終活で銀行口座の凍結対策をしよう!凍結の解除方法と相続の注意点を解説

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亡くなると預金は「遺産」に変わります。

そのため、遺産を不正に使用されないように銀行口座は凍結されるのです。

一度凍結すると、相続の手続きが完了するまで基本的には引き出せません。

しかし、亡くなった後には多額のお金が必要です。

そこで今回は、銀行口座が凍結する理由とタイミング、凍結を解除する方法をご紹介します。

また、家族に迷惑をかけないよう事前に準備する方法も解説するのでぜひ最後までお読みください。

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銀行口座が凍結するのはなぜ?いつ凍結される?

3つの通帳と小銭

名義人が亡くなると銀行口座は凍結され、必要な手続きをしなければ利用できなくなります。

ここではまず、銀行口座が凍結される理由やタイミングについて詳しく見ていきましょう。

なぜ死後に銀行口座は凍結するのか

死後に銀行口座が凍結するのは、相続財産を守り、相続に関するトラブルが起きるのを防ぐためです。

名義人が亡くなったあとの預金は、「遺産」として扱われます。

死後に預金を自由に引き出せる状態であると、不正引き出しなどによって相続争いに発展する恐れがあるため、安易に引き出せないように金融機関は口座を凍結する必要があるのです。

銀行口座が凍結するとどうなるか

故人の預金は、相続が確定するまでは相続人全員の共有財産として扱われます。

そのため、一度凍結された銀行口座は、相続手続きが完了するまでは相続人であっても原則として利用できません。

口座が凍結されると現金が引き出せない以外にも、クレジットカードや各種支払いなどの引き落とし、ローンの返済なども一切利用できません。

相続手続きが完了すれば、口座の名義を変更して再び利用するか、または全額払戻すことが可能になります。

銀行口座が凍結されるのはいつ?

金融機関が名義人の死亡を知った時点で、銀行口座は凍結されます。

金融機関が名義人の死亡を知るきっかけは、遺族からの届出がほとんどで、役所に死亡届を提出しても金融機関に伝わることはありません。

しかし、新聞の訃報欄や町内会の掲示板などで金融機関が死亡の情報を見つけた場合、親族からの届出がなくても口座は凍結されます。

相続手続きをして銀行口座凍結を解除する方法

印鑑を持つ手と書類

銀行口座の凍結を解除するには、相続手続きが必要です。

遺言書で相続人が指定されていれば手続きを比較的スムーズに進められますが、法定相続人全員の書類が必要になるなど、凍結を解除するには時間や手間がかかります。

基本の手続きの流れ

凍結された口座の預金を受け取るには、当該口座を解約し、相続人の口座に全額振り込むか、または口座の名義を相続人の名義に変更する必要があります。

口座の凍結を解除する手続きの大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 銀行へ解約手続きまたは名義変更手続きの申請
  2. 必要書類の準備
  3. 必要書類の提出
  4. 相続預金の支払い

相続手続きは、遺言書により相続人が指定されているか、遺産分割協議書があるか、調停などに基づき相続人が決まっているかなど、相続人の状況に応じて必要となる書類や手続きが異なります。

必要な書類

印鑑登録証明書

必要な書類は金融機関ごとに異なるため、各金融機関に確認のうえ、不備がないように準備しましょう。

基本の必要書類

一般的に必要となる書類には、次のようなものがあります。

  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 法定相続人(全員)の戸籍謄本
  • 法定相続人(全員)の印鑑証明書
  • 銀行所定の相続届(法定相続人全員の署名・捺印などが必要)
  • 預金通帳、キャッシュカード、届出印など
  • 窓口に行く相続人の身分証明書(運転免許証や保険証など)

