「親が住んでいたマンションを相続することになったけれど、いったい何をすればよいのかわからない」とお悩みの方、必見です。
マンションを相続した際には、名義変更や相続税の申告・納税などを行う必要があります。
今回の記事は、相続の手続きや注意点のほか、トラブルになりがちな兄弟姉妹で遺産分割するケースについても解説します。
目次
マンションの相続に必要な手続きとは!?
マンションの相続後に必要となる手続きは、下記の5つです。
遺言書の確認
遺言書を見つけたらその場で開封せず、家庭裁判所に提出して手続きを行なったうえで開封します。
遺言書には時効がないため、相続手続きや遺産分割をした後に遺言書が見つかった場合には、再度、遺言書に従った相続手続きをしなくてはなりません。
相続人間のトラブルを防ぐためにも、最初に遺言書の有無を確認しておきましょう。
相続人・相続遺産の確定
遺言書の有無と同時に、どのような財産が遺されているのかを確認しましょう。
マンションの他にも、自家用車や現預金、借金など、プラスとマイナスの財産すべてを把握して相続財産を確定した後は、相続人で分割します。
マンションを含む相続財産は以下の4つの分割方法から選択します。
現物分割 | 「車は長女が相続し、マンションは長男する」など相続遺産をそのまま相続する方法。 |
代償分割 | 1人がマンションを相続した場合に、残りの相続人がマンションに値する金額を相続する方法。 |
換価分割 | マンションを売却し、現金を相続人で分割する方法。トラブルが起こりにくい。 |
共有分割 | 相続するマンションを共有名義にして相続する方法。相続後の売却や賃貸に出す際に相続人全員の同意が必要になるため、トラブルが起こりやすい。 |
遺産分割協議を行う
遺産分割協議では、マンションを含む被相続人のすべての財産をどのように相続するのかを、相続人全員の話し合いで決めていきます。
なお、遺言書がない場合は遺産分割協議書が必須ですが、相続人全員の同意が必要なため、直接署名、印鑑が難しいときには郵送で対応しましょう。
相続税の申告・納付
相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行わねばなりません。
申告が遅れてしまったり意図的に申告しなかったりするとペナルティが課せられるため、まずは相続税の申告が必要かどうかを、以下の手順で確認しましょう。
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相続税の申告手続きを行う際の具体的な流れや注意点については、以下の記事をご覧ください。
マンションの相続登記
マンションを相続する際には、相続登記(不動産の名義変更手続き)が必要です。
相続登記は2024年に義務化されるため、理解を深めておくことをおすすめします。
なお、相続登記は相続税の申告の前に行うのがよいですが、先述のように相続税の申告には10か月の期限があるため、早めに手続きするようにしましょう。
相続登記について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
相続に関する手続きは専門家に依頼すると安心
相続に関する手続きにはさまざまな専門知識が必要なため、専門家に依頼するとよいでしょう。
マンションなどの不動産を含む相続手続きの代行を依頼するなら、司法書士がおすすめです。
しかし、遺産は不動産以外にも預貯金や有価証券などがあり、司法書士は不動産以外には対応していない場合もあるので、注意しましょう。
相続手続きの代行について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
マンション相続にかかる税金と対策
マンションを含む遺産相続の際に発生する相続税は、控除や特例を活用することで節税可能です。
相続にかかる相続税
相続時にかかる相続税の計算方法は、下記の通りです。
相続税額 =(相続財産の時価評価額−控除額)÷法定相続分× 税率 |
相続財産の時価評価額(総額)が控除額以内ならば相続税の支払いは不要です。
また、相続税の申告や支払いには期限があるため、マンションの相続や他の遺産相続の手続きを怠っていると、ペナルティを課せられる可能性がある点に注意しましょう。
名義変更の際に支払う登録免許税
マンションやアパートなどの不動産を相続した際には、所有者移転登記と呼ばれる所有者の名義変更手続きが必要です。
この名義変更の際に発生する税金が登録免許税で、計算式は以下の通りです。
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%(100円未満は切り捨て) |
【必読】相続税対策に有効な控除・特例
マンションなどの不動産相続の際に活用できる主な控除や特例は、下記の通りです。
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知らなきゃ損!配偶者と子どもたちで相続する際に使える「配偶者居住権」
配偶者居住権は同居家族の住まいを保証するための権利で、2020年4月に施行開始されました。
被相続人が死亡した後も配偶者は引き続き自宅に住み続けながら、預貯金などの遺産を相続できます。
配偶者と子どもたちで遺産相続するときには、「自宅の住む権利は配偶者」「所有権は子ども」といったように別々に相続することで、配偶者の住む場所と生活費が保護される仕組みです。
マンションを相続した場合の相続税はいくら?
