終活を行う方の中には「おひとりさま」もいらっしゃると思います。
おひとりさまは素敵な生き方ですが、リスクもあるため終活はしっかり行いましょう。
ここではおひとりさまの終活の仕方や他人に依頼できる制度について解説します。
▼終活全般について詳しくはこちらの記事をお読みください
終活では何をする?スムーズに進めるコツをご紹介
目次
おひとりさまとは
よく見聞きするおひとりさまという言葉ですが、具体的にどのような人を指すのでしょうか?
本来の意味や、現在のおひとりさまの傾向について紹介します。
老後の一人暮らし
おひとりさまの定義はさまざまです。
生涯独身でいる人だけでなく、死別や離婚、子どもが独立して単独世帯となった人なども含まれています。
親族と縁を切って生活している人も、おひとりさまといえるでしょう。
2005年に流行語大賞にノミネートされたおひとりさまという言葉は、元々は「自立した女性」を指して使われていた言葉でした。
その印象もあり、現在でもポジティブな意味で使われることが多くなっています。
ただ、65歳以上の高齢のおひとりさまには、健康面や生活面においてさまざまなリスクが伴うことを忘れてはいけません。
65歳以上の単独世帯は増加の傾向
少子高齢化や核家族化、未婚率の上昇などの影響もあり、65歳以上の単独世帯(一人暮らし)は年々増加しています。
平成30年度に行われた総務省の調査によると、世帯主が65歳以上の世帯のうち、単独世帯が占める割合は2015年で32.6%、2040年には40%に達すると予想されているそうです。
また、現在は家族と暮らしている方も、子どもの独立やパートナーとの死別によって単独世帯となることも考えられます。
高齢になれば、誰もがおひとりさまになる可能性があることを忘れないようにしましょう。
おひとりさまのリスク
おひとりさまは、一人でいる時間が長くなります。
特に、リタイアして人付き合いが減ってしまった高齢者の場合は、若い頃にはなかったさまざまなリスクが発生するのです。
健康面の問題
おひとりさまの最大のリスクは、何かあったときに頼れる人がいないことです。
一人だと体の異変にも気付きにくく、ケガをしても助けを呼べません。
その結果、病気の発見や治療が遅れ、場合によっては命に関わる可能性もあるでしょう。
認知症になった場合は、本人も自覚できないので、そのまま症状が進行してしまう恐れもあります。
また、入院や手術の際には身元保証人が必要ですが、親族が近くにいなければ手続きが遅れることもあるでしょう。
入院中は自由に銀行に行くことも難しいので、費用の手配ができず困る方もいるようです。
住まいの問題
現在は快適な住居でも、高齢になるにつれて不便になる場合があります。
「マンションの高層階」「広い一軒家」「段差が多い」「徒歩圏内に公共交通機関がない」といった住居の場合は、老後苦労する可能性があるので注意しましょう。
ただ、高齢者になると引っ越しが難しくなる傾向があります。
なぜなら賃貸物件の管理者が、高齢者に部屋を貸すことを拒否するケースが多いからです。
このような問題を解決するために法整備なども行われていますが、まだまだ高齢者の一人暮らしは敬遠されているのが現状といえます。
また、おひとりさまが亡くなると家財の所有者がいなくなります。
高価なものや生前大切にしていたものも、引き取る人がいなければすべて大量の廃棄物となってしまうのです。
廃棄物が多ければ処分するための費用も大きくなり、親族や自治体に負担がかかるでしょう。
戸建て住宅の場合は、土地建物が空き家になってしまう可能性もあり、近隣に迷惑をかけてしまうかもしれません。
死後の問題
おひとりさまは「孤独死」になるリスクが高い傾向にあります。
友人や地域との交流がなければ、死後もしばらく気付かれない可能性があります。
たとえ見つかって火葬をしてもらっても、親族がいなければ遺骨を引き取ってもらうこともできず、最終的には無縁塚(無縁墓)に埋葬されることになるのです。
自分が希望する葬儀や埋葬法があったとしても、それを誰にも伝えていなければ実現できません。
また、相続人がいない場合、財産はすべて国庫に帰属するそうです。
お世話になった人に遺産を渡したい場合や寄付をしたい場合は、その旨を記載した遺言書を作成しておく必要があります。
自分が望む最期を迎えるために、おひとりさまこそ終活をする必要があるのです。
おひとりさまの終活の仕方
おひとりさまであっても、終活の内容は一般的なものと変わりません。
必要なものをしっかりと確認しておきましょう。
エンディングノートを書く
まずはエンディングノートを作成しましょう。
必要事項を書いておけば、終末期や死後の手続きにかかる手間を減らすことができます。
おひとりさまがエンディングノートに書いておくべき内容は以下の通りです。
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個人情報は、名前や生年月日、本籍地といった自分を証明するもの、運転免許やパスポートに関するものなどです。
資産については、種類や場所、量を記載しておきます。
ただしエンディングノートは、相続について記載しても法的効力が発生しないので、遺言書をあわせて作成しておくのがおすすめです。
友人・知人に関する情報も記載しておけば、入院時や亡くなった際にも連絡してもらえる可能性があります。
かかりつけ医を決める
体調の管理は、医師などの専門家に頼ると安心です。
健康診断や定期的な通院、体調不良の際には信頼できるかかりつけ医を決めて受診するようにしましょう。
複数の病院に通院している場合は、かかりつけ薬局を決めるのもおすすめです。
処方薬に関するアドバイスをもらえるだけでなく、顔を覚えてもらうことで孤独死のリスクも減らせます。
老後の生活を豊かにするためには、健康な体と安心できる環境が必要です。
元気なうちからきちんと健康管理をしておくとよいでしょう。
持ちものを整理しておく