相続人の状況に応じて、戸籍謄本に記載すべき情報などが異なる場合があります。

記載が必要な項目などは、事前に金融機関に確認しておきましょう。

状況に応じて必要な書類

遺言書の有無など、相続人がどのように決まったのかによって必要となる書類が一部異なります。

遺言書がある場合、遺言書の種類によっても必要な書類が異なるため、注意が必要です。

遺言書には大きく分けて3種類あり、いずれかの遺言書がある場合、または遺言書がない場合に必要となる書類はそれぞれ以下の通りです。

相続人決定の状況 必要な書類
自筆証書遺言書がある ・自筆証書遺言書の正本
・検認調書(検認証明書)
公正証書遺言がある ・公正証書遺言書の謄本の原本
秘密証書遺言がある ・秘密証書遺言の正本
・検認調書(検認証明書)
遺言書がなく、遺産分割協議による相続 ・遺産分割協議書(相続人全員の署名・捺印)

公正証書遺言とは公証人が作成した遺言書であり、偽造などの心配がないため、原本のみで効力があります。

一方、自筆証書遺言書や秘密証書遺言書は、故人が作成した遺言書であることを証明するため、家庭裁判所に検認の申立てを行うことが必要です。

銀行口座凍結が解除できない場合は?

電卓と数枚の壱万円札

一旦凍結された銀行口座は、原則として相続の手続きを完了しなければ解除できません。

しかし、相続の手続きには必要な書類が多く、すぐに解除することは困難です。

そのため、どうしても緊急で資金が必要となった場合などは、相続手続きが終わっていなくても引き出せることがあります。

葬儀費用は引き出せる

金融機関によって対応は異なりますが、葬儀費用は、口座が凍結されていても例外的に引き出せる可能性があります。

また、故人が生前に医療機関を利用していたのであれば、入院費治療費なども同様です。

このように例外的に預金を引き出す場合、法定相続人全員の合意を得ていることが前提です。

全員の合意が得られない場合、遺産の不正利用や持ち逃げとして相続トラブルに発展する恐れがあるため、たとえ故人に関わる費用であっても慎重に対応しましょう。

仮払い制度を利用して引き出す

相続トラブルを防ぐために口座の凍結は必要なことですが、その反面、相続人の生活費や葬儀費用、相続債務などの資金需要がある場合にも、すぐには払戻しができません。

こうした資金の需要に対応できるように、2019年7月より「預貯金の払戻し制度」が施行されました。

本制度では、相続手続きが完了していなくても、一定の金額であれば相続人が単独で預金を引き出すことができます。

払戻しの具体的な金額は預金額などにより異なりますが、1つの金融機関から引き出せる額は最大で150万円です。

また、家庭裁判所の判断により仮払いの必要性が認められた場合、他の相続人の利益を侵害しない範囲で仮払いを受けることができます。

仮払い制度を利用するには、一般的に以下のような書類が必要です。

払戻し方法 必要な書類
家庭裁判所の判断による払戻し ・家庭裁判所の審判書謄本
・払戻しを希望する相続人の印鑑証明書
・払戻しを希望する相続人の身分証明書
・申請書
家庭裁判所の判断を経ない払戻し ・故人の出生から死亡までの戸籍謄本
・法定相続人(全員)の戸籍謄本
・払戻しを希望する相続人の印鑑証明書
・払戻しを希望する相続人の身分証明書
・申請書

ただし、仮払いを受けることによって、資金の用途によっては相続放棄ができなくなる可能性があります。

相続放棄ができない場合、資産だけでなく負債も引き継ぐことになるため、故人の負債額に注意したうえで仮払い制度の利用を検討しましょう。

参考:法務省

銀行口座の終活!凍結で家族が困らないためには?

