お墓と墓地(霊園)の種類まとめ|それぞれのメリット・デメリットを徹底解説

墓 種類/墓地 種類アイキャッチ

今は元気に過ごしていたとしても「お墓選び」はいずれ向き合わなければならないことの1つです。

とはいえ、お墓や墓地の詳細な種類については「よく理解していない」「選び方がわからない」という方がほとんどでしょう。

この記事では、お墓や墓地の購入を検討している方に向けて、種類ごとのメリット・デメリットを紹介します。

一般的なお墓から最新のトレンドである樹木葬や永代供養墓まで幅広く解説しているので、家族や故人の思い出に残る選択をするためにも、ぜひ参考にしてください。

一般墓の種類とは

一般墓と僧侶

ここでは、4種類の一般墓について、特徴・メリット・デメリットを解説します。

最も一般的な「継承墓」

継承墓は、日本の伝統的なお墓の形式であり、多くの人々に選ばれています。

これは、先祖代々の墓地を継承し、家族の絆を大切にする文化が根付いているためです。

継承墓は「家墓」とも呼ばれ、霊園(寺院)に墓石を建てて、先祖代々のお墓として「墓守」が管理します。

継承墓のメリット

継承墓を選ぶ利点の1つは、家族の結びつきを強化できる点です。

墓地を継承すれば、先祖の霊を供養し、家族の歴史を次世代に伝える役割を果たせるでしょう。

また、継承墓は一般的に管理が行き届いており、安心して供養を続けられます。

継承墓のデメリット

一方で、継承墓には家族内での調整や負担が生じることがあります。

また、地域によっては墓地不足の問題もあり、新たな墓地を確保するのが難しい場合もあるでしょう。

現代では少子高齢化により継承者不足も深刻化しており、全体としてはやや減少傾向です。

跡継ぎがいらない「個人墓」

個人墓は、継承墓とは異なり跡継ぎを必要とせず、個人で管理できるお墓の形式です。

もともとは武将や有名人などでみられましたが、お墓に対する価値観の変化や継承者不足もあり、昨今は一般にも利用されるようになりました。

個人墓のメリット

個人墓を選ぶメリットとしては、家族に跡継ぎの負担をかけない点があります。

また、自分の思い通りにお墓を管理できるため、家族のしきたりや意向を気にせず個性的な供養方法も選べるでしょう。

個人墓のデメリット

一方で、個人墓では管理費用が個人負担となる点に注意が必要です。

また、家族との共同供養ができないため、継承墓のように家族の絆を強化する手段とはいえません。

夫婦で完結する「夫婦墓」

夫婦墓は、夫婦2人だけで利用するお墓の形式です。

夫婦で永遠に寄り添い、ともに眠ることを願う人に人気があります。

夫婦墓のメリット

夫婦墓を選ぶと、夫婦二人だけの専用スペースを確保できます

また、継承者が必要ないため、子どもへの負担もかかりません

夫婦墓のデメリット

夫婦墓は、夫婦以外の家族や親戚の供養ができないため、他の家族とのつながりを維持する手段としては適していません。

また、夫婦が離婚する場合に、墓地の所有権について問題が生じる恐れがあります

両家を合わせる「両家墓」

両家墓は、2家族が共同で使用するお墓の形式です。

婚姻によって両家が1つになる際に、今後の供養負担を考慮して選ばれます。

主に選択されるのは以下のケースです。

  • 継承予定の長男(長女)が結婚した場合
  • 一人っ子が結婚した場合

両家墓のメリット

両家墓を選ぶ利点の1つは、両家が共同で供養できることです。

供養負担を抑えることができ、継承者問題も解消できるため、非常に合理的な手段といえるでしょう。

また、両家の絆を深められるという点でも魅力的な形式です。

両家墓のデメリット

両家墓では墓地の管理や供養のスケジュール調整が複雑になるため、家族間の話し合いが必要です。

さらに、万が一離婚をしてしまった場合には、夫婦2人だけの問題には収まりません

このようにリスクも大きいので、親族同士で入念に話し合って決めるのがよいでしょう。

その他の供養方法

納骨堂

一般的なお墓の形式以外にも、さまざまな供養方法が存在します。

ここでは、それぞれの特徴を踏まえたメリットとデメリットを紹介します。

メンテナンス不要の「永代供養墓」

永代供養墓は、墓地の管理やメンテナンスが不要で、永遠に供養を続けられる形式です。

一般墓と異なり専用の区画は設けられませんが、寺院や霊園が責任をもって供養・管理してくれます。

自分で永代供養墓を希望する場合、生前に申し込むことも可能です。

また、永代供養墓には下記の3種類があります。

個別安置型 骨壺を個別スペースに安置し、一定期間後に合肥型へ移行する形式
集合安置型 遺骨ごとに小さな石碑や石塔を建て、それらを集合させる形式
合肥型 遺骨を骨壺から取り出し、墓所内に直接埋葬する形式

