相続が発生すると、相続税の申告や亡くなった人の銀行口座や所有していた不動産の名義変更など、期限内にさまざまな手続きを行わねばなりません。
大切な人を失った悲しみの中、仕事や家庭と両立しながら煩雑な手続きを行うことは、想像以上に大変です。
今回の記事では、相続手続き代行サービスに依頼できる内容や費用相場、おすすめの依頼先やサービスを選ぶ際の注意点について解説します。
目次
【はじめに】期限に間に合わなければペナルティも!?相続手続きの流れ
相続手続きには、期限や時効が設けられているものが多くあります。
期限内の手続きができない場合には、申告が無効になったり、相続税の延滞金が発生したりする点に注意が必要です。
相続手続きの流れや期限、必要書類について
相続手続きのおおまかな流れや期限、必要書類は以下の通りです。
相続手続き | 期限 | 必要なもの |
遺言書の調査・検認 | 期限はないが早めに
|
戸籍書類
申立書類 |
相続人の調査・確定 | 法定相続人の戸籍書類 | |
財産調査 | 登記簿謄本・残高証明書・保険証券・車検証など | |
遺産分割協議書の作成(遺言書がない場合) | 相続人全員の署名・実印での捺印 | |
預貯金・有価証券などの解約や名義変更 | 故人の出生〜死亡までの戸籍謄本・相続人の戸籍謄本・相続人の印鑑証明書・遺言書・通帳など | |
年金受給停止の手続き | 厚生年金:死亡日より10日以内
国民年金:死亡日より14日以内 |
年金証書・死亡診断書・戸籍謄本・被相続人と年金請求者の住民票写し |
相続放棄・限定承認 | 相続発生から3か月以内 | 相続放棄申述書・家事審判申立書・戸籍謄本・故人の住民票除票または戸籍附票 |
被相続人の所得税の確定申告(準確定申告) | 相続発生から4か月以内 | 準確定申告書第1表、第2表、付表・源泉徴収票 |
相続税の申告 | 相続発生から10か月以内 | 相続税の申告書 |
相続手続き代行を専門家に依頼したほうがよいのは、どんな人?
仕事や家事で相続手続きに時間を取ることが難しい人や相続手続きが複数にわたる場合などは、専門家への依頼を検討することをおすすめします。
相続手続きを代行してくれる専門家と費用相場
相続手続きは多種多様です。
専門家ごとに得意とする依頼内容が異なるため、相談内容や依頼内容に合わせて選択することをおすすめします。
ここからは、専門家ごとに依頼できる内容と依頼する際の費用の相場をご紹介します。
【不動産の名義変更など登記の専門家】司法書士
不動産を含む相続手続きの代行を依頼するなら司法書士を検討してみてください。
ただし、遺産は不動産の他にも預貯金や有価証券などがあり、司法書士は不動産以外には対応していない場合もあるので、注意が必要です。
司法書士に依頼できる内容と依頼費用の相場は、下記の通りです。
司法書士に依頼できる内容
● 不動産の名義変更(相続登記) ● 金融機関での相続手続き ● 遺産分割協議書の作成 ● 遺言書の作成 ● 相続放棄手続き ● 相続人調査 |
司法書士への依頼費用の相場
相続人調査 | 15,000~30,000円程度 |
遺産分割協議書の作成 | 30,000~50,000円程度 |
不動産の移転登記 | 100,000円程度 |
【書類作成の専門家】行政書士
書類作成の代行やアドバイスだけ依頼したい方は行政書士がおすすめです。
行政書士に依頼できる内容と依頼費用の相場は、下記の通りです。
行政書士に依頼できる内容
● 金融機関での相続手続き ● 遺産分割協議書の作成 ● 遺言書の作成 ● 相続人調査 ● 車の名義変更 |
行政書士への依頼費用相場
遺産分割協議書の作成 | 30,000円程度 |
預貯金の解約など | 30,000円程度 |
車の名義変更 | 25,000〜30,000円程度 |
【年金・社会保険の専門家】社会保険労務士
適用される社会保険や受取可能な年金について相談をするなら、社会保険労務士がよいでしょう。
社会保険労務士に依頼できる内容と依頼費用の相場は、下記の通りです。
社会保険労務士に依頼できる内容
● 公的年金の手続き ● 社会保険に関する相談 |
社会保険労務士への依頼費用の相場
