お墓に家紋を入れないとダメ!?墓石に彫刻する意味や分からない場合の調べ方も解説

お墓 家紋アイキャッチ

お墓には、家紋が入っているケースが多く見られます。

そのため「お墓を建てる際には、必ず家紋を入れなければならないの?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、家紋の意味やお墓への彫刻が必須なのかを解説するほか、墓石への家紋の入れ方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

【前提知識】そもそも家紋って何?

家紋とは

まずは家紋とはどのようなものか、正しく理解しておきましょう。

家紋とは

家紋とは先祖代々から家に伝わる紋章で、家のロゴマークのようなものです。

平安時代以降、貴族や武家が家系・地位・家柄などを示す象徴として使われてきましたが、明治時代に庶民も紋付袴を着用するようになり、多くの家に普及しました。

同じ苗字でも出身地や家系などによって家紋が異なるケースや、異なる苗字でも家紋が同じケースが多く見られます。

家紋は苗字と同様に、家のルーツを示すシンボルと言えるでしょう。

家紋の種類一覧

家紋は日本全体で約5,000種類あると言われていますが、本家の家紋をもとに少し手を加えて作成するケースが大半のため、以下のような6つの系統に分類されます。

植物紋(桐・藤・蔦・梅など)

植物紋とは植物の葉などをモチーフにした家紋で、植物の種類が豊富な日本で最も多く見られる家紋の系統です。

なかでも、葉が落ちない長寿の植物は縁起がよいとされ、多くの家が家紋に使用しています。

動物紋(鷹の羽・鶴・雀・蝶など)

動物紋とは、鷹の羽や鶴・蝶などの動物をモチーフにした家紋です。

鳥をモチーフにするケースが多く、猪など四本足の動物を家紋に使用している家はごくまれです。

自然紋(月・星・日・山・波・雲など)

自然紋とは、月や星などの自然現象をモチーフにした家紋です。

自然現象は神様の手によって生み出されると考えられ、そのご利益を受けている家系だと示すために用いられたことが、自然紋の始まりだと言われています。

建造物紋(井桁・庵・石畳など)

建造物紋とは、生活に身近な建物やその一部をモチーフに作られた家紋です。

代表例である三井財閥の家紋は、井戸の「井」をもとに図案化しています。

このように、家名に含まれる建造物の一部分を家紋に使用するケースが一般的です。

器物紋(扇・矢・団扇・笠など)

器物紋とは、生活の中で使用していた扇や矢などをモチーフにした家紋です。

生活用具や武器のほか楽器をモチーフにした家紋もあり、その家系で使用していたり得意だったりしたものを図案化しているケースが多いと考えられています。

文字紋(一文字・卍・上文字など)

文字紋とは、漢字一文字をモチーフにした家紋です。

家系のルーツや家名と関連のある漢字を用いるケースが、非常に多く見られます。

墓石に家紋は必須?

墓石に家紋は必須か

先述の通り家のシンボルと言える家紋ですが、お墓に家紋を入れることは必須ではありません。

お墓に家紋が入っているケースが多く見られますが、自分の家のお墓に家紋が入っていなくても、新たに彫刻する必要はないでしょう。

とはいえ、周囲に家系を示さなければならない場合は、お墓への家紋の彫刻が必要になってくる可能性があります。

また、子孫繁栄を願う意味も込めて墓石に家紋を入れる場合がある点も、知っておくとよいでしょう。

墓石に家紋をどのように入れる?

