お墓に建てる霊標(墓誌)の値段は?戒名などの彫刻内容や石材店への依頼の流れも解説

墓 霊標 アイキャッチ

墓石のそばに据え付けられて目にすることの多い霊標ですが、値段や建て方など詳しいことはわからない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、霊標の価格相場や霊標とはどのようなものなのかを解説します。

霊標を建てる手順注意点もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

そもそも霊標(墓誌)って何?

霊標

引用元:https://www.kondosekizaiten.com/

まずは、霊標(墓誌)がどのようなものなのか解説します。

霊標とは

霊標(れいひょう)」とは、お墓に入っている故人の戒名や俗名、享年などが彫刻された板石のことです。

霊標は墓石の横に据え付けられ、宗派によっては「墓誌」「墓標」「墓地」「戒名板」などと呼ばれることもあります。

この板石に刻まれた名前や情報は、故人の尊厳と記憶を称えるための大切な要素であり、後世に引き継がれます。

霊標の役割

霊標に刻まれているご先祖様の名前を見ることで、会ったことのないご先祖様に想いを馳せ、自分とご先祖様とのつながりを感じることができます。

多くのご先祖様が存在したお陰で今この世界に自分が生きていることを、霊標を通して再確認できるでしょう。

庶民の間でお墓が普及したのは、江戸時代からだと言われています。

石は人の寿命よりも長く残り、親から子、子から孫へと世代を超えて命が受け継がれていることを伝えてくれるのです。

お墓に石が用いられるのは、石が地球上の自然物の中で最も長く残って子孫へと引き継ぐことができるためで、霊標にもお墓と同じ意味が込められています。

過去からの教えと未来へのつながりを感じる場として、霊標は大切な存在と言えるでしょう。

霊標は建てなくても問題ない

お墓に眠っている故人の名前は墓石の側面に彫刻することもできるため、霊標を建てなくても問題ありません。

霊標は建てられ始めてから数十年程度しか経っておらず、それまでは墓石の側面に彫刻するケースが大半でした。

墓石の側面には左右で8名の名前を彫刻するケースが一般的なため、霊標を建てるのは4代先でも可能です。

また、墓地のスペースが確保されていれば後から追加で設置することもできるため、将来のことを考慮して余裕をもって計画を立てるのもよいでしょう。

霊標の価格相場

お金の計算

ご先祖様の名前を刻む大切な役割を果たす霊標ですが、その値段はどれくらいなのでしょうか。

ここでは、霊標を新規購入する場合と、追加で彫刻する場合の価格相場をそれぞれ紹介します。

霊標を新規購入する場合

霊標を新規購入する場合の値段の相場は、5~20万円前後です。

使用する石の種類やサイズ、文字数などによって価格が大きく異なります。

たとえば、輸入した石と国産の御影石などを比べると、国産の石のほうが高額になるでしょう。

また、霊標のみを購入するよりも墓石と一緒に購入したほうが、価格が安くなるケースが一般的です。

霊標と墓石の組み合わせで提供されるパッケージは、価格面だけでなくデザインの一貫性や調和も考慮されています。

霊標に追加彫刻する場合

霊標に追加彫刻する場合は、4~5万円程度の費用がかかります。

彫刻作業は石材店や墓地で行われ、墓地で彫刻する際には、スタッフの出張費や霊標の運送費などが別途必要な場合もあります。

彫刻場所が異なるケースの見積もりを依頼して、費用やサービス内容を比較検討するのがおすすめです。

また、一度墓石に彫った文字を修正するのは困難なため、彫刻する故人の情報は間違いのないように正確に伝えましょう。

誤字や脱字を防ぐためにも、口頭ではなく書面で指示を行うことが大切です。

霊標を建てる手順

4つのステップ-

ここからは、新たに霊標を建てる手順を見ていきましょう。

霊標を建てる時期に決まりはありませんが、納骨式までに建てるのがよいでしょう。

納骨式は、四十九日の法要が終わって厄明けとなったタイミングで行われます。

名前の彫刻は2~3日で終わりますが、計画通りに進まない可能性もあるため、余裕をもって早めに依頼しておくと安心です。

①石材店に依頼・現地確認

