墓友という言葉をご存知でしょうか。
墓友とは同じ墓に入る約束をした友達のことで、近年では単身の高齢者の増加に伴い墓友を作る人も増えています。
ここでは墓友についてメリットやデメリットを交えながら解説します。
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墓友とは?
墓友の存在は、終活を進めていくうえで非常に重要です。
日本では先祖代々、1つのお墓に入ることが一般的でしたが、現代の日本ではお墓の在り方が大きく変わろうとしています。
そのなかでも時代の変化とともに、大きな注目を集めているのが墓友です。
まずは、基本的な意味について確認しておきましょう。
同じ墓に入る約束をした友人関係
墓友とは、共同で購入したお墓に一緒に入る友達のことです。
特定非営利活動法人エンディングセンターが「墓友」という言葉を商標登録したことで、その存在が多くの人に認知されるようになりました。
お墓は血縁関係のない人とも入れるため、最近は墓友同士でお金を出し合ってお墓を購入するケースが増えています。
おひとりさまの間で増えている
「おひとりさま」は単身の方を指す言葉です。
近年では、未婚で子どもがない、熟年離婚をして一人暮らしをしている、配偶者に先立たれた、といったさまざまな事情で高齢のおひとりさまは増加しています。
死後1人でお墓に入るのは寂しい、誰かと一緒に入りたい、といった理由から墓友を探す傾向にあるようです。
墓友探しは終活での大きなテーマ
墓友を見つけられるかは、終活の大きな課題でもあります。
一緒のお墓に埋葬される墓友は、生きている間だけでなく、死後まで関わりを持つ重要な存在です。
自分らしい最後を迎えるには、意見や死生観の合う墓友が必要ですが、すぐに見つかるとは限りません。
墓友が見つかれば終活もスムーズに進みますが、焦って適当に墓友を選んでしまうと、あとでトラブルが生じる可能性もあります。
墓友を探してお互いの信頼関係を深めていくには、ある程度時間がかかります。
自分が納得できる墓友を本気で探したいなら、早めに行動に移しましょう。
終活で墓友を作る人が増えた理由
墓友が広まった背景には、時代の流れに伴う価値観の変化や、少子化などの社会問題があります。
以下に詳しく説明します。
生死に対する価値観の変化
近年の日本では「家族」から「個人」の時代に変化するとともに、自分の死後の在り方を自由に選択できる時代に変わりつつあります。
家族に縛られたくない、最後は自分らしくありたい、といった価値観の変化が墓友を作る背景にあるのです。
実際に墓友を作るのは女性が多いといわれています。
女性の中には、結婚後に育児や家事に追われて、自分らしい人生を歩めなかったと認識している人もいます。
離婚はしなくても、夫の先祖と同じ墓に入りたくない、家のしがらみから解放されたい、と考えている人が墓友を探すのです。
少子化による継承者の不足
超少子高齢化社会に突入した日本では、お墓を継承する人が減少しています。
せっかくお墓を建てても、そのお墓を継承する人がいなければ無縁仏になってしまいます。
子どもがいても、その子どもが結婚しなければ、お墓を次の世代に引き継ぐこともできません。
また、お墓の管理などで子どもや孫に迷惑をかけたくないといった理由から、お墓を作らない人もいます。
未婚率上昇に伴っておひとりさまが増えた
結婚しないまま生涯を終える人が増えたことによって、高齢者の一人暮らしも増えています。
身寄りが無く、相談相手もいない高齢者にとって、お墓は頭を悩ませる問題です。
まだ元気なうちに、お墓の購入や死後の在り方を決めなければなりません。
1人で判断するのが難しい、社会からの孤立を避けたい、といった悩みを抱える高齢者を中心に墓友が注目されています。
墓友を作るメリット
墓友を作ると交友関係が広がり、死後の不安も減ります。
世間で墓友が大きく注目されているのは、多くの魅力があるからです。
ここでは、一つひとつのメリットについて詳しく紹介します。
生きている間にも深い付き合いの相手が増える
墓友は終活の相談相手にもなってくれます。
気が滅入りやすい終活の中で、悩みを共有できる墓友は心強い存在です。
高齢になると新しい友人を作ることも難しくなりますが、同じ価値観を持つ墓友や頻繁に連絡を取り合える墓友がいると、孤独になる不安が和らぎ、老後が充実します。
お墓の知識が豊富な人と墓友になれれば、困ったときにアドバイスをもらえるでしょう。
交友関係が増えると、うつ病や孤独死になるリスクも軽減され、終活が有意義なものになります。
無縁仏にならない
せっかくお墓を建てても、お墓を継承してくれる人がいないと、誰にも供養されずに無縁仏になってしまいます。
また継承者がいたとしても、無縁仏になるリスクはゼロではありません。
死後の孤独を避けるためにも、同じ価値観を持つ墓友を作ることは大切です。
共同でお墓の費用を出しあえる
お墓の費用負担を少なく抑えるうえで、墓友は役立ちます。
お墓を買うのにいくらかかるかは立地条件などによって異なりますが、一般的に100〜200万円ほどかかります。
これをすべて1人で買うと大変ですが、共同購入すれば費用を安く抑えられるのです。
血縁に縛られない自分らしい埋葬のされ方
死生観が似ている墓友を見つけられれば、理想の埋葬を実現できます。
今の時代、すべての人が家族と同じお墓に入りたいと思っているわけではありません。
最後は価値観の合う人と一緒になりたいと思う人も増えているのです。
