より良い老後を過ごすために離婚をしたのに、離婚後も苦しい思いをするのは避けたいですよね。
終活離婚をして老後を快適に過ごすためには、離婚の際に発生するさまざまな問題と向き合う必要があります。
今回の記事では、終活離婚を問題なく成立させるための知識や、離婚後のお金について詳しく解説します。
▼終活でやるべきことについて詳しくはこちらの記事をお読みください
終活でやるべきことにはどんなものがある?チェックリストを参考にはじめましょう!
目次
終活離婚とは
熟年離婚
熟年離婚とは、長年連れ添った夫婦がさまざまな理由により離婚をすることです。
熟年離婚は、年齢が55歳以上で、結婚して20年以上が経過した夫婦の離婚を指すことが多いですが、明確な定義はありません。
昨今、熟年離婚の件数が増加傾向にあり、厚生労働省の「令和元年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、同居期間が20年以上ある夫婦の離婚率が全体の20.8%を占めています。
熟年離婚の主な理由として、子どもの自立や夫の定年退職により夫婦の時間が増えたことや、年金分割制度が改正されて老後の心配がなくなったことなどが挙げられます。
ほかにも、女性の社会進出により専業主婦が当たり前の時代ではなくなり、離婚をしても一人で生きていける時代になったことも大きな理由でしょう。
死後離婚
死後離婚とは、夫婦どちらかが亡くなった後に、配偶者の親族との縁を切るために、「姻族関係終了届」を提出して離婚することです。
死後離婚は通常の離婚とは違い、配偶者との婚姻関係を切るものではありません。
そのため、死後離婚をしても遺族年金の受け取りや遺産相続が可能です。
この届け出に期限はなく、配偶者の死亡届が出された後であればいつでも提出することができ、血族の同意も必要ありません。
ただし、再婚した場合でも、姻族関係終了届を提出しなければ配偶者の血族との姻族関係は継続されるため、注意が必要です。
義理の親との不仲や、介護をしたくないという理由から死後離婚を選択する方が増えており、平成30年には4,124件の姻族関係終了届が提出されています。
姻族関係終了届の提出件数は、この10年で2倍以上と増加の一途を辿っています。
終活離婚をするメリット
終活離婚をするメリットは、大きく分けて3つあります。
残りの人生を自由に生きられること
夫婦生活から解放され自分の時間が増えると、旅行に出掛けたり趣味に没頭できるようになります。
夫婦生活での気遣いや金銭面での我慢がなくなるので、ストレスなく過ごせるでしょう。
また、配偶者に浮気やモラハラ、DVなどの問題があった場合は、精神的苦痛からも解放されます。
配偶者の親族との血縁が切れること
相手の親族と仲が悪い場合は、関係を絶つことができます。
夫や姑と同じ墓に入る必要も無ければ、配偶者や親族の介護もしなくてもよくなるので、体力面でも楽になります。
さらに死後離婚の場合は、遺族年金や遺産相続の権利がなくならないので金銭面の心配もありません。(ただし再婚した場合、遺族年金はもらえなくなります)
新たな恋愛ができること
熟年離婚に限られたことではありませんが、離婚後は新たな恋愛や再婚ができるようになります。
終活を考えたときに、もう一度恋愛を楽しみたいと思う方は少なくないでしょう。
最近では、婚活パーティーやマッチングアプリなどが普及しているので、新たな出会いは案外すぐに見つかるかもしれません。
終活離婚をするデメリット
終活離婚をするデメリットは大きく分けて3つあります。
1つ目は、孤独な生活です。
特に、定年退職や専業主婦などで仕事をしていない場合は、1人でいる時間が長くなります。
子どもが自立していたり、周りの友人が家庭を持っていたりすると、なかなか人と会ったり出かけたりする機会もありません。
そのため、夫婦生活からの解放とともに、老後生活が不安になったり孤独を感じたりする瞬間もあるでしょう。
2つ目は、子どもに迷惑がかかる可能性があることです。
子どもにとって両親の離婚は、ショックが大きいものです。
また姓が変わった場合、デリケートな問題を何度も説明することを苦痛に感じてしまうかもしれません。
さらにまた、離婚によって経済面が厳しくなってしまった場合に、子どもに負担をかけてしまう可能性もあるでしょう。
3つ目は、財産分与の問題で揉める可能性があることです。
財産分与は離婚後の生活に大きくかかわってくる問題で、財産をすべて取られたり、不動産を勝手に処分されてしまったりなどのトラブルが相次いでいます。
当事者間の交渉では場裁判にまで発展する可能性もあるので、財産分与については弁護士に依頼するのが無難でしょう。
離婚を成立させるには
離婚するための知識を得よう
離婚を成立させるためには、法律関係の知識がないと損をする可能性があるため、しっかりと調べておきましょう。
法律に関しての相談は、各市区役所で無料で行っていますが、平日の昼間しか相談はできません。
時間が限られているので、相談したいことをあらかじめ整理し、書類や証拠となる物があれば持参しておくことをおすすめします。
また、相談の内容が複雑だったり、裁判中・調停中の問題があったりする場合は、法律事務所で相談した方が良いでしょう。
自治体の無料相談と法律事務所の使い分けが大切です。
一方が離婚を受け入れない場合や離婚条件などでもめて折り合いがつかない場合
一方が離婚を受け入れない場合や離婚条件などでもめて折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
民法第770条によって規定されている「法定離婚事由」のいずれかをが満たしていされれば、裁判所から離婚が認められます。
法定離婚事由とは、裁判で離婚する際に必要となる5つの理由であり、項目は以下の通りです。
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また、相手に浮気やモラハラ、暴力などの明確な不貞行為があり、精神的な苦痛を受けている場合は相手側に慰謝料の請求ができます。
しかし、性格の不一致や価値観の違いなど、のどちらの責任ともいえない場合は、慰謝料を請求することはできません。
離婚後のお金はどうすればいい?
年金を分割する手続きはしておこう
平成16年に導入された年金分割制度によって、婚姻期間中に納めた年金保険料を配偶者と分け合えられるようになりました。
年金分割制度には、合意分割と3号分割の2種類があり、請求期限はどちらとも離婚した翌日から2年以内です。
合意分割は、夫婦ともに年金を支払っていた場合、相手の合意により、もらえる金額が少ない方が多い方に分割を請求することができる制度です。
一方3号分割では、請求する側が専業主婦または主夫だった場合、相手の合同意なく分割を請求することができます。
年金分割についてはトラブルになることが多く、長い裁判になることも少なくありません。
トラブルを避けるためにも、2人で話し合っておくことが大切です。
婚姻費用について
婚姻費用とは、婚姻期間中の居住費や生活費・子どもの生活費など、通常の社会生活を送る上で必要な費用を指し、夫婦の収入に応じて分担する義務があるものです。
婚姻費用を分担する義務は離婚により消滅しますが、婚姻費用の未払いについては、離婚後過去の分も請求が可能です。
財産分与について
財産分与の対象となるものは、2人で共有してきた共有財産です。
〈財産分与の対象となるものの例〉
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財産分与の対象とならないものは、婚姻前から片方が有していた財産や、夫婦の協力とは無関係な特有財産です。
〈財産分与の対象とならないものの例〉
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まとめ
より良い老後を過ごすために、終活離婚を選択する人が増えてきています。
それに伴い、財産や年金などのトラブルの件数も多くなっています。
終活離婚を問題なく成立させるためにも、離婚をする際にはしっかりと夫婦間で話し合う時間を取ると良いでしょう。
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