終活で生前に仏壇を準備してもよいか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
仏教では生前に仏壇を用意することはよいこととされています。
また、仏壇の生前準備は相続税の対策にもなるので終活にはおすすめです。
ここでは葬儀前に仏壇を購入するメリットと準備する場合に注意する点について解説します。
▼終活での葬儀関連全般の準備についてはこちらの記事をお読みください
終活で葬儀の準備はどうする?葬儀の種類や費用について解説
目次
終活中の仏壇購入はおすすめ
生前に仏壇を安置することを「寿院」という
仏壇を購入する時期に決まりはなく、生前に準備しても問題ありません。
生前建てるお墓を「寿陵(じゅりょう)」と呼ぶのに対して、仏壇は「寿院(じゅいん)」といい、仏教の教えの中でもよいこととされています。
人生の中で犯してきた自分の罪や、心の汚れ、体の悪いところを祓う意味を持つ「寿院」は、長寿を約束されるとも考えられています。
また、相続した遺産で購入すると遺産に相続税がかかってしまいますが、骨董品としてではなく、日常的に仏様を拝むために購入した仏壇なら相続税の課税対象になりません。
つまり、高額な仏壇は、生前に購入しておいた方が節税対策にもなるのです。
仏壇は先祖への感謝を伝えるもの
仏壇は、ご先祖様を祀る「家」や「小さなお寺」のような存在です。
御本尊や阿弥陀仏、位牌を置いてご先祖様を祀ります(浄土真宗では位牌は用意しない)。
ご先祖様や御本尊、阿弥陀仏などの仏様に対して、感謝の気持ちを伝えるための場所であり、「誰かが亡くなるまでは購入してはいけないもの」ではないのです。
身近な家族が亡くなっていないとしても、誰にでもご先祖様はいるので、日頃から元気で生活できていることへの感謝を伝えることは心の拠り所となります。
つまり、ご先祖様のためというよりも、生きている私たちのために拝むものと言えるので、生きている間に仏壇を購入して身近に置くことはよいことと言えるでしょう。
何もないときに仏壇を買うと亡くなるは迷信
昔は、人が亡くなる前に仏壇を買うと不幸が起こると言われていたこともありますが、実は仏壇を購入することが不幸につながるという話は迷信です。
もちろん、仏壇を購入するタイミングと誰かが亡くなる時期が重なることもあるかもしれませんが、それは仏壇を買ったことが原因とは言い切れません。
仏壇を買う本来の理由が「人が亡くなったから」というものではなく、「ご先祖様や仏様を供養し、日々の暮らしへの感謝を実感し伝えるため」であるように、生前に仏壇を買うことは悪いことではないのです。
生前の仏壇購入は相続税の節税になる
墓石や仏壇などは非課税財産
墓石や仏壇、仏具など、ご先祖様を祀る祭祀(さいし)に関わる財産を「祭祀財産」と呼びます。
これらを相続しても課税の対象にはなりません。
「祭祀財産」が非課税になるのは、相続するものではなく「祭祀継承者」が受け継ぐものだからというのがその理由です。
遺産として相続するものだと、さまざまな祭祀財産を別々の人が相続してしまう可能性もあり、祭祀の際にトラブルになる可能性があるからです。
遺族の相続税の負担を減らせる
課税対象になる現金などの資産を、あらかじめ非課税になる仏壇に変えておくことによって相続税を抑えることができます。
相続税に関する遺族の負担を減らすなら、仏壇は生前購入がおすすめです。
仏壇で節税をする際の注意点
非課税になるのは生前購入のみ
相続税を非課税にするためには、仏壇は生前に購入しておく必要があります。
死後に購入する場合は、相続された資産、つまり課税対象で支払うことになります。
そのため、税金が引かれた後の資産から仏壇を購入する費用を捻出するしかなく、非課税の対象から外れてしまうのです。
未払いは債務控除の対象にならない
仏壇を生前購入する際は、なるべく現金で購入しましょう。
もし、分割で支払いをしている間に自分が亡くなってしまった場合、非課税財産にかかるローン残高は債務控除にならないので、相続税の控除を受けられなくなるからです。
