お墓を立てる際、墓石や文字の色はどれを選べばいいか迷ってはいませんか?
実は墓石の色にはさまざまな意味があり、どんな思いを込めるかで選ぶ色が異なるのです。
この記事では、墓石や文字の色の選び方、おすすめの石材を詳しくご紹介します。
また、記事の最後ではお手入れ方法もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
墓石の色に決まりはある?
そもそも墓石の色に決まりはあるかというと、実はどの色を選んでも問題ないのです。
詳しい理由を解説していきましょう。
墓石の色に決まりはない
墓石の色に決まりはないので、故人のイメージに合わせて選ぶとよいでしょう。
従来は白や灰色のオーソドックスな色が人気でしたが、最近は赤や青、ピンク色などさまざまな色を選択する人も増えています。
黒や赤色の墓石は好ましくないという風潮もありましたが、現代ではそういったイメージは払拭されているので好みの色を選んで問題ありません。
地方ごとに人気の色が異なる!?
実は地方ごとに選ばれやすい墓石の色の傾向があることをご存じでしょうか。
西日本では流通量が多く低価格な「白色」が好まれやすく、東日本では関東地方で産出されることが多い「黒色」が人気を博しています。
ただし、オーソドックスな「灰色」はどの地方でも世代を問わず選ばれやすい傾向にあります。
墓石の色と定番石材
続いては墓石の色別の特徴と、定番の石材を詳しく解説します。
【はじめに】仏教の基本は五色
仏教では五色(ごしき)と呼ばれる5つの色が重要視されているので、基本的にはこの5色が用いられることがほとんどです。
五色は「赤・青・黄・白・黒」が含まれます。
この五色は仏教精神と深く関わっており、インドの五大思想や中国の五行思想が関係していると言われています。
この5色にはそれぞれ意味があるので、墓石選びも五色の意味を考慮しながら選ぶとよいでしょう。
灰色(グレー)
引用:https://www.is-izumi.co.jp/
灰色(グレー)は最も一般的で選ぶ人が多い色です。
仏教的には特に意味をもたない色ですが、落ち着いた印象があり選びやすく定番化しています。
灰色は汚れや傷が目立ちにくいので、手入れの観点からもメリットがある石材です。
灰色の墓石では、流通量が多く安価な白御影石という石材や、インドのアーバングレーという石材、奈良時代から愛され続けている本小松石(ほんこまついし)を用いられることが多くあります。
白色
前述した通り、白色は西日本で選ばれやすい墓石の色です。
仏教において白は仏陀の歯を示す色で、「生前の悪業や煩悩を浄める清浄(しょうじょう)」を表していると言われています。
白色の墓石は明るく縁起のいところが好まれやすい傾向にあります。
清潔感や高級感も出しやすい点も人気の理由です。
白色の墓石では、結晶の粒子が細かく風化や変色に強い庵治石(あじいし)、青みを帯びた白く上品な色合いの紀山石(きざんせき)、傷の出にくい真壁小目(まかべこめいし)が用いられやすいでしょう。
黒色
黒色も前述した通り、東日本で好まれやすい墓石の色で、東日本で生産されていることが理由です。
仏教において黒は仏陀の袈裟を示す色で、「さまざまな怒りを抑えて耐え忍ぶ忍辱(にんにく)」を表していると言われています。
福島県田村郡小野町で採石される浮金石(うきがねいし)や、インドのクンナムを用いられることが多く、高級感漂う雰囲気が人気を博しています。
赤色
かつては縁起が悪いとされていた赤色の墓石も、現代では女性に選ばれやすい色になりました。
仏教において赤は仏陀の血液を示しており、「すべての人に対する救済と絶え間ない精進」という意味をもっているのです。
真っ赤な赤色ではなく温かみのある赤色なので、おしゃれで洋風な雰囲気を作れるところが人気の理由でしょう。
赤色の墓石ではニューインペリアルレッドと呼ばれるインドの石材や、国内産では万成石(まんなりいし)という石材を用いられることが多くあります。