遺族年金の申請 | 30,000〜50,000円程度 |
未支給年金の申請 | 30,000〜50,000円程度 |
【法律の専門家】弁護士
遺産相続に関して争いが起こる可能性がある場合には、弁護士への相談を検討してみてください。
弁護士に依頼できる内容と依頼費用の相場は、下記の通りです。
弁護士に依頼できる内容
● 遺言書の検認
● 相続人調査 ● 相続財産調査 ● 相続放棄、限定承認に関する手続き ● 遺産分割協議、遺産分割協議書の作成、調停、審判の代理 ● 預貯金使いこみの責任追及 ● 遺言書が無効であることを確認する手続き |
弁護士への依頼費用の相場
遺産分割調停の着手金 | 300,000円〜 |
相続放棄・遺産分割協議書の作成 | 100,000円程度 |
【税金の専門家】税理士
相続税に関する相談は、税理士のみ依頼可能です。
税理士に依頼できる内容と依頼費用の相場は、下記の通りです。
税理士に依頼できる内容
● 相続税の申告手続き
● 相続税関連の相談全般 ● 相続人調査 ● 節税を踏まえた遺産分割協議書、遺言書の作成 |
税理士への依頼費用の相場
相続税の申告 | 200,000円〜 |
(遺産総額によって変動)
【遺産相続手続きをすべて代行】相続●●センター
相続に関するすべての手続きの代行をしてもらいたい人は、「相続●●センター」と呼ばれる相続手続きの代行サービス事業者への相談を検討してみるとよいでしょう。
相続代行センターへ依頼できる内容と依頼費用の相場は下記の通りです。
相続手続きの代行サービス事業者に依頼できる主な内容
● 死亡届提出
● 公的年金の手続き ● 公共料金などの各種契約の解約・名義変更 ● 相続書類の取得 ● 相続税の計算・申告 ● 生命保険請求手続き ● 不動産移転登記 ● 預貯金の解約 ● 車の解約 ● 遺品整理 ● 財産目録の作成 ● 相続人調査 |
相続手続きの代行サービス事業者への依頼費用の相場
パッケージプラン:300,000円〜(遺産総額によって変動)
銀行・信託銀行
銀行や信託銀行でも相続手続きの代行を依頼できます。
しかし、銀行員ではなく税理士や司法書士が実務を行うため、費用は他と比べると高くなる傾向にあるでしょう。
銀行・信託銀行に依頼できる内容と依頼費用の相場は、下記の通りです。
銀行・信託銀行に依頼できる主な内容
● 遺産調査と収集
● 財産目録の作成 ● 不動産移転登記 ● 預貯金の解約など ● 有価証券の解約など ● 相続税の申告・納付 |
銀行・信託銀行への依頼費用の相場
相続手続き代行サービス:1,000,000円〜(遺産総額によって変動)
信頼できる親族に依頼する方法もある
相続に詳しく信頼できる親族に依頼する方法もあります。
親族に相続手続きを依頼する際には、委任状が必須です。
委任状には、不動産の場合であれば「地番」「地籍」「地目」などすべての項目を記入する必要がありますので、注意しましょう。
注意!相続手続き代行サービス費用以外にかかる実費
相続手続きの際には、代行サービスのほかに書類を集めるための手数料がかかります。
相続に関する実費について、それぞれ見ていきましょう。
①相続人調査・戸籍収集にかかる費用(市区町村によって異なる場合があります)
● 被相続人の出生〜死亡までのすべての戸籍謄本類:1通750円
● 相続人全員の戸籍謄本:1通450円 ● 戸籍の附票:1通300円 |
②遺産分割協議書の作成に必要な書類
相続人全員の印鑑証明書:1通300円
③不動産の名義変更(相続登記)に必要なもの(市区町村によって異なる場合があります)
● 住民票:1通300円
● 被相続人の住民票の除票:1通300円 ● 固定資産税評価証明書:1通300円 ● 名寄帳(不動産の所在がわからない場合):1通300円 ● 不動産登記簿謄本:1通600円 ● 登録免許税:不動産の固定資産評価額の0.4% |
④残高証明
金融機関ごとに手数料は異なりますが、一般的には数百〜数千円の発行手数料がかかります。
⑤交通費
居住地や事案によって異なりますが、不動産の登録免許税以外の総額は10,000〜30,000円程度です。
【状況別】おすすめの依頼先はココ!