永代供養墓のメリット

永代供養墓を選んだ場合、継承者が必要なく、供養の手間を省けます

管理料が不要なケースも多いため、費用を安く抑えやすい点もメリットです。

また、墓地の状態や管理に悩むことがないため、精神的に安心感をもてるでしょう。

永代供養墓のデメリット

永代供養墓では、1度骨壺から出して墓所に埋葬した遺骨は返却できないため、後からお墓の購入や墓所の変更ができません

加えて、お参りの場所や手段に制限がかけられる場合も多く、個別でのお参りが難しくなる点も踏まえましょう。

さらに、考え方によっては物理的なお墓がないことが不安となる場合もあります。

管理が容易な「納骨堂」

納骨堂は、墓地の代わりに遺骨を納める施設です。

納骨堂内には多数の納骨スペースがあり、その中から区画を借りて遺骨を収めます。

納骨堂自体は昭和時代の初期から存在していましたが、当時は一時的に遺骨を預かる施設でした。

昨今では、樹木葬や個人墓などとともに、新しい供養形式として浸透してきています。

納骨堂のメリット

納骨堂を選ぶメリットの1つは、管理が簡単な点です。

遺骨を納めるだけで供養が可能であり、屋内なため雨風や雑草から守る必要もありません。

また、交通アクセスのよい場所が多く、高齢者や仕事で忙しい人でもお参りがしやすい形式です。

さらに、墓石を購入しなくていいので、費用面でも安く抑えられるでしょうj。

納骨堂のデメリット

納骨堂では遺骨を持ち帰るのが難しく、個人的な供養が難しい側面があります。

また、一部の宗派では納骨堂を認めていないケースもあるほか、伝統的な形式と大きく異なるため、親族の考え方によっては受け入れられないかもしれません。

自然に還れる「樹木葬」

樹木葬とは、故人の遺骨を樹木に埋葬したり周りに草花を植えたりすることで、自然に還す供養方法です。

西洋のガーデニング風から日本庭園風まで幅広く、さまざまな見た目から選べます。

樹木葬のメリット

樹木葬を選ぶメリットとしては、自然との調和を感じられる点があげられます。

また、緑が多い屋外で埋葬できるため、従来のお墓よりも明るく開放感のある雰囲気で供養できるでしょう。

故人の遺骨が樹木に還り、新しい生命が育つ様子は、多くの人にとって心温まるものです。

樹木葬のデメリット

樹木葬ではスペースが限られるため、粉骨を余儀なくされるケースが多く、家族みんなで入るには狭いという側面もあります。
また、植物なので季節によって見た目が変わり、葉が落ちてしまうなどの変化も考慮しなければなりません。

