相続人が亡くなった!?代襲相続できる人の範囲や相続の割合、遺留分についても解説します

相続 代襲相続 アイキャッチ

相続に際して「代襲相続」という言葉を初めて耳にする方も多いのではないでしょうか?

代襲相続とは、相続が発生したときに遺産を相続するはずだった人がすでに亡くなっている場合に、子どもが代わりに相続人になる制度を言います。

この記事では、代襲相続できる人の範囲や相続の割合、注意点などについて解説します。

目次

【はじめに】代襲相続とは

代襲相続とは

代襲相続とは、本来相続人となるはずであった人物がすでに亡くなっている場合に、その下の世帯(子や孫)が代わりに相続する制度です。

代襲相続をした人物を代襲相続人、すでに亡くなっている相続人を被代襲者と言います。

代襲相続できる人の範囲はどこまで?

代襲相続できる範囲

代襲相続できる人の範囲について詳しく解説します。

【前提】法定相続人の範囲と順位

法定相続人とは、民法によって定められている相続人のことです。

法定相続人の範囲は、被相続人の配偶者と血縁者のみと定められており、優先順位は以下の通りです。

● 相続人:被相続人の配偶者
● 第1順位:子ども、子どもがいない場合は孫、子どもと孫がいない場合はひ孫
● 第2順位:父母、父母がいない場合は祖父
● 第3順位:兄弟姉妹、兄弟姉妹がいない場合は甥・姪

法定相続人の順位は、相続人がいない場合は第1順位、第1順位がいない場合は第2順位のように変わります。

法定相続人についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

法定相続人についてはこちら

被相続人の子どもの子ども(孫)の場合

被相続人の子どもが死亡していた場合は、被相続人の孫が相続人となり、その孫も死亡している場合は、孫の子どもやひ孫が代襲相続します。

つまり、代襲相続は直系卑属(直通する系統の親族)が連続する限り続きます。

被相続人の兄弟姉妹の子ども(甥・姪)の場合

被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合、被相続人の甥・姪が相続人として相続されます。

ただし、甥・姪が死亡している場合、その子どもや孫は代襲相続人にはなりません。

何代にもわたって代襲相続が発生する被相続人の子どもや孫のケースとは異なり、被相続人の甥・姪の場合は、一代限りです。

相続欠格・相続廃除された場合も代襲相続は発生する!

相続欠格相続廃除はどちらも、相続させたくない相続人の相続権を失わせることができる制度です。

本来相続するはずの人物が相続欠格・相続廃除で相続権を失った場合は、代襲相続が発生します。

相続の欠格・廃除については以下の記事をご覧ください。

相続の欠格についてはこちら

相続の廃除についてはこちら

代襲相続が発生したときの注意点

代襲相続の注意点

代襲相続が発生したときの注意点を5つ紹介します。

相続放棄すると代襲相続されない

相続放棄をした場合は、初めから相続人ではなかったとみなされるため、代襲相続は発生しません。

よって、被相続人にマイナスの財産がある場合でも、相続人が相続放棄をすればその下の世代には引き継がれない仕組みです。

祖父母には代襲相続は発生しない

相続が発生する前に父母が死亡している場合は祖父母が相続しますが、代襲相続には該当せず、あくまでも「最も親等が近い直系尊属としての相続」です。

したがって、父母のいずれかが存命の場合は、存命中の父または母のみが相続人になり、相続します。

養子は出生時期によって代襲相続権の有無が変わる

被相続人の養子は被代襲者になることができますが、養子の子の代襲相続権は出生時期によって異なります。

なお、養子の子が代襲相続できるか否かの判断は以下の通りです。

代襲相続ができる 代襲相続ができない
養子縁組後に生まれた養子の子(実子) 養子縁組前に生まれた養子の子(連れ子)

養子縁組をすると、養子の子どもは実の子どもと同等の権利をもてます。

そのため、代襲相続が可能ですが、上記のように出生時期には注意が必要です。

代襲相続で法定相続人が増える場合がある

代襲相続が発生すると、法定相続人が増える場合があります。

たとえば、相続人に子どもが2人いた場合、通常であれば1人で相続した財産を2人で相続しなければなりません。

代襲相続により基礎控除額が増えるというメリットはあるものの、遺産分割で揉めやすくなるため、注意が必要です。

特別な手続きは必要ないが、用意する書類が増える

相続が発生した場合に必要となる被相続人の出生から死亡までの原戸籍に加えて、代襲相続が発生した場合は、被代襲者の出生から死亡までの原戸籍も必要です。

また、この戸籍により代襲相続人が判明した場合は、代襲相続人の現在の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)も用意する必要があります。

代襲相続人の権利や遺留分について

襲相続人の権利や遺留分

代襲相続人の権利や遺留分について、詳しく見ていきましょう。

【注意】プラスの権利だけではなくマイナスの要素も継承する可能性がある

代襲相続には、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も含まれているため、注意が必要です。

マイナスの財産が多く相続放棄をする場合は、相続発生から3か月以内に家庭裁判所へ申請しましょう。

また、被代襲者が特別受益などを受けていた場合には、具体的相続分(法定相続分に調整要素を加味して修正した相続分)算定の際に考慮される点もマイナス要素として挙げられます。

代襲相続人の法定相続分

代襲相続人の法定相続分は以下の計算式で算出できます。

被代襲者の相続分÷代襲相続人の人数

たとえば、被代襲者の相続分4,000万円を被相続人の孫4人で代襲相続する場合、1人あたりの法定相続分は1,000万円です。

遺留分があるのは被相続人の子どもの代襲相続人だけ

遺留分とは、相続人が最低限もらうことのできる遺産取得分です。

遺留分の請求ができるのは兄弟姉妹以外の法定相続人であるため、甥・姪が代襲相続人になる場合にも遺留分はありません。

遺留分についての詳細は以下の記事をご覧ください。

相続の遺留分についてはこちら

代襲相続が発生したときの相続の割合はどうなる?