墓石への家紋の入れ方

ここからは、お墓に家紋を入れることになった場合に知っておきたい点を、詳しく解説します。

墓石に家紋を入れる位置

墓石に家紋を入れる位置は、水鉢(お墓の正面にあるお水を供える台)が一般的ですが、花立て棹石に彫刻するケースもあります。

このように、お墓に家紋を入れる位置に明確な決まりはないため、墓石のサイズやデザインに応じて石材店と相談するとよいでしょう。

2つ以上の家系が1つのお墓に入る場合

2つ以上の家系が1つのお墓にまとめて入る両家墓のような場合、どちらの家の家紋を彫刻すればよいのか分からない方もいらっしゃるでしょう。

両家墓の場合、左右の花立てに各家の家紋を入れたり水鉢に2つの家紋を入れたりするケースが多く見られます。

とはいえ、家紋の彫刻に明確なルールはないため、両家の家紋を合わせて新しい家紋を作っても問題ありません。

家紋に対する考え方は地域や家庭で異なる場合があるため、両家で相談したうえで決めましょう。

墓石に家紋を入れた後に正式な家紋が見つかった場合

墓石に家紋を入れた後に正式な家紋が見つかった場合、家紋の彫り直しをするとよいでしょう。

彫り直しの際には、墓石を「削って磨く」「交換する」などの工程を経て、新たな家紋を彫ります。

墓石の表面を削り、磨いた後に彫り直す場合の費用相場は2~5万円程度ですが、新しい墓石に交換する場合は、石材店と相談が必要です。

また、家紋を彫刻する際に魂抜きを行う場合は、僧侶に納めるお布施として2~5万円を別途用意しましょう。

墓石に彫刻する家紋の色

墓石に家紋を彫刻する際に使われる色は、以下の3色が一般的です。

黒色は家紋の色として最も多く使用されているほか、お墓の文字色としても一般的です。

黒の荘厳な色合いは、家紋を際立たせ風格のあるイメージに仕上げます。

仏教の五色(ごしき)では仏陀の袈裟の色を表しており、 忍辱(にんにく:耐え忍んで心を動かさないこと)を意味します。

白色はどのような墓石とも相性がよく、家紋やお墓の文字色として人気です。

とりわけ、黒色系の墓石の場合は家紋を際立たせてくれます。

仏教の五色(ごしき)では仏陀の歯の色を表しており、 清浄を意味します。

金色の家紋は豪華で上品な印象を与えます。

九州地方のお墓では文字色として多く使用されており、白色と同様に黒系のお墓への使用がおすすめです。

家紋の色は白・黒・金の3色が一般的ですが、明確な決まりはないため、建てたいお墓のイメージや墓石の色を考慮したうえで石材店と相談してみましょう。

家紋が見つからない場合の調べ方

家紋の調べ方

「お墓に家紋を入れたいけれど、自分の家の家紋がわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

ここからは、家紋が見つからない場合の調べ方を5つ紹介します。

親族に確認する

まずは親族に確認しましょう。

最も手軽で費用がかからない方法ですが、由来や歴史を大切にする家系の場合は家紋が見つかる可能性が高いため、両親・曾祖父・本家の親族などに確認することをおすすめします。

ただし、親族の多くが亡くなっていたり記憶が曖昧だったりする場合は正しい情報を入手できないため、できるだけ多くの親族に問い合わせることが必要です。

墓石を入念に調べる

親族に確認しても家紋が見つからない場合は、墓石を入念に調べましょう。

墓石は家紋を入れる場所として一般的で、時間がたっても家紋が消えるケースはまれなため、隅々まで確認すれば見つかる可能性があります。

ただし、複数のお墓が存在する場合はすべて調べなければならないため、時間と手間がかかる点には注意が必要です。

仏壇を調べる

自宅や本家などの仏壇を調べる方法もあります。

小さい仏壇よりも大きい仏壇のほうが、家紋が入っている可能性が高いでしょう。

大きい仏壇は中心の上下、もしくはそのいずれかに入っているケースが大半です。

自宅や親族の家に仏壇がある場合は、確認してみるとよいでしょう。

家族の資料を調べる

以下のような、家族の資料・アイテムを調べてみるのもよいでしょう。

  • 過去帳
  • アルバム
  • 人形
  • 着物
  • 袱紗(ふくさ)

