お墓の外柵は、年数の経過とともに劣化していきます。
ひび割れやズレを見つけると、リフォームを検討する方も多いのではないでしょうか。
外柵にはいくつかの種類とデザインがあり、それぞれ費用が異なります。
本記事では、外柵の種類やデザイン、リフォームにかかる費用の相場を解説します。
リフォーム費用を抑えるための修理についても説明するので、参考にしてください。
目次
お墓の外柵とは
お墓の外柵とは、お墓を囲む外枠のことで「がいさく」と読み、構造的に最も重要な部分で、地崩れや陥没を防ぐ役割があります。
2tある墓石を倒れないようにしっかりと支える、お墓の基盤になる部分です。
外柵の意味
お墓とお墓の境界線を示す意味がある外柵ですが、宗教的な意味合いでは、あの世とこの世の境目とも言われています。
外柵が具体的にどの部分を指すかは宗教や地域、石材店により異なるので、気になる方は尋ねてみるとよいでしょう。
お墓の外柵は種類やデザインが豊富!
外柵の種類は、大きく分けて「標準型(関東型)」と「通し階段型(関西型)」の2種類があります。
それぞれに特色があるので、以下で詳細を確認していきましょう。
標準型(関東型)
標準型(関東型)は、豪華な印象のある外柵です。
お墓の手前に門柱が建てられています。
古くからあるタイプで、基礎の前方部分には御影石を使用しています。
通し階段型(関西型)
通し階段型(関西型)は、墓石の周りを石材で囲っただけのシンプルなデザインの外柵です。
間口が広く、シンプルゆえにお墓の面積が大きく感じられます。
お墓参りがしやすいため、人気のタイプです。
外柵のデザイン
外柵のデザインは石材店によって呼び名が異なり、多種多様なデザインが存在します。
ただし、気に入ったデザインを見つけても、墓地や霊園によっては決められたデザインの外柵しか認められない規格墓所の可能性もあります。
デザインを決める前に、あらかじめ墓地や霊園の管理人に確認を取りましょう。
お墓の外柵のみをリフォームできる?
お墓の外柵のみをリフォームすることも可能です。
外柵のみのリフォームだと、墓石などを含むすべてを建て替えるより費用が抑えられます。
一般的に外柵の寿命は、30~50年が目安です。
しかし、石材や構造によって劣化具合は異なるため、ひび割れやズレ、墓石の傾きを発見した時点で一度業者に相談するとよいでしょう。
外柵のリフォーム費用相場・内訳
外柵のリフォーム費用は、40~100万円が相場です。
ただし、リフォームの内容によっては100万円以上と高額になるケースもあるため、リフォーム費用の内訳を把握しておきましょう。
外柵のリフォームにかかる費用と、それぞれの相場や内容も併せて、次項で解説します。
石材費
石材費の相場は、使用する石材がコンクリートの場合で2m²15万円、3m²25万円程度です。
御影石を使用するとさらに費用がかかり、数十万〜数百万円かかることもあるでしょう。
なお、石材費は石材の産地や使用量、墓地の面積などさまざまな要素で変動します。
思った以上に料金がかるのを防ぐためにも、見積もりを取ったうえで外柵のリフォームを進めていくことが大切です。
基礎工事費
外柵をリフォームする際は、家を建てるのと同じく基礎工事をする必要があります。
工事費用は、大体2m²で9万円、3m²で11万円くらいが相場です。
基礎工事は、外柵を建てる部分をセメントやコンクリートで固め、地盤を強くすることを目的に行われます。
納骨室を2段にするなど、追加で作業を行う場合は別途料金がかかるため、注意しましょう。
外枠工事費
外枠の工事費用は、2m²で10万円、3m²で14万円程度が相場です。
外枠の費用は、石材の使用量によって異なるため、見積もりの際に確認するとよいでしょう。
まき砂利費
まき砂利とは、墓石の周りにまく小石のことです。
砂利の種類によって相場は異なりますが、1m²で1万円程度が目安になるでしょう。
雑草を生えづらくすることや見た目をよくする効果があるため、業者と相談しながら決めることをおすすめします。
耐震金具費
耐震金具費は、外柵を金具で固定するための費用です。
四隅に金具を取り付けることで、地震に対する耐震効果も期待できます。
費用の相場は、2〜3万円程度です。
リフォーム費用を抑えるには?
