「田舎の実家の土地を相続すべきかどうか迷っている」「相続した田舎のいらない土地を何とか活用したい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
田舎の土地は、所有するだけで固定資産税や維持管理費がかかるだけでなく、放置しておくとさまざまなトラブルを招きかねません。
この記事では、田舎の土地を相続すべきかどうかの判断基準や相続したときの処分・活用方法について、詳しく解説します。
目次
【はじめに】田舎の土地を相続すべき?迷っているときの判断基準
田舎の土地を相続するメリットとデメリットを把握しよう
田舎の土地を相続する前に確認しておきたいのが、メリットとデメリットです。
田舎の土地を相続するメリット
田舎の土地を相続するメリットには、相続税の負担を抑えられることや土地活用ができることが挙げられます。
相続税は相続税評価額をもとに計算されます。
相続した土地の相続税評価額は、時価の8割ほどの「路線価」で計算されるので、土地を売却して現金を相続するよりも土地を相続したほうが相続税の負担が軽くなります。
また、田舎の土地に住んでいない場合でも、将来的に家を建てたり賃貸アパートや駐車場を経営したりといった土地活用をするなどの選択肢が広がるのも、メリットです。
さらに、相続したときには価値が低かった土地も、再開発や観光地化などによって今後価値が上がる可能性があります。
土地の価格が上がったタイミングで売却をすれば、大きな利益を得ることができます。
田舎の土地を相続するデメリット
田舎の土地を相続するデメリットには、管理の手間やコスト、活用できない可能性などが挙げられます。
所有者には土地の維持管理をする義務がありますが、住んでいる場所から遠い田舎の土地だと大きな負担になります。
業者に管理を依頼する場合にはコストがかかるうえ、使っていない土地でも固定資産税を納めなければなりません。
また、収益が発生するような土地活用ができれば問題ありませんが、田舎の場合は賃貸物件や駐車場などにニーズがなく赤字になるケースもあるので、注意が必要です。
金融資産とのバランスを確認しよう
いらない土地を財産として遺されたとき、相続放棄を選ぶこともできます。
以下のような場合は、相続放棄を検討するほうがよいでしょう。
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田舎の土地を相続放棄する手続きの流れと注意点
田舎の土地の相続放棄は可能ですが、以下の3点には注意が必要です。
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田舎の土地を含むすべての財産を相続放棄する場合、相続放棄申述書を作成して家庭裁判所に申し立てをします。
具体的な手続きの流れは以下の通りです。
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申し立てには、被相続人の住民票の除票や申述人の戸籍謄本など複数の書類が必要です。
相続放棄の申し立ての期限は相続が発生してから3か月以内と決められているため、期限内に手続きができるように早めに準備を進めましょう。
土地や不動産の相続放棄について更に詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。
田舎の土地がいらない場合の処分方法は!?
いらない田舎の土地はどうやって手放せばよいのか、その方法を詳しく見ていきましょう。
売却する
田舎の土地を売却する手続きの流れ
田舎の土地を売却する手続きの流れは、以下の通りです。
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土地を売却するためには隣地との境界線を明確にする必要がありますが、山林や田畑のような広い場所は測量しないケースも多いのが現状です。
田舎の土地の売却は難しい!?理由
田舎の土地は売却自体が難しいケースが多く見られます。
相続放棄したいと考えるような土地は、一般的にニーズが低く買いたい人も少ないからです。
スムーズに売却できない場合が多いので、複数の不動産会社に相談してみましょう。
田舎の土地を売却する方法は、以下の2つです。
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少しでも高く売りたい場合は、個人に売却する方がよいでしょう。
しかし買い手が見つかるまでに時間がかかる可能性が高いので、早く現金化したい方には不動産会社に買い取ってもらう方法がおすすめです。
複数名で共有している土地を処分するときの注意点
共有財産として所有している土地を、勝手に処分することはできません。
名義変更や処分の際には共有者全員の同意が必要なため、共有者の中に反対する人がいると、土地を処分するのが難しくなります。
