合には、支払いが免除されます。
その要件は以下の3点です。
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1点目は一般住宅の場合にはほぼ関係ないと捉えていいでしょう。
2点目については、「同一名義人が所有する土地・家屋・償却資産について、課税標準額の合計が、免税点(土地30万円・家屋20万円・償却資産150万円)未満であれば課税されない」というルールが設けられています。
それぞれ定められた金額を下回っていた場合には固定資産税の支払いは免除されます。
3点目は災害に見舞われた場合です。
保有資産が火災や水害、風害などにあった場合には、固定資産税が免除となります。
家の解体手続きや届出書類に不備があった場合の罰則
家の解体前後では多くの手続きや届出を行っていく必要がありますが、申請漏れがあった際には罰則が適用されるケースもあります。
そのような事態を防ぐためにも、書類関係に関する事柄はしっかりと押さえておきましょう。
解体工事届出(建設リサイクル法)に不備があった場合
家屋解体工事を着工する7日前までには、解体工事届出を提出しなければいけません。
これは依頼者(物件所有者)の義務です。
多くの場合はこの手続きを解体業者が代行していますが、もし解体業者がこれを怠っていた場合には、依頼者の責任となります。
自治体によって不備があった際の罰則規定は異なりますが、東京都では「届出を行わなかった場合は20万円の罰則」が適用されます。
また、解体工事の変更命令に従わなかった場合には、30万円の罰則が適用されます。
建物滅失登記申請に不備があった場合
家屋を解体し終わった後には、建物滅失登記申請を法務局に提出しなければいけません。
申請を怠ると10万円以下の過料支払いが適用されますが、建物滅失登記の申請は建物の「所有者」に申請の義務があります。
この所有者とは、建物登記簿の表題部に記載された所有者か、登記簿の権利部に記載された登記名義人のいずれか一方です。
「誰がこの申請を行うのか」という点を事前に明確にしておきましょう。
また、この申請を行わなかった場合には過料に加えて、「固定資産税がかかり続ける」「土地を売却できない」といったデメリットも被ることになるので注意が必要です。
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家の解体には複雑な手続きが多く、それに加え屋内に残った残置物の処分など、家の持ち主はしなければいけない事が多く、手間だと感じてしまうのも無理はありません。
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