外柵のリフォーム費用を抑える方法として、以下が挙げられます。
|
早く異変に気づき、処置を施すことがリフォーム費用を抑えるには重要です。
ただし、注意しなければいけないこともあるので、それぞれ詳細を確認していきましょう。
リフォームではなく修理する
小さいひび割れ程度であれば、リフォームではなく修理する方法があります。
修理は、リフォームほど大がかりな作業ではないため、費用を安く抑えることが可能です。
しかし、年数の経過による劣化は、修理だけでは追いつかないことも考えられるでしょう。
台風や地震などの自然災害で大きな損壊となる前に、業者に点検を依頼することをおすすめします。
定期的にお墓全体をお手入れする
定期的にお墓全体をお手入れすることで、劣化によるひび割れやズレを早期に察知できます。
修理・リフォームの規模が小さいほど費用を抑えられるため、定期的にお墓を訪れてお手入れすることは有効と言えるでしょう。
また、周辺の雑草が原因で、お墓に不具合が生じるケースもあります。
お手入れの際は、草むしりも忘れず行うようにしてください。
お墓の外柵をリフォームする方法
お墓の外柵をリフォームする手順を、以下で確認していきましょう。
1.墓地や霊園に相談する
リフォームの話を進める前に、墓地や霊園の管理者に相談する必要があります。
理由としては、墓地や霊園ごとに外柵のデザインを決められている可能性があるからです。
後々トラブルにならないよう、最初に確認を取っておきましょう。
2.業者に見積もりを依頼する
業者に見積もりを依頼する際は、複数の業者から見積もりを出してもらうことをおすすめします。
複数の業者に見積もり依頼を出すことで、相場より高額で依頼してしまうことや安すぎる業者を避けることにつながるからです。
安い業者は、安い分手抜き作業が行われている可能性もあります。
ただし、墓地や霊園によっては依頼できる石材店を指定されている場合もあるので、管理者に確認しておきましょう。
3.業者と工事契約を結ぶ
業者が決まった後は、工事の日程などを確認し、工事契約を結びます。
工事の日程は霊園や墓地の管理者に連絡しておくと、トラブルを防げるでしょう。
4.外柵のリフォームが始まる
契約後、決まった日程で工事が開始されます。
工事は立ち会いが不要なため、完了まで業者に任せても問題ありません。
リフォームのメリット・デメリット
ここからは、お墓の外柵をリフォームするメリット・デメリットを紹介します。
外柵をリフォームするメリット
外柵をリフォームするメリットは、お墓全体を建て替えるより費用を抑えられることです。
お墓全体を建て替えると、外柵や墓石だけでなく、塔婆立てや香炉、花立などの付属品も一緒に揃えなければいけません。
建て替えに数百万円の費用がかかることを考えると、外柵のリフォームは安ければ40万円程度で済むため、費用の負担を軽減できます。
他にも、劣化した外柵をリフォームすることで、地震による被害を最小限にできるのもメリットです。
もし地震によって外柵が割れると、墓石や外柵の隙間から遺骨に水が染み込んでしまい、事態が悪化する可能性もあります。
また、階段型の外柵からフロア型の外柵にリフォームすれば、高齢の方もお墓参りに足を運びやすくなることもメリットの一つです。
外柵をリフォームするデメリット
外柵をリフォームするデメリットは、当初予定していた費用より高くつく可能性があることです。
壊れている部分のみをリフォームしようと工事を始めたところ、他の部分にも劣化が見つかり、最終的にはお墓全体を建て替えるのと同等、またはそれ以上の金額がかかることもあります。
リフォームする前に劣化の具合を確認し、業者と費用を相談しておきましょう。
お墓の外柵は部分的な修理も可能!
リフォームほど大がかりな工事が不要な場合は、部分的に軽微な修理を施すことも可能です。
修理を検討すべきケースには、軽度のひび割れや小さな傾きが挙げられます。
小さなひび割れでも放っておくと、外柵の劣化が進み、結果的に大規模なリフォームが必要になる可能性も少なくありません。
ひび割れや傾きを早期に対処し、世代を超えて大切に守っていきましょう。
外柵を修理する場合の費用・方法
ここからは、外柵を修理する場合の費用と方法を紹介します。
外柵の修理費用はいくら?
外柵の修理費用は、小さなひび割れ程度であれば2〜3万円が相場です。
しかし、修理箇所や修理の度合いなどさまざまな観点を加味して費用を算出するため、一概には言えません。
また、修理を依頼する先はお墓を建てた石材店が一般的ですが、墓地や霊園に制限がない場合は複数の業者に見積もりを取ることをおすすめします。
最終的にお墓全体を建て替えたほうが安くつく可能性もあるので、業者と相談しながら進めていくとよいでしょう。
お墓の外柵を修理する方法
お墓の外柵を修理する際は、まずお墓を建てた業者の確認が必要です。
ただし、何代も前に建てられたお墓で業者が判別できないときは、墓地や霊園の管理者に相談し、業者に制限があるのかを確認してください。
管理者に確認が取れたら、依頼する業者にお墓を建てた業者がわからない旨を伝えたうえで、見積もりを取ります。
見積もりの結果、大規模なリフォームが必要になるケースもあるので、業者と話し合い納得できる方法で進めましょう。
修理のメリット・デメリット
次に、外柵を修理する場合のメリット・デメリットを紹介します。
外柵を修理するメリット
外柵を修理するメリットは、細かい部分のメンテナンスを行うことで、大きな損壊を防ぐ効果があることです。
見た目には小さなひび割れやズレでも、時間の経過により大きな破損へとつながる可能性があります。
これから長く使うことを考えて、安全性を高めるためにも細かな修繕は有効だと言えるでしょう。
外柵を修理するデメリット
外柵を修理するデメリットは、大きな損壊には向かないことです。
小さなひび割れや細かい修繕であれば対応できますが、傾きが激しかったり基礎ごと崩壊していたりする場合は対応できません。
その場合は、リフォームや建て替えを検討する必要があります。
一見小さなひび割れでも、見えないところで劣化が進んでいることもあるため、気になる部分は業者に依頼して確認しましょう。
まとめ
外柵は、お墓の周りを囲う外枠部分のことです。
外柵のひび割れやズレが気になったときは、外柵のみをリフォームできます。
業者に依頼する際は、墓地や霊園の管理者に業者の制限がないかを確認し、複数の業者から見積もりを取るのがおすすめです。
リフォームほど大規模な工事が不要な場合は、修理を検討しましょう。
長い間お墓を守っていくためにも、定期的なメンテナンスを欠かさないようにしてください。