墓石を建てる際にかかる費用は、墓石単体の価格や管理費などさまざまな要素に分けられます。
この記事では、墓石の費用相場や価格を抑えるコツなど、購入前に知っておきたいポイントを解説しています。
墓石の購入方法や購入タイミングについても紹介しているので、墓石購入を検討している方は参考にしてください。
目次
墓石の費用相場
前提として、墓石には「墓石単体の費用」と「永代使用料や墓地管理費」の2種類の費用に分けられる点を踏まえましょう。
墓石単体の費用は石質や産出地、等級によって大きく左右されます。
一般的には80~120万円で販売されているものが多く、価格に幅があるのが特徴です。
さらにお墓の土地部分の取得費用のことを「永代使用料」、寺院や霊園に墓石を管理してもらう費用を「墓地管理費」と呼び、これらも墓石の購入には必ずかかる費用です。
永代使用料は20~80万円程度と言われており、区画が広いほど高くなります。
墓地管理費の年間相場は年間管理費の相場は、5,000~2万円で、墓地の清掃や植栽など墓地の維持に使われます。
墓石の種類について
墓石の種類は300種類ほどあると言われています。
香川県で採掘される庵治石(あじいし)は世界的に見ても高価な石で、産地によって色味や目の粗さが微妙に異なるのが特徴です。
しかし、国産は採掘量が減ってきて高価になっていることから、昨今ではリーズナブルな海外産が選ばれるケースも増えています。
墓石は地域によって人気色が異なり、西日本は白や灰色、東日本では黒色が一般的です。
最近はデザイン性の高い赤や緑の墓石も登場し、一昔前よりもさまざまな形や色のお墓が作られるようになりました。
墓石のデザインについて
お墓の費用は墓石のデザインや加工によって大きく左右される点も覚えておきましょう。
墓石に加工したりデザインを施したりする際は、石材費に加えて工賃やデザイン費がかかります。
墓石の形は和型・洋型・デザイン型に分けられ、この中で最も価格相場が高いのはデザイン型です。
デザイン型の価格が高い理由は、加工の手間がかかり技術費が高額になりやすい点が挙げられます。
一般的な和型は最も価格を抑えやすい一方で、外柵や卒塔婆立てなどのオプション次第で変動もしやすいので注意しましょう。
墓石代に含まれる費用
墓石代に含まれる主な3つの費用について解説します。
石材費
石材費は石質や産出地、採掘量、等級によって大きく左右されます。
石材費の平均額は約157万円で、国産か外国産かによって価格も変わってきたり使用する石材の量でも価格が高くなったりするのが特徴です。
加工費
墓石を用意して、彫刻などをする際に発生するのが加工費です。
加工費は石材費に含まれることが多く、複雑な加工のオリジナルデザインが含まれると、手間がかかって加工賃も膨れ上がります。
施工費
施工費はまちまちで、すでに墓石が設置されている区画や、施工負担が軽い墓石では安く抑えられます。
また、免震施工だと3万円、防草土・那智石施工費の場合は5,000円ほどが相場です。
立地的に施工や運搬がしづらい霊園・墓地の区画は費用が加算されることもあるので覚えておきましょう。
墓石以外にかかる費用
続いて、墓石本体以外にかかる3つの費用を解説します。
永代使用料
永代使用料とは、墓地・霊園での区画を使用するためにかかる費用で、費用相場は20〜80万円ほどです。
土地の購入ではなく借りるための費用で、墓地を手放さない限りは使用を継続できます。
永代使用料は区画が広いほど高額になるのが特徴です。
墓地管理費
墓地管理費とは清掃や植栽といった墓地のメンテナンスに使われる費用で、年間数千~数万円かかります。
数年まとめて支払える墓地・霊園もあり、永代使用料と同様に区画が広いと管理費も高額になりやすいようです。
また、生前にお墓を購入した場合は、納骨前から管理料を支払わなくてはなりません。
お布施
新しいお墓に納骨する場合には「開眼供養」という法要が必要で、開眼供養を行う際はお布施が必要です。
開眼供養だけの場合のお布施は3~5万円ですが、四十九日法要や一周忌法要といった他の法要も同時に行う際はこの価格の2~3倍になります。
さらに自分で納骨作業ができない場合は、石材店への依頼費も用意しましょう。
墓石に戒名を彫刻する場合の費用
戒名彫りの費用はおよそ5万円で、料金設定は大きく分けて「文字単位」と「人数単位」の2種類があります。
俗名よりも戒名のほうが文字数が多いので、以前は文字単位で料金を設定するのが一般的でした。
しかし、現在は戒名と俗名を一緒に彫刻するケースが増えており、文字単位よりも人数単位のほうが主流になりつつあります。
人数単位だと戒名や俗名に関わらず、1人あたりいくらという形で料金が決定できるのに対し、短い戒名でも人数分の料金がかかってしまうというデメリットもあります。
墓石代を抑える4つのポイント
以下では墓石代を安く抑えるための4つのポイントを紹介しているので、購入時の参考にしてください。
墓石の大きさ
墓石の値段を抑えるためには、墓石の大きさをしっかり考慮してください。
費用を安く抑えたい場合は0.8m²、1.0m²などなるべく小さい区画を選びましょう。
和型の墓石だと、1.5m²でおよそ140万円かかるのが一般的です。