高価なものは課税対象の可能性
仏壇や仏具が相続税非課税になるのは、祭祀や日常でご先祖様を祀るために使うものに限られます。
骨董品や貴金属、美術品としての価値が高すぎる仏壇や仏具は、祭祀財産として認められない可能性があるのです。
売却をして現金化できるような仏壇や仏具は、税務署の調査で「投資のための品物」と判断されるため、注意しましょう。
仏壇の種類と費用
唐木仏壇
昔、唐(中国)を経由して日本に輸入されていた銘木のことを「唐木」と呼んでいたことから、そういった材木を使った仏壇が唐木仏壇と呼ばれるようになりました。
唐木仏壇の特徴は美しい木目で、重厚で高級感があります。
現在は、黒檀や紫檀といった輸入銘木以外にも、国産の銘木を使ったものや、白木に木目を印刷したようなものも唐木仏壇と呼ばれています。
費用の目安は70〜100万円ほどが一般的です。
金仏壇
浄土真宗で選ばれることが多い金仏壇は、金箔や漆塗りなど伝統的な工芸技術を活かして作られた仏壇です。
江戸時代から日本全国に金仏壇の産地があり、その地域によってそれぞれ異なる技法で作られています。
費用は大きさや素材などでも変わりますが、100〜150万円程度を見ておくとよいでしょう。
モダン仏壇
和室や仏間のない住宅が増えていることから誕生したのがモダン仏壇です。
和室はもちろん、洋室や狭い部屋にも置けるデザインやサイズが特徴で、「家具調仏壇」とも呼ばれています。
モダン仏壇には特定の宗教に合わせた様式というものがないため、宗派や宗教にとらわれず選ぶことができ、無宗教であってもご先祖様を祀りたいというニーズにも対応できるのが特徴です。
価格帯は数万~50万円ほどと幅広く展開しています。
上置き仏壇
タンスやチェストなどの上や押入れの上半分などに仏壇を設置したい場合に選ばれるのが、上置き仏壇です。
サイズは比較的コンパクトで、狭い部屋や人が集まるリビングにも置きやすいのが魅力になります。
伝統的な様式の仏壇から、モダン仏壇までさまざまなタイプの上置き仏壇があり、小さめである上置き仏壇の場合、費用は比較的抑えめで数万円から購入が可能です。
とはいえ、素材やデザインによっては30万円以上になる場合もあります。
終活の仏壇購入で注意するポイント
自分の家の宗派
仏壇を選ぶ際の宗派による違いは、浄土真宗では金仏壇が正式であるということだけで、他の宗派では特に決められた仏壇はありません。
実際には浄土真宗でも唐木仏壇を選んだり、他の宗派でも金仏壇を購入するというケースもあります。
しかし、ご本尊の種類や仏壇に飾る仏具に関しては宗派によって大きく違いがあるため、自分の家の宗派について事前に確認をしておきましょう。
仏間や仏壇を置く場所のサイズ
仏壇を選ぶ時に重要なのが、仏壇を置く場所です。
|
など、場所によって選ぶ仏壇の大きさは変わってきます。
仏壇は扉を開いて使用するものなので、手前にスムーズに開けられる場所を確保して、そのサイズに合う仏壇を選ぶことが大切です。
開眼供養の日程調整を行っておく
新しく仏壇を購入した時や引っ越しで設置する場所が変わったときなどに行うのが開眼供養です。
開眼供養は仏壇に祀る御本尊や位牌などに魂を入れる儀式で、「御魂入れ」「入魂式」などと呼ぶ地域もあります。
開眼供養は僧侶に家に来てもらって行いますが、御本尊や位牌をお寺に持っていって供養をしてもらう方法でも可能です。
仏壇を設置する際は先に菩提寺と相談をして、開眼供養の日程を決めておきましょう。
まとめ
仏壇を生前に用意しておくと、相続税の対策になりおすすめです。
また、仏壇にはさまざまなタイプがあるので自分の家の宗派や住宅事情、予算などを考慮してえらぶとよいですね。
残された家族の幸せを願う意味でも、生前に仏壇を用意することを検討してみてはいかがでしょうか。
▼終活全般について詳しくはこちらの記事をお読みください
終活では何をする?スムーズに進めるコツをご紹介