お墓は建てるとき以外にも維持費用がかかりますが、実際には何にどれくらいのお金がかかるのでしょうか。
本記事ではお墓の維持・管理費用の内訳と相場、そしてお墓の維持費を抑えるポイントについて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
【お墓の維持費】内訳と相場
お墓は建てた後も維持費用がかかります。
まずはお墓の維持にはどのような費用がかかるのか、5種類の内訳と相場をご紹介します。
①墓地・霊園の管理費
寺院墓地の相場
寺院墓地には「護寺会費」という名目で管理費を支払い、基本的に檀家にならないと寺院墓地にお墓をもてません。
護持会費の相場は約1~2万円です。
民営霊園の相場
民営霊園の年間管理費の相場は約5,000~1万5,000円です。
民営霊園とは、宗教法人や社団法人が運営し、民間企業が管理する霊園を指します。
宗旨や宗派を問わず誰でも利用できて、墓石の大きさやデザインも比較的自由に決められるというメリットがあります。
その一方で、公営霊園に比べて管理費が高い傾向にある点がデメリットと言えるでしょう。
公営霊園の相場
公営霊園の年間管理費の相場は約5,000円です。
公営霊園は地方自治体が管理しているため、安定した永続的な運営が期待できるでしょう。
また民営霊園と同様に宗教・宗派を問わず、管理費が比較的安いのが大きなメリットです。
とはいえ、公営霊園は空いている墓地が少なく募集条件が厳しいため、抽選になる可能性があります。
➁墓石などお墓のメンテナンス費
お墓は雨風の影響による経年劣化が避けられないため、維持するためにはこまめなメンテナンスを心がけましょう。
メンテナンスの種類と価格相場は以下の通りです。
墓石の研磨 | 10〜30万円 |
墓石のひび割れや欠け | 3〜5万円 |
外柵修繕(外柵のみ) | 3〜50万円 |
外柵修繕(基礎も含めた修繕) | 50〜200万円 |
墓石のずれ | 3〜30万円 |
墓石の傾き | 100〜200万円 |
墓誌(名前の追加) | 一人につき3〜5万円 |
墓誌(新たに設置) | 5〜20万円 |
墓石の彫刻色あせ | 1〜3万円 |
上記の他にも防草の施工や墓石のコーティングといった細かなメンテナンスもあり、費用は業者によって異なるため相見積もりを取るのがおすすめです。
③お墓のクリーニング
クリーニング(高圧洗浄・スチーム洗浄など)は1回につき約1~4万円、墓石の磨き直しは20~30万円が相場となっています。
また、遠方に住んでいてお墓の手入れができない人には掃除代行サービスがおすすめです。
1回につき2~3万円が相場で、掃除のほかに献花や献香をしてくれる業者もあります。
④お墓参りの費用
お墓参りに行く際には約1,000~2,000円のお供え物を持参するのが一般的です。
遠方に住んでいて墓地までの交通費や宿泊費もかかる場合は、約5〜20万円の出費が必要になるでしょう。
高齢や遠方に住んでいるなどの理由からなかなかお墓参りにいけない人は、お墓参り代行サービスを利用するのも1つの手段です。
お墓参り代行サービスの料金は約1〜2万円で、業者によって清掃などさまざまなオプションがあります。
⑤寺院へのお布施や寄付
寺院の境内墓地を利用している場合は、檀家として寺院にお布施や寄付をしなければなりません。
葬儀や法事の依頼をする場合は、葬儀は約20~30万円、法事は約3~5万円のお布施を支払います。
また、毎年行われる法要に参列する場合のお布施の相場は、約3,000~5,000円が一般的です。
さらに、大がかりな修繕や建て替え工事を行う際にも寄付を依頼される可能性があります。
お墓の維持費は祭祀継承者が支払うのが一般的!
お墓の維持費は祭祀継承者が支払うのが一般的です。
祭祀継承者とは、お墓をはじめ仏壇や位牌などのご先祖様を祀る財産を継承する人のことを言います。
本家の長男が引き継ぐ場合が大半ですが、現在は親族の話し合いで決定するケースが一般的です。
ただし、祭祀承継者がお墓の維持費の全費用を一人で負担しなければならないわけではありません。
たとえば3人兄弟で長男が祭祀承継者となった場合は、お墓の修理費用などは他の兄弟にも援助を求めることができます。
お墓の維持・管理費の支払方法
以下ではお墓の維持・管理費の支払い方法を墓地・霊園の種類別に紹介します。
寺院墓地
寺院墓地はお寺ごとに護持会費の支払い方が異なります。
お盆やお彼岸の時期に直接手渡す方法や、檀家の代表が集金してお寺に渡す方法が一般的です。
住職や檀家の代表に護持会費を手渡す際には、護持会費を入れた封筒に「護持会費」と表書きをしましょう。
また、一部の寺院墓地では口座振込にも対応しています。
民営霊園・公営墓地
民営霊園や公営霊園の場合は銀行口座からの引き落しが一般的です。
支払いのタイミングは基本的には年に一度ですが、近年では3年払いや5年払いなど、数年分をまとめて支払う方法も増加傾向にあります。
お墓の維持・管理費を支払わないとどうなる?
