不祝儀袋には薄墨を使って表書きを書く。
なんとなくそんなイメージを持った人が多いのではないでしょうか?
しかし三回忌ともなれば、故人の死から丸二年が経過した命日に行われる法要のため、通常の濃い墨で表書きを書き、薄墨は使用しないのがマナーです。
この記事では薄墨を使用しない理由に併せ、三回忌での香典のマナーについてご紹介します。
三回忌について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼三回忌とはどんな法要?基本的なマナーについても紹介
目次
三回忌で香典を入れる不祝儀袋に薄墨は使用しないのがマナー
不祝儀にはどうして「薄墨」で文字を書くのでしょうか?
ただ何となく一般常識だからといって薄墨で記載するのではなく、理由を知っておくといざとなったときに「薄墨」か「濃墨」どちらで書くべきか明確になります。
そもそも薄墨を使用するようになった理由
そもそも薄墨を使用するようになった理由は、故人を思う悲しい気持ちから涙で墨が薄くなったことを連想させるからです。
もう一つ説があり、筆が一般的だった頃、故人の不幸を急に聞いて大至急かけつけたため、しっかりと墨を磨る時間がなかったから、とも言われています。
どちらの説にしても、薄墨を使用することで故人への想いが伝わってくることから薄墨を使用するようになりました。
ですが、地域によっては薄墨を使用しない決まりもあるので、香典を書く際には、近所の方に薄墨で書くべきであるかを確かめておきましょう。
薄墨で表書きを書くのは葬儀まで
薄墨で表書きをするのは「お通夜」と「告別式」の葬儀まで。
お通夜と告別式は、突然の不幸を聞いて急いで駆けつける必要があるため、表書きをゆっくりと書く時間がなかったと捉えられるでしょう。
ですが、お通夜と告別式以外は、事前に知らされているので、薄墨の使用は避けた方が無難です。
ただし、近年は初七日を葬儀と一緒に行うこともあるため、その場合に限り初七日も薄墨を使用してください。
三回忌で使用する香典袋の書き方
三回忌で使用する香典袋の書き方には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
ここでは、「表書きは濃墨で書くべき?」「二人以上の名前を書くときは?」「金額はどこに書くの?」といった疑問を解消していきます。
表書きは「濃墨」で書く
三回忌の表書きは「濃墨」で書くのが基本です。
急いで駆けつける必要があるお通夜と告別式までは薄墨で書きますが、それ以降は濃墨でハッキリと記載しましょう。
なお、表書きの文言は宗教によって異なります。
仏教の場合は、四十九日法要まで故人が仏様にはならないといった考えを持っているので「御霊前」と記載しましょう。
三回忌は、四十九日より後に行われる法要ですので「御仏前」を記載します。
キリスト教の場合は、水引が不要で十字架やユリなどが印刷された不祝儀袋を選んでくださいね。
名前の書き方は?
香典袋の水引より下の部分に、香典を包んだ人の名前を記載します。
個人で包む場合と連名(グループ)、夫婦で包むによって異なるので、それぞれ解説していきます。
個人で包む場合には、水引の下に1人分の名前をハッキリ記載しましょう。
夫婦の場合は、夫の名前だけを記載するのが一般的です。
しかし夫婦ともにお世話になった方の場合は、夫の名前の左側に妻の名前を記載しましょう。
複数人の場合は、二人であれば中央に二人の名前を記載し、三人ならば中央に一人の名前を記載し、左右に二人の名前も沿えます。
複数人の名前を書く際には、三人までが限度ですので四人以降ならば代表者の名前を記載してください。
中袋には金額を
続いて、中袋の書き方と金額についてご紹介します。
中袋には、名前・住所・金額を記載するのが一般的です。
中袋の表に金額を大きく記載し、裏側の左下部分に住所と名前を記載します。
毛筆や筆ペンで分かりやすくハッキリと書くと、施主が整理しやすくなります。
中袋の表側の中央に書く金額ですが、私たちが普段使っている漢数字ではなく「旧字体の漢数字」で書くことがマナーですので注意しましょう。
アラビア数字 | 旧漢数字 |
---|---|
1 | 壱 |
2 | 弐 |
3 | 参 |
4 | 使用不可 |
5 | 伍 |
6 | 使用不可 |
7 | 七 |
8 | 八 |
9 | 使用不可 |
10 | 拾 |
100 | 百 |
1,000 | 阡または仟 |
10,000 | 萬 |
円 | 圓 |
「4」や「9」は、死や苦しみを連想させることから使用を避けた方がいいでしょう。
また、偶数で割り切られる数字も縁起が悪いため避けた方が無難です。
香典を渡す際のマナー
個人を悔やむ気持ちを伝えるために贈る「香典」。
渡し方にもマナーがあるので、必ずチェックしておきましょう。
包むお札のマナー
まずお札を包む際に、香典の表側にお札の裏側(人物の顔が映っていない方)がくるように向きを整えましょう。
なお、複数枚のお札を入れる際に向きを揃えておくことも大切です。
不祝儀の香典には、「不幸の日のために新札を用意した」といった印象を与えるため禁止されていますが、三回忌の香典については、新札でも問題ありません。
気になる場合は、一度折り目をつけてから包むといいでしょう。
香典の渡し方
香典の渡し方ですが、袱紗に包んでおくことが大切なポイントです。
渡すタイミングは、受付を済ませた後に一声かけて、一礼してから渡します。
手渡しをするときに袱紗から取り出すのですが、左手に袱紗を乗せて、右手で袱紗を開いて中の袋を取り出しましょう。
また、渡す際には相手側にのし書きの文字が正面にくるようにして、両手で渡すのがマナーです。
まとめ
三回忌は、故人の死から丸2年経った命日に執り行われる法要ですので、「薄墨」で書く必要はありません。
「濃墨」で分かりやすくハッキリ記載することで、後々整理をする施主のためになります。
本ページの重要なポイントをまとめたので、最終チェックをしましょう!
● 初七日までは薄墨、三回忌は濃墨
● 水引の下にフルネームを記載する
● 中袋は旧漢数字で金額を記載する
● 香典の渡すタイミングは受付け後
事前に準備ができたら、当日に適切な渡し方ができるようにおさらいしておくと安心ですね。