墓石に使われる石材は、国産だけでなく海外産のものもあります。
合わせて300種類以上もある石材の中から、希望の石材を選ぶのは大変です。
そこでこの記事では、産地別の代表的な石材を解説し、ケース別におすすめの石材を紹介していきます。
石材を選ぶ際の注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
墓石選びの前に知っておきたい基礎知識

墓石選びの前に、まずは基礎的な知識を理解しておきましょう。
【墓石の種類】チェックポイントは3つ!
お墓は気軽に建て替えるものではないので、墓石は慎重に選びたいですね。
墓石は色や質感などに違いがあるので、実際に見たり触ったりして選ぶのがおすすめです。
また、見た目以外にも以下のようなポイントをチェックしましょう。
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屋外に設置する墓石は雨や風にさらされるため、耐久性は非常に重要なポイントです。
また硬度が低い墓石は水が染み込みやすく、冬は石の中の水が凍ってしまいます。
水が凍って膨張したり溶けたりを繰り返すと、墓石がひび割れたり劣化したりするのです。
さらに、水を吸いやすい墓石は水シミができやすくなります。
墓石をきれいな状態に保ちたい場合は、水を吸いにくい墓石がおすすめです。
日本は季節によって気温の差も大きく、雪が降る地域では墓石が雪に埋もれてしまうこともあります。
そのような過酷な環境でも長持ちするような墓石を、石材店の担当者と相談して選びましょう。
耐久性の判断基準
墓石を選ぶ際に重要な「耐久性」を評価するときは、以下の3つの項目を確認しましょう。
吸水性
石が水をどれだけ吸うかを数値化したものが「吸水率」です。
吸水率が高い墓石は水を吸いやすいため、耐久性に影響が出る可能性があります。
墓石を選ぶときには、水はけがよい吸水性の低い石材を選ぶとよいでしょう。
見かけ比重
見かけ比重とは石の質量を示す数値で、体積あたりの重さを表す指標です。
同じ体積の石でも、中に気孔が含まれていたり隙間があったりするものは質量が少なくなります。
石は重いほうが強度が高く耐久性に優れているため、墓石は見かけ比重が重いほうがより上質とされているのです。
圧縮強度
圧縮強度とは、石に負荷をかけたときにどこまで耐えられるかを示す数値です。
墓石は屋外に設置し、常に雨風や太陽にさらされる環境にあります。
そのため墓石には、圧縮強度が高く丈夫な石が適しているのです。
【産地別】代表的な墓石の種類
墓石に使われる石材には、さまざまな産地のものが使われます。
産地別に種類や特徴を見ていきましょう。
国産の石材
日本で採掘した石材は、日本の気候に適応するため墓石に適しています。
希少価値が高く、墓石の費用が高額になる傾向がありますが、何代にも渡って受け継ぐお墓は国産にこだわりたいと考える方は多いです。
庵治石

産地 | 香川県 |
吸水率 | 0.15% |
見かけ比重 | 2.65t/㎥ |
圧縮強度 | 155N/m㎡ |
特徴 | 花崗岩のダイヤモンドと言われる石材で、表面に入った美しいかすり模様が特徴的。磨くほどにツヤが出る最高級石材。 |
本小松石

産地 | 神奈川県 |
吸水率 | 1.073% |
見かけ比重 | 2.627t/㎥ |
圧縮強度 | 195.68N/m㎡ |
特徴 | 安山岩から採れる石材で、長い歴史をもつ高級品。水を吸いやすく色の経年変化を楽しめる。 |
大島石

産地 | 愛媛県 |
吸水率 | 0.111% |
見かけ比重 | 2.649t/㎥ |
圧縮強度 | 117.99N/m㎡ |
特徴 | 表面にきめ細かな模様が入った花崗岩。青みのある灰色で、上品な雰囲気のある石材。 |
真壁石(小目)

産地 | 茨城県 |
吸水率 | 0.233% |
見かけ比重 | 2.638t/㎥ |
圧縮強度 | 120N/m㎡ |
特徴 | 採掘量が多く手頃な価格で流通している石材。白と灰色が混ざった色合いの花崗岩で、模様が細かいほど高級とされる。 |
天山石

産地 | 佐賀県 |
吸水率 | 0.09% |
見かけ比重 | 2.69t/㎥ |
圧縮強度 | 194N/m㎡ |
特徴 | 青みのある深い色合いが美しい花崗閃緑岩。見た目の美しさと硬度の高さで知られる銘石。 |
紀山石

産地 | 福島県 |
吸水率 | 0.163% |
見かけ比重 | 2.658t/㎥ |
圧縮強度 | 189N/m㎡ |
特徴 | 花崗岩から採れる石材で、硬度が高く水を吸いにくいのが特徴。粒子が細かく、上品な美しさが特徴。 |
青糠目石

