お墓を購入する際「お墓に固定資産税はかかるの?」と不安を感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
墓地や墓石に固定資産税はかかりませんが、例外的に固定資産税がかかるケースもあります。
本記事では、墓地やお墓に固定資産税がかからない理由や固定資産税以外にかかる税金の種類、お墓購入の費用負担を減らす節税対策について解説しています。
目次
お墓に固定資産税はかかる?
まずは「お墓に固定資産税がかかるのか?」という疑問にお答えします。
お墓(墓地や墓石)に固定資産税はかからない!
固定資産税とは、土地や家屋などの固定資産に対してかかる税金です。
国ではなく市区町村に支払う地方税に該当し、固定資産の所有者に対して毎年1月1日に課税されます。
そのため、固定資産の所有者は毎年固定資産税を納めなくてはなりません。
では、お墓を所有する人に固定資産税は課されるのでしょうか?
なかには墓地には固定資産税がかかると考える人もいますが、お墓に固定資産税はかからないので安心してください。
一般的なお墓は、寺院や霊園などお墓の管理者から墓地を使用する権利を借りて建てられています。
また、墓石自体が固定資産とみなされることもないため、墓地・お墓の両方に固定資産税はかかりません。
【注意】固定資産税がかかる場合もある
墓地に固定資産税はかからないケースが一般的ですが、中には例外もあります。
以下の3つの条件に1つでも該当する場合は、所有するお墓に固定資産税がかかる可能性があるので注意が必要です。
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所有する墓地の管理が不適切でお墓としての役割を果たしていない場合などは、固定資産税がかかる恐れがあります。
適切な墓地の管理とは、遺骨が丁寧に埋葬され手入れが行き届いていることです。
お墓としての役割が果たされているかは、各自治体の墓地担当課が判断します。
もしお墓としてみなされなければ「雑種地」の認定を受け、固定資産税を課される可能性が高まるでしょう。
墓地担当課の職員がいつお墓を巡回するかは不明なため、定期的にお墓参りをして適切に管理することが、固定資産税を回避する唯一の方法と言えます。
みなし墓地に固定資産税はかかる?
みなし墓地とは、墓地や埋葬に関する規定を定めた「墓地、埋葬等に関する法律」が施行される前に墓地として設定されたお墓を意味します。
みなし墓地の場合は通常の墓地と異なり土地の所有権をもちますが、固定資産税はかかりません。
その理由は、みなし墓地はお墓として利用されているためです。
墓石をもたないお墓に固定資産税はかかる?
最近では、墓石をもたないお墓も珍しくありません。
このようなお墓に固定資産税はかかるのでしょうか?
納骨堂
納骨堂の中でも、ビルなどの建物として設置されている場合は固定資産税がかかります。
一般的に納骨堂は境内とみなされるため、固定資産税がかかりません。
しかし、ビルの場合は倉庫とみなされ、固定資産税がかかる可能性があります。
実際に、ビルとして建てられたエレベーター式の納骨堂に固定資産税・地方計画税が課されたケースもあります。
埋葬先を納骨堂にする場合は、固定資産税が課されるか事前に確認しておきましょう。
樹木葬
樹木葬も納骨堂と同様に、場合によっては固定資産税が課される場合があります。
樹木葬で固定資産税が課せられる可能性が高いのは、既存の森林に遺骨を散骨する方法です。
現状、この方法は法律で認められておらず、地目も墓地ではなく山林や雑種地となっているため、固定資産税を課されても不思議ではありません。
お墓に他の税金はかかる?
固定資産税以外の税金は、お墓にかかるのでしょうか。
消費税
通常、買い物をすると税金がかかります。
お墓には墓石代以外にもさまざまな費用がかかりますが、消費税が課されるものと課されないものがあることを知っておきましょう。
課税対象になるもの
消費税の課税対象になるのは、墓石・塔婆立て・石碑・外柵などの購入費と墓石工事費です。
墓石などの購入費と墓石工事費を合わせた費用相場は200万円程度のため、消費税が10%の場合、20万円程度が課されることになります。
また、墓地の整備や清掃のために管理者に支払う墓地管理費にも、消費税が課されることを覚えておきましょう。
課税対象にならないもの
一方、消費税の課税対象にならないものとして、墓地や納骨堂の永代使用料が挙げられます。
お墓が建てられる墓地の所有者は寺院や霊園で、お墓を建てる人は墓地を購入しているのではなく使用する権利を借受けているに過ぎないため、消費税の課税対象になりません。
また、法事などの際にお寺に支払うお布施も、消費税の課税対象外となります。
相続税
相続税は、故人の所有する財産を受け継いだ人に課される税金です。
お墓の購入費用は高額なため、相続税がかかると考える人も少なくありません。
しかし、お墓は祭祀財産であるため相続税の対象外です。
祭祀財産とはご先祖様を祀るために必要な財産を意味し、お墓以外に位牌や仏壇などが含まれます。
贈与税
贈与税は、個人が財産を贈与された際に課される税金です。
贈与税は、1年間の贈与額の合計が基礎控除額の110万円を超えた場合に課されます。
お墓を生前贈与するケースはほとんどないため、お墓の贈与税についてあまり心配する必要はないでしょう。
お墓の購入費用は確定申告で控除対象になる?
お墓の購入には、100万円以上の高額な費用がかかるのが一般的です。
そのため、家を建てるときの住宅取得控除と同じように「確定申告で税金の控除を受けられるのでは?」と考えても不思議ではありません。
しかし、お墓はもともと非課税のため控除の対象外となります。
【知っておきたい】お墓の節税対策
お墓を所有する場合に知っておきたい節税対策を紹介します。
生前購入・生前贈与がおすすめ!
お墓に課される税金を少しでも抑えたい場合には、生前購入・生前贈与をおすすめします。
その理由は、生前に建てたお墓を相続する場合は相続税が課されないためです。
生前にお墓を建てずお墓を建てるための資金を残して亡くなった場合、その資金に対して相続税がかかります。
後者の場合は遺族が相続税を支払うことになるため、大きな負担となることは間違いないでしょう。
ただし、生前贈与によって贈与税が課される可能性がある点には、注意が必要です。
【注意】ローン残高には相続税が課せられる
お墓の購入にローンを利用するケースも増えているようです。
もし、ローンの返済途中に契約者が亡くなった場合、ローン残高には相続税が課されます。
相続税の支払い義務が遺族に発生するため、お墓の購入にローンを利用する場合は一言伝えておくとよいでしょう。
また、ローンの返済額や返済回数を減らせるよう、お墓の購入費用は事前にしっかり準備しておくことが大切です。
まとめ
お墓は高額な買い物です。
税金が課されるとなると、購入者にとって大きな負担となります。
原則、お墓に固定資産税はかかりませんが、納骨先や土地の地目によっては課される場合があるので注意が必要です。
また、お墓には消費税がかかりますが、購入前に課税対象のもの・課税対象外のものについて確認しておくことをおすすめします。
お墓を購入する際は事前に税金に関する情報を整理したうえで、しっかりと資金計画を立てておきましょう。