家の解体をする際、残置物の整理や工事を依頼する業者の手配、解体にまつわる様々な手続きなど家の持ち主はしなければいけないことが多くあります。
その中で、「これも絶対にしなければいけないの?」と悩むものの中にお祓いも含まれているのではないでしょうか?
なんとなくやった方が良い気はするけど本当に必要?
この記事ではそのような疑問にお答えするとともに、お祓いの意味や流れ、費用の相場についても分かりやすく解説します。
家の解体全般について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼家の解体にまつわる疑問や費用を解説
目次
家の解体工事で行うお祓い「解体清祓」とは?
家の解体工事に入る前に行う儀式として知られる「解体清祓(かいたいきよはらい)」。
これまで何十年と見守ってくれた神様に対して、感謝の気持ちを表します。
解体清祓では、今から家屋を取り壊す事情を報告するとともに、無事に取り壊しが完了できることを祈願します。
解体清祓は神道の教えに基づき行うもの
解体清祓は、家屋の守り神である屋船豊受姫神(やふねとようけひめのかみ)と、屋船久久遅神(やふねくくのちのかみ)に対して感謝を示します。
神様、つまり日本の「神道」の考えに基づいて行われる行事です。
仏教など他宗教でもお祓いは必要?
仏教の場合、神道のように「神」や「霊魂が宿る」といった考え方が存在しないため、解体清祓を行うケースはごく稀です。
ですので、特別な理由がない限り解体清祓は行わなくても良いでしょう。
キリスト教の場合、悪魔祓いの儀式は存在しますが、家屋の解体時のお祓いをする風習はありません。
地鎮祭と解体清祓の違いは?
解体清祓と混同しやすいお祓いとして、「地鎮祭(じちんさい)」があります。
地鎮祭については聞き馴染みのある人も多いのではないでしょうか。
地鎮祭とは、新しく家屋を建てるときのお祓いのことを指します。
敷地内に祭壇を設け、これから新しく家屋を建てることの報告と、工事の安全を祈願します。
解体清祓の流れ・費用相場について
解体清祓の概要についてお伝えしましたが、どのような流れで行えば良いのか、費用がいくらかかるのか、など分からないですよね。
そこで、解体清祓の流れや費用について詳しくご紹介します。
解体清祓の流れ
解体清祓と所要時間は30〜60分程。
神社の神主様に来てもらい、お祓いをしてもらうのが一般的です。
具体的な流れは以下のようになります。
|
解体清祓の費用相場
解体清祓では神主様にお祓いを依頼するため、ある程度の費用がかかります。
費用相場の具体的な内訳は以下の通りです。
初穂料(神主への謝礼金) | 20,000~50,000円 |
交通費(神主への車代) | 5,000~10,000円 |
祭壇の準備費用 | 5,000~100,000円 |
お供え物代 | 10,000~20,000円 |
菓子折り代(近隣への配布用など) | 1,000~3,000円 |
食事代(関係者用のお弁当など) | 1,000~2,000円 |
もっとも金額が大きいのは「初穂料」です。
これは神主様へ支払う費用で、あわせて交通費も支払います。
そのほか祭壇の準備費用、お供物代、菓子折り代、食事代などがかかります。
全体の費用は50,000円程度ですが、業者に依頼する、あるいは敷地が広いなど大掛かりなお祓いを行う場合は、100,000円を超えるケースもあります。
解体清祓のお供え物や服装のマナー
祭壇で必要な道具などは「神主(神社)側」が用意してくれるケースがほとんどです。
したがって、依頼する側が準備するものは、神饌(しんせん)というお供え物になります。
お供え物として必要になるものは以下の通りです。
|
お供え物は、米、塩、水、酒の4つが基本となります。
それ以外のものは必須ではありませんが、「どこの神社にお願いするか」によって準備するものは異なりますので、あらかじめ神社や神主様側に確認しておきましょう。
服装についてのルールは特になく、基本的には普段着で問題ありません。
ただし普段着といっても、派手すぎる服やだらしない身だしなみは避けましょう。
「お祓いをきちんと行いたい」という場合、フォーマルな服装に統一するのも良いでしょう。
男性の場合はスーツ、女性の場合はワンピースなどを着用すると、お祓い全体が引き締まります。
家の解体以外に必要なお祓い
家屋を取り壊すときは「解体清祓」を行いますが、家屋以外のものを解体したい場合には、解体清祓とは別のお祓いを行うケースがあります。
井戸の解体に必要な「井戸祓」
井戸を解体する際に行うのが「井戸祓」です。
解体工事中に井戸が発見されるケースが多く、井戸を見つけたタイミングでお祓いを行います。
井戸祓を行うのは、井戸には「水の恵み」を与えてくれる神様が居るとされているためです。
神様に対して何の報告もなしに勝手に井戸を埋めることは失礼とされているため、埋める前にお祓いをするのが一般的となります。
井戸祓の費用は20,000〜30,000程度となります。
記念樹など樹木伐採に必要な「樹木祓」
敷地内に樹木があり、それを伐採する際に行うのが「樹木祓」です。
昔から、樹齢の長い樹木をむやみに伐採することは神様に対して失礼だといわれてきたため、樹木を切り落とす際はお祓いを行います。
樹木祓の費用も20,000〜30,000程度です。
仏壇・神棚の移動や取壊しに必要な「魂抜き」
仏壇や神棚を取り壊す際は、「魂抜き」と呼ばれる儀式を行います。
言わずもがな、仏壇や神棚には神仏の魂が宿っているためです。
そこで魂を「抜く」ことで、何もない状態にしてから仏壇や神棚の取り壊しを行います。
仏壇の場合はお寺の僧侶に、神棚の場合は神社の神主様に依頼するのが一般的です。
魂抜きの費用も同じく20,000〜30,000円程度になります。
まとめ
本記事では、家屋の解体工事で行う「解体清祓」について、以下のポイントを中心にお伝えしました。
|
神道の教えに基づいて行う解体清祓ですが、費用やお供え、そのほかの儀式の必要不必要は異なります。
どれくらいの敷地なのか、お供え物には何が必要なのか、解体清祓以外に行うべきお祓いはあるかなど、あらかじめ神社や神主様側に確認しておきましょう。
家の解体費用について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼家の解体費用の相場や補助金制度について