【相続に必要な残高証明書のまとめ】相続税申告の際に預金通帳の残高証明が必要!?銀行別の取得方法・注意点も紹介

残高証明書相続 アイキャッチ

相続が発生した際には、遺産分割協議や相続税申告などの場面で、亡くなった人の預貯金の残高証明書が必要です。

初めて「残高証明書」という言葉を耳にして、「どうやって取得したらよいのかわからない」とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、残高証明書についてや相続手続きに必要な理由のほか、銀行別の取得方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

【はじめに】 残高証明書とは

通帳イメージ

残高証明書とは、相続が発生した時点での金融機関における被相続人の口座残高が記載された証明書のことです。

被相続人の財産を調べるにあたり、証明したい日付の正確な残高を公に証明するための書類として用いられます。

通帳自体を紛失していた場合のほか、ネット銀行や投資信託、有価証券などの金融資産にはネット上で完結するものも多く、他人がログインできないケースもあるので、残高証明書の取得が必要です。

また、預貯金のようなプラスの財産だけではなく借入金がある場合にも、負債がどれくらいあるか把握するために残高証明書を取得しておくことをおすすめします。

ただし、残高証明書は指定日の残高のみを証明するもので、預金通帳のように、指定日までの入出金記録などが詳しく記載されているわけではありません。

相続の手続きをスムーズに行うためには、残高証明書のほかに過去の入出金履歴を証明する通帳の準備も大切です。

残高証明書はなぜ相続手続きに必要か?

疑問イメージ

残高証明書が相続手続きに必要な理由には、以下の4つが挙げられます。

  • 相続人同士で残高証明書を共有する
  • 税務署に残高証明書を提出する
  • 預金の引き出しや使い込みを防ぐ
  • 名寄せができる

遺産分割をスムーズに行なって相続トラブルを回避するためにも、残高証明書は大きな役割を担っています。

【遺産分割協議】相続人同士で残高証明書を共有する

相続が発生し、相続人が複数存在する場合は、遺産分割協議が行われます。

相続財産を明確に提示しないと、相続人同士のトラブルを招きかねません。

遺産分割協議の際には、すべての相続人が被相続人の財産を把握しておく必要がありますが、残高証明書によって金融財産を相続人同士で共有することができます。

【相続税申告】税務署に残高証明書を提出する

財産を相続する場合、被相続人のすべての相続財産の評価額に対して、相続税がかかるかどうかを確認します。

遺産の総額が相続税の非課税枠を超えていた場合、相続税の申告及び納税が必要です。

相続税を申告する際、遺産のうち金融財産がどれくらいあるのかを証明する書類として、税務署に残高証明書を提出します。

預金の引き出し・使い込みを防ぐ効果がある

被相続人の死亡を知った相続人のうちの誰かが、勝手に故人の預貯金を引き出す可能性もあるでしょう。

金融機関に対して残高証明書を請求すると、財産の保全のために口座が凍結されて勝手にお金を引き出せなくなるため、使い込みを防ぐ効果があります。

名寄せ(知らない口座の調査)ができる

名寄せとは、一つの金融機関で定期預金などの口座を複数持っていた場合に、各口座の残高を合計することを言います。

もともとは、何らかの原因で預貯金の払い戻しができなくなった場合に利用できる制度ですが、相続の場合、相続人が知らない被相続人名義の口座を調査するために有効です。

名寄せをして口座残高が増えていれば、把握している以外にも口座を所有していることになります。

被相続人の預金口座を把握できていないときの調べ方

パソコンチェック

生前から財産目録などを作成していない限り、被相続人の預金口座をすべて把握しておくのは難しいかもしれません。

しかし、残高証明書の発行を申請する前に、被相続人のすべての口座を把握する必要があります。

メイン口座として使っていた預金口座なら見つけやすいですが、ネット銀行を利用していた場合などは、口座の発見が遅れる可能性があります。

被相続人の預金口座を把握できないときやメイン口座以外の預金口座を調べるためには、いくつかの方法があるので覚えておくとよいでしょう。

銀行の預金口座の調べ方

銀行の預金口座を調べる場合は、以下の方法を用います。

  • 通帳やキャッシュカードを探し出す
  • 銀行名が記載された書類を探して銀行に問い合わせる
  • 金融機関で名寄せをする
  • 税務申告の書類がないかどうかを確認する

銀行で調査する場合は、以下のような書類や手数料が必要なので準備しておきましょう。

書類など 備考
戸籍謄本(除籍謄本)等
  • 被相続人の死亡年月日が確認できるもの
  • 相続人・遺言執行者・相続財産管理人であることが確認できるもの
実印・印鑑証明
  • 来店された方の実印および印鑑証明
発行手数料
  • 残高証明書:770円/1通
  • 経過利息計算書:2,200円/1通

