「遠方に住んでおりお墓のお手入れができていない」
「自分で掃除をしてみたが、お墓の汚れが落ちない」
このような場合は、業者に「墓石クリーニング」を依頼してみましょう。
この記事では、墓石クリーニングの内容や費用相場、おすすめの業者を紹介します。
また、自分で墓石クリーニングをする方法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
墓石クリーニングとは

墓石クリーニングとは、墓石の洗浄を中心に、敷地内の雑草取りやゴミ拾いなどを代行するサービスです。
専用の洗剤や水圧洗浄機を使い、墓石の素材や状態に合わせた方法でお手入れをしてくれます。
お墓は放っておくと、コケやカビが繁殖したり雑草・落ち葉・ゴミが発生したりなど外観が損なわれるため、定期的なお手入れが必要です。
とはいえ、「仕事や家事が忙しくお墓に足を運べない」「手間がかかり面倒」などの理由から難しい人も多いのではないでしょうか。
また、頑張って掃除をしてみたものの、思うようにきれいにならず残念に感じる人もいるようです。
このような場合に墓石クリーニングを利用することで、負担や失敗を避けてお墓を綺麗にできるのです。
墓石クリーニングの内容
墓石クリーニングでは、主に以下の作業を依頼できます。
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墓石クリーニングで落とせる汚れ

お墓に付着する汚れはさまざまですが、墓石クリーニングで対応できる代表的な汚れには、以下の5つがあります。
コケ
コケは、少しの日の光と水分があれば生きていける植物で、硬い石やコンクリートの表面でも生育します。
屋外にあって雨や霧、露などの湿気を吸収する墓石は絶好の繁殖場所です。
自然に枯れることは見込めず、放っておくと墓石の風化が進むため、見かけたら早めに対処しましょう。
生え始めのコケは軍手で軽く擦るだけで簡単に落とせますが、時間が経つほど頑固になり、手作業で取り除くのが難しくなります。
このような場合は専門業者に依頼をし、専用の洗剤や高圧洗浄機などで除去してもらいましょう。
墓石のコケ掃除について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
カビ
墓石につくカビは繁殖力が強く、墓石の風化を早める要因にもなるため、早めに処理することが大切です。
カビの除去には、家庭用のカビ取り剤ではなくホームセンターなどで販売されている墓石専用のカビ取り剤を使用します。
慣れない作業に不安がある場合は、洗い流しの要らないスプレータイプがおすすめです。
ただし、一般向けのカビ取り剤では、カビがきれいに除去できなかったり再発生したりするリスクもあります。
取れないカビは、プロが扱う薬剤や技術、専門知識をもって対処するのが賢明でしょう。
水あか
キッチンや風呂場でみられる水あかは、水道水の含有成分が固まったもので白色が多いですが、墓石の水あかは大気中のチリやホコリなども混ざるため黒っぽい色をしています。
通常、墓石の水あかはアルカリ性であることが多く、酸性のクエン酸を含ませたスポンジで擦ると中和作用で落とせるでしょう。
ただし、クエン酸は大理石やコンクリート、さびやすい金属には不向きなうえ、塩素系漂白剤と混ざると危険なため、使用する際は注意してください。
水あかを落とす方法は他にもありますが、いろいろ試すとお墓を痛める原因となるので、クエン酸を使っても落とせない場合は専門業者に依頼しましょう。
墓石の黒ずみの落とし方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
煤煙
煤煙(ばいえん)とは、何らかの物体を燃やすことで生じる煙やすすなどの総称です。
鉄工所や工場などで排出される煤煙には鉄分が含まれており、それが墓石に付着することで赤いサビが混じった汚れが生じます。
水で濡らしたスポンジで擦っても取れない場合があり、サビを含むため墓石表面を傷付くける可能性もあります。
優しく擦って取れない場合は、専門業者に依頼し、適切な洗浄方法で取り除いてもらうとよいでしょう。
エフロレッセンス(白華現象)
エフロレッセンスは、お墓の土台に使われているコンクリート部分に発生する白い汚れです。
白い花が咲いているようにも見えるので、白華現象とも呼ばれています。
ブラシで擦れば落とせますが、自然の雨や霧などが原因の場合、繰り返し発生するケースがほとんどです。
ブラシを何度もあてるとお墓への負担が大きく、きれいに取り除くには専門的な知識と技術が必要なため、業者に依頼するのがベストでしょう。
【依頼内容別】墓石クリーニングの費用相場