さらに、納骨堂と同じく新しい供養形式なため、一部の人には受け入れられないこともあるでしょう。

故人を身近に感じられる「手元供養」

手元供養は、故人の遺骨を骨壷などで自宅に保管し、日常的に供養を行う方法です。

遺骨の一部を粉骨しアクセサリーなどに収める方法や、焼骨後の遺骨をそのまま自宅で補完する方法があります。

手元供養のメリット

手元供養を選ぶ最大の利点は、故人を身近に感じられることでしょう。

遠方のお墓を訪れる手間もかからず、材質にこだわらなければ費用も非常に安く抑えられます。

手元供養のデメリット

手元供養では遺骨の管理が個人に委ねられるため、適切な供養が行われない恐れもあります。

また、一部の宗派や宗教で禁止されている場合もあるため、注意が必要でしょう。

形が残らない「散骨」

散骨とは、遺骨を海や山などにまく供養方法です。

一般的には遺骨の形状ではなく、粉骨によって1〜2mm以下の粉状にしてから実施します。

散骨のメリット

散骨はお墓を建てないため、非常にリーズナブルに実施できます

また、自然と調和する供養ができる点も支持される理由の1つです。

故人の遺骨が自然界に還り、新たな命の一部となります。

散骨のデメリット

散骨では遺骨が特定の場所に留まらないため、供養の場所を訪れるのが難しくなります

また、散骨が認められていない場所もあるため、事前に確認が必要です。

墓地の意味とは

墓地

墓地の種類を解説する前に、墓地の意味を確認しましょう。

墓地とは、法律上は「お墓(死体を土葬したり焼骨を納めたりする施設)を作ってよいと都道府県知事の認可を受けた区域」を指します。

さらに、墓地と霊園、墓地と墓所の違いについて考えてみましょう。

墓地と霊園の違いとは

霊園とは、公園風に設計された墓地を指します。

つまり、法律上の墓地の定義に霊園も含まれるのです。

また、民営や公営の墓地は霊園と呼ばれることが多いのに対し、寺院墓地には霊園という言葉は用いられません。

墓地と墓所の違いとは

墓所とは、お墓を建てるための区画で、一般的には墓地の中にあります。

墓地の中でも休憩所や管理棟などは墓域ではないため、墓所とは呼びません。

墓地の種類とは

秋の墓地

墓地にはいくつかの種類があり、選択肢に悩むこともあるでしょう。

以下で、墓地の種類を経営形態別に紹介します。

安価に利用できる「公営墓地」

公営墓地は、地方自治体や公認の指定管理業者が運営する墓地です。

公営墓地のメリット

公営墓地を選ぶメリットの1つは、比較的安価に利用できる点でしょう。

自治体が運営しているため、永代使用料や管理料が抑えられているケースが大半です。

公営墓地のデメリット

公営墓地は、基本的にその地域に居住している人のみしか利用できません

また、「生前の墓地購入ができない」など制限があるケースも多く、人気の高い公営霊園では利用者が抽選で決められる場合もあります。

さらに、墓地の管理やメンテナンスは自治体に委ねられるため、個別の要望に対応しづらい点も踏まえておきましょう。

宗派を問われない「民営霊園」

民営霊園は、宗教法人や民間企業が運営する墓地です。

民営霊園のメリット

民営霊園を選ぶメリットとしては、宗派を問わず利用できる点があげられます。

自由な宗教観をもつ方々にとって、民営霊園は選択肢の1つとして魅力的でしょう。

また、管理棟や休憩スペース、水場などの設備が充実している傾向もあり、お墓参りやメンテナンスの際に重宝するでしょう。

民営霊園のデメリット

民営霊園は設備が充実している分、管理費が高く設定されているケースがほとんどです。

細かな料金体系は施設によって大きく異なるため、慎重に比較検討しましょう。

また、多くの民営霊園では指定石材店制度(指定の石材店だけが霊園内で工事できる)を採用しています

そのため、目当ての石材店に依頼できない場合がある点に注意しましょう。

僧侶が常駐している「寺院墓地」

寺院墓地は、仏教寺院が運営する墓地で、僧侶が常駐しているのが特徴です。

寺院墓地のメリット

寺院墓地を選ぶ利点の1つは、信仰に基づく供養を実施できる点です。

法要や葬儀など供養に関することは僧侶がワンストップで担当してくれるため、故人への思いを安心して託せるでしょう。

寺院墓地のデメリット

寺院墓地は、その寺院と同一の宗派を信仰している人以外は原則利用できません

また、寺院墓地の利用は檀家制度(仏事全般をお世話してもらう代わりに寺院を経済的に支える家)を前提としています

寺院との付き合いも増え、合同法要や寄付が義務付けられる場合もあるため、このようなやり取りを煩わしく感じる方には適していません。

みなし墓地

みなし墓地とは、昭和23年に施工された墓理法(墓地、埋葬等に関する法律)以前に開設され、追認された墓地です

墓理法により、墓地の経営に際して都道府県知事の認可が必要になりましたが、それまでは経営主体が曖昧になっているケースが大半でした。

そこで、墓理法以前から運営されている墓地に対し、追認という対処がされたのです。

利用時の注意点としては、管理者が明確でない場合があるため、改葬などの諸手続きが難しくなるリスクを踏まえましょう。

墓石の種類は3つ

洋型墓石

墓地にはさまざまな墓石の種類がありますが、大きく分けて和型、洋型、デザイン型の3つに分類できます。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

和型

和型墓石は、江戸時代に一般化した伝統的な墓石で、石材やデザインに日本の伝統が反映されています。

芝台(敷石)の上に中台石、上台石、竿石の3つが重ねられて1つのお墓を成します。

縦長の形が特徴的で、見た目に安定感や落ち着きがあるため、最も広く受け入れられている墓石です。

とはいえ刻める文字やデザインが限定されているため、お墓に個性を求める方にはあまり適していません。

洋型

洋型墓石は、西洋のデザインを取り入れた墓石で、主に洋風のお墓に使用されます。

和型と比べて横幅が広く高さが低いため圧迫感がなく、バランスのよい印象を与えるでしょう。

シンプルで洗練されたデザインが特徴的で、モダンな雰囲気とお墓としての格調を両立できることから、昨今は日本でも利用者が増えています。

ただし、寺院墓地では認められていない場合もあるため、事前に確認が必要です。

デザイン型

デザイン型の墓石は、個性的なデザインやカスタマイズが可能な墓石です。

石材の加工や彫刻を通して、故人や家族の趣味や特徴を反映させることができます

墓地によってはデザイン型の墓石を禁止している場合もあるため、あらかじめ確認しましょう。

おしゃれなデザイン墓石を検討している方は以下の記事もご覧ください。

▼デザイン墓石の種類や費用

まとめ

お墓参り

お墓や墓地の種類は多岐にわたり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

また、お墓の選択は家族や個人の価値観、信仰に基づくものであるため、トラブルを防ぐためにも、慎重な検討と話し合いが欠かせません。

故人の意向や家族の願いを尊重しながら、最適な供養方法を選びましょう。

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