割合 天秤

代襲相続が発生した場合の相続の割合を、亡くなった相続人の直系卑属の場合と亡くなった兄弟姉妹の子どもの場合に分けて解説します。

亡くなった相続人の直系卑属(子どもや孫)の場合

亡くなった相続人の直系卑属に代襲相続が発生した場合、相続の割合は1/2です。

孫が2人いる場合は、1/2を2人で分けて1/4ずつに変わります。

亡くなった兄弟姉妹の子ども(甥・姪)の場合

亡くなった兄弟姉妹の子どもに代襲相続が発生した場合、相続の割合は1/4です。

代襲相続人である甥・姪が複数人いる場合は、子どもや孫に代襲相続が発生した場合と同様に、人数で均等に分けます。

代襲相続人以外の法定相続分は変わらない!

通常、同じ順位の相続人が増えた場合は、1人あたりの相続分が減ってしまいます。

しかし、代襲相続が発生した場合は、代襲相続人以外の「法定相続分」が変わることはありません。

ただし、相続人が増えると相続についての話し合いがまとまらない可能性があるため、互いの意見を尊重することが大切です。

注意!代襲相続人の相続税について

相続税

以下では、代襲相続人の相続税について解説します。

孫が代襲相続した場合の相続税は2割加算されない!

孫が祖父母の遺産を相続する場合は、原則として相続税が2割加算されます。

しかし、代襲相続の場合は被相続人の子に代わって相続し、相続税を納めなければならないため、2割加算はされません。

相続税の申告・納税が必要かどうかを確認しよう

相続税の申告・納税が必要かどうかは、以下の計算式で算出した基礎控除額で判断できます。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

相続財産が上記の式で算出した結果よりも少ない場合は、相続税の申告・納税をする必要はありません。

相続税の基礎控除についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

相続税の基礎控除についてはこちら

代襲相続と似ている!数次相続について

数次相続

代襲相続と似ている相続の制度に数次相続(すうじそうぞく)があります。

以下では、数次相続の概要と代襲相続との違いについて解説します。

数次相続とは

数次相続とは、被相続人の遺産分割協議が終わっていないうちに相続人が死亡し、次の相続が開始された状況のことです。

なお、同時に2つの相続が発生していることを「二次相続」、3つの相続が発生していることを「三次相続」と言います。

代襲相続と数次相続の違い

代襲相続と数次相続の違いは、被相続人が亡くなったタイミングです。

被相続人の死亡前に相続人が死亡したときは代襲相続が発生し、相続人の子が相続人に繰り上がります。

一方で被相続人の死亡後に相続人が死亡したときには数次相続が発生し、相続人の法定相続人全員が相続人となるのです。

代襲相続はトラブルになりやすい!?

トラブル

代襲相続はトラブルが起きやすいため、以下では、代襲相続でよくあるトラブルとその対処法を詳しく解説します。

代襲相続でよくあるトラブルと対処法

代襲相続でトラブルに発展し、弁護士に依頼したり裁判で争ったりすることになってしまうと、解決するまでに長い期間がかかってしまいます。

そのようなことにならないためにも、よくあるトラブルと対処法を事前に押さえておきましょう。

面識がない人・関係性の薄い人が相続人になる

特に、甥姪や前妻との孫に代襲相続が発生する場合、面識がなかったり関係性が薄かったりする人が相続人になるケースがあります。

親族間の事情を理解せずに相続権を主張してしまうと、反感を買ってトラブルの原因となってしまうため、お互いの事情や意見を尊重し合うことが大切です。

代襲相続人が親族の事情を考慮せずに権利を主張してくる

代襲相続人が親族の事情を考慮せずに権利を主張し、トラブルに発展するケースがあります。

この場合、親族間で事前に相続の内容を決めていたとしても、相続権のある代襲相続人の主張を否定するのは難しいのが現実です。

代襲相続人が相続手続きに非協力

代襲相続人が相続手続きに非協力というトラブルは、疎遠な人が代襲相続人になった場合に起こりやすい傾向にあります。

特に、相続人全員で行う必要のある遺産分割会議は、非協力的な相続人がいると話がまとまりません。

遺産分割会議は必ずしも直接会う必要はないため、メールや手紙、SNSなどで協力してもらうようにしましょう。

代襲相続人に相続させないよう財産を隠す

代襲相続人が相続することを快く思っていない相続人が、被相続人の財産を隠す可能性もあります。

財産を隠す行為に関しての罰則は現段階ではありませんが、後になって隠していた財産が他の相続人にバレてしまうとトラブルに発展してしまうでしょう。

そのため、相続の場では、被相続人の財産がすべてわかるような資料を収集・提示することが大切です。

代襲相続の疑問点や相談は林商会にお任せください

ここまで、代襲相続についてご説明してきました。

代襲相続は、違う世代の人や疎遠な人が相続人になる場合があるため、トラブルに発展しやすいと言われています。

そんな代襲相続のトラブルや疑問点は、ぜひ相続のプロ集団である林商会にご相談ください。

相続診断士のほか、弁護士、司法書士が随時ご相談を承っております。

まずは無料相談、無料お問い合わせからお気軽にご連絡ください。

お問い合わせ

まとめ

代襲相続とは、本来相続人となるはずであった人物がすでに亡くなっている場合に、その下の世帯が代わって相続する制度です。

代襲相続は、被相続人の甥・姪が相続する場合を除き、直系卑属が連続する限り続きます。

代襲相続は場合によってはトラブルにつながる可能性があるため、事前にできる範囲の対策をしっかりと行いましょう。

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