血縁や従来のスタイルに縛られない自分らしい最後を迎えたい、新しい供養の形を選びたいと考えている人にとって、墓友は魅力的な存在だといえるでしょう。
墓友を作るデメリット
墓友を作ることはよいことばかりではありません。
以下に紹介するデメリットを把握したうえで、墓友を慎重に作るようにしましょう。
周囲の理解を得づらい
墓友を作ることができても、周囲の理解を得るのに苦労することがあります。
墓友という存在は、まだ世の中に定着しきってはいません。
日本では代々、同じ墓に入るという風習が根強く残っています。
お墓の在り方が変わってきたとはいえ、墓友の存在に驚かれることが多いのが現実です。
墓友と仲が悪くなるとトラブルに
お墓の所有権や場所選び、費用負担などで墓友と言い争いが起きると、トラブルに発展する可能性もあります。
そのようなトラブルを避けるためにも、墓友は安易に選ばず、自分が納得するまで相手とよく相談してから決めましょう。
墓友は人生最後の親友になり得る存在です。
短期間で意気投合してお墓を購入してしまうと、あとでお互いの価値観の違いに気づいたときに後悔するかもしれません。
価値観を共有できる相手を選ぶためにも、一緒に旅行に出かけたりして、時間を積み重ねてみましょう。
血縁者がいた場合トラブルになることも
家族に相談もせず勝手に墓友を作ってしまうと、親族間のトラブルに発展するケースもあります。
親族の中には、同じお墓に入りたいと思っている人もいるでしょう。
自分の考えを親族が全員受け止めてくれるとは限りません。
にもかかわらず、勝手に手続きを進めてしまうと、血縁者が家族の遺骨を引き渡さず、墓友に迷惑をかける恐れもあります。
血縁者と無用なトラブルを引き起こさないためにも、事前に了解を取っておきましょう。
墓友は終活の中で見つける
死後のことを相談できる相手がいない場合は、終活中に新たな友人を見つけてみましょう。
出会いの場はさまざまな場所に用意されているので、自分に適した場所を選んでみてください。
墓友サークル
近年は墓友サークルを運営する地方自治体や公益法人、NPO団体などが増えています。
このようなサークルには同じ目的を持つ人たちが集まっており、定期的にイベントを開催しているので、気の合う仲間を見つけやすいでしょう。
一般的には話しづらい内容でも、サークルに参加している人とは目的が同じなので気兼ねなく話せます。
サークルは新たな友人を見つける場所だけではなく、情報交換をする場所としても役立ちます。
集まりに参加
自治体や葬儀社などが主催する終活セミナーや、墓地が主催する集まり、お寺の法要などには死後に向き合おうとする人たちが参加しています。
そのような人たちとは死後の悩みを相談しやすいですし、意見の合う墓友も見つけやすいでしょう。
墓友探しを支援する終活セミナーもあるので、ホームページなどで情報をチェックしておくことをおすすめします。
インターネット
サークルやセミナーに参加するのが難しい場合は、オンライン上で墓友を探してみましょう。
墓友を募集する交流サイトやSNSを利用すれば、全国各地の人と簡単に知り合うことができます。
お互い顔を見せなくてもいいため、お墓についても気軽に相談できるでしょう。
ただし、遠方の人と墓友になる場合は、お墓の購入場所が見つらない可能性もあります。
詐欺や悪徳商法などの危険性もあるため、十分注意しながら、よく話し合って決めましょう。
墓友に関する注意点
墓友に関するトラブルを回避するために、注意すべきポイントを紹介します。
永代供養を選ぶ
永代供養とは、寺院や霊園が管理や供養をしてくれる埋葬方法です。
墓友と入る場合は、永代供養にしておくのが無難です。
せっかく墓友ができたとしても、両方亡くなってしまうと供養をする人がいなくなり、お墓は無縁墓として処分されます。
それでは、墓友を作った意味がありません。
お墓の管理者が法要をしてくれる永代供養墓であれば、墓友の両方ともが亡くなった後も安心です。
ただし、永代供養といっても、永久に供養してくれるわけではありません。
あらかじめ埋葬期間が定められているため、一定期間を過ぎると、遺骨は他の人と合祀されてしまいます。
安置期間は、一般的に33回忌までのところが多いですが、異なる場合もあるので事前に確認しておきましょう。
共同墓を建立する場合は費用負担を明確に
共同墓を建立する際の負担費用の内訳は、墓友と事前にしっかり話し合うことが必要です。
お金のことを曖昧なままにしておくと、後々トラブルにつながります。
お互い不公平さを感じることがないよう、費用分担はきちんと話し合っておく必要があります。
家族がいる場合は墓友の存在を伝えておく
墓友を作る前に家族の意向を聞き、自分の意見もしっかり伝えておきましょう。
家族は一緒のお墓に入りたいと思っているのに、事前に承諾を得ずに手続きを進めてしまうと、あとで遺族間トラブルに発展することもあります。
自分が亡くなった後にお墓参りをするのは家族ですので、勝手に決めてしまわないように気を付けましょう。
配偶者がいる場合、一緒のお墓に入らないことを伝えると、夫婦関係に支障をきたす可能性もあります。
自分の考えについて理解を得られるように、会話を重ねる努力も大切です。
まとめ
時代の変化とともに、日本人の死生観やお墓の在り方などが大きく変わりつつあります。
お墓に入る相手を自由に選べるようになった現代社会では、墓友探しが一般的になるでしょう。
死後も自分らしくあるために、信頼できる墓友を見つけて有意義な終活をしてください。
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