墓石に使われる御影石とは?種類ごとの特徴や価格相場も解説

墓石 御影石アイキャッチ

美しい光沢と優れた耐久性が特徴の御影石は、墓石として最も多く使われている石材です。

とはいえ、一口に御影石といってもさまざまな種類が存在します

今回は、そんな御影石について、種類ごとの特徴購入する際の注意点を解説します。

御影石の墓石購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

墓石に使われる御影石とは

お墓の文字

はじめに、御影石とはどういった石材なのかを紹介します。

御影石の由来

日本では広く「御影石」という名前で呼ばれていますが、これは日本独自の呼び名であり、正式名称は「花崗岩(かこうがん)」です。

墓石には白や黒の御影石が多く使われますが、住宅の建材としても使用され、中には青や緑、赤色のものもあります。

花崗岩が御影石と呼ばれるようになったのは、現在の神戸市東灘区にあたる旧兵庫県武庫郡御影町で採取した花崗岩を御影石と呼んでいたためです。

現在では、複数の石の総称として使われ、花崗岩だけでなく閃緑岩や斑レイ岩なども御影石と呼ばれています。

御影石の成り立ち

岩石は、マグマが固まった「火成岩(かせいがん)」と土砂などが積み重なって固まった「堆積岩(たいせきがん)」、岩石が高い温度や圧力を受けて変化した「変成岩(へんせいがん)」の3つに分けられます。

御影石は、火成岩の中の「深成岩(しんせいがん)」というグループに属する石です。

深成岩とは、火成岩が地下深くで冷えて固まった岩石のことで、地表や地表付近で冷えて固まった岩石は「火山岩(かざんがん)」といいます。

地下深くでできた御影石は、地面の隆起によって、長い年月をかけて少しずつ地表付近まで上ってきます。

大理石との違い

模様が大きく落ち着いた印象のある大理石ですが、「美しい模様や光沢により高級感を感じる石材」という点で御影石と似ています。

しかし御影石と大理石は、構成する物質や成り立ちが異なる石材です。

大理石は、前項で説明した変成岩にあたり、その中の貝や動物の死骸などが海の底で積み重なって固まり、さらにマグマの熱や圧力によって変質した「石灰岩(せっかいがん)」に属します。

大理石は酸に弱くシミができやすいため、屋外使用には向いていません

その点で御影石は大理石よりも頑丈なため、屋外でも屋内でも使えるという点で優れています。

墓石に使われる大理石について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

▼墓石に使われる大理石の特徴とメリットデメリット

墓石に御影石が使われる理由

水鉢のあるお墓

ここでは、御影石が墓石に多く使われる理由を解説します。

耐久性に優れている

御影石の最大の魅力は優れた耐久性です。

硬くて吸水率が低いことから「半永久的に残せる」ともいわれており、長期間にわたって屋外に置かれる墓石の素材に選ばれています。

吸水率とは石材の吸水性を表す数値のことで、吸水率の低い石材は水分を吸収しにくく、長期間劣化しないという特徴があります。

墓石に使用する御影石を選ぶ際は、5%未満の吸水率を目安にすると安心でしょう。

柄や色に個性がある

御影石は、石英・カリ長石・斜長石・黒雲母・白雲母・普通角閃石など、多種多様な鉱物で構成されている岩石です。

これらの鉱物がランダムに混ざり合う構造と、採掘地による鉱物の種類や割合の違いによって、同じ模様や色合いのものは存在しないとされています。

このように、柄や色に唯一無二の個性がある点も、墓石の素材として選ばれる理由のひとつです。

磨くと光沢が出る

磨くことで美しい輝きが持続することも御影石の魅力です。

岩石が結晶化した構造の御影石は、磨くと石に含まれる結晶成分によって、艶と光沢が出ます。

この高級感のある輝きも、「大切なご先祖様が眠る墓石にふさわしい」として重宝されるのでしょう。

【国内産】御影石の種類と特徴

国産

日本産の御影石は、その高い品質から世界中で人気があります。

そんな国内産の御影石の特徴を、種類ごとにみていきましょう。

【香川県】庵治石

庵治石(あじいし)」は、非常に希少な石材であり、原石のうちわずか1~2%しか墓石などに使用できません

この貴重な石は、香川県高松市に位置する庵治町の五剣山で産出されています。

高い硬度と美しい外観から「御影石のダイヤモンド」とも称され、磨いたときの美しい光沢も魅力です。

【愛媛県】大島石

愛媛県今治市の大島で産出される「大島石(おおしまいし)」は、細かい粒状の構造をした石で、青みがかった独特の色合いが特徴です。

経年変化によって、その色調はより深みを増し、美しく変化します。

【佐賀県】天山石

天山石(てんざんいし)」は、国内でもトップクラスの低吸水率を誇ります。

青みの強い鮮やかな色合いと、粗い石目が特徴であり、磨くとガラスのような光沢を放ちます。

佐賀県唐津市が産地で、別名「天山御影(てんざんみかげ)」とも呼ばれています。

【茨城県】真壁石

真壁石(まかべいし)」は耐水性と優れた圧縮強度を備えており、劣化が進みにくいのが特徴です。

圧縮強度は石材の硬さや強度を示す指標であり、数値が高ければ高いほど、その石が頑丈であることを示します。

真壁石の産地は茨城県南部に広がる筑波山・足尾山・加波山で、これらの山々を合わせて「常陸三山(ひたちさんざん)」と称することから、別名「常陸こみかげ石」とも呼ばれている石です。

