日本の慣習では、本家のお墓には長男が入り、次男は新しくお墓を建てるのが一般的です。
しかし、新しくお墓を建てるとなると費用がかかるので悩ましいでしょう。
そこで今回は、現代でも次男は新たにお墓を建てる必要があるのかについて解説します。
本家のお墓に入れるケースと入れないケース、入れない場合の対処法も併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
次男は新たにお墓を建てる必要がある?
はじめに、次男は新たにお墓を建てる必要があるのかについて、慣習と法律の両面から解説します。
先祖代々続く本家の墓は長男が入るもの
日本の古くからの慣習では、先祖代々続く本家のお墓には、長男とその家族が入るものと考えられています。
そのため、慣習に従うなら次男は新たにお墓を建てる必要があるでしょう。
しかし、お墓に関する規定を設けた「墓地、埋葬などに関する法律」は、1つのお墓に埋葬できる人の範囲を規定していません。
つまり、法律上は次男も本家のお墓に入ることが可能です。
お墓の所有者が認めれば次男も入れる
法律上は問題なくても、実際に入れるかどうかを決めるのはお墓の所有者です。
本家のお墓に入りたい場合は、事前に所有者の許可を取っておきましょう。
お墓の所有者が納骨を認めれば、次男でも本家のお墓に入れます。
ただし、埋葬できる人の範囲を本家の人間のみとしている墓地もあるので、併せて確認しておきましょう。
お墓の継承者は法律により決定される
お墓に埋葬できる人の範囲には規定がありませんが、継承者は法律によって決まります。
民法では、お墓の前所有者が新しい所有者を指名していない場合、慣習に従って継承者を決めなくてはなりません。
日本では、本家のお墓を長男が引き継ぐため、必然的に長男が継承者となる傾向にあります。
次男が本家のお墓に入れるケース
次男が本家のお墓に入りやすいケースは、以下の2つです。
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次男が独身の場合、お墓の関係者が煩雑化する心配もないため、お墓の所有者の許可も取りやすいでしょう。
また、次男夫婦に子どもがいない場合も、本家のお墓に入りやすいと考えられます。
新しくお墓を建てても継承者がいないうえに、残された妻のお墓を建てる負担が大きくなるためです。
この場合、本家のお墓に入るか、配偶者の家のお墓に入るケースが多いでしょう。
次男が本家のお墓に入れないケース
次男が本家のお墓に入りづらいケースは、以下の2つです。
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次男夫婦に子どもがいる場合、次男が本家のお墓に入ると後々お墓の関係者が煩雑化しやすいため、お墓の所有者の許可も取りづらいでしょう。
子どもがいる場合、新しくお墓を建てても継承できるので、建墓を考えてみることをおすすめします。
お墓の所有者と交流があまりない場合は、そもそも納骨の相談がしづらいでしょう。
また、すでに継承が進み、長男の息子がお墓の所有者となっているケースなども挙げられます。
甥家族のお世話になると考えると、本家のお墓に入る決断に踏み切れない場合が多いようです。
本家のお墓に入れない場合の対処法3つ
お墓の所有者の許可が得られないなどの理由で本家のお墓に入れない場合の対処法を、以下で3つ紹介します。
1.新たにお墓を建てる
自分で新たにお墓を建てる方法が最も一般的です。
納骨したい霊園や墓地を購入し、墓石を選んで建てるので、自分好みのお墓が作れます。
自分だけではなく妻や子ども、その後に続く子孫にもお墓を継承できるので、家族のつながりが感じられるでしょう。
子どもがいない場合は夫婦2人だけが入る「夫婦墓」などもあるので、検討してみてください。
お墓を購入する手順や費用などを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
2.永代供養墓を選択する
子どもがいないなどの理由で新しくお墓を建てるか迷っている場合は、永代供養墓を選択しましょう。
永代供養墓とは、お墓の供養や管理を永代にわたって寺院や霊園が代行するお墓のことです。
以下では、主な永代供養墓を4つ紹介します。
合祀墓(ごうしぼ)
血縁に関係なく、他の方の遺骨と一緒に埋葬するお墓です。
費用は3〜10万円程度で、最も安くお墓が建てられます。
しかし、遺骨が他の方のものと混ざるので、1度納骨すると取り出せません。
樹木葬
墓石ではなく、樹木の下に納骨する新しい形のお墓です。
1本の樹木を個別に用意する個別型や、大きな樹木のもとに他の方の遺骨と一緒に埋葬する集合型などがあります。
土に還るイメージから人気が高まっている自然葬ですが、骨壺などに入れて納骨するのが一般的です。
一定期間が過ぎるとなかには合祀墓に移されるケースもあるので、樹木葬を選ぶ際は事前に確認しておきましょう。
納骨堂
建物内に遺骨を納骨する形のお墓です。
ロッカー式や仏壇式、機械式などさまざまな種類がありますが、壁一面に区切られた壇が並んでいて、そのスペースに納骨するロッカー式が多い傾向にあります。
1世代だけではなく、管理費を払い続ければ通常のお墓と同じように継承できるものもあるので、納骨堂を検討する際は問い合わせておきましょう。
個人墓
見た目は通常のお墓と変わらないお墓です。
永代供養がついているため、継承する人がいなくても個別で納骨できます。
他の人と一緒のお墓に入りたくない方におすすめですが、費用は通常のお墓を建てるときと同じくらいかかるでしょう。
3.散骨する
お墓を作りたくない場合は、散骨する選択肢もあります。
散骨とは、粉末化した遺骨を海や山に撒く比較的新しい埋葬方法です。
生前に希望場所を伝えておけば、自分が望む土地に散骨してもらえます。
本家のお墓に関するよくある質問
最後に、本家のお墓に関するよくある質問をまとめました。
三男以降または娘も入れる?
三男以降や娘でも、本家のお墓に入れます。
その場合は次男のときと同様に、お墓の所有者の許可が必要です。
娘が結婚して本家を出ている場合は、本家と嫁ぎ先のお墓を1つにまとめた「両家墓」を建てる選択肢もあります。
次男が墓守になるケースは?
次男が墓守になるケースも0ではありません。
お墓の前所有者が次男を墓守に指名した場合や、長男が継承を拒否した場合に起こり得るでしょう。
お墓に入れる人数は?
お墓に入れる人数に関しては、法律上での規定はありません。
ただし、納骨室(カロート)にスペースがなければ入れないため、空きスペースがない場合は遺骨をまとめたり粉骨にしたりなどの対応が必要です。
また、永代供養墓の場合は人数規制がある契約も多いので、確認しておきましょう。
まとめ
今回は、次男は新たにお墓を建てる必要があるのかについて解説しました。
本文でも述べたように、次男が本家のお墓に入れるかどうか、法律で定められたルールはありません。
お墓を建てるか悩んだ際は、本家のお墓の所有者に相談しつつ、自分に合った方法を選択しましょう。