相続問題のよくある事例と対処法とは!?争いを防ぐための事前対策や弁護士・司法書に相談したほうがよいケースについても解説します

相続問題 アイキャッチ

相続問題はお金が絡むため、兄弟姉妹でも争いに発展するケースが珍しくありません。

「身内との争いはできるだけ避けたいけれど、もらえる遺産は相続したい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、遺産相続で起こりがちな問題の事例とその対処法のほか、事前に防ぐ対策についても解説します。

目次

【こんなときはどうする?】遺産相続でよくある問題・トラブルと対処法

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遺産相続の中でも特に起こりやすいトラブルについて、対処法と一緒に紹介します。

兄弟姉妹や親子が遺産分割の割合でもめる

兄弟姉妹の相続分は法律上平等ではありますが、それぞれに言い分や希望があるものです。

生前の被相続人との関係性によっては、話し合いがまとまらなくなる可能性があります。

トラブルを解決するためには、相続人ごとの遺産分割の割合を確かめるようにしましょう。

それでも話し合いがまとまらない場合は、遺産分割調停・審判が行われますが、基本的にそれぞれの法定相続分に基づいて相続されます。

土地や不動産の相続でもめる

土地や不動産は現金とは異なり評価が難しいうえ、平等に分割ができないため、最も遺産相続トラブルになりやすい原因の一つです。

不動産を分割する以下の4つの方法を検討するとよいでしょう。

● 土地そのものを分ける「現物分割」
● 土地を売却して現金に換金・分割する「換価分割」
● 家を相続した人が他の相続人に金銭を支払う「代償分割」
● すべての相続人で共有する「共有分割」

被相続人は、誰にどのような資産を託したいのかを遺言書に記しておきましょう。

特定の相続人が遺産の独占を主張している

たとえば、長男だからという理由で遺産の独占を主張する方もいるでしょう。

たしかに戦前には、「家督相続」と呼ばれる長男がすべての遺産を相続することを認める法律がありました。

しかし、現在この法律は撤廃され、兄弟姉妹には平等に相続できる権利があります。

また、遺言によるすべての遺産相続を主張する長男に対して、他の兄弟姉妹は遺留分侵害額を請求することが可能です。

話し合いで合意が得られない場合は、調停・審判も視野に入れましょう。

相続の遺留分について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

相続の遺留分についてはこちら

相続人が多いことによるトラブル

相続人が多くなるとそれぞれの主張が増えるほか、非嫡出子や隠し子、養子の存在が発覚するなど、トラブルのリスクも高くなります。

しかし、相続人が多くても少なくても遺産分割の方法は同じです。

トラブルを避けるためにも、相続人の範囲や遺産分割の割合を知っておくことが大切です。

法定相続人になれる 法定相続人になれない
・配偶者

・第1順位:直系卑属(子・養子も含む)

・第2順位:直系卑属(父・母)

・第3順位:兄弟姉妹

・相続欠格事由に該当する人

・相続人から廃除された人

法定相続人について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

法定相続人についてはこちら

介護による寄与分を主張できる人がいる

被相続人が生きている間に介護や身の回りの世話などを献身的に行なっていた相続人には、生前の貢献度に応じて遺産が上乗せされる「寄与分」が認められるケースがあります。

親の介護や身の回りの世話は想像以上に大変なため、相続分に上乗せしてほしいと考えるのも無理はありません。

しかし、他の相続人に認めてもらえず話が進まない場合には、寄与分を主張しましょう。

寄与分について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

相続の寄与分についてはこちら

前妻との子ども・隠し子などの認識していない相続人や受遺者に関するトラブル

相続が開始されてから、誰も認識していない前妻との子どもや隠し子に相続分を主張され、トラブルになるケースがあります。

長年にわたり、一緒に暮らしてきた親の財産を、いきなり現れた人に相続させるのは抵抗があるかもしれません。

しかし、前妻の子どもや隠し子であっても法律上は「被相続人の子ども」として平等に相続権を有するため、相続権を主張された場合に拒否することは難しいのが現実です。

遺言によって内縁者など相続人以外の第三者への遺産相続が多い場合は、遺留分侵害額請求を行なって最低限の遺産を確保しましょう。

遺言の内容に明らかに偏りがある

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遺言書がある場合は、遺言書に記載された内容通りに相続が行われます。

しかし、遺言書の内容があまりにも偏ったものだと、他の相続人は納得できずトラブルに発展しかねません。

遺言書によって相続できない相続人がいる場合は、遺言書の効力を確認しましょう。

また、形式面の要件や作成時の判断能力・状況などにより、遺言書自体が無効とされる場合がある点には注意が必要です。

家族による遺産の使い込みが疑われる

被相続人の生前に同居していたり、身の回りの世話をしていたりする家族がいる場合、その家族が被相続人の財産を管理しているケースも珍しくありません。

被相続人が認知症になっていたり病気で体が不自由になっていたりする場合は、自身の財産を把握していない可能性もあるため、家族が使い込みを疑われることもあります。

そうならないためにも、介護費用や身の回りの世話にお金がかかってしまった場合は、しっかりと他の相続人に伝えておきましょう。

また、レシートや領収書など用途を証明できるものを残しておくことも大切です。

被相続人に借金があることが発覚した

相続対象にはプラスの財産だけではなくマイナスの財産も含まれるため、遺産に借金がある場合はトラブルになる可能性があります。

被相続人に借金が発覚した際は、相続放棄を検討するとよいでしょう。

しかし、相続放棄をすると借金などのマイナスの財産はもちろん、プラスの財産も相続できなくなる点には注意が必要です。

また、借金の額がわからない場合には、限定承認(相続したプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する方法)をおすすめします。

