家の解体を自分でしても問題はありませんが、重機を扱う為の資格や廃材の処分費用などが必要です。
また建築リサイクル法の届出や電気やガスの停止手続きも忘れてはいけません。
この記事では、自分で家を解体する時に必要な費用や、手続きなどについて紹介します!
家の解体について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼家を解体すべき理由と解体に関するよくある疑問を解説
自分で家を解体するのは法律違反にならない?
事業として家を解体するには、建設業許可や解体工事業登録が必要です。
しかしこれは、自分の家を解体する際にも必要なのでしょうか?
以下で解説していきます。
自分で家を解体するのに必要な許可・資格
まずは自分で家を解体するのに必要な許可・資格について説明します。
自分で解体する際に許可は不要!
ご自分で解体工事を行う際には、とくに許可の必要性は定められていません。
しかし、レベル1・レベル2のアスベストを撤去する場合は専門の許可が必要です。
建材にはさまざまな形でアスベストが含まれており、有害性や発じん性が高いとされています。
他にも、労働基準監督署や都道府県あてに届出が必要になる作業は、専門家に検査してもらわなくてはいけません。
自分で解体する際に必要な資格
自分で解体する際には重機免許が必要です。
工事車両の運転は、車両系建設機械運転者の資格が必要になります。
また、廃材の運搬などでトラックを使用する場合は、そのトラックの運転可能な免許が必要です。
家の解体に必要な費用
家の解体に必要な諸費用について解説します。
近隣へ挨拶による手土産の費用
近隣住民へタオルなどの手土産を渡すために費用がかかることが考えられます。
これは、解体作業の際に騒音や埃や粉塵飛散などの影響があるためです。
手土産とともに、きちんと概要を明記したご挨拶状を用意しておくことで、近隣の理解を得ながら工事を進めることができるでしょう。
解体前に養生シートを張る費用
作業で出た埃が、近隣に迷惑にならない様に養生シートを張るため、養生シート代がかかります。
この養生シートは解体工事で発生する粉塵だけでなく、騒音などの被害も抑えることができます。
トラブルを回避するために、そういった被害を最小限に留めるためのアイテムなのです。
まれに養生を設置しない業者も存在しますが、こちらの重要性をふまえたうえでしっかり活用しましょう。
作業員の人件費
作業を手伝ってくれる人への支払いに費用がかかります。
もちろん作業は1人では不可能なため、規模に合わせた人員を配置する必要があります。
解体工事といえば重労働なので一人ひとりの負担が大きい作業です。
解体作業をよりスムーズに進めるためにも、解体工事経験のある人に作業を依頼するのが望ましいでしょう。
小型、重機の免許取得費用
小型、重機の免許取得費用は以下のようになっています。
車両系建設機械運転技能講習を受ける場合
車両系建設機械運転技能講習を受ける場合、5日間を38時間で100,000円以上必要になります。
小型移動式クレーン運転技能講習を受ける場合
1t以上5t未満の小型移動式クレーンを使用する場合、3日間20時間で45,000円程度必要です。
工事車両のレンタル費用
工事車両のレンタル費用は、安くても1日6,000円程度。
高いものは1日20,000円以上のレンタル費用がかかります。
手作業の手間を減らすためにも工事車両は欠かせないので、予算とうまくバランスを取りながら工事車両をレンタルしましょう。
廃材の処理費用
ごみ収集車で回収できるような一般廃棄物の場合はリサイクルセンターへ依頼しましょう。
産業廃棄物の場合は、処分業者に委託しなくてはいけません。
産廃の廃棄は業者ごとに金額は変わりますが、立方メートル㎥ごとに算出されることが多いようです。
相場としては7,000円~/㎥以上の費用がかかることが見込まれます。
建物滅失登記と建設リサイクル法の届出費用
建物滅失登記と建設リサイクル法の届出費用は以下のようになっています。
建物滅失登記を行う場合
登記謄本費用は1,000円程度です。
土地家屋調査士に頼む場合、40,000~50,000円程度とかなり高額の費用がかかってしまいます。
また、解体完了してから1か月以内法務局に建物滅失登記を行います。
登記をしなければ土地を売ることも建物を建てることもできませんので、土地のその後の利用方法を考えている方はしっかり手続きをして選択肢を広げましょう。
建設リサイクル法の届出
床面積が80㎡を超える住宅を解体する場合は建設リサイクル法に基づいて届出を出さなければなりません。