産地 | 茨城県 |
吸水率 | 0.23% |
見かけ比重 | 2.706t/㎥ |
圧縮強度 | 126.21N/m㎡ |
特徴 | 青みがかった灰色の花崗岩から採れる石材。まるで糠のように粒子が細かいのが特徴で、希少価値が高い。 |
浮金石

産地 | 福島県 |
吸水率 | 0.011% |
見かけ比重 | 2.997t/㎥ |
圧縮強度 | 120.82N/m㎡ |
特徴 | 日本を代表する黒色の石材で、希少価値が高く高級。キラキラと金をちりばめたような模様が特徴的。硬度は高めで丈夫。 |
万成石

産地 | 岡山県 |
吸水率 | 0.17% |
見かけ比重 | 2.63t/㎥ |
圧縮強度 | 133.722N/m㎡ |
特徴 | 淡紅色が美しい花崗岩で、供給量が安定している石材。見た目だけでなく、耐久性の高さも魅力。縁起がよい石と言われている。 |
磐梯みかげ

産地 | 宮城県 |
吸水率 | 0.186% |
見かけ比重 | 2.655t/㎥ |
圧縮強度 | 120.72N/m㎡ |
特徴 | 東北地方で採掘される花崗岩で、人気が高い。深い青みのある色合いが美しく、墓石に適した耐久性の高さが特徴。 |
吹雪石

産地 | 福島県 |
吸水率 | 0.177% |
見かけ比重 | 2.733t/㎥ |
圧縮強度 | 117.13N/m㎡ |
特徴 | 青みのある灰色に白い模様が入っているのが特徴の花崗岩。気品を感じる美しい石材。吸水性が低いため色が変わりにくい。 |
芝山石

産地 | 福島県 |
吸水率 | 0.09% |
見かけ比重 | 2.62t/㎥ |
圧縮強度 | 104.83N/m㎡ |
特徴 | 国産石材の中でも特に吸水率が低い。キメが細かく美しい花崗岩。 |
画像引用元:https://ohaka-sagashi.net
中国産の石材
墓石の費用を抑えたいときに選ばれるのが、中国産の石材です。
安価でも耐久性が高いものなど、品質の高い石材もあります。
とはいえ、見た目だけでは国産の石材と見分けがつかないため、中国産の石材を国産と偽って高値で販売する業者もいるので注意しましょう。
G688

産地 | 福建省 |
吸水率 | 0.045% |
見かけ比重 | 2.912t/㎥ |
圧縮強度 | 117.71N/m㎡ |
特徴 | 白と黒のバランスが美しい石材。強度が高く丈夫なので、主に外柵として使われている。 |
AG98

産地 | 福建省 |
吸水率 | 0.197% |
見かけ比重 | 2.636t/㎥ |
圧縮強度 | 120.00N/m㎡ |
特徴 | 明るめの灰色で、国産の大島石に似ている。吸水率が比較的高く、経年劣化で色が変わる場合もある。 |
北大青

産地 | 山西省 |
吸水率 | 0.086% |
見かけ比重 | 2.901t/㎥ |
圧縮強度 | 119.68N/m㎡ |
特徴 | 黒に近い灰色で、吸水率が低め。耐久性が高く、価格が抑えめなので人気がある。 |
河北山崎

産地 | 河北省 |
吸水率 | 0.095% |
見かけ比重 | 2.682t/㎥ |
圧縮強度 | 125.5N/m㎡ |
特徴 | 彫刻が映える濃いグレーの石材。安価で人気の石材だったが、近年は価格が上昇傾向にある。 |
G603

産地 | 福建省 |
吸水率 | 0.228% |
見かけ比重 | 107.92t/㎥ |
圧縮強度 | 194N/m㎡ |
特徴 | 白に近い灰色が美しい石材。国産の稲田石に似ている。吸水率が高く、経年劣化で色が変わることもある。 |
G623

産地 | 福建省 |
吸水率 | 0.186% |
見かけ比重 | 2.645t/㎥ |
圧縮強度 | 104.17N/m㎡ |
特徴 | 安価で安定した品質のため人気のある石材。中国産の石材の中で最も多く墓石に使われている。 |
G663

産地 | 福建省
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吸水率 | 0.195% |
見かけ比重 | 2.593t/㎥ |
圧縮強度 | 118.26N/m㎡ |
特徴 | 優しいピンク色が特徴的な石材。洋型の墓石に使われることが多い。近年は、価格が上昇傾向にある。 |
画像引用元:https://ohaka-sagashi.net/
インド産の石材
インドでは石質のよい石が産出されていて、墓石としても人気があります。
美しいツヤが特徴的で、硬度が高い石材が中心となっています。
中国産に次いで、日本で多く流通しているのがインド産の石材です。
マハマブルー