まずは、石材店に依頼して現地確認をしてもらいましょう。

調査では、現在の墓石に彫刻してある文字や墓石のサイズ、石の種類、墓地の広さや立地環境などを確認します。

同時に、霊標に関する特別な希望事項などを石材店に伝えましょう。

希望通りの霊標を建てるためには、石材店とのコミュニケーションを大切にしながら墓地の条件やデザイン、予算など、希望をしっかりと伝えることが大切です。

情報を共有することで、最適なデザインや価格設定を提案してもらえます。

➁見積もり・契約・石の種類やサイズを決定

現地確認が終わったら、見積もりを依頼しましょう。

見積もりの中には、霊標の具体的なサイズや石の種類、文字彫刻の内容、工事費などの項目が含まれます。

値段の相場は、外国産の墓石で10万円前後、国産の墓石で30万円程度です。

石の種類やサイズ、デザインによって価格が変動することを考慮して、自身の予算や希望に合った選択をしましょう。

見積もり項目に必要な情報が漏れていないか確認し、納得できる内容か十分に検討することが大切です。

見積もりの内容を確認して内容に納得できたら、契約を結びましょう。

③彫刻する文字の打ち合わせ

霊標には、戒名・俗名・享年・年齢などを彫刻します。

一度彫った文字は変更が難しいため、正しい内容を伝える必要があります。

情報を正確に伝える手段として、位牌や過去帳に記載されている故人の情報を写真に撮って見せる方法が有効です。

情報の誤りや不明確さを回避して納得できる形で供養を行うためにも、準備を十分に行うことが大切です。

④加工・彫刻・据付

彫刻する文字の打ち合わせが完了したら、実際の加工や彫刻作業を行い、最終的にお墓に設置して完成となります。

一連の作業には、1か月程度かかるケースが一般的です。

なお、霊標は墓石とは異なり、魂を込める開眼供養などの法要を行う必要はありません。

設置済みの霊標に文字彫刻を追加する手順

霊標の彫刻

引用元:https://item.rakuten.co.jp/

次に、すでに設置済みの霊標に文字を追加で彫刻する際の手順を解説します。

①石材店に依頼・現地確認

文字彫刻をする場合も、まずは石材店に依頼して現地確認を行なってもらいましょう。

霊標に彫刻されている文字の書体や大きさなどを調査するために、拓本が取られます。

拓本とは、彫刻部分に紙をあてて墨などでこすり、紙に文字を移す手法です。

霊標に彫刻してある文字は、拓本を取ることで同じ書体や大きさの文字を正確に彫ることができます。

➁見積もり・契約

現地確認が完了したら見積もりを出してもらい、金額に納得できたら契約を結びましょう。

追加で彫刻する場合の費用は3~5万円前後が相場で、はじめから費用が決まっているケースがほとんどです。

墓石に彫る名前の数が増えると、その分追加の料金が発生します。

契約の際には、料金だけでなく、彫刻の品質や仕上がりについても確認しましょう。

霊標は故人への敬意を表す大切な石板のため、契約前にしっかりと情報を集め、慎重に選択することが大切です。

③工事

無事に契約が完了したら、工事へと進みます。

最近では、サンドブラストという硬い砂を吹き付けて彫刻する高圧の機械を使い、現地で文字を彫刻するケースが一般的です。

霊標にゴム板をあてて彫刻する文字の部分をくりぬき、くりぬいた箇所に硬い砂を吹き付けます。

工事の期間は、一般的に2〜3週間程度です。

工事の際は業者と連絡を取りながら進捗を確認し、工事が完了した際には、自身の要望や故人への想いがしっかりと反映された仕上がりになっているかを確認しましょう。

霊標を購入する際の注意点

注意すること-

霊標を購入する際には、注意しておくべきことがあります。

ここからは、霊標を購入する際の注意点をみていきましょう。

指定石材店制度に要注意

指定石材店とは、寺院や墓地、霊園から指定されている石材店です。

指定石材店制度が設けられている場合は、他の業者に墓石や霊標を依頼することができません。

この制度を知らずに他の業者やインターネットなどで霊標を購入してしまうと、取り返しがつかない事態に陥ってしまいます。

指定石材店の有無を確認し、指定石材店がある場合はその業者に見積もりを依頼しましょう。

誤字・脱字の確認は念入りに!