業者に頼むと代わりに出してくれますが、手数料がかかることがあります。
家の解体費用について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼家の解体にかかる工事費用の相場について
解体工事前後に必要な手続き
ここでは、解体工事前後に必要な手続きを紹介します。
解体“前”の申請・手続き
建設リサイクル法の届出(着工の7日前まで)
建設工事に係る資材の再資源化に関する法律を取りまとめた建設リサイクル法の届出を行いましょう。
これによって建築物に使用されている建設資材のリサイクルを図ります。
取り壊す建物の床面積80㎡以上であった場合、届出書・分別解体計画表・付近見取り図・建築物の写真・工程表などを提出する必要があります。
ライフラインの停止
解体工事を行う前には必ずガスや電気、インターネットや水道など、ライフラインの停止をしてください。
供給会社によって手続き方法が異なるので、事前に調べて余裕をもって対応しましょう。
たとえば、ガスの使用を停止せずに解体工事を始めてしまった場合、危険な事態に陥ってしまうことが考えられます。
道路使用許可
解体工事によって通行を妨げてしまう可能性があれば、該当道路の使用許可を得る必要があります。
これは、管轄の警察署へ申請をすれば許可を得られるので手配を忘れずに。
その他
廃材置き場や作業員の通勤車駐車スペース、重機の駐車スペースなどを確保しておく必要があります。
あらかじめ、どこに保管するか決めておくことでトラブルを防ぎます。
工事によって迷惑を被る方がいないよう、通行人やその地域の方に配慮した対応をしておきましょう。
場合によっては交通指導員の確保が必要になることもあるでしょう。
解体“後”の申請・手続き
物滅失登記(工事完了から1ヶ月以内)
解体後、建物がなくなったときに行う物滅失登記が必要です。
これによって、該当の建物がなくなったことが社会的に証明されることになります。
これは解体工事が完了して、建物がなくなってから1ヶ月以内に法務局で行いましょう。
これは国で定められている義務なので、忘れずに手続きしてください。
また、なくなった建物は課税台帳から外れるため、納税や権利関係にも大きく影響します。
マニフェスト伝票の回収
建物の解体によって出た産業廃棄物の運搬や処理を、別の業者に委託する場合、新たにマニフェスト伝票を発行します。
近隣御礼
解体工事の騒音などの影響があった方へ、無事に工事が終わった旨とお礼を伝えましょう。
その他
後日調査員が土地を調査するための家屋案内図を用意しておく必要があります。
その他にも、土地を今後どのように運用していくのかによって、新たな手続きが必要な場合があります。
自分で解体するときの注意点
自分で解体するときの注意点について説明します。
安全面と近隣に配慮を
道具と作業員の確保
業者が利用しているような、作業に十分な道具や人員を確保する必要があります。
作業スペースの確保
作業は解体家屋周辺のスペースも利用します。
工事車両や作業員の待機所など、余裕をもって準備しておきましょう。
近隣への説明
解体工事は騒音や粉塵などの被害が予想されます。
誠実な態度で、工事の工程や日程などをしっかり説明して了承を得ておきましょう。
養生の設置
養生シートは、トラブルを防ぐために防止策になります。
廃材処分への理解
廃材は定められた方法で処分をする必要があります。
必ず確認してから行いましょう。
処分場選びは注意
解体後の廃材は通常産業廃棄物ですが、自身で解体工事を行った場合には一般廃棄物として見なされる可能性が高いです。
一般廃棄物の場合は、行政のリサイクルセンターで引き取ってもらえます。
しかし、行政によって解釈が異なる可能性もあるので、窓口で確認してからリサイクルセンターへ持ち込むようにしましょう。
あくまでも自己責任で
自分で解体するにはさまざまなリスクがありますが、そのリスクを背負えるかどうかが大切です。
国で定められている手続きなどもあり、「知らなかった」では済まされません。
作業の工程や想定されるトラブルなど、さまざまな過程に臨機応変に対応しましょう。
まとめ
自分で解体作業を行うことは可能です。
しかし、さまざまな規定やリスクを背負っての作業になるので、しっかりと知識をつけてから取り組む必要があります。
解体を考えている場合は、なるべく早めに行動して事前準備を見落とさないようにしましょう。
また、解体後も必要に応じた適切な対応で、最後まで処理を行いましょう。