引用元:残高証明書・経過利息計算書(相続手続)の発行|三菱UFJ銀行

ネット銀行の預金口座の調べ方

ネット銀行は通帳やキャッシュカードがない場合も多く、見つけにくい傾向にあります。

以下の方法で、ネット銀行の口座の有無を調べてみましょう。

  • メールをチェックする
  • パソコンやスマホアプリなどをチェックする
  • 他の銀行の通帳を記帳する

ネット銀行に口座がある場合は、ダイレクトメールが頻繁に送られていたり、スマホにネット銀行のアプリがダウンロードされていたりします。

また、通帳記帳すれば、ネット銀行への送金が確認できる場合もあるので、パソコンおよびスマホのメールやアプリ、他の預金口座の通帳を確認しましょう。

ゆうちょ銀行は「現存調査」をしてくれる

ゆうちょ銀行では、「現存調査」を依頼をすると預貯金情報を調べてくれます。

申請してから1~2週間ほどで開示され、調査費用は無料です。

相続による現存調査の申請の際には、以下の必要書類を準備して窓口で手続きを行いましょう。

  • 貯金等照会書(現存調査の依頼書)
  • 被相続人の死亡事実が分かる戸籍謄本・死亡診断書等
  • 請求人の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)の原本
  • 請求人の印章
  • 相続人であることを証明できる書類(戸籍謄本等)

残高証明書を取得する際に知っておきたいこと

銀行イメージ

残高証明書を取得するにあたり、発行申請できる人や取得方法など、知っておくべき情報がいくつかあるのでご説明します。

口座のある支店に残高証明書の発行申請をする

被相続人の預金口座のある金融機関に残高証明書の発行申請を行います。

同じ金融機関であればどの支店でも手続きすることが可能ですが、口座のある支店が被相続人宅から近いことが多いので便利でしょう。

普通預金と定期預金がある場合でも、一つの残高証明書に記載されます。

また複数の支店に口座がある場合も、一か所で申請できるのが一般的です。

申請できる人

残高証明書の申請は、相続人が単独で行うことができます。

相続人全員の同意は必要ありません。

また、遺言執行者や相続人がいないときに家庭裁判所から選任される相続財産管理人も、発行申請することが可能です。

ただし、相続人以外が申請する場合は委任状が必要な点には注意しましょう。

金融機関によっては、親戚の範囲や士業の方に限るなどの制約がある場合もありますので、事前に問い合わせておくとよいでしょう。

日付は「被相続人が亡くなった日」を指定する

預貯金の評価額は被相続人が亡くなった日の残高です。

残高証明書の日付は、被相続人が亡くなった日を指定しましょう。

申請から発行までの期間は約1週間~10日

書類に不備が無ければ、申請から発行までの期間は約1週間~10日です。

手続きを行なった相続人宛に郵送されることがほとんどですが、主要金融機関では窓口で受け取れる場合もあります。

【銀行別】残高証明書の取得方法

主要銀行別に残高証明書の取得方法をご紹介します。

金融機関によって手続き方法などが異なるので、事前に確認しておくと安心です。

ここでは、ゆうちょ銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行について一覧にまとめてご説明しています。

手数料は銀行によってさまざまですが、日本国内の銀行であれば1通あたり1,000円程度です。

被相続人が多数の銀行に口座を持っていた場合、残高証明書の取得手数料だけで思わぬ出費となるので、注意しましょう。

ゆうちょ銀行

手続き先 全国の窓口
残高証明書請求書の代理記載 可能
通帳の要否 必要
発行方法 その場
発行日数 即日
必要書類
  • 被相続人と手続きをする相続人の戸籍謄本・除籍謄本
  • 手続きをする相続人の印鑑証明書と本人確認証明書
委任状を使用する場合 ゆうちょ銀行指定のもの

  • 記号番号は必ず記載。複数で連番の場合は「~」を使用した記載も可能
  • 委任状の期限は1ヶ月。超過した場合は104で調べた電話番号に本人確認の電話がある
書類の原本還付 その場で可
名義変更書類 郵送
(窓口で相続届を提出する)

三菱UFJ銀行

手続き先 全国の窓口
残高証明書請求書の代理記載 可能
通帳の要否 不要
発行方法 窓口もしくは郵送
発行日数 口座の支店:3営業日程度
郵送:受付日から1週間~10日程
必要書類
  • 被相続人と手続きをする相続人の戸籍謄本・除籍謄本
  • 手続きをする相続人の印鑑証明書と本人確認証明書
委任状を使用する場合 指定なし
書類の原本還付 その場で可
名義変更書類 窓口手渡し

