相続財産に含まれる財産と相続税の課税対象となる財産の範囲は?調査方法もわかりやすく解説!相続にまつわるご相談は林商会へ

相続 財産 アイキャッチ

相続財産の中には、相続財産か否かの判断や、その相続財産に相続税が課税されるかどうかの判断が難しいものがあります。

判断を誤って申告しなかったり申告が遅れたりしてしまうと、ペナルティが課せられるリスクもあるため注意が必要です。

そのようなリスクを避けるには、まず「相続財産とは何なのか」「課税対象となる相続財産・課税対象外の相続財産」などについて、理解しておく必要があります。

本記事では、相続財産に含まれる財産や課税対象となる範囲に加えて、相続財産の調査方法、判断に迷う財産の具体例などを紹介します。

相続財産とは

木のサイコロに書かれた「遺産相続」の文字

相続財産とは、「相続の対象となる資産や権利義務、負債」のことです。

最初に、相続財産に含まれる財産と含まれない財産を確認しておきましょう。

相続財産に含まれる財産

相続財産に含まれる財産には、以下のものがあります。

  • 動産(自動車、船舶、家財、骨董品、宝石、貴金属類、美術品など)
  • 不動産(宅地、農地、自宅、建物、借地権、借家権など)
  • 賃貸人、賃借人などの契約上の地位
  • 現金預貯金
  • 有価証券(株券、小切手など)
  • 権利義務(損害賠償請求権、損害賠償義務、連帯保証人など)
  • 負債(借金、滞納家賃、滞納税金など)

ここでのポイントは、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続財産になる点です。

不動産や動産などの資産価値があるものだけでなく、損害賠償義務や借金などの負債も相続財産に含まれるため注意しましょう。

相続財産ではない財産

相続財産に含まれない財産には、以下のものがあります。

  • 一身専属権利義務
  • 生命保険
  • 祭祀財産(仏壇、仏具、お墓など)

一身専属権利義務とは、被相続人「本人」でなければ成立しない、認められるべきではない権利義務のことです。

具体的には、養育費の請求権・養育費の支払い義務、生活保護・年金などの受給権、使用貸借の権利、国家資格などがあります。

生命保険は被相続人の財産ではなく、保険契約に基づいて受取人が受け取る「受取人固有の財産」とみなされるため、相続財産にはあたりません。

また、祭祀財産は民法897条により「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」と定められており、相続人が当然相続できる相続財産にはあたらないとされています。