なかでもインペリアルレッドは世界で最も赤い石と呼ばれているので、赤みの強い墓石を好む人から選ばれやすい石材です。
青色
関西圏では白色の次に選ばれやすいのが、青色の墓石です。
仏教において青は仏陀の髪の毛を示しており、「神を落ち着かせた状態である禅定(ぜんじょう)」を表す色とされています。
より青みの強いものほど高級とされており、珍しい深い青色の吹雪石(ふぶきいし)や、少し紫がかかっている天山石(てんざんいし)も選ばれやすい石材です。
緑色
引用:https://yugawarasekizai.com/
緑色の墓石は重厚感がある色合いで、落ち着いたイメージをもたらしたい人に人気の墓石です。
仏教においては青と同じ意味合いをもつとされており、心を落ち着かせたい人に好まれやすい傾向にあります。
緑色の墓石では、国内産なら本小松石青目(ほんこまつせきあおめ)や、外国産ならインドのM-1Hが人気です。
本小松石青目は本小松石の中でも厳選された部位で、中でもさらに厳選された「大トロ」と呼ばれる超特級品もあるので、違いを比較してから選ぶとよいでしょう。
ピンク色
ピンク色の墓石は、和風よりも洋風のお墓に用いられる傾向があります。
黒色や青色など重厚感のある色と比べ、柔らかく優しい雰囲気のお墓にしたい人に好まれます。
可愛らしい見た目なので、女性から選ばれやすい色の石材です。
ピンク色の墓石を希望とする人は、ピンク色と白色をベースとし、細かい黒色が混ざっているG663を選ぶとよいでしょう。
ただし、かつてはリーズナブルだったG663ですが、現在は採掘場が閉山して値段が高騰しているため注意が必要です。
赤茶色
赤茶色の墓石は赤色の墓石よりも落ち着いた色味が特徴で、洋風のお墓やデザイン墓に用いられます。
珍しい赤茶色の中国マホガニーという石材は、名前の通り中国から輸入される、御影石の一種です。
きめ細やかな粒子のため、彫刻が目立ちやすいところもメリットと言えるでしょう。
おしゃれで個性的なお墓にしたい人は一度検討してみてもよいかもしれません。
墓石の色の選び方
お墓の色を選ぶには、下記4つの観点から選ぶことをおすすめします。
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それぞれ詳しく解説していきましょう。
【デザインタイプ別】おすすめの色を紹介
一つ目はお墓のデザインに合う色から選ぶ方法をご紹介します。
デザインに合わせたおすすめの色を見ていきましょう。
和型墓石
シンプルなデザインの和型墓石には、ベーシックな灰色や明るい印象の白色、高級感が漂う黒色など、色味もシンプルなものがおすすめです。
洋型墓石やデザイン墓石と比べると和型墓石は高さが出るので、派手な色味を用いてしまうと目立ちすぎてしまう可能性があるからです。
洋型墓石
洋型墓石にも、和型墓石と同じく灰色や白色、黒色のベーシックな色が合うでしょう。
ただし、洋型墓石は和型墓石と違い、比較的自由にデザインしやすい墓石です。
赤色やピンク色など、華やかな色を使用しても馴染むでしょう。
デザイン墓石
デザイン墓石はこの中でも一番個性を出しやすい形です。
そのため、デザインに合う色ならどの色でも合わせることができます。
故人の好きな色やイメージに合った色を選ぶ
特にデザイン墓石では故人の好みに合わせてデザインすることが多いと思うので、故人の好きな色やイメージに合わせた色を選ぶとよいでしょう。
シャープな印象を好まれる方であれば黒色、落ち着いた雰囲気を好まれる方であれば青色など、色のもつイメージをふまえて決めることをおすすめします。
耐久性など石材の品質を優先して決める
使いたい色から石材を決めるのではなく、石材そのものの特徴や品質から決めてもよいでしょう。
石材ごとに産地や質感などが異なるので、価格や耐久度にも違いが出ます。
国内産は品質が高く外国産は品質が低いというイメージをもつ方もいるようですが、実際は外国産でも高品質の石材は存在します。
購入時には石材の価値や耐久性を判断して決めるようにしましょう。
複数の色を組み合わせるのもおすすめ!