被相続人が行なっていた事業の後継ぎが問題となる

事業の後継ぎが問題になるケースも少なくありません。

特定の相続人が、被相続人の営んでいた事業を承継すると、それ以外の相続人との間で不公平感が生まれ、トラブルが起こりやすくなります。

問題を解決するためには、遺産分割調停・審判も視野に入れましょう。

遺言書が見つからない

不慮の事故や病気などによって突然亡くなった場合は、遺言書の保管場所が見つからないケースもあります。

まずは最寄りの公証役場に被相続人の公正証書遺書が保管されていないかを確認しましょう。

もしも公証役場に遺書がない場合は、自宅の金庫・タンス・仏壇や銀行の貸金庫などを探してください。

被相続人に内縁の配偶者がいる

被相続人に婚姻届を提出していない内縁の配偶者がいる場合、内縁の配偶者には相続権が認められないため、以下のようなトラブルが発生しがちです。

● 法定相続人の子どもが、内縁の配偶者が居住している家からの退去を要求
● 法定相続人の子どもが預貯金などの資産を相続して、内縁の配偶者が生活に困る

上記のトラブルの対処法としては、内縁の配偶者に財産分与をする旨を記載した遺言書を用意する、内縁の配偶者が特別縁故者の申し立てを行うなどが挙げられます。

被相続人に子どもがいない

被相続人に子どもがいない場合、配偶者の他に親や兄弟姉妹、甥姪にも相続する権利が発生します。

被相続人の親が存命であれば親が、親は亡くなっているが兄弟のいる場合は兄弟が相続人となり、手続きが行われます。

さらに、兄弟姉妹が亡くなっている場合には、甥・姪が相続人となる決まりです。

配偶者としては、遺産が他の相続人に渡ってしまうと困る可能性もありますが、法律で決められているため、主張された相続権を拒否することは認められません。

したがって、配偶者に遺産のすべてを託したい場合は、遺言書を作成しておきましょう。

遺産分割協議に参加しない人がいる

遺産分割協議書には相続人全員の署名・捺印が必要なため、遺産分割協議は相続人全員で行わねばなりません。

しかし、代襲相続が発生した場合や被相続人に子どもがいない場合、被相続人と関係性の薄い人が相続人となる場合があります。

そのような場合に遺産分割協議への参加を敬遠されてしまうこともありますが、相続の手続きを円滑に進めるために、事情を説明したうえで参加してもらうようにお願いをしましょう。

また、所在が分からない相続人がいる場合は、その人の代わりに財産を管理する不在者財産管理人を選任するほか、生死不明の場合は失踪宣告の申し立てをするなどの手続きが必要です。

兄弟姉妹の配偶者が相続分を要求してきた

兄弟姉妹の配偶者には、相続分を受ける権利はありません。

そのため、相続人が相続分をもらうと自分の家庭にお金が入ることになるため、少しでも多く受け取れるように口を挟んでくることがあります。

このような場合は、法律のルールを説明することが一般的な解決方法です。

しかし、強い要求をしてくる場合は相続人同士の関係も悪くなるため、弁護士に相談して間に入ってもらうのも有効な手段として検討してもよいでしょう。

【必読】相続争いを防ぐための事前対策とは!?

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相続問題が起こってからでは手遅れになる可能性があるため、事前に以下のような対策をしておきましょう。

