「お墓の値段は相場がわかりにくく、相談できる人も少ないので選び方が難しい」というお悩み声を多く見聞きします。
お墓を購入する際に費用相場や内訳を知らないと、必要以上に費用がかさんでしまいかねません。
今回は、墓石や墓地の価格相場や内訳のほか、墓石の値段が適正か判断する方法やお墓の値段を安く抑えるポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
お墓を建てるのにかかる値段
お墓にかかる費用総額の相場
お墓の値段は一般的に100~300万円が相場とされており、以下の3つから成ります。
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上記それぞれの費用相場に幅があるため、総額にも幅が出てしまうのです。
①墓地代(永代使用料)の相場
お墓代は永代使用料とも呼ばれ、墓地を使用する権利を得るために支払う費用です。
墓地代はその土地の所有権を得るために支払うものではなく、あくまでも使用の権利を得るためのものであることを覚えておきましょう。
全国的な墓地代の相場は60~80万円ですが、墓地を建てる地域によって大きく変動する可能性があります。
➁墓石代の相場
墓石代の相場は70~250万円です。
墓石とはお墓に建てる墓石本体を指し、竿石(さおいし)や中台(ちゅうだい・なかだい)などのすべてのパーツを含みます。
値段を決める要素は、石の種類や彫刻、付帯品や設置にかかる工事費用などです。
墓石の値段を決める5つのポイント
墓石の種類
墓石の種類は、石質(硬さ・色・石目など)や産出地、等級などによって分けられます。
国産で50種類以上、外国産では100種類以上あり、外国産よりも国産のほうが高額になる傾向が一般的です。
国産の石材は品質が高く人気がありますが、調達にかかる人件費などが高いことが高額な理由です。
一方、外国産の墓石は供給量が多く人件費も安いことなどから、比較的値段が安定しています。
墓石の形式
墓石には複数の形式があり、使用する石材量が増えるほど費用は高額になります。
墓石の形式は、和型墓石・洋型墓石・デザイン墓石の3つです。
和型墓石 |
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洋型墓石 |
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デザイン墓石 |
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一般的なお墓のイメージである和型墓石は、石材の使用量が多い点が特徴です。
そのため、高価な石材を使って和型墓石を建てると費用が高額になります。
洋型墓石は和型墓石に比べて石材の使用量を減らすことが可能です。
石材の種類にこだわりたいという場合は、用型墓石を検討してみてもよいかもしれません。
使用する石材量にバラつきが出やすいがデザイン墓石です。
お墓へのこだわりが強い人に好まれやすく、デザインに凝ったりお墓を大きくしたりする傾向があるため、相場を上回るケースも少なくありません。
墓石の加工費
墓石には戒名の彫刻などの加工を施しますが、墓石代とは別に費用がかかります。
文字を彫刻する場合、竿石への彫刻と墓誌への戒名の彫刻の2種類があり、費用は合わせて10万円前後です。
ただし、竿石の彫刻費用は墓石本体の費用に含まれるケースもあるので、墓石を購入する前に確認しておきましょう。
また、墓石に戒名以外のオリジナルデザインの彫刻や細かい加工を行う場合は、手間がかかる分費用も高額になります。
依頼する石材店
石材店によっても墓石の値段は変わります。
墓石は高価なので、複数の石材店を比較して選びましょう。
ただし、民営間霊園では依頼する石材店を指定されていることがあります。
他の石材店との比較ができないため、墓石選びを重視する場合は石材店を指定しない霊園を選ぶことが大切です。
施工・運搬費
お墓を建てる際は、施工・運搬費がかかります。
お墓を設置する場所や運搬経路などによっては費用が加算されることがあるため、注意が必要です。
必読!墓石の値段は適正か判断する方法
墓石は素人には見分けがつかず、価値を正しく評価することは困難です。
そのため、不当な金額で墓石を販売している石材店もあります。
墓石の値段をめぐってトラブルが起きないように、墓石の値段が適正か判断する方法を確認しておきましょう。
原産地証明書の発行を依頼する
原産地証明書とは、対象となる墓石が特定の国・地域において生産・製造・加工されていることを証明するものです。
石材店に原産地証明書を依頼すると、お店は「普通の人より墓石に詳しい」という印象をもつでしょう。
そのため、より誠実に対応してくれる可能性が高まり、納得度の高い墓石購入につながりやすくなります。
墓石の加工工程の説明を受ける
墓石の値段が適正か判断を判断するためには、加工工程を確認することも重要です。
国産の石材を海外で加工するケースもあり、石材店に購入したい墓石の加工工程を聞くと、値段に見合う墓石かどうかを判断しやすくなります。
複数の業者から相見積もりをとる
複数の業者から見積もりをとるのもおすすめです。
同じ素材・デザインの墓石をいくらで販売しているのかを比較検討したうえで購入できるため、失敗や後悔の可能性が低くなります。
③墓地管理費の相場
墓地管理費の用途は、参道の整備や水道設備、駐車場や清掃などです。
永代使用料や墓石に比べて費用はかかりませんが、期日までに支払わないとお墓の使用権を取り消されることがあります。
お墓の施設には公営霊園・民営霊園・寺院墓地の3種類があるので、それぞれの相場を把握しておきましょう。