【海外産】御影石の種類と特徴

外国産

次に、海外産の御影石についてもみていきましょう。

海外産の御影石も、産地によってさまざまな種類があります。

【中国】黒龍石

黒龍石(こくりゅうせき)」は、中国の黒龍江省が産地として知られています。

黒龍石という名称ですが、実際は白い地に黒い鉱物が織り交ぜられた灰色系の美しい模様をもち、真っ黒ではありません。

産地や採取時期によって色調が変化する特徴があり、産出した採石場によって「G1716系」や「G1704系」などのカテゴリで分類されています。

【南アフリカ】ベルファースト

ベルファースト」は、南アフリカが誇る代表的な黒御影石の一種で「FG-1」という名前で呼ばれることもあります。

黒色を基調としていますが、細かい粒子に金色が混じることがあり、金色の部分は「ゴールドスポット」と呼ばれることもあるそうです。

低吸水率と高い硬度を兼ね備え、耐久性に優れていますが、耐火性はやや劣るため高温環境での利用には適していません。

【南アフリカ】インパラブラック

インパラブラック」も南アフリカで産出される黒御影石で「FG-30」や「ラステンバーグ」という名称としても知られています。

インテリアや土木建築においても幅広く利用され、世界中で高い人気を誇る石材です。

吸水率は約0.03%と非常に低く、墓石の素材としても人気があります

褐色の色合いが混ざった薄い黒色系をしており、和風の墓石だけでなく洋風の墓石にもよく合うでしょう。

【インド】クンナム

南インドのタミルナドゥ州に位置するクンナム村から産出されるのが、「クンナム」という高級感のある黒御影石です。

この石は高い硬度をもつだけでなく、0.011%ともいわれる極めて低い吸水率を誇ります。

何十年にもわたって変わらぬ美しさを保つため「永遠の黒」と呼ばれている魅力的な石です。

【価格相場】墓石に使われる御影石の値段

和型墓石

ここでは、国内産と海外産の御影石それぞれの価格について解説します。

国内産の場合

国内で産出される御影石は、外国産に比べて価格が高めです

これには、国内の人件費が高いことと、御影石そのものの品質が高いという要因が影響しています。

特に、香川県で産出される庵治石は、その品質と希少性から世界で最も高価な墓石とされており、300~400万円程度と高額です。

また、大島石は100~300万円、天山石は40~80万円、真壁石は50~120万円程度の価格となっています。

国内産の御影石は、優れた特性と美しさからこのような高い価格が設定され、多くの人に価値を提供しているのです。

海外産の場合

通常、国内産に比べて外国産の御影石は価格が抑えられています

上記のように、黒龍石は20~40万円、インパラブラックは60万円程度で入手可能であり、高級感のあるクンナムも50~70万円ほどの価格帯です。

また、ベルファーストの価格は市況により異なり、時価で取引きされるのが一般的です。

外国産の御影石は、高品質でありながら魅力的な価格設定が魅力的で、多くの人々に喜ばれています。

ただし、これらはあくまで参考価格であり、天然石の価格は世界情勢の変化によっても変動することを知っておきましょう。

御影石を購入する際の注意点

黒板とcheckの文字

最後に、御影石を購入する際の注意点をお伝えします。

購入する際のポイントをおさえて、後悔のないように購入してください。

原産地の証明書を確認する

国産と外国産、どちらの御影石を選択するにしても「原産地の証明書」を確認することが大切です。

原産地の証明書とは、原産地・加工場所・原石名・販売店など御影石の詳しい情報が記されている正式な書類で、シリアルナンバーも記載されています

国内で産出された御影石であっても、原石を加工する際には、加工費を削減する目的で中国をはじめとする海外での加工が行われるケースもあるため注意が必要です。

原産地の証明書を確認することで、このような詳細についても納得したうえで御影石を購入しましょう。

石材の等級を確認する

庵治石や大島石など、複数の場所で産出される御影石には「等級」があります。

御影石の等級は品質の高さを表すものではありませんが、目が細かい石や色の濃い石は人気があるため等級が高くなり、一般的には価格も高額です

種類が同じ御影石でも等級によって見た目や価格帯が異なるため、好みに合った御影石の等級を知っておくことが大切です。

購入前には、御影石の等級についても確認してみましょう。

火や塩に弱い点を踏まえておく

御影石は硬度が高く、非常に劣化が進みにくい素材ですが、600℃を超えると強度が急激に低下する性質をもっています。

そのため、炎で加熱すると表面が破裂して砕け散ることがあり、危険です

板石貼りなどの際にはこの特性を利用してバーナー仕上げが行われますが、お墓参りの際の線香の熱には十分注意し、束になった線香など勢いのある炎をそのまま香炉に入れることは避けましょう。

また御影石はに弱く、塩分によって劣化が進行するという特性もあります。

お清めのつもりで墓石に塩を盛ったりまいたりしたことが原因で石の表面が剝がれてしまうこともあるため注意しましょう。

同様に、塩分を含む除草剤の散布にも注意が必要です。

塩が墓石に付着した場合は、すぐに水で洗い流してよく拭き取ってください。

墓石購入の際のポイントは、こちらの記事でも詳しく解説しています。

▼墓石の費用相場や購入方法

まとめ

墓参りをする女の子

御影石には、さまざまな種類があり、産出される場所によって品質が異なります

また、原産地が同じでも等級が分かれており、一つひとつの柄や色に個性がある魅力的な石材です。

原産地の特徴や等級をしっかりと確認しつつ硬度や吸水率などにも注目して、この世に1つしかない特別な墓石を作ってみてください。

公式LINEアカウントで無料相談受付中!

終活瓦版では公式LINEアカウントにて、遺品整理・終活・ゴミ屋敷などの無料相談を実施中です!

どんな些細なことでも構いません。まずはお気軽にご相談ください!

LINEをお友達追加する