工事が始まるまでに、誤字・脱字の確認をしっかりと行いましょう。

もし彫刻に誤りがあった場合、修復には多くの時間と手間がかかるうえ、別途料金が発生する可能性もあります。

彫刻の内容やスペル、数字に誤りがないかついて、慎重に確認を行いましょう。

スケジュールの確認を怠らない

スケジュールの確認も怠らないことが大切です。

依頼から工事の完了までは1か月ほどかかるケースが一般的です。

打ち合わせの際には、引き渡しの日程や全体のスケジュールを細かく確認しておきましょう。

特に、納骨の予定に合わせたい場合は、スケジュールの調整が重要です。

工事中も進行状況を把握し、必要な手続きを適切なタイミングで行うことで、予定通りの完成を目指しましょう。

ネット購入はハイリスク!?

霊標はインターネットでも購入可能ですが、その際には現物を直接確認することができない点に注意が必要です。

霊標に使用する石材には特定の決まりはありませんが、石塔と同じか似た石材を用いると、お墓全体の調和が保たれて美しい仕上がりになります。

しかしインターネットで購入すると、実際の石の色や質感を細かく確認することが難しい場合があるでしょう。

そのため、石材店に相談して現地確認に同行することをおすすめします。

霊標を購入する際には、現地で実際の石を見て、色や質感、目合いなどを確認したうえで、自分の希望に合った霊標を選ぶことが大切です。

また、ネット販売では産地表示があいまいなケースも多いため、注意しましょう。

購入後に彫刻・据付工事が必要

霊標を購入するだけならインターネットなど手軽な手段でも可能ですが、購入後の彫刻やお墓への据付工事を自分で行うのは難しいでしょう。

彫刻も据付工事も、高い技術力が必要な作業です。

特に、石の扱いに慣れていない場合は、重い石を持ち運ぶだけでも危険なため、石材店に相談して専門の職人に工事を依頼するのがおすすめです。

石材店では、石の選定から彫刻、お墓への据付まで、経験豊富な職人が正確に作業を行います。

安全かつ美しい仕上がりを実現して大切な故人の供養を希望通りに行うためにも、プロのサポートを受けるとよいでしょう。

霊標に彫刻するスペースがなくなったらどうすればよい?

霊標とお墓

霊標に彫刻するスペースがなくなった場合は、どうすればよいのでしょうか。

ここからは、霊標に彫刻するスペースがなくなったときの対処法を紹介します。

新しく霊標を建てる

霊標に彫刻するスペースがなくなったら、新しい霊標を作り、墓地内の違う場所に建てましょう。

新しい霊標は、スペースに余裕があればお墓のそばに建てます。

霊標の数に良し悪しはなく、増えていくほど由緒正しいお墓だと思われるでしょう。

また、霊標を建てるスペースに余裕がない場合は、縦型の霊標がおすすめです。

ご先祖様をまとめる

霊標は、表面を削って新しい名前を彫刻することができます。

33回忌を過ぎたご先祖様の名前を削って消し、「先祖代々之霊位」としてまとめます。

霊標の表面を削って磨いたら、33回忌を迎えていないご先祖様の名前を刻みます。

このような方法なら、霊標に代々の故人の名前を記して継続的に使うことが可能です。

まとめ

広いお墓

霊標は、遠いご先祖様のことを想い、命のつながりを感じさせてくれる大切な石板です。

個人で彫刻して建てるのは難しいため、信頼できる石材店に依頼して設置してもらいましょう。

設置する値段は、石の種類やサイズなどによって幅があり石材店によっても異なるため、何社か見積もりを取るようにしましょう。

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