公営霊園
東京都の公営霊園の場合、年間管理費の目安は620円程度です。
自治体が運営しているため、費用は低めに設定されています。
民営霊園
民営霊園の年間管理費の目安は5,000~15,000円程度です。
都市部にある都市型霊園は、郊外の霊園よりも年間管理費が高くなる傾向にあり
ます。
寺院墓地
最も年間管理費が高いのは寺院墓地で、費用の目安は6,000~25,000円程度です。
寺院墓地の年間管理費は寺院施設の利用やお布施などに充てられますが、寺院によって大きく異なるため、あくまでも参考としてください。
【注意】お墓を建てる際にかかるその他の費用
①お墓の付属品にかかる費用
お墓には、約20種類近くの付属品があります。
すべての付属品が必要というわけではありませんが、最低限設置しておきたい付属品を確認しておきましょう。
霊標(墓誌)の相場
霊標(れいひょう)とは、お墓に埋葬されている故人の俗名や戒名、没年月日などを彫刻するための石板で、墓誌(ぼし)とも呼ばれます。
墓石の隣に設置するのが一般的で、相場は5~10万円、彫刻は1人につき3~5万円程度です。
ただし、霊標の設置は必須ではありません。
もし霊標を設置しない場合は、墓石に直接戒名などを彫刻することができます。
卒塔婆立ての相場
卒塔婆立て(そとうばたて)とは卒塔婆を立てるための付属品で、ステンレスや石でできています。
卒塔婆は故人の戒名や命日、経文などを記した高さ2mほどの木の板のことです。
追善供養の意味合いをもち、法事やお墓参りなどで親族が卒塔婆を持参することがあるので準備しておきましょう。
相場は3,000~2万円程度です。
灯篭の相場
灯篭には邪気を払い故人の魂を浄土まで導く役割があるとされているため、これまでは供養を目的に設置されてきました。
最近では設置の目的が変わり、お墓の景観をよくするために灯篭を置く傾向が強まっています。
しかし、灯篭はお墓に必須の付属品ではありません。
灯篭は比較的サイズが大きく設置場所の確保が必要なため、状況に応じて設置するものと考えておきましょう
相場は3~20万円程度です。
物置台の相場
物置台とは、手荷物を一時的に置くための石製の台です。
荷物を置くこと以外にも、お墓全体のバランスを整える効果があります。
大きさや石材の種類によって価格が異なりますが、相場は5万円程度です。
物置台の設置も必須ではないので、本当に必要か検討したうえで購入しましょう。
➁お墓購入に伴うオプション費用
墓石の彫刻
新しくお墓を購入する際に必要な彫刻は、基礎彫刻と呼ばれます。
具体的には、家名や題字・題目、建立者の名前や建立日などです。
基礎彫刻の費用は墓石代に含まれるのが一般的ですが、石材店によっては別途費用を請求されることがあります。
戒名の彫刻をオプションにすることはさほど珍しいことではなく、1人あたりの相場は5万円程度です。
墓石の磨きなおし
墓石の磨きなおしの相場は20万円程とされています。
磨きなおしには2つの種類があり、1つは墓石を解体して工場に運び、研磨してから元に戻す方法で、費用相場は20~30万円です。
もう1つは、現場で墓石が建ったままの状態で行う方法で、この場合の費用相場は8万円程度を目安にしましょう。
後者は運搬費用がかからず、研磨ではなく洗浄による磨き直しとなるため、前者の半分以下の費用に抑えることが可能です。
改葬費用
改葬とは、何らかの理由によりお墓を別の場所に移すことです。
新しいお墓を立てる費用に加え、元のお墓を撤去する費用が必要なため、相場は230~330万円程度と高額になります。
なお、墓石だけを移動する場合は、お墓の大きさや移動先までの距離などによって費用に大きな差が出るので、石材店に相談してみましょう。
墓石処分費用
改葬時のように、墓石を処分する際も費用がかかります。
費用はお墓の敷地面積で決まることが多く、1m²あたり10~12万円程度が相場です。
離檀料
寺院に建立したお墓を別の寺院や霊園に移す場合は離壇料がかかります。
相場は20~50万円程度ですが、法事などで包むお布施1回分を目安にするとわかりやすいかもしれません。
③埋葬・納骨にかかる費用
新しくお墓を建てる場合やお骨を追加する場合には、埋葬や納骨のお金がかかります。
埋葬・納骨にかかる費用を以下の一覧で確認してみましょう。
埋葬手数料 |
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法要施設利用料 |
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お布施・お車代 |
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開眼法要(お魂入れ) |
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閉眼法要(お魂抜き) |
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年忌法要 |
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戒名(法名)料 |
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埋蔵(埋葬)証明書発行手数料 |
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御膳料 |
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墓の値段を安く抑えるためには?