遺品整理の量が多いと、自治体や業者、親族への負担が大きくなります。
なるべく遺品を減らせるよう、あらかじめ家財を整理しておくのがおすすめです。
高齢になって使わなくなったもの、独立した子どものもの、使用していない部屋にあるものなどは元気なうちに処分しておきましょう。
また、入院時に備えて必要なものをバッグにまとめておくのもよい方法です。
入院費用を普段使用している口座とは別のところに預け、そのキャッシュカードをバッグに入れておくのもよいでしょう。
災害時の非常用持出袋と同じ感覚で準備しておくと、いざというときにも困りません。
葬儀の準備
葬儀に関して希望があれば、エンディングノートに書いておきましょう。
火葬場所や葬儀の方法、参列してほしい人などを詳しく決めておくと、葬儀を進める人も困りません。
葬儀社もあらかじめ決めておけば、よりスムーズでしょう。
生前にお墓を購入していたり、散骨など埋葬法に希望があったりする場合はきちんと実行されるように伝えておいてください。
相続の準備
資産については、できるだけ細かくリストアップしておきましょう。
預貯金、不動産、株式といったプラスの財産だけでなく、住宅ローンなどのマイナスの財産も忘れずに記載しておいてください。
相続の配分もあわせて決めておくとよいでしょう。
ただし、相続に関してはエンディングノートではなく遺言書に記載することをおすすめします。
なぜなら、エンディングノートには法的効力がないため、親族がそれを実行しない可能性もあるからです。
お世話になった人に確実に遺産を渡したいのであれば、法的効力のある遺言書を作成しましょう。
遺言書があれば、遺産相続における親族間のトラブルを減らせるかもしれません。
死後の手続きを他人に頼むには
入院や介護が必要になったときや、亡くなったときの手続きは大変です。
自分自身と親族、そして自治体への負担を減らすために、人を頼ることも検討していきましょう。
財産管理等委任契約
財産管理等委任契約を行えば、自分の財産の管理を代理人に依頼できます。
任意代理契約とも呼ばれ、契約内容は自由に定めることが可能です。
入院することになった場合や病気やケガで身体が不自由になった場合などに、金融機関での取引や公共料金の支払いなどを代わりに行なってもらえます。
医療機関や福祉サービスの手続き、支払いといった療養看護に関することも代行してもらえるので、老後の生活を安心して送れるでしょう。
任意後見契約
判断能力が失われた際に、本人に代わって財産管理や生活・療養看護に関する手続きを行えるようにする制度が「成年後見制度」です。
この制度は「法定後見」と「任意後見」の2つに区分されており、判断能力があるうちに自分の意思で後見人を決められるのが任意後見契約です。
家族などが申し立てを行い、家庭裁判所が後見人を決定する法定後見と違い、自分で希望する相手に希望する内容を委任できるメリットがあります。
ただし、任意後見契約には公正証書の作成が義務付けられており、手数料や任意後見監督人選任の申し立て費用などがかかるので注意しましょう。
ちなみに、任意後見契約は生前しか効力を発揮しません。
死後の手続きをしてほしい場合は、次に紹介する契約が必要になります。
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、葬儀や遺品整理、相続に関わる事務手続きを生前に依頼しておくものです。
事務手続きを依頼するだけでは受任者に多大な費用負担が発生してしまうので、あらかじめ「預託金」という一定額の費用を受任者に預けておく必要があります。
本来、死後の手続きは親族が行うものですが、おひとりさまの場合は身寄りがない場合も多いでしょう。
その際も、死後事務委任契約を行えば、友人や知人に手続きを任せられます。
ただ、死後の事務手続きは多岐に渡り、非常に負担が大きいものです。
お世話になった人の負担を減らしたいのであれば、弁護士や行政書士などの専門家へ依頼するのがよいでしょう。
遺言書作成
遺言書の作成は、弁護士や行政書士などに依頼することが可能です。
自分で作成する「自筆証書遺言」もありますが、書式に不備があれば法的効力がなくなってしまう恐れがあります。
確実に法的効力がある遺言書を準備したい場合は、公証役場で作成する「公正証書遺言」を選択するのがおすすめです。
証人は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼もできます。
弁護士は法律の専門家であり、トラブルが発生しにくい相続方法なども知っているので、遺産分配などで悩みがある場合は、相談してみるとよいでしょう。
企業や行政によるサービス
近年では、終活に関わるサービスを行う企業や行政も増えてきました。
安否確認を兼ねた定期的な訪問、葬儀や納骨に関する生前契約の支援、入院時や死亡時における関係先への連絡などサービス内容はさまざまです。
身元引受人の代行を行なってくれるサービスもあります。
特に行政は、市民の情報があわせて保管されているので、安心かつスムーズに手続きが進められるでしょう。
身の回りにどんなサービスがあるのか、確認しておくと役立つかもしれません。
おひとりさまの終活にお悩みなら林商会へ
おひとりさまの終活は早めの対策と行動が大切です。
とはいえ、ひとりで行う終活には不安がつきもの。
どうしても不安が拭えない、そんな時は終活にまつわる知識と経験が豊富な、株式会社林商会へご相談ください。
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まとめ
高齢になると、ケガや病気、判断力の低下などさまざまなリスクが発生します。
おひとりさまであれば、リスクはさらに高まるでしょう。
老後の生活からなるべく不安を取り除き、豊かに楽しく暮らすためにも、早めの終活をおすすめします。
死後の準備をするためだけでなく、自分らしい老後を過ごすために、できることから始めていきましょう。