お墓の維持・管理費が支払えないと、お墓はどうなってしまうのか理解しておきましょう。
お墓は撤去されてしまう!
お墓の維持・管理費が支払えない場合は、無縁仏とみなされ撤去されてしまいます。
無縁仏とは、お葬式や供養をする親族や縁者がいなくなった故人のことです。
墓地や霊園によって異なりますが、一般的には3年以上滞納すると管理者によって故人の名前で官報への掲載と墓地・霊園内での公告が行われ、1年以内に申し出るように伝えられます。
1年以内に申し出がないとお墓は撤去され、遺骨は合祀墓(無縁墓)と呼ばれる不特定多数の遺骨を納めるお墓に移されます。
いったん合祀墓に移されると特定の遺骨を取り出すことは困難になるので、注意が必要です。
お墓の管理費には5年の消滅時効がある
墓地管理料は商事債権にあたるため、5年の消滅時効があります。
消滅時効とは、債権者(お金を貸して請求する側)が債務者(お金を借りて支払う側)に対して請求をせずに一定期間が経過した場合に、債権者の法的権利を消滅させる制度です。
つまり5年間、墓地・霊園から管理費の請求をされず支払いをしなかった場合は、消滅時効制度の利用を墓地・霊園に伝えれば、債権が消滅して支払い義務がなくなります。
お墓の維持費を抑えたい人は「墓じまい」を検討しよう!
お墓の管理費や維持費をなるべく抑えたいと考えている人は、墓じまいをするのも1つの手段です。
墓じまいとは、墓石を撤去して更地に戻し、墓地の使用権を管理者に返還することを意味します。
それでは、墓じまいをした後はどのような方法で供養すればよいのでしょうか。
以下では、墓じまい後にできる4つの供養方法を紹介します。
永代供養墓
永代供養墓とは、親族に代わって霊園や寺院が半永久的に故人を供養してくれるお墓です。
お墓を引き継いでくれる親族がいない人や、夫婦だけのお墓を作りたい方にもおすすめの納骨先と言えます。
契約期間にかかる管理費を一括で支払うため、維持費は発生しません。
管理費の相場は約3~200万円で、契約期間を過ぎると合祀となるのが一般的です。
合葬墓(合祀墓)
合葬墓(合祀墓)とは、血縁関係のない複数の他人の遺骨と一緒に弔われるお墓です。
継承の必要がないため、費用は約3~30万円と最小限に抑えられるメリットがあります。
とはいえ、納骨後はどんな理由があっても遺骨を取り出せないので注意してください。
散骨
散骨とは、粉状にした遺骨を海や山に撒いて供養する方法です。
海洋散骨は約20~30万、山林散骨は約10万円が相場で、いずれも業者へ委託する場合は5万円程度の費用がかかります。
当然のことながら、散骨した骨は回収できず故人に手を合わせられる場所がなくなることは、理解しておきましょう。
手元供養
手元供養とは、遺骨の一部またはすべてを骨壷などに納めて親族の手元で供養する方法です。
近年は引き出し付きの仏壇やミニ骨壺も販売されているほか、指輪やペンダントなどのアクセサリーにして肌身離さず身につける人もいます。
費用は納めるアイテムによって大きく異なりますが、2~数十万円が相場です。
故人を最も身近に感じられる安心感がある一方で、管理する人がいなくなった際の将来的な懸念もあるので、よく検討して決定しましょう。
墓じまいについて更に詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。
まとめ
今回はお墓の維持費用の相場や内訳のほか、維持費用を抑えたい人の対処法についてご紹介しました。
お墓の維持や管理にかかる費用は、決して安くありません。
とはいえ、支払わないまま放置しておくと無縁仏としてお墓が撤去されてしまうこともあるので、管理を継続するのが難しい人は墓じまいも検討するとよいでしょう。
本記事の内容を参考にして、ぜひ今後のお墓の在り方について考えてみてください。