通帳を持つ女性高齢者

自分の死後、銀行口座が凍結されることによって、家族は自由に預金を引き出せなくなります。

ここでは、口座の凍結で家族が困らないように、終活でできることについて解説します。

生前に家族の口座へ預金を移動させておく

死後の出費への備えとして、葬儀の費用や医療費などの資金をあらかじめ家族の口座に移しておく「生前贈与」があります。

生活費や教育費のための贈与であれば課税されず、それ以外の用途であっても年間110万円以内であれば贈与税はかかりません。

しかし、死亡前の3年以内の贈与は相続財産となるため、「生前贈与加算」として相続税が課税されます。

相続税の節税のために行うことも多い生前贈与ですが、贈与税や生前贈与加算などの課税の仕組みを確認し、税金の負担がなるべくかからないように注意しましょう。

生前に生命保険に入っておく

保険金は、銀行口座のように死後に凍結されることはありません。

保険会社に請求すれば、受取人が指定した口座に保険金が振り込まれます。

振込のタイミングは保険会社によって異なりますが、書類の到着から5営業日程度を目安としている保険会社がほとんどです。

必要な額の保険金が受け取れる生命保険に加入し、加入した保険会社やプランなどの情報は、家族にも共有できるようにまとめておきましょう。

口座凍結前に支払ってもらう

どうしても緊急で必要な出費は、口座が凍結される前に支払ってもらうことも一つの手です。

しかし、他の相続人の同意がないまま勝手に預金を引き出すことは、相続トラブルに発展する恐れがあります。

相続手続きを行う前に出金したい場合は、事前に法定相続人全員の同意を得ておきましょう。

ただし、名義人の死亡を親族が申告しなくても、既に金融機関が死亡を知って口座が凍結されている可能性もあるため、確実な方法とは言えません。

事前に銀行口座を整理しておく

銀行口座が凍結されたら、金融機関ごとに凍結解除の手続きが必要です。

所持している口座が多い場合、家族がすべての金融機関に足を運んでそれぞれに解約などの手続きを行うこととなり、負担が大きくなるでしょう。

そのため、使っていない口座や使用頻度が低い口座は生前に解約を検討し、必要最低限にまとめておくことをおすすめします。

また、銀行口座に関する情報をエンディングノートに記載し、相続に漏れがないように準備しておくことも大切です。

銀行口座の一覧表を作成し、銀行名、支店名、預金の種類、口座番号、残高などを書いておけば、資産の管理や死後の手続きに役立ちます。

キャッシュカードの暗証番号は、家族など信頼できる人以外に見られないように注意して伝えるようにしましょう。

また、いざというときに家族がすぐにエンディングノートを確認できるよう、保管場所を伝えておくことも大切です。

遺言書の作成は公正証書遺言がおすすめ

遺言書で相続人を指定しておけば、相続の手続きが比較的スムーズに行えます。

遺言書には、書式などによっていくつか種類があり、主な遺言書の種類は以下の3つです。

  • 自筆証書遺言書:全文を故人が直筆で書いた遺言書
  • 公正証書遺言書:公証人が関与して作成した遺言書
  • 秘密証書遺言書:故人が作成した遺言に封をし、公証人と証人が存在を証明した遺言書

このうち、自筆証書遺言書と秘密証書遺言書は故人が自ら作成するもので、相続手続きに使用する場合は家庭裁判所の検認を受ける必要があります。

また、規定に沿った書式であることなどの条件を満たさなければ遺言書は無効となるため、心配であれば公正証書遺言書を残すことがおすすめです。

公正証書遺言書の作成には費用がかかりますが、公証人が作成するため無効になる心配はなく、検認を受ける必要もないため家族の負担も軽減できます。

終活に関するご相談は林商会まで

終活のお手伝いは林商会にお任せください。

死後の手続きには、さまざまな法律が関わってきます。

今回の銀行口座凍結のように「知らなかった」では手遅れになることもあり、手続きには正しい知識が必要です。

林商会では、生前にできる終活ではどういったことをすべきか、あなたに最善の内容をご提案いたします。

お困りの方はお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

まとめ

ATMの操作

銀行口座が一旦凍結されると、解除するまでには時間や手間を要します。

なるべく家族に負担をかけないように、終活では銀行口座の整理や遺言書の作成など、口座の凍結対策を行いましょう。

銀行口座に関する終活をはじめ、終活に関するお悩みや不安などがあれば、林商会にお気軽にご相談ください。

▼終活全般について詳しくはこちらの記事をお読みください
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