これらの家族の資料・アイテムは思い出の品として大切に保管されているケースが多く見られます。

なかでも、先祖代々から受け継がれているものからは、家紋の正確な情報を入手できる可能性が高いでしょう。

また、墓じまいや仏壇じまいを行なった後でも可能なため、より多くの人が取り組める方法です。

専門業者に依頼する

先述の方法で家紋が見つからなかった場合は、専門業者に家紋の調査を依頼するのもよいでしょう。

ただし、依頼から調査完了まで最低でも1か月の期間がかかり、数万~25万円程度の費用が発生します。

戸籍謄本の調査は5万円程度ですが、遠方にある本家の現地調査が必要な場合は、数十万円の費用が必要です。

また、満足のいく調査結果が得られない場合も、費用の減額はない業者が大半な点には注意しましょう。

【レアケース】自分の家系が家紋を使用していない場合

ごくまれに、家紋を使用していない家系も存在します。

そのような家系で墓石に家紋を彫刻する必要が出てきた場合は、自由に好きな家紋を彫っても問題ありません。

家紋そのものが、明確な根拠をもとに使われているわけではなく、先祖が時代の風潮と自身の好みで使用しているケースが多いためです。

また、苗字や好きなものをもとにオリジナルの家紋を作っても問題ありません。

ただし、他の家の家紋を流用する際には、親族トラブルを防ぐため事前に親族の了承を得るようにしましょう。

家紋を間違った場合は堀り直しできる?

墓石への家紋の彫り直し

お墓を建てる際に、何らかの理由で家紋を間違って彫刻してしまった場合、彫り直しすることは可能です。

ただし、以下のような費用が発生します。

  • 家紋を彫刻している部分の取り外し費用
  • 彫刻している間違った家紋を削り、磨き直して家紋を彫りなおす費用

上記の費用は1~4万円程度かかるケースが一般的です。

また、墓石を移動させて家紋の削り直しを行う際には、閉眼供養(魂抜き)と開眼供養(魂入れ)が必要で、僧侶に納めるお布施が3~5万円程度必要です。

家紋の代わりにお花の彫刻が人気!?

さくらの彫刻画像引用元:https://ohaka-sagashi.net/

近年お墓のデザインや形が多様化しており、墓石に彫刻するモチーフとしてお花が人気です。

なかでも、日本人に広く親しまれている・清らかで麗しいイメージのユリ・お釈迦様の象徴である蓮華などが高い人気を集めています。

お花の彫刻を彫る際には、花言葉や花のイメージをもとに決めるとよいでしょう。

ただし、墓石に文字やデザインを過度に盛り込んでしまうとバランスが悪くなるため、お墓全体の仕上がりイメージを念頭に置きながら検討しましょう。

お墓のデザインについて詳しく知りたい方は、以下の記事をお読みください。

▼墓石のデザインはどれがおすすめ?種類と特徴を解説

まとめ

お墓の家紋

家紋は先祖代々から家に伝わる紋章で、家のルーツを示すロゴマークのようなものです。

お墓に家紋が入っているケースが多く見られますが、お墓への家紋の彫刻は必須ではないため、自由に決めても問題ありません。

墓石に家紋を入れる位置は、水鉢・花立て・棹石などがありますが、明確な決まりはないため、墓石のサイズやデザインに合った位置を石材店と相談することをおすすめします。

また、家紋が見つからない場合は、親族に確認したり墓石を念入りに調べたりする方法が有効です。

近年はお墓に対する価値観やデザインも多様化しており、家紋の代わりにお花の彫刻を入れることなども検討するとよいでしょう。

公式LINEアカウントで無料相談受付中!

終活瓦版では公式LINEアカウントにて、遺品整理・終活・ゴミ屋敷などの無料相談を実施中です!

どんな些細なことでも構いません。まずはお気軽にご相談ください!

LINEをお友達追加する