みなし相続財産

被相続人が亡くなるタイミングで受け取る財産のことをみなし相続財産と言います。

相続や遺贈で取得するものではないため、民法上は相続財産にあたりません。

しかし、相続税法上は相続財産として扱われるので、こちらは課税対象です。

みなし相続財産には、主に以下のものがあります。

  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 3年以内の贈与

みなし相続財産は「課税の公平性」を図るための制度です。

民法上の相続財産ではないからといって課税しなければ、「すべての財産を生命保険金にしておこう」と考える人も出てくるでしょう。

そうなれば、「現金1,000万円を相続した人は相続税を払うのに、死亡保険金1,000万円を相続した人は払わなくてよい」という不公平が生じてしまいます。

このような不公平を避けるために、「相続があった」とみなして課税するのです。

相続税の課税対象になる財産

ルーペで拡大された「相続税」の文字

財産には、相続税の課税対象になる財産と課税対象外の財産があります。

相続税の課税対象

課税対象となる財産とは、「相続や遺贈により取得された資産価値のある財産すべて」です。

具体的には、動産、不動産、現金預貯金、有価証券などに相続税が課せられます。

また、以下の財産も課税対象です。

  • 死亡保険金・死亡退職金などの「みなし相続財産」
  • 被相続人の死亡前3年以内に贈与された財産
  • 相続時精算課税制度(※)を適用して贈与された財産

※生前贈与をするときに2500万円までは贈与税を非課税にし、贈与した人が亡くなったときに「遺産+過去に生前贈与した財産」に相続税を課税する制度

他にも、経済的価値のある「著作権」や、親が子どもに内緒で作っていた子ども名義の預金口座「名義預金」なども、相続税の課税対象です。

相続税の課税対象外

金銭的な価値がある財産は、基本的にすべて相続税の課税対象です。

しかし、例外的に課税対象外となる財産が法律で定められています。

主な課税対象外の財産は、以下の4つです。

1.祭祀財産

墓地・墓石・仏壇・仏具・仏像・神を祭る道具などの日常礼拝に使われるものは、課税対象外です。

ただし、祭祀財産であっても「金の仏像」のように売却してお金に替えられるものには、相続税が課せられます。

2.相続人が寄付した相続財産

相続人が相続財産を寄付した場合、その財産は課税対象外に分類されます。

ただし、寄付先は「国、地方公共団体」や、ユニセフ・日本赤十字・セーブザチルドレンなどの「公益を目的とする事業を行う法定の法人」のいずれかでなければなりません。

また、相続税の申告期限までに寄付する必要があります。

3.非課税枠内で相続人が受け取る生命保険金

相続人が受け取る生命保険は、「500万円×法定相続人」の金額まで非課税です。

4.非課税枠内で相続人が受け取る死亡退職金

生命保険金と同じく、死亡退職金も「500万円×法定相続人」の金額までは非課税です。

分割できない財産

遺産分割協議書と女性の手

相続人が複数人いる場合、被相続人が遺した財産は複数人の相続人間で一時共有となり、遺産分割によって個々の相続人が相続します。

しかし、すべての財産が遺産分割の対象となるわけではなく、性質上、遺産分割の対象とならない(分割できない)財産もあります。

主な分割できない財産は以下の通りです。

  • 受取人が指定されている死亡保険金
  • 受取人が指定されている死亡退職金
  • 死亡前の3年間に生前贈与された財産 など

受取人が指定されている死亡保険金や死亡退職金は、受取人固有の財産であるため、遺産分割の対象から外れます。

死亡前の3年間に生前贈与された財産も、相続によって取得した財産ではないため遺産にはあたらず、遺産分割の対象にはならないとされています。

相続財産の調査・手続き方法

遺産を相続する場合、相続財産として「何が」「どこに」「どれくらいあるのか」を調査しなければなりません。

相続財産を正確に把握しておかなければ、他の相続人が相続財産を隠している場合、遺産分割で損をする可能性があります。

また、思わぬマイナスの遺産まで相続してしまうリスクがあるため、注意が必要です。

ここでは、それぞれの相続財産の調査や必要な手続きを紹介します。

不動産

まず、自宅内にある「登記識別情報通知」や「権利証」を確認し、法務局で不動産の登記事項証明書を取得します。

不動産が複数ある場合は、該当する不動産を管轄する市区町村役場に申請して、「名寄せ帳(固定資産税課税台帳)」の写しを取得しましょう。

名寄せ帳には、地域内の不動産とその所有者名がまとめて記載されているため、状況の把握が容易になります。

預貯金

最初に、自宅に保管されている証書や通帳を確認します。

続いて、各金融機関から「相続開始時点における残高証明書」「相続発生前後の取引明細書」を取得しましょう。

すべての金融機関を回って申請するのが大変な場合は、司法書士に任せるのも一つの手です。

株式・FX・仮想通貨

ビットコインと棒グラフ・円グラフ

株式・FX・仮想通貨は、口座開設・残高通知・取引案内などの書類やメールがないか確認します。

書類やメールから口座のある証券会社やFX会社などが判明すれば、取引残高報告書を発行してもらいましょう。

保険

自宅の保険証書や保険会社からの郵便物を確認して、加入先の保険会社を調べます。

保険証書や郵便物が見つからない場合は、通帳の引き落としやクレジットカードの利用明細から調べる方法もあります。

保険会社がわかれば、契約情報の照会を行いましょう。

借金・負債

借金や負債の調査では、以下のものを確認します。

  • 通帳からの引き落とし
  • 契約書
  • 督促状
  • 返済の明細書、
  • 消費者金融のキャッシュカード
  • 債権者から届いた請求書などの郵便物
  • 各種利用明細書 など

それでも不明の場合は、「JICC」「CIC」「JBA」などの各信用情報機関へ情報公開請求すれば、借入状況を把握できる可能性があります。

相続財産の調査や申告を怠ると?

相続税の申告書と×マーク

怠った際のリスク

相続財産の調査や申告を怠ると、相続税の滞納・未払いとして以下のペナルティを課せられるリスクがあります。

1.延滞税

納付期限を過ぎてから相続税を納付した場合は、延滞日数に応じた利息に相当する金額が延滞税として課税されます。

2.過少申告加算税

過少申告加算税は、申告金額の不足により税務署の指摘を受けて修正申告した場合に課税されます。

過少申告加算税の額は、追加納付した金額の10%です。

ただし、追加納付金額が最初に申告した相続税額を超えている場合や、50万円を超えている場合は、超えた部分に対して15%が課税されます。

3.無申告加算税

無申告課税は、正当な理由なく納付期限内に相続税の申告をしなかった場合に課せられます。

納付期限後に自主的に申告した場合は、追加納付した税金額の5%です。

ただし、税務署の指摘によって期限後に申告した場合は、追加納付した税金額の15%を支払わなければなりません。

なお、追加納付税額が50万円を超えている場合は、超えた部分に対して20%が課税されます。

4.重加算税

重加算税は、相続財産を意図的に隠ぺいしたり偽ったりした場合に課せられる税です。

申告書の内容に隠ぺいや虚偽がある場合は、追加納付した税金額の35%、意図的に申告していなかった場合は追加納付した税金額の40%が課税されます。

判断が難しい財産の例

財産の中には、相続財産にあたるかどうかの判断が難しい財産もあります。

1.被相続人が経営していた会社(法人)

会社(法人)は、財産だけでなく負債が混在している場合があるため、相続財産になるかどうかの判断が難しくなります。

株式会社の場合は、会社そのものは株主や出資者のものであるため、相続財産にはなりません。

しかし、被相続人が株式を保有していた場合には、株式や出資持分は対象です。

2.連帯保証人

被相続人が他人の連帯保証人になっていた場合、相続人は連帯保証人としての地位を相続する必要があります。

相続した時点で債務者が返済をしていれば問題ありませんが、債務者の返済が滞って被相続人に請求がきていた場合は、マイナスの相続財産になるため注意が必要です。

3.被相続人が住んでいた借家

被相続人が借家に住んでいた場合は、賃貸契約を解約しない限り賃料の支払い義務がを相続されます。

4.借地権

被相続人が土地を借り、そこに建物を建てて住んでいたような場合は、相続人は借地権者の地位を相続します。

そのため、借地の賃料の支払い義務が発生します。

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まとめ

相続について士業に相談する女性

ひとたび財産を相続するとなれば、相続財産の把握から調査・評価まで、やるべきことが多岐に渡ります。

相続財産の把握や調査を怠って適切に申告をしなかった場合は、加算税などのペナルティを受ける可能性もあるため注意が必要です。

しかし最大のリスクは、マイナスの遺産まで相続してしまうことでしょう。

相続財産を正しく把握しておけば、相続放棄などの手段を講じることも可能です。

相続財産の調査や評価には専門知識が必要なので、専門家に相談するのもよいでしょう。

 

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