墓石の価格は加工前の石材の大きさで価格が決まるため、「ユニークな形のお墓を建てたい」など加工前の石材量が増えれば、その分値段も上がります。
墓石のオプション
どのような墓石のオプションをつけるかによっても、墓石の価格は変わります。
以下は、墓石のオプションと費用相場を示した表です。
墓誌(墓標) | 4~25万円 |
卒塔婆立て | 1~10万円 |
灯籠 | 4~20万円 |
お地蔵様 | 5~15万円 |
物置台 | 3~6万円 |
墓石の値段をできるだけ抑えたい人は、これらのオプションを必要最低限に抑えましょう。
指定石材店の有無
墓石の価格を左右するポイントとして、指定石材店制度の有無があります。
指定石材店制度とは「霊園・墓地での墓石の購入や建立は指定された石材店でしか行えない」制度です。
石材店が指定されているとほかの業者と費用を比較検討できませんが、指定がなければ複数見積もりを出せるため、値段を抑えられます。
墓地の立地
墓地の立地をどこにするかによって、価格がかなり異なります。
たとえば、山中など設置工事が難しい立地であればあるほど、工事費用も膨れ上がるのが一般的です。
逆に、立地条件が整っている標準的な墓地であれば工事費用も抑えられます。
お墓の値段について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
墓石の購入方法は4種類
墓石を購入する方法には、主に以下の4種類があります。
石材店
最も一般的なのは、墓石の専門店である石材店で購入する方法です。
現物の墓石を見て説明を直接聞けるだけでなく、アフターケアまでサポートしてもらえるという安心感があります。
さらに対面で相談すれば、その業者が信頼できるかどうかを判断する材料にもなるでしょう。
霊園
石材店の前に、利用する霊園に指定石材店があるかチェックしておきましょう。
民営霊園の場合は先述した指定石材店制度があるため、指定された石材店で購入する必要があります。
公営霊園では指定石材店制度がないため墓石を購入する店を自由に選べるメリットがあるので、それぞれの特徴を踏まえたうえで購入を検討してください。
インターネット
最近では墓石をインターネットで購入するパターンも増えています。
手軽で便利な一面もありますが、サイズ感や質感が分かりづらいといったデメリットには注意が必要です。
販売業者との連絡や相談もしにくく、粗悪な墓石を勧められるといったトラブルにつながる側面もあります。
そのため、インターネットだけで購入を決める際はできるだけ多くのコミュニケーションをとって慎重に決めましょう。
カタログ
多種多様な墓石やデザインが載っているカタログは、一度に多くの墓石を検討するのに便利です。
カタログは石材店で直接もらうか、電話やネットから資料請求しましょう。
最近ではWebサイトから直接ダウンロードできるカタログもあります。
ただし、氏名や電話番号などの個人情報を伝えると営業対象にされるケースもあるため注意してください。
お墓の購入方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
墓石を購入するタイミングとは
墓石を購入するタイミングは、次に紹介する2つの時期が一般的です。
生前
最近では生前に自分のお墓を購入する人も増えてきました。
生前にお墓を購入すると、家族の手間を減らして自分だけで費用を負担できる点や、相続税がかからないというメリットがあります。
一周忌まで
死後の場合は、四十九日法要までにお墓を購入して納骨するという流れが一般的です。
とはいえお墓の建立には時間がかかるため、間に合わないケースもあるでしょう。
そのため、一周忌法要の際に納骨と開眼供養も一緒に執り行うという流れがおすすめです。
よくある質問
最後に墓石の購入に関するよくある質問をまとめたので、購入時の参考にしてください。
墓石の値段が明記されていない理由は?
墓石の値段を明記してしまうと、購入時の値段と大きく変わってしまう場合があります。
墓地の広さやお墓を建てる立地条件などで見積もり金額が変動するため、あえて値段は明記されていないのです。
墓石をインターネットで購入しても問題ない?
墓石をインターネットで購入すること自体は問題ありません。
ただし、購入前には条件や費用をよく検討しておく必要があります。
墓地や霊園によってはインターネットで購入した墓石が使用できない場合もあるため、前もって確認が必要です。
また、運搬費や工事費が別途かかることも多いので、総合的に自分が納得できるかをしっかり検討しましょう。
墓石には名前(戒名)を入れるべき?
墓石に必ずしも名前(戒名)を入れなければならないわけではありません。
厳密な規則などはなく、名前を入れない選択も可能です。
ただし、名前を入れない場合、故人の墓であることがわかりづらくなります。
「墓参りや掃除時にどのお墓か分からなくなってしまう」という欠点も考慮しましょう。
まとめ
今回は、墓石の費用相場やその内訳、墓石代を抑えるための4つのポイントを紹介しました。
墓石は単体の値段だけでなく種類やデザインなどで価格が大きく異なります。
墓石にかかる費用をしっかり理解して、納得できるお墓を建てられるように検討しましょう。