産地 | アンドラプラデシュ州 |
吸水率 | 0.05% |
見かけ比重 | 2.830t/㎥ |
圧縮強度 | 225.60N/m㎡ |
特徴 | 青と紫と白が混ざった色合いが美しい石材。大理石風の模様が特徴的で、個性的な墓石を希望する方に人気。 |

産地 | デカン高原中央部 |
吸水率 | 0.056% |
見かけ比重 | 2.632t/㎥ |
圧縮強度 | 118.58N/m㎡ |
特徴 | 緑がかった灰色で落ち着いた印象。強度が高く水を吸いにくい、墓石に適した石材。磨き上げることでガラスのような輝きが生まれる。 |
YDK

産地 | タミルナドゥ州 |
吸水率 | 0.028% |
見かけ比重 | 3.016t/㎥ |
圧縮強度 | 121.09N/m㎡ |
特徴 | インド黒とも呼ばれる黒系の石材。黒系の石の中では価格は抑えめ。 |
M-1H

産地 | ハイデラバッド |
吸水率 | 0.000% |
見かけ比重 | 2.969t/㎥ |
圧縮強度 | 119.41N/m㎡ |
特徴 | 水をほとんど吸わないので、長い間きれいな状態が保てる。ツヤのある深い緑色が美しい、人気の石材。 |
ニューインペリアルレッド

産地 | カルナタカ州 |
吸水率 | 0.08% |
見かけ比重 | 2.969t/㎥ |
圧縮強度 | 182.18N/m㎡ |
特徴 | インド赤とも呼ばれる赤系の石材。硬度が高いため劣化しにくく丈夫。個性的な墓石を希望する方におすすめ。 |
銀河

産地 | アンドラプラデシュ州 |
吸水率 | 0.066% |
見かけ比重 | 2.631t/㎥ |
圧縮強度 | 115.02N/m㎡ |
特徴 | 青系の灰色の中に白い玉が入っている。石質がよく、価格は抑えめ。 |
画像引用元:https://ohaka-sagashi.net/
その他の海外産石材
中国やインド以外にも、海外には素晴らしい石材が多くあります。
国産にはない色や模様の石材があるのも魅力です。
ブルーパール

産地 | ノルウェー |
吸水率 | 0.15% |
見かけ比重 | 2.69t/㎥ |
圧縮強度 | 140.34N/m㎡ |
特徴 | キラキラと青く輝く貝殻の化石が入った石材。高級感があり、価格帯は高め。 |
インパラブルー

産地 | 南アフリカ |
吸水率 | 0.15% |
見かけ比重 | 2.690t/㎥ |
圧縮強度 | 140.34N/m㎡ |
特徴 | 黒い石目の中に青い結晶が入っている。宝石と呼ばれるほどの美しさが特徴。 |
ファイングレイン

産地 | スウェーデン |
吸水率 | 0.006% |
見かけ比重 | 3.018t/㎥ |
圧縮強度 | 121.25N/m㎡ |
特徴 | 黒い墓石に使われる石材の中で最高級。吸水性の低さ、比重や硬度の高さが世界一。 |
バルチックキング

産地 | フィンランド |
吸水率 | 0.112% |
見かけ比重 | 2.619t/㎥ |
圧縮強度 | 109.76N/m㎡ |
特徴 | フィンランドグリーンとも呼ばれる緑がかった石材。経年変化が少なく、長く受け継ぐ墓石に適している。 |
ラステンバーグ

産地 | 南アフリカ |
吸水率 | 0.028% |
見かけ比重 | 2.911t/㎥ |
圧縮強度 | 120.57N/m㎡ |
特徴 | 黒の中に茶色が混ざった色合いと模様が特徴的。耐久性に優れている。 |
画像引用元:https://ohaka-sagashi.net/
【ケース別】おすすめ石材の種類