料金は施工業者や地域、使用する薬剤、機材などでも異なりますが、一般的な墓石クリーニングの費用の相場を表にまとめました。
依頼内容 | 相場 |
石塔・竿石クリーニング | 15,000円 |
外柵クリーニング | 5,000円(1m²あたり) |
区画内掃除 | 5,000円(1m²あたり) |
墓誌クリーニング | 5,000円 |
墓石コーティング | 30,000円~ |
外柵撥水コーティング | 5,000円 |
ひび割れ修理 | 10,000円(1か所あたり) |
墓石クリーニングのおすすめ代行業者《5選》

墓石クリーニングは、業者によってサービス内容や価格、対応エリアが異なりますす。
ここでは、5つの清掃代行業者を紹介するので、参考にしてください。
ダスキン
「ダスキン」は、清掃業務の一環としてお墓のクリーニングサービスも展開しています。
大手で老舗のダスキンには長年培った掃除に関するノウハウがあり、大切な故人が眠るお墓のクリーニングを依頼するのも安心でしょう。
お花の金額が相談できる献花オプションや、閑散期には割引サービスを行うこともあるので気になる方はチェックしてみてください。
サービス内容 |
<オプション>献花、献香 |
料金 | <標準料金> 1回のみのサービス:22,000円 定期サービス(年2回):39,600円/年間 定期サービス(年3回):56,100円/年間 <追加料金> 墓地の広さ1坪増えるごとに:3,300円 墓灯・墓誌・灯篭が1墓増えるごとに:1,650円 献花・献香:お花の金額は応相談 ※価格はすべて税込 |
対応エリア | 全国 ※一部対応できない地域・店舗あり |
おそうじ本舗
店舗数が業界最多(1,400店舗以上)の「おそうじ本舗」は、大手の中では比較的安めの価格設定が特長です。
環境に優しい方法を採用しており、墓石クリーニングではエコロジータイプの植物性洗剤を使用しています。
オプションには一部のエリアに対応した「特急便」があり、依頼した翌日から3日以内にサービスが提供されるので、お急ぎの場合は利用しましょう。
サービス内容 |
<オプション>特急便 |
料金 | 19,800円~ 特急便:3,300円 ※価格はすべて税込。 |
対応エリア | 日本全国 |
美墓ネット
「美墓ネット」は、青雲・毎日香で知られるお線香メーカーの日本香堂と、全国の優良石材店がパートナーシップを結んで運営しています。
墓石クリーニングのほか、ひび割れなどの修理や無料の建て替え相談、お墓の引っ越し・墓じまいなど、お墓の悩みを幅広く扱っているのが特長です。
墓石のエキスパートでもある石材店ならではの充実したサービスが受けられます。
サービス内容 |
<オプション>除草剤散布、献花など |
料金 | 26,400円~ 定期清掃サービス(年2回):47,520円 定期清掃サービス(年4回):89,760円 <追加料金> 墓地の広さ1坪増えるごとに:2,200円 墓石・墓誌・灯篭が1墓増えるごとに:5,500円 除草剤散布1坪ごとに:2,200円 ※価格はすべて税込 |
対応エリア | ― |
大野屋
故人の遺影や写真、遺品などを使ったメモリアルアートで有名な「大野屋」は、もともと石材店として創業した企業です。
墓石クリーニングでは石材にやさしい低圧洗浄を使用し、墓石の修理やコーティングなども手がけています。
「お墓のメンテナンス」の資料を無料で配布しているので、墓石クリーニングの参考にするとよいでしょう。
サービス内容 |
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料金 | 墓石クリーニング:55,000円~ 外柵クリーニング:55,000円~ ※価格はすべて税込 |
対応エリア | 関東・関西 |
さくらサービス
地域最安値に挑戦中の「さくらサービス」は、関東を中心に事業を展開していましたが、現在は関西、中部、東北など対応エリアを拡大中です。
最安値と聞くとサービスの質が気になりますが、テレビ出演や新聞などのメディアの取材も多数あり、その様子はホームページで確認することができます。
サービス内容 | <個別のサービス> 石塔クリーニング 外柵クリーニング <オプション> 石塔や外柵のコーティング、墓誌、灯篭、五輪塔クリーニング、白ペンキ入れ、玉砂利交換など |
料金 | <クリーニング> 石塔:18,000円~ 外柵:5,000円~ ※施工50年以上は別途見積り <コーティング> 石塔:18,000円~ 外柵:3,000円~ |
対応エリア | 関東・関西・中部・東北など |
墓石クリーニングを業者に依頼するメリット・デメリット

