一周忌のお返しでは何を渡すべきか、相場はどの程度なのか。
喪主は慣れない法事に多すぎるマナーや慣習に戸惑うことも多いのではないでしょうか。
この記事では一周忌法要でのお返しのマナーや相場をご紹介。
一周忌は喪の期間が終わる大事な節目の法要ですので間違いのないよう、お返しのマナーをしっかり確認しておきましょう。
一周忌について詳しくはこちらの記事をお読みください。
▼一周忌とは?マナーや準備について解説
目次
一周忌のお返し「香典返し」とは言わない?
一周忌におけるお返しでよく使う「香典返し」は、実は誤った呼び方なのです。
まずは「香典返し」の表記や呼び方についてお伝えします。
「御香典」ではなく「御仏前」「お供え」へのお返し
一周忌の参列者が持参するのは、正確には「御香典」ではなく「御仏前」「お供え」といいます。
なぜなら、一般的に香典というのは「49日までのお供え」のことを指すから。
したがって「香典返し」という表記も正確には誤りなのです。
一周忌のお返しは「香典返し」ではなく「引き出物」
一周忌でのお返しは、香典返しではなく「引き出物」が正しい呼び方となります。
つい「香典返し」と言ってしまいがちですが、間違えないように注意しましょう。
お返しの引き出物には何を送るべき?
引き出物も「何を送るか」が重要になります。
引き出物として送ると良いとされる物は以下の通りです。
「消え物」が良いとされている
一周忌での引き出物は「消え物」が良いとされています。
消え物とは文字通り「あとに残らない物」のこと。
たとえば、タオルや洗剤セットといった消耗品や、お茶、コーヒー、焼き菓子などの飲食物を選ぶケースが多いです。
タオルに関しては「悲しみを拭い去る」という意味で引き出物とされる地域もあります。
近年ではカタログギフトも人気
最近では、引き出物として「カタログギフト」を選ぶ人も多いです。
総合カタログからグルメカタログまで幅広いカタログが利用されているため、相手が欲しいと思う引き出物を送ることができます。
「なかなか決められない」という方は、カタログギフトを送るのも良いでしょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
一周忌でのお返しに使う金額の相場は?
続いて、一周忌での引き出物の相場について見ていきましょう。
地域にも差があるがお供えの5〜7割程度が相場
一周忌での引き出物は、受け取ったお供えに対して「5〜7割」の金額の物を返すのが一般的です。
しかし、地域によっては「全返し(10割)」とするところもあります。
地域によって差はありますが、少なくとも7割は返しておくと、喪家側にも良い印象を与えることができるでしょう。
一周忌の香典相場について知りたい方はこちらの記事もお読みください。
会食の有無によっても相場は変わる
一周忌をおこなう際、併せて「会食」をつけるケースもあります。
これは、いわゆる「お膳」と呼ばれるもの。この「お膳」をつけた場合、お膳と引き出物を併せて「5〜7割返し」として問題ありません。
たとえば、2万円のお供えを受け取った場合、喪家側は1万円の「お膳」と4千円の「引き出物」を用意します。
この場合、お膳と引き出物の合計が1万4千円となるため、引き出物に対して「7割返し」をしたことになります。
一周忌で渡すお返しのマナー
一周忌で引き出物を渡すときには、以下のようなマナーがあります。
「のし」をつけましょう
のしとは「のし紙」のこと。
一周忌で引き出物を渡す際には、引き出物に「のし紙」をかけ、「黒と白」または「双銀」のどちらかの水引をかけます。
また品物は、喪主が直接参加者に渡すようにするとスマートです。
お礼状・挨拶状の書き方と文例
引き出物を渡す際には、参列者に対して「お礼状」や「挨拶状」を沙汰します。
また、参列された方に対してはもちろん、欠席された方に対してもお礼状を書くのがマナーです。
お礼状は、参列者に対して「感謝の意」を述べます。
本来なら喪主が参列者一人ずつに挨拶したいところを、お礼状に代えて伝える意味があります。
書き方の基本的なマナーは以下の通りです。
・基本的に句読点は使わない ・「次々」「度々」など繰り返し言葉を使わない ・お礼状は縦書きで書く ・より丁寧に感謝を伝えたい場合は「手書き」で書く |
続いて、お礼状の例文をいくつかご紹介します。
一周忌でお返しを渡すタイミング
では次に、「お返しはいつ渡せばいいの?」という疑問について答えていきます。
引き出物を渡すタイミングは以下の通りです。
一般的には会食後に渡す
引き出物は、会食後に渡すのが一般的です。
引き出物には、参列者への「お土産」という意味もあるため、参列者が帰るタイミングで渡すのが良いでしょう。
喪主が帰り際の挨拶をするときに、同時に引き出物を渡すとスムーズです。
後日送るのなら1〜2週間以内に
引き出物は参列者に対して感謝の意を込めて渡す物です。
したがって、一周忌が終わってから1〜2週間以内に送るようにしましょう。
後日送る場合は、「手書き」のお礼状を添えると、より気持ちの込もった内容になります。
欠席者にお供えをいただいた場合は?
一周忌に参列できなかった参加者からお供えをいただくケースもあります。
その場合は、お礼状を添えて引き出物を送るようにしましょう。
いただいたお供えの額の「5〜7割」の金額の品物を、1ヶ月以内に渡すのがマナーです。
一周忌のお返しでよくあるマナー違反
一周忌で引き出物を渡す際には、マナー違反にならないように気をつけましょう。
知らずに以下のようなマナー違反をしてしまうことがあるので要注意です。
のしに薄墨で表書きを書く
引き出物につける「のし」の表書きには、「濃墨」で書きます。
対する薄墨には、「悲しみに暮れて筆を強く握れなかった」という意味があり、お通夜やお葬式で使うのが一般的です。
一周忌の場合は、濃墨で「志」「粗供養」と書き、下に施主のフルネームを書きます。
いただいたお供え対して安すぎるお返し
引き出物は、いただいたお供えに対して「5〜7割」の金額のものを渡すのがマナーです。
2〜3割程度の安すぎるお返しは失礼にあたるため、少なくとも「半返し」はしておきましょう。
まとめ
本記事では、一周忌でのお返しについて詳しくお伝えしました。
お返しのことを「香典返し」と呼ぶのは誤りで、正確には「引き出物」と呼ぶことを覚えておきましょう。
また、いただいたお供えに対しては「5〜7割」のお返しをすることがマナーです。
会食の有無や地域によってお返しの金額も変わるため、どのような一周忌にするのか、あるいはお住まいの地域についてしっかりと下調べをしておきましょう。
ぜひ本記事の内容を、一周忌でのお返しをする際にお役立てください。