一つの石材や色を使うことが一般的ではありますが、複数の色を組み合わせることも可能です。
複数の色を組み合わせると、よりオリジナリティのあるお墓になり、ご子孫様が墓地でお墓を見つけやすいという利点もあります。
また、石材にはそれぞれ特徴があるので、よい特徴を上手に取り入れてお墓を作ることもおすすめです。
墓石の文字色の選び方
お墓に入れる文字の色は、基本的に黒色や白色、または色をいれないことがほとんどです。
ただし、特に使ってはいけない文字色の決まりはないので、好きな色を選ぶといいでしょう。
長崎方面の地域では、煌びやかな金色の文字を選ばれることも多くあります。
金色と聞くと派手に思われがちですが、黒色や白色の墓石と組み合わせると、高級感溢れる上品なイメージに仕上がります。
墓石の文字色について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
墓石の色あせ・文字の色落ち対処法
お墓を建ててから長期間経つと、お墓の色あせや文字の色落ちが気になることがあります。
お墓は常に雨風にさらされているので経年劣化は避けて通れません。
ここではメンテナンスする際の注意点や対処法をご紹介します。
【注意】寺院墓地の場合は管理者に事前報告する
メンテナンスをする前に、お墓が寺院墓地でないか確認しておきましょう。
寺院墓地の場合は、事前に住職などの管理者にメンテナンスしたい旨を伝える必要があります。
ただし公民墓地や民営墓地でも念のため事前に伝えた方がよいでしょう。
墓石の色あせ対処法
墓石が色あせている場合は、表面に汚れが付着しているケースと、墓石自体が色あせてしまっているケースで対処法が異なります。
表面に汚れが付着しているケースであればお墓のクリーニングが必要です。
このとき、自分で汚れを落とそうとすると墓石に傷がつく可能性があるので、必ず石材店にクリーニングを依頼しましょう。
また、墓石自体が色あせてしまっているケースでは、お墓を磨き直す必要があります。
磨き直しもクリーニングと同じく石材店に依頼しましょう。
文字色の劣化対処法
お墓の文字が色落ちした場合は、石材店に依頼する方法と自分で塗り直す方法があります。
石材店に依頼する
塗り直す手間やクオリティを落としたくない人は、石材店に依頼する方法がおすすめです。
石材店に依頼する際は、先に墓地の管理者へ指定の業者がいるか確認しましょう。
自分で行う
自分で塗り直す場合は、まず下記道具を準備しましょう。
道具 | 使用用途 |
布・バケツ | 墓石を掃除する際に使用。 |
綿棒や歯ブラシ | 細かい部分の汚れを落とす際に使用。 |
養生テープ | 塗り直す文字の周辺を保護するために使用。 |
塗料 | 色落ちした文字に使用。耐久性が高いシリコン塗料を選ぶとよい。 |
筆 | 塗料を塗り直す際に使用。 |
スクレーパーやカッター | 塗料がはみ出た際、剥がすために使用。 |
(剥離剤) | 古い塗料を落とす際のみ使用。 |
綿棒や歯ブラシを活用しあらかじめ文字周辺の汚れを落としたら、乾いた布で水分をふき取っておきます。
塗り直す際には文字の周辺を養生テープで保護し、はみ出た場合はスクレーパーやカッターで削り落としましょう。
墓石の色が黒ってダメなの!?墓石の色と墓相学★
実は墓相学の考え方では、黒色のお墓は縁起が悪いとされているのです。
墓相学とはお墓の色や形から判断する占いの一種であり、仏教の教えとは全く違った考え方です。
ただし、基本的には仏教において「黒色の墓石は問題ない」「むしろ縁起がよい」とされているので、黒色のお墓を建てても問題ありません。
故人の思いを優先して建てるのが最善の選択でしょう。
まとめ
この記事では、墓石や墓石に入れる文字の色の選び方を詳しく解説しました。
墓石は灰色や黒色、白色がスタンダードではありますが、お墓の色に決まりはないので故人の好きな色を選ぶとよいでしょう。
なかでも赤色やピンク色などは、おしゃれなデザイン墓などに活用すると華やかな印象になります。
また、文字の色は黒色や白色、何も入れないケースがほとんどでしょう。
せっかくなら気に入ったお墓を建てられるよう、ぜひこの記事を参考にしてみてください。