墓石を選ぶときに重視したいポイントは、人それぞれです。
ここからは、3つのケースに分けておすすめの石材の種類を紹介します。
価格を重視したい人に!低価格な石材の種類
価格を重視してなるべく墓石の購入費用を抑えたい場合は、中国産の石材がおすすめです。
特に墓石の土台や外柵など、多くの石が必要な部分に使用すると、墓石費用を少なく抑えられるでしょう。
中国産の墓石が安いのは、石材の供給量が多く人件費が安いためです。
しかし鉱山が閉山して供給量が減ったり人件費が高騰したりなどの理由から、墓石の価格が高くなる可能性もあります。
耐久性を重視したい人に!おすすめ石材の種類
これから何代にも渡って受け継いでいく予定の墓石は、耐久性を重視したい人も多いでしょう。
そんな人には、国産の石材をはじめとした硬度が高い石材がおすすめです。
さらに注目したいのが、吸水性です。
水が中に染み込むと石は劣化しやすくなるため、耐久性の高いお墓を建てるためには以下のような吸水性が低い石を選ぶとよいでしょう。
<代表例>
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カラーを重視したい人に!色系統別おすすめ石材の種類
近年はさまざまなカラーの墓石が登場しています。
建てる人や故人の好みに合わせてカラーを選ぶ際の参考に、色系統別のおすすめ石材を見ていきましょう。
赤系
落ち着いた雰囲気の赤系の石材は、近年人気が高まっています。
特に洋型の墓石やオリジナルの墓石に使われるケースが多いようです。
<赤系石材の代表例>
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ピンク系
優しい雰囲気で人気があるのがピンク系の石材です。
洋型に限らず、和型の墓石にも使われています。
<ピンク系の石材の種類>
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青系
気品のある深い青色の石材は、その美しさから大変人気があります。
<青系の石材の種類>
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緑系
上品で重厚感のある緑系の石材は、和型と洋型のどちらの墓石にも使えます。
落ち着いた印象の黒緑系のカラーも人気です。
<緑系の石材の種類>
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黒系
昔は縁起が悪いと言われた黒系のお墓も、最近は美しさや高級感で多くの人に選ばれています。
<黒系の石材の種類>
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白系
西日本では、白系の御影石(花崗岩)が多く産出されることから、白系の墓石がよく選ばれています。
その他、縁起がよい色としても白色の石材は人気があります。
<白系の石材の種類>
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墓石の色について更に詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。
墓石の種類を選ぶ際の注意点

墓石の種類を選ぶ際に押さえておきたい、5つの注意点を見ていきましょう。
信頼できる石材店を探す
墓石選びは、まず石材店を探すところから始まります。
大手石材店や個人経営の石材店など、さまざまな石材店の中から自分に合う石材店を見つけましょう。
信頼できる石材店かどうかを判断するために、実際にお店に行って話を聞いてみることが大切です。
こちらの要望にしっかりと耳を傾け聞、質問に対してわかりやすく答えてくれる石材店であれば安心して任せられます。
複数の業者から見積もりを取る
複数の石材店に見積もりを出してもらい、慎重に比較検討しましょう。
見積もりの項目や金額が、わかりやすく書かれているかをチェックします。
また、複数の石材店で相見積もりを取ったときに、極端に価格が安い石材店や他のお店の価格をチェックして値下げをしてくる石材店には注意が必要です。
石材店とは、お墓を建てた後もメンテナンスなどで付き合いが続きます。
悪徳業者と契約してしまわないように、信頼できる石材店を選びましょう。
墓石の経年変化を確認する
石材店で石のサンプルや新品の墓石を見るだけでなく、建ててから数年経過した墓石を見せてもらうことで、石の経年変化を確認しましょう。
石材の種類によって墓石の経年変化のスピードや様子は異なるので、石材選びの参考になります。
石見本だけを見て選ばない
石見本と呼ばれる小さな石のプレートは、石材選びの参考になります。
しかし石見本だけを見て石材を選んでしまうと、思っていた墓石とは違った模様になる可能性があるのです。
石は山から切り出して石材に加工するため、一つひとつ色や模様が異なります。
石見本は石材のほんの一部分にすぎないため、できあがった墓石が石見本と同じ色や模様になるとは限らないのです。
また、小さなプレートで見た印象と大きな墓石になったときの印象が異なる場合もあるでしょう。
そのため、実際に墓石になったものを確認してから、石材を選ぶのがおすすめです。
事前に墓石のデザインを決めておく
墓石には「和型」「洋型」「デザイン墓石」の3つのタイプがあります。
お墓を建てる人や故人の希望に合わせて、どのタイプの墓石にするのか考えておきましょう。
また、墓石のデザインによって使う石の量が違うので、費用も変わってきます。
石材店との打ち合わせの前に、費用やデザインを決めておくとよいでしょう。
墓石のデザインについて更に詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。
まとめ

300種類もの中から、理想的な石材を選ぶのは大変です。
ある程度どんな墓石にするのかイメージができたら、信頼できる石材店と相談して決めていきましょう。
墓石は長く付き合うものなので、色やデザインはもちろん、耐久性も重視したいところです。
石材について詳しいプロの意見を聞きながら、納得のいくお墓づくりを進めていきましょう。