アウトレットの墓石を利用する
あまり知られていませんが、墓石にもアウトレット品が存在します。
アウトレット価格で販売される墓石は、主に以下の2つです。
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お墓のアウトレット品は、洋服や家具・家電のアウトレット品とは違い、傷などはほとんどありません。
また、正規品と同じ品質保証やアフターサービスも付いているので安心です。
ただし、お墓のアウトレット品はいつでも、どこの石材店にもあるわけではなく、販売期間や販売数に制限があります。
サイズやデザイン、サービスなどに問題がなければ、前向きに購入を検討してみましょう。
郊外の墓地を選ぶ
永代使用料は、墓地の所在地によって大きく異なります。
土地の価格が高い都市部の墓地を選べば、永代使用料が高くなるのが一般的です。
一方、郊外の墓地を選べば、永代使用料を安く抑えることができます。
交通の便などの問題から、一概に郊外の墓地がよいとは言えませんが、お墓代の負担を軽減する1つの方法として検討してみてもよいでしょう。
公営墓地を利用する
公営墓地は寺院や民営霊園に比べ、永代使用料や墓地管理費などが安く設定されています。
ただし、土地の価格が高い都市霊園は例外です。
また、公営墓地は1区画あたりの面積が広いため、必然的に大きいお墓を建てなくてはなりません。
そのため、永代使用料は安く抑えられても墓石代が高額になり、あまり費用を抑えられなかったケースもあります。
墓石にこだわりたいという場合には、公営墓地をおすすめします。
そうでない場合は、お墓にかかる費用を総合的に考え、最も費用を抑えられるプランを検討することが大切です。
狭い区画にお墓を建てる
永代使用料は区画の敷地面積で決まります。
そのため、狭い区画を選べば費用を安く抑えることが可能です。
都市部の霊園でも、コンパクトなお墓であれば予算内で購入できるかもしれません。
昔ながらの大きなお墓にこだわらないのであれば、狭い区画にお墓を立てて費用を抑えることを検討してみてはいかがでしょうか。
お墓費用の支払いについて
支払いのタイミング:「契約時と完成時の2回に分割」が一般的
お墓の費用を支払うタイミングは、契約時と完成時の2回に分けるのが一般的です。
分割支払いに対応している石材店もあるので、2回で支払うことが難しい場合は相談してみるとよいでしょう。
なお、墓地管理費は毎年支払いが発生します。
支払う人:継承者が一般的
お墓の費用は、一般的に継承者が支払います。
なぜなら、継承者自身が亡くなった場合、同じお墓に埋葬されるからです。
とはいえ、継承者だけで支払うのは負担が大きすぎるため、等分とはいかないまでも、兄弟・親戚で少しずつ費用を負担するのが現実的です。
ご先祖様や故人と関係のある人たちが、快く分担しれてくれるのが最善の支払い方と言えるでしょう。
支払方法:銀行口座からの振込が一般的
お墓の支払方法には銀行振込・現金払い・クレジットカード払いなどがありますが、銀行振込が最も一般的です。
金額が大きいため、現金払いとクレジットカード払いは避けられる傾向があります。
ローンでの支払いもOK
お墓の購入費用は高額なため、ローンでの支払いも可能です。
ローンに対応している石材店も多くありますが、もし対応していない場合は銀行で借りることもできます。
その場合フリーローンを組むのが一般的ですが、金融機関によって取り扱う商品が違うので、一度相談してみるとよいでしょう。
お墓の費用を抑えたい方におすすめの供養・埋葬方法を紹介!
お墓は必ずしも建てなくてはならないものではありません。
お墓以外にも、以下のような供養方法があります。
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お墓に対する考え方は人それぞれなので、独断で決めるのではなく、親族とよく話し合ったうえで最善の方法を選びましょう。
お墓をもたない供養方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
まとめ
お墓の値段は、墓石代や永代使用料に加えさまざまなオプションの総額で決まります。
高額になるため、墓石の値段が適正か、オプションの相場はどれくらいかなどを調べ、納得して購入することが大切です。
また、お墓の費用を安く抑える方法やお墓をもたずに供養する方法もあるため、視野を広げて検討したうえで、納得できるお墓選びを実現しましょう。