マンションにかかる相続税を算出するためには、マンションの価値や土地と建物の評価方法を理解することが重要です。
相続税の計算方法
相続したマンションにかかる相続税は、以下の計算式で算出されます。
相続税=マンションの評価額×税率-控除額 |
相続したマンションの評価額の求め方
相続したマンションの評価額は、被相続人が亡くなった日の時価で評価されます。
マンションの建物部分の相続税評価額は固定資産税評価額と同額で、敷地部分の相続税評価額は「マンションの敷地全体の評価額×持分割合(敷地権割合)」で算出されます。
土地や不動産を相続したときの税金について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
マンション敷地の評価額が2割以上減る!?「地積規模の大きな宅地の評価」
「地積規模の大きな宅地の評価」は、相続で取得した大規模な土地に適用される評価方法です。
大規模な土地を戸建住宅用地として開発分譲する場合、主に面積が大きいことにより減価(価値の減少)が発生します。
したがって、以下の減価を反映した「規模格差補正率」を使用して評価額を求めます。
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マンション相続の注意点
マンションを相続する際には、以下の点に注意点しましょう。
相続後にもさまざまな費用が発生する
固定資産税などのランニングコストの負担軽減を目的に、マンションを貸し出そうと考える人も少なくありません。
しかし、相続したマンションを賃貸物件として貸し出す際には、ハウスクリーニングやリフォームが必要なケースもあります。
また、仲介や管理を不動産会社へ依頼する場合には、仲介手数料や管理手数料の支払いが必要な点も念頭に置いておきましょう。
売却する場合は買い手がつかない可能性がある
「相続したマンションには居住予定もないし、維持費もかけたくない」と考え、売却を検討する人も多いでしょう。
しかし、中古マンションは売却に時間がかかることも多く、築年数が古い場合には、希望金額で売れなかったり買い手が見つからなかったりするリスクもあります。
兄弟姉妹でマンションを相続する際に知っておきたいこと
マンションなどの不動産は物理的に分けて相続できないため、トラブルが起きがちです。
兄弟姉妹での相続トラブルを避けるためにも、マンションの相続方法を正しく理解しておきましょう。
マンションを兄弟で遺産分割する4つの方法
マンションを相続した際の遺産分割の方法には、下記の4つがあります。
それぞれのメリットとデメリットを理解して、最適な方法を選びましょう。
現物分割
現物分割は、不動産を物理的に分けて相続する遺産分割方法です。
メリット:シンプルでわかりやすい デメリット:マンションは物理的に分割できないため、平等に相続ができない |
代償分割
代償分割は、相続人の1人がマンションを相続し、マンションに相当する金額を他の相続人に現金で支払う方法です。
メリット:平等に相続しやすい デメリット:マンションを取得した相続人に、代償金を支払う資力が必要 |
換価分割
換価分割は、不動産を売却した後、相続人で現金を分ける方法で、相続人全員がマンションを必要ないと感じているときに有効です。
メリット:平等に相続しやすい・相続人に資力が必要ない デメリット:相続人全員の同意が必要・不動産を手放さなければならない |
共有分割
共有分割は、マンションを相続人全員の共有財産として相続する方法ですが、相続後にトラブルが起きやすいため、あまりおすすめできません。
メリット:平等に相続できる・相続人に資力が必要ない デメリット:売却時に共有者全員の同意が必要・リフォーム時に持分割合の過半数の同意が必要など、トラブルが起きやすい |
遺言で指定された受け取りを拒否したことは書面に残そう!
遺言書がある場合は法律により優先されますが、利害関係者全員の同意があれば、遺言を無視して相続財産を分割することが可能です。
その際、他の相続人とのトラブルを未然に防ぐため、遺言により相続財産を受け取るよう指定された人は、受け取り拒否した旨を書面で残すようにしましょう。
【放置はNG!】相続したマンションの3つの活用方法
相続したマンションを放置すると、定期的な税金の支払いに追われたり、劣化して管理費用がかさんだりします。
そこで、マンションを相続した人におすすめの活用方法を3つご紹介します。
住む
現在も住んでいる場合や生活に便利な立地ならばそのまま住む方法がおすすめです。
メリット
デメリット
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貸す
相続したマンションが遠隔地にある場合や当面住む予定がないときには、賃貸に出す方法がおすすめです。
メリット
デメリット
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売る
すでに持ち家がある場合にマンションを相続すると、管理費や修繕積立金、固定資産税などの維持費が2軒分かかることになり、相続後の負担が大きくなります。
維持が難しいと判断したときには売却するのも方法の一つです。
メリット
デメリット
注意点
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分譲マンション飽和時代!?老朽化したマンションの相続で直面する問題
現在の不動産市場では、中古住宅の中でも「分譲マンション」の割合が増加しています。
比較的新しい分譲マンションがすでに飽和状態のなか、築40年以上の分譲マンションが全体の2割近くを占めています。
したがって、老朽化したマンションをそのままの状態で売却するのは、非常に難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
以下で、老朽化したマンションを売却する際の問題点を解説します。
維持費がかさむ
分譲マンションに住まない場合でも管理費や修繕積立金、固定資産税の支払いが発生します。
維持費は相続人にとって最も負担が大きい部分です。
相続する可能性のある分譲マンションの管理費、修繕積立金、固定資産税についてあらかじめ確認しておくと安心でしょう。
建て替え・修繕が必要
分譲マンションでは居住者から修繕積立金を徴収しています。
しかし、建て替えや大規模修繕の際に修繕積立金だけでは不足することも多く、多額の一時金支払いが発生する場合がある点にも注意が必要です。
マンションの相続についてのご相談は林商会にお任せください
ここまで、マンションの相続にかかる税金や相続後の活用方法などついてご説明してきました。
マンションの相続は、平等に分割するのが難しくトラブルにつながりやすいため、専門家に依頼するのがおすすめです。
相続のプロ集団である林商会には、税理士、弁護士、司法書士などの専門家が在籍しており、お悩みに寄り添った最善の解決方法をご提案します。
まずは無料相談、無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、マンションの相続方法や相続後に起こりがちな問題などを解説しました。
家族が所有しているマンションを相続する可能性のある人は、事前にマンションの管理状態を確認したり活用方法を考えたりしておくことが大切です。
事前に所有者と話しておくのもよいでしょう。
しかしマンションの状態は日々変化して老朽化も進むため、できるだけ早めに判断することが重要です。
スムーズに判断するためにも、専門家への相談をご検討ください。