親が元気なうちに家族で相談しておく

最も大切なのは「家族での話し合い」です。

「誰が・何を・どれだけ相続するか」をあらかじめ話しておくと、スムーズに相続の手続きを進めることができます。

また、親が高齢になると認知症のリスクが高まり、遺言書の作成もできなくなる可能性があるため、親が元気なうちに話しておくことが大切です。

遺言書を作成しておく

遺言書を作成しておけば、被相続人の希望通りに財産を相続させることができるため、トラブルを回避することが可能です。

たとえば、争いが起こりがちな不動産の相続も、あらかじめ相続させる人を決めて指名しておけば、問題なく相続を進められるでしょう。

財産目録を作っておく

財産目録とは、被相続人の財産を明記した一覧表のことです。

相続発生時に「財産がどこにあるかわからない」「財産の全容がわからない」などの問題が発生するかもしれません。

財産目録を作成しておけば、いざというときに相続人が相続財産を一目で把握できるため、スムーズな相続手続きには不可欠です。

なお、借金がある場合は必ず一緒に記載しておきましょう。

財産管理をしている人は他の家族に情報共有する

親の財産を管理している方は、財産の支出について定期的に他の家族と共有しておきましょう。

こまめに共有しておくことで、使い込みの疑いを防ぐことができます。

また、念のために日々の家計簿や領収書・レシートなども残しておくとよいでしょう。

家族信託を利用する

家族信託とは、信頼できる家族に自身の財産を託し、適切に財産の「管理」「処分」をしてもらう方法です。

家族間で自由に契約内容を決められるため、それぞれの事情に合わせて柔軟に財産管理を行うことができます。

また、自身が亡くなった後の相続人に加え、さらにその次の相続人も決めることができる点が大きなメリットです。

認知症の不安があるなら、後見制度を利用する

認知症の不安がある場合は、後見制度を利用して適切な方法で財産管理をしましょう。

後見制度とは、認知症などにより意思能力が低下してしまった人に代わり、財産管理や契約手続きなどの法律行為や生活サポートを行う制度です。

法定相続人の数を確認しておく

相続人の数が増えると、必然的に相続人それぞれの主張が増えて「話がまとまらない」「話し合いに参加しない人が出てくる」などのトラブルが発生しやすくなります。

誰が法定相続人になるのかをしっかり確認して、人数を確定しておきましょう。

遺産の分け方(法定相続分)を知っておく

遺産の分け方を知っておくことは、円滑な遺産分割を実現するために必要です。

トラブルが起きた場合、まずは法定相続分を前提に、遺産分割協議を行うとよいでしょう。

相続税がかかるかどうかの確認をしておく

2015年から相続税の基礎控除の額が引き下げられたため、以前にも増して「相続税対策をしたい」と考える方が増えています。

しかし、なかには「相続税が発生しない」ケースも少なからずあるため、事前に相続税の有無を確認しておきましょう。

相続問題がどうしても解決しない場合の対処法

電卓を押す男性

相続トラブルがどうしても解決できない場合は、以下の方法が有効です。

遺産分割調停・審判

話し合いでまとまらないときは、裁判所で「遺産分割調停」を行いましょう。

遺産分割調停では調停員が話し合いの仲介をしてくれますが、調停員はあくまで「中立の立場」で強制力をもたないため、話がまとまらない可能性もあります。

そのような場合は、遺産分割審判(裁判)に移り、最終的な判決が裁判官によりくだされます。

専門家に相談する

話し合いがまとまらず解決できない場合は、専門家への依頼も検討しましょう。

弁護士に相談したほうがよいケース

相続トラブルが争いに発展した場合は、弁護士に依頼しましょう。

弁護士は争いを解決に導く法律のプロのため、調停や審判の際に強い味方として依頼者の利益になるように交渉を進めてくれます。

司法書士に相談したほうがよいケース

争いに発展してはいないけれど、他の相続人と顔を合わせたくない場合は、司法書士に相談しましょう。

司法書士は書類作成や相続人間の連絡などを代理で行なってくれるほか、「双方の代理人」の役割を果たせるので、争いになっていない場合におすすめです。

遺産相続でもめる人ともめない人の差は遺言書の作成方法にある

ノートと万年筆

遺言書が争いを防ぐ理由と、有効な遺言書を作成するポイントを解説します。

遺言書の存在が争いを防ぐ

遺言書を作成しておくと自分の財産の一部もしくはすべてを誰に渡すかを選べるため、相続人同士での争いを未然に防ぐことが可能です。

また、相続人の廃除のほか、相続分の指定・遺産分割方法や遺言執行者の指定なども行えます。

もちろん、内容によっては相続人の納得が得られずトラブルに発展する場合もありますが、遺言書をきちんと作成しておくことで争いの確率は下げられるでしょう。

遺言書を作成する際のポイント

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類がありますが、より正確で有効な遺言書を作成したい場合には、公正証書遺言がおすすめです。

自筆証書遺言は、民法第968条で「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と定められており、この要件を満たさなければ無効になってしまいます。

また、本当に遺言者本人が記載したのか、無理に書かされていないかなど、有効性を疑われたり、自宅で保管した場合には紛失や盗難の恐れがあったりなどのデメリットが考えられます。

その一方で、公正証書遺言は公証役場で法律の専門職の人が関与しながら遺言書を作成でき、保管も公証役場で行なってくれるので安心です。

相続問題のご相談は林商会にお任せください

ここまで、遺産相続で起こりがちな問題やその対処法について紹介してきました。

相続はお金が絡むデリケートな問題のため、思わぬ争いに発展するケースも珍しくありませんが、血を分けた身内とのトラブルは可能な限り避けたいものです。

相続でお困りの際は、ぜひ相続のプロである林商会の税理士にお任せください。

相続診断士、弁護士、司法書士などの相続の専門家が、状況に応じたきめ細かなアドバイスと解決策をご提案させていただきます。

まずは無料相談、無料お問合せからお気軽にご連絡ください。

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まとめ

相続問題はトラブルになりやすいうえ、トラブルが起こってからでは手遅れになります。

そのため、事前に予想されるトラブルを理解して適切な対策を行うことが大切です。

しかし、相続の対策は誤った方法を取ってしまうと逆効果になる可能性もあります。

判断に迷った場合は、無理せず司法書士や弁護士などの専門家に相談しましょう。

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