土地を処分するためにはすべての共有者に了承してもらわねばなりませんが、納得してもらえないこともあるでしょう。
そのような場合には、以下のように共有関係を解消して土地を手放す方法をとらねばなりません。
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譲渡する
買い手が見つからない場合は、土地を譲渡できる人を探すのも一つの方法です。
まず交渉したいのが、手放したい土地と隣接する土地の所有者です。
隣地の所有者には、以下のような活用方法やメリットがあります。
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ただし、土地の価格が基礎控除の110万円を超えた場合は、受け取った人に贈与税が課税される点には注意が必要です。
そのほか登録免許税や不動産所得税なども発生するため、よく相談をしたうえで譲渡するかどうかを決めましょう。
寄付する
国や自治体は、利用目的がある場合に限り、土地の寄付を受け付けています。
また、土地を活用できる公益法人や一般企業に寄付する方法もありますが、寄付した側には所得税、寄付された側には贈与税が課せられることもあるので、注意しましょう。
空き家バンクに登録する
空き家バンクは各自治体が運営する不動産情報サイトで、空き家を貸したい人と借りたい人をつなぐサービスを提供しています。
なかには建物がない土地を登録できる場合もあり、珍しい物件や手頃な物件を求めてサイトを訪れる人が多いので、いらない土地の購入希望者が見つかるかもしれません。
農地委員会の斡旋サービスを受ける
相続した土地が農地の場合は、その土地の自治体の農業委員会に届出を出しましょう。
農業委員会では、農地の管理や借り手の斡旋サービスを行なっています。
農業をしていない農地は固定資産税が高くなるので、農地のまま保有するのであれば利用するべきサービスです。
また農地以外に転用したい場合も、農業委員会や自治体への手続きが必要な点には注意しましょう。
【事前準備がポイント】田舎の土地を賢く処分するコツ
草むしり・整備は入念に行う
いかにも長年放置されているような、整備されていない土地は買い手に選ばれません。
少しでも第一印象が良くなるように、以下のような整備をしておきましょう。
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土地処分を請け負うさまざまな団体・サービスを確認する
売れにくい田舎の土地を処分するには、不動産会社以外の団体やサービスなどを幅広く確認しておくことも大切です。
管理されず放置されている土地は、雑草やゴミの不法投棄などで荒れてしまう可能性があり、大きな社会問題となっています。
いらない土地の処分を積極的に支援する自治体やNPO法人もあるので、事前に調べておくとよいでしょう。
立木などが売れないか確認する
立木や庭木、大きな庭石などは土地から離れない定着物と見なされますが、土地とは別に買い取ってもらうことも可能です。
更地にしてから土地を売却する場合は、立木や庭木を買い取ってくれるお店に依頼してみることをおすすめします。
田舎の土地を活用するなら…この5つがおすすめ
相続した田舎の土地を活用する、おすすめの方法をご紹介します。
太陽光発電
田舎の土地を有効活用できる方法の一つが、太陽光発電です。
太陽光発電は、再生可能エネルギーとして今後も高い需要が見込まれ、広い田舎の土地で安定した収益が得られる活用方法です。
住宅などでは屋上に作られる太陽光発電システムですが、田舎では新たに高さのある建物が建つ可能性が低いため、地面に近い場所でも設置できます。
設備投資の初期費用は必要ですが、その費用は12〜13年で回収可能です。
初期費用を回収した後は、電力会社に買い取ってもらう電力のすべてが利益になります。
戸建て賃貸住宅
戸建賃貸住宅は、アパートやマンションなどと違いたくさんの入居者を集める必要がないことから、田舎の土地活用として注目されています。
集合住宅を建設する際には立地や土地の形状が重要ですが、戸建住宅であれば比較的自由に建てることができます。
初期費用も抑えられ、アパートやマンションよりも高い家賃を回収できるのも魅力です。
資材置き場
土木業者などに資材置き場として貸す活用方法は、整備の必要がないので、差し当たっての土地活用として注目されています。
資材置き場を必要としている業者に心当たりがある場合は、相談をしてみるとよいでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
生活には不便な田舎でも高い需要があるのが、サービス付き高齢者向け住宅です。
自分で経営する以外にも、建物を事業者に貸し出したり介護サービスを外部に委託したりするなどの活用方法があります。
少子高齢化が進む日本では今後さらにニーズが高まるため、田舎の広い土地を相続する場合の活用方法として有力候補になるでしょう。