墓石クリーニングの費用は決して安い金額ではないため、メリットやデメリットを確認したうえで依頼するかどうか決めましょう。
メリット
墓石クリーニングを業者に依頼するメリットには、以下のようなものがあります。
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デメリット
墓石クリーニングを業者に依頼するデメリットについても知っておきましょう。
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墓石クリーニングを業者に依頼するときの注意点

墓石クリーニングを円滑に進めるために、以下の4つを踏まえておきましょう。
寺院・霊園に事前連絡する
墓石クリーニングを依頼する際には、事前に墓地や霊園の管理者に連絡し、スムーズに作業が行えるようにしておきましょう。
特に寺院墓地の場合は信頼関係を築くためにも、住職へ事前に一報を入れておくのが望ましいです。
繁忙期を把握しておく
お盆やお彼岸前、年末はクリーニング業者への依頼が集中する繁忙期です。
お盆はお墓参りが一番多く雑草も茂る季節であることから依頼が立て込むため、日時の希望があれば早めに申し込みましょう。
お彼岸前や年末も繁忙期のため依頼は早いほうがよいのですが、お彼岸を終えた4、5、10、11月などは逆に閑散期となり、日時の希望が通りやすくなります。
業者によっては閑散期にお得な割引サービスを行うこともあるので、日程があえば利用してみましょう。
対応エリアを確認する
墓石クリーニングの対応エリアは、公式サイトで最新の情報を確認しましょう。
特にフランチャイズ企業では、店舗の移転や閉店は珍しいことではなく、対応エリアが変わる可能性があります。
また、全国展開とされていても、墓石クリーニングを扱わない地域や店舗もあるので注意しましょう。
トラブル対策を考えておく
墓石クリーニングを業者に依頼する際は、トラブル対策を考えておきましょう。
実際によくあるのが、依頼者・業者間で「きれい」の基準にズレがあり、クリーニングの仕上がりに不満が残るというケースです。
どこまで丁寧に仕上げてくれるかを公式サイトの施工例や実績などで確認し、納得のうえで依頼しましょう。
また、クリーニング中に業者の不注意でお墓が傷ついたり破損したりする恐れもあります。
念のため、「作業前後の様子を写真で報告してもらう」、「損害保険の加入の有無を確認する」など備えておきましょう。
そして、特に気を付けなければいけないのが、作業終了後に想定外の追加料金が発生するケースです。
依頼時には必ず見積りを出してもらい、追加料金の有無も確認しましょう。
自分で墓石クリーニングをする方法

ここからは、自分で墓石クリーニングをする方法を紹介します。
墓石クリーニングに必要な道具
墓石クリーニングに必要な道具は、以下の通りです。
雑巾またはタオル | 水拭き用と乾拭き用を各2枚 |
スポンジ | 墓石用の柔らかいものと小物用の柄付きのもの |
小さいブラシまたは刷毛 | 墓石の溝を掃除する用に毛が柔らかいもの |
ほうき・ちりとり | 寺院や霊園が貸してくれる場合もある |
バケツ | 寺院や霊園が貸してくれる場合もある |
ゴミ袋 | 複数枚 |
軍手 | 草むしり用 |
ゴム手袋 | 水作業用 |
小さいヘラ | コケを落とす用 |
剪定ハサミ | 植木の剪定用 |
墓石用洗剤 | 必要に応じて |
スコップまたはシャベル | 必要に応じて |
墓石クリーニングをする際は、動きやすく汚れてもよい服装を選びましょう。
また、夏の時期は以下の道具も準備しておくと負担を減らせます。
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墓石クリーニングの手順
墓石クリーニングは、以下の流れで行いましょう。
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最低限のマナーを守り、周囲の人に迷惑をかけないよう配慮が必要です。
寺院や霊園の管理者がいる場合は、事前にクリーニングする旨を伝えておくのが望ましいでしょう。
定期的に掃除して綺麗なお墓を保とう!

屋外にあるお墓は常に雨や風にさらされているため、表面に付着したゴミやホコリが細孔と呼ばれる目には見えない小さな穴に入り込みます。
ゴミやホコリをそのままにしておくとサビやひび割れの原因になり、お墓を長くきれいに保つためには小まめな掃除が欠かせません。
水拭きをするだけでも表面はきれいになるので定期的に実施しましょう。
お墓の掃除について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
墓石クリーニングは、さまざまな事情で定期的なお手入れが難しい方に便利なサービスです。
業者に依頼するときの注意点やトラブル対策を考慮して上手に活用しましょう。
故人を偲ぶ場所であり敬意を表す場所でもあるお墓を、きれいにしておくことがよい供養にもつながります。
お墓に関するお悩みやお困りごとがあれば、終活のトータルサポートを行う林商会へお気軽にご相談ください。