みずほ銀行

手続き先 全国の窓口
残高証明書請求書の代理記載 可能
通帳の要否 不要
発行方法 郵送
発行日数 数日
必要書類
  • 被相続人と手続きをする相続人の戸籍謄本・除籍謄本
  • 手続きをする相続人の印鑑証明書と本人確認証明書
委任状を使用する場合 指定なし
書類の原本還付 その場で可
名義変更書類 窓口手渡し

三井住友銀行

手続き先 全国の窓口
残高証明書請求書の代理記載 可能
通帳の要否 不要
発行方法 郵送
発行日数 数日
必要書類
  • 被相続人と手続きをする相続人の戸籍謄本・除籍謄本
  • 手続きをする相続人の印鑑証明書と本人確認証明書
委任状を使用する場合 指定なし
書類の原本還付 その場で可
名義変更書類 窓口手渡し

りそな銀行

手続き先 全国の窓口
(全国どこでも可能だが後日郵送の場合も有)
残高証明書請求書の代理記載 可能
(各支店で取り扱いが異なるため個別確認が必要)
通帳の要否 支店により異なる
発行方法 支店により異なる
発行日数 支店により異なる
必要書類
  • 被相続人と手続きをする相続人の戸籍謄本・除籍謄本
  • 手続きをする相続人の印鑑証明書と本人確認証明書
委任状を使用する場合 指定なし
書類の原本還付 その場で可
名義変更書類 郵送
(原則は口座凍結届けの際に相続人に送付)

※りそな銀行の場合は、「りそな銀行」「埼玉りそな銀行」「近畿大阪銀行」で手続きが異なる場合があります。

詳しくは、口座のあるりそな銀行窓口へ問い合わせてください。

必読!残高証明書取得の際に注意すべきこと

電話連絡

相続のための残高証明書の取得には、必ず覚えておくべき注意点があります。

手続きに不備があると、相続に関するあらゆる手続きが遅れてしまいかねません。

確認しながら確実に手続きを進めましょう。

まずは金融機関に電話で問い合わせをしよう!

金融機関によっては、電話で被相続人が亡くなった事実を伝えなければ手続きができない場合があります。

まずは、金融機関に手続き方法や必要書類について問い合わせをしてから、書類を揃えて窓口に出向くのが得策です。

定期預金は「既経過利息計算書」も発行してもらう

定期預金の場合、残高証明書には元金の額が記載されますが、実際はそれに加えて被相続人が亡くなった日までの利息(既経過利息)がつきます。

既経過利息は相続財産に含まれ、残高証明書に記載がなくても解約時の受け取りが可能です。

定期預金は普通預金に比べて利息が高いので、被相続人の定期預金がある場合は、残高証明書とともに「経過利息計算書」も発行してもらうようにしましょう。

預金口座は凍結される

残高証明書の申請を行うと金融機関に被相続人の死亡の事実が伝わり、被相続人の口座は凍結されることを覚えておきましょう。

口座が凍結されると入出金ができなくなりますが、金融機関が独自に口座を凍結することはありません。

あくまでもこちらが被相続人の死亡を伝えた時点で、「これから凍結しますと」通告があり凍結されます。

口座の凍結により、それまで引き落としできていた公共料金などの支払いができなくなるため、速やかに引き落とし口座の変更手続きを行いましょう。

凍結を解除する際には、遺言書や遺産分割協議書、被相続人と相続人の戸籍謄本などの書類が必要で、手続きに時間がかかります。

ただし、葬儀費用や遺族の生活費などやむを得ない理由がある場合は、相続預金仮払い制度を利用して一定額まで引き出すことができます。

事業用の口座も凍結される

被相続人が個人事業主の場合、プライベートの預金口座が凍結されるのと同様に、事業用口座も凍結されます。

事業で使用していた口座からの支払いや入金などが一切できなくなるので、業務に支障が出る可能性があります。

そのため、被相続人の事業を引き継ぐ場合は、顧客やビジネスの流れを生前から把握しておくとよいでしょう。

残高証明書の疑問や相続に関するご相談は林商会にお任せください!

残高証明書は相続手続きに必要な書類ですが、「どのように取得すればよいのかわからない」という声を多く耳にします。

そのような残高証明書に関するお悩みや疑問、相続に関するご相談は、相続のプロに任せると安心です。

相続のプロ集団である林商会には、税理士・弁護士・司法書士などの専門家が在籍しており、お悩みに丁寧に寄り添って解決へと導きます。

まずは無料相談からお気軽にお問い合わせ・ご連絡ください。

お問い合わせ

まとめ

相続相談イメージ

残高証明書は、相続する財産を把握するうえで必要な書類です。

取得にはさほど手間はかかりませんが、すべての預貯金を調査するのに時間がかかる可能性があります。

この記事で解説した注意点を把握して、確実に手続きを進めましょう。

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