代行を依頼できる相続手続きの内容は、専門家によって異なります。
依頼先を決める際には、具体的にどのような相続手続きを代行してほしいかを判断基準にするとよいでしょう。
ここからは、相続状況別におすすめの依頼先をご紹介します。
● 相続人間で争いもなく、銀行や役所の手続きの代行のみを依頼したい:行政書士
● 不動産を含む相続財産について相談したい:司法書士
● 相続財産が多い・相続税の申告を依頼したい:税理士
● 遺族年金の受給手続きをしたい・社会保険について相談したい:社会保険労務士
● 遺産分割について相続人で揉めている:弁護士
● 長年にわたって信託銀行に遺産の大半を預けており、普段から利用している場所で手続きしたい:信託銀行
● 相続手続きに時間が割けない・相続に関するすべての手続きを任せたい:すべての専門家が集まったサービス事業者
相続手続き代行サービスを選ぶときの注意点
相続手続き代行サービスを選ぶ際の注意点は5つあります。
依頼先を検討するときの参考にしてください。
サービスの金額は妥当か
相続代行を依頼する前に、複数の事業者に見積もりを出してもらい、パッケージプラン以外の費用も加算した報酬で比較検討しましょう。
見積もりに含まれる手続きが明確か・追加費用が発生する可能性はないか
見積もりを出してもらったら、手続き内容と追加費用が発生する可能性がないかを確認しましょう。
事業者ごとにパッケージプランに含まれる手続き内容が異なるため、代行する手続きが同じでも追加費用が必要になるケースが考えられます。
追加費用を把握するためにも、パッケージプラン外で何にいくらかかるのかが明確に記載されている事業者を選ぶようにしましょう。
Webサイトに不審な点はないか
事業者のWebサイトは、事前によく目を通しておきましょう。
所在地や料金が記載されていない・情報量が少ないなど不審な点がある場合、依頼先としておすすめできません。
また、誤解を招くような表現があったり、実際以上によく見せようとしたりしている事業者は避けましょう。
たとえば、自治体の封筒に掲載されていることで「信頼されている」と表現しているケースが挙げられますが、広告料を支払って掲載してもらっているにすぎません。
利用者の口コミ・評判
事業者のWebサイトに掲載されている利用者の口コミや評判を参考にしましょう。
口コミや評判の掲載は自由なため、満足度の高い利用者の口コミのみを掲載する事業者がほとんどですが、その一方で厳しい意見も隠さず掲載する事業者もあります。
問い合わせや相談時の対応がよいか
見積もりの依頼や相続手続き代行に関する問い合わせ・相談などをした際の対応がよくない事業者は、避けたほうが無難です。
相続手続きでは、信頼できる事業者かどうかがとても大切なポイントと言えます。
また、相続手続きを円滑に進めるため、コミュニケーションのとりやすさも重要視するとよいでしょう。
相続手続きのご相談は林商会にお任せください
今回の記事では、相続手続き代行サービスについてご紹介してきました。
相続が開始すると、定められた期限内にさまざまな手続きを行わねばならないため、不安に思われる方も多いのではないでしょうか。
そんな相続手続きの不安は、相続の専門家集団である林商会にお任せください。
弁護士、司法書士、税理士などの専門家が、一人ひとりの状況とお悩みに寄り添った丁寧な対応で最善の解決策をご提案します。
まずは、無料相談、無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。
まとめ
大切な人を亡くしてすぐに相続の手続きは始まります。
相続手続きは遺産総額や種類によって必要書類や手続き内容が異なり、判断が難しい場合も多くあるものです。
専門家に相続手続きを代行してもらうことを検討している方は、まずは相談や見積もり依頼をすることから始めてみてください。