トランクルーム
トランクルームは荷物などを収納するための貸しスペースで、個人向けの小さなものから倉庫のような広いタイプまで種類はさまざまです。
田舎の土地の場合は、立地の良い場所では難しい大きなトラクルームを設置したり賃料を安くして利用者を増やしたりすることができます。
また、トランクルームを経営する企業に貸し出す方法もあるので、手間をかけずに土地活用をしたい場合にもおすすめです。
知ってた!?土地に関する新制度
人口の減少や高齢化によって持ち主がわからない土地が全国的に増えている現状を踏まえ、新たな制度が作られました。
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法
令和元年6月1日に全面施行された所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法により、長年登記されていない土地の法定相続人に、登記官が手続きを促すことが可能になりました。
また、大きな施設を作るときなどに事業者は必要な土地を取得しますが、所有者不明の土地があるとその作業が進みません。
この特別措置法により、事業者は事業の公益性について認定を受けたうえで所有者不明の土地を取得できるようになりました。
また道路や学校、公園などの地域福利増進事業に利用したい場合は、知事の裁定によって使用権が設定され、土地を利用できます。
相続土地国庫帰属制度
2023年4月27日から開始される相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で手にした土地を国に返すことができる制度です。
この制度を利用するには法務大臣の承認を受ける必要があり、以下の10項目に該当していないことが要件になっています。
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また、承認を受けて土地を国庫に帰属させるためには、10年分の土地管理費用を納めなければなりません。
【絶対NG!】いらない田舎の土地を放置すると、リスク満載
いらない田舎の土地を相続したまま放置すると以下の4つのリスクがあるので、避けるようにしましょう。
固定資産税がかかる
使っていない土地でも、所有しているだけで固定資産税が課せられます。
固定資産税は以下の計算式で算出されます。
固定資産税額=固定資産税評価額×1.4%(標準税率) |
固定資産税評価額は毎年1月1日時点の土地の公示価格の70%が目安となっています。
田舎の土地を放置している間も毎年課税されるので、最低でも固定資産税を回収できる額の収益が出るような土地活用をするか、早めに手放すことを検討しましょう。
維持管理費がかかる
土地に建物が建っている場合、放置していると老朽化による倒壊の恐れがあります。
また更地であっても、放置していると雑草やゴミの不法投棄などで荒れてしまう可能性があるので、定期的に管理をしなければなりません。
住んでいる場所から離れた田舎の土地の場合、わざわざ土地の管理のために足を運ぶ必要があり、時間的にも経済的にも大きな負担となるでしょう。
自分で管理できない場合は業者に依頼することもできますが、費用が発生してしまいます。
近隣とのトラブルが発生
田舎の土地を長く放置してしまうと、近隣とのトラブルにつながりかねない、以下のような問題発生のリスクが高まります。
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知らない間にこのような事態にならないように、定期的な確認や見回りを依頼するなどの工夫が必要です。
次世代に相続問題を先送りしてしまう
田舎の土地を放置したまま次の相続が発生すると、次世代に引き継がせてしまうことになります。
また、相続人が増えて土地の処分や活用を進めるのが難しくなる場合もあるので、早い段階で田舎の土地の対応を決めるようにしましょう。
田舎の土地の相続についてのご相談は林商会にお任せください
いらない田舎の土地を処分したり相続放棄したりする際には、さまざまな注意点があります。
専門知識が必要で煩雑な手続きも多いため、専門家に対応を任せたほうがスムーズで安心です。
林商会では、弁護士や司法書士などの専門家が、確かな知識と豊富な経験をもとにお悩み解決のお手伝いをさせていだきます。
田舎の土地の相続でお悩みの方は、無料相談、無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。
まとめ
相続した田舎の土地は、管理せずにそのまま放置しておくとさまざまなトラブルにつながりかねません。
また使っていない土地でも固定資産税が毎年課税されるので、経済的な負担も大きくなります。
まずは相続するかどうかを決定し、土地の対応を検討しましょう。
田舎の土地の相続についてお困りの際は、ぜひ林商会にご相談ください。