【相続放棄の手続きに必要な書類一覧】取得方法や費用から手続きの方法まで解説

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「相続放棄の手続きをしたいけれど、具体的にどんな書類を揃えればよいのかわからない」とお困りの方も多いのではないでしょうか?

相続放棄の手続きの際に必要な書類は、被相続人との関係によって異なるため、注意が必要です。

この記事では、相続放棄の手続きに必要な書類の種類や取得方法、費用について解説します。

相続放棄の手続きに必要な書類

書類に捺印する女性の手

相続放棄の手続きには、いくつかの書類が必要です。

基本的に、共通して必要な書類と被相続人との関係によって必要な書類に分けられます。

申述人別に必要な書類についてご説明しましょう。

すべての申述人に共通の書類

すべての申述人に共通の書類は以下の3つです。

● 相続放棄の申述書
● 被相続人の住民票除票もしくは戸籍附票
● 申述人の戸籍謄本

以下では3つの共通の書類に加えて、被相続人ごとに異なる書類を紹介します。

申述者が被相続人の配偶者の場合

被相続人の配偶者が相続放棄する場合は、被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本が必要です。

配偶者の場合、被相続人の死亡記載のある戸籍謄本に記載がされているので、配偶者自身の戸籍謄本を別で用意する必要はありません。

申述者が被相続人の子の場合

被相続人の子が相続放棄する場合は、被相続人の死亡が記載されている戸籍(除籍)謄本が必要です。

申述者が被相続人の孫の場合

被相続人の孫が相続放棄する場合は、以下の書類が必要です。

● 被相続人の死亡が記載されている戸籍(除籍)謄本
● 被代襲者(本来の相続人:子)の死亡が記載されている戸籍(除籍)謄本

申述者が被相続人の父母の場合

被相続人の父母が相続放棄する場合は、以下の書類が必要です。

● 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍)謄本
● 被相続人の子(およびその代襲者:孫)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍)謄本

申述者が被相続人の祖父母の場合

被相続人の祖父母が相続放棄する場合は、以下の書類が必要です。

● 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍)謄本
● 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍)謄本

申述者が被相続人の兄弟姉妹の場合

被相続人の兄妹姉妹が相続放棄する場合は、以下の書類が必要です。

● 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍)謄本
● 被相続人の子(およびその代襲者:孫)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍)謄本
● 被相続人の直系尊属(父母・祖父母)の死亡が記載されている戸籍(除籍)謄本

申述者が被相続人の甥・姪の場合

被相続人の甥・姪が相続放棄する場合は、以下の書類が必要です。

● 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍)謄本
● 被相続人の子(およびその代襲者:孫)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍)謄本
● 被相続人の直系尊属(父母・祖父母)の死亡が記載されている戸籍(除籍)謄本
● 被相続人の兄弟姉妹の死亡が記載されている戸籍(除籍)謄本

申述者が未成年・成年被後見人の場合

申述者が未成年者の場合、本人は手続きできません。

未成年でなおかつ親も相続放棄している場合は、代理人として親が申述できます。

ただし、親が相続放棄していない場合は利益相反を防ぐため、特別代理人の選定手続きが必要です。

また、成年被後見人が相続放棄の申述をする場合は、成年後見人が代理人として申述します。

申述者が未成年の場合と同様、利益相反を防ぐ観点から、特別代理人の選定が必要になる可能性もあるでしょう。

必要に応じて、家庭裁判所で別途手続きを行なってください。

相続放棄の手続きの際には、親や成年後見人の証明として以下の書類が必要です。

● 親の戸籍謄本
● 成年後見人の登記事項証明書(または選任審判書謄本)

他の申述人が提出済みの書類は不要

相続放棄の手続きをする際、もしご自身より先に相続放棄をしている相続人がいた場合は、すでに提出している被相続人についての書類は不要です。

たとえば、父親が被相続人で、子である兄が先に相続放棄したとします。

その後に弟も相続放棄する場合、兄が提出済みの父親に関する書類については、弟が改めて提出する必要はありません。

必要書類の取得方法と費用

黒いスーツとチェックマーク

相続放棄の手続きに必要な書類を把握したら、早速書類を集めていきましょう。

取得費用については一般的な価格を記載しておりますが、市区町村によって異なる場合があります。

相続放棄申述書

相続放棄申述書は、裁判所のホームページから無料でダウンロードできます。

成人と未成年者で書式が分かれているため、自身に適したほうを選んでください。

裁判所:相続放棄申述書(成人)相続放棄申述書(未成年者)

住民票の除票

住民票の除票とは、被相続人の死亡により住民登録が削除された住民票です。

最後の住所地である市区町村役場で取得できます。

取得費用は300円です。

戸籍の附票

戸籍の除票は、戸籍ができたときから除籍されるまでの住所の履歴を記載した書類です。

本籍地のある市区町村役場で請求して取得できます。

取得費用は300円です。

戸籍謄本

戸籍謄本は、戸籍に記されている全員の身分事項が書かれた写しです。

本籍地のある市区町村役場で請求し取得できます。

取得費用は450円です。

被相続人の死亡記載のある戸籍謄本(除籍謄本)

一般的な戸籍謄本には存命中の人員の記載しかされません。

被相続人の死亡記載のある戸籍謄本を取得する場合は、除籍記録のある戸籍謄本が必要な旨を伝えましょう。

また、戸籍内のすべての人員が婚姻や死亡によって転籍および除籍され、戸籍内が空になったことを証明する謄本は除籍謄本と呼ばれています。

被相続人の最後の本籍地である市区町村役場にて取得できます。

取得費用は750円です。

収入印紙と郵便切手

必要書類を揃えるうえで忘れがちなのが収入印紙と郵便切手です。

相続放棄を行うための手数料として、相続放棄申述書には800円分の収入印紙を貼る必要があります。

また、家庭裁判所とのやり取りのために郵便切手が必要ですが、金額は申述先によって異なります。

収入印紙の取得先や郵便切手の金額の確認方法について、ご説明していきましょう。

収入印紙の取得先

収入印紙は郵便局で購入できます。

200円の収入印紙であればコンビニで取り扱っている場合があるので、お近くのコンビニで確認してみましょう。

郵便切手の金額(申述先の裁判所によって異なる)の確認方法

必要な郵便切手の金額は、裁判所によって前後しますが500円程度がほとんどです。

申述先の家庭裁判所のホームページに、必要な値段の切手と枚数(例:84円切手5枚、10円切手2枚など)が記載されています。

不明な場合は、直接申述先の家庭裁判所に電話で問い合わせてみるといいでしょう。

もし、申述書類を郵送で提出する場合は別途送料分の切手が必要になるため、注意しましょう。

相続放棄申述書の記入例

引用:裁判所

相続放棄申述書の記入例は、裁判所のホームページに掲載されています。

成人と未成年者で書式が異なる点に注意してください。

裁判所:相続放棄申述書の記入例(成人)相続放棄申述書の記入例(未成年者)

相続放棄の手続きの方法

裁判所

相続放棄の必要書類は、被相続人の最後の住所地を管轄する「家庭裁判所」に持参または郵送で提出します。

いずれの場合も、相続の開始を知ってから3か月以内に提出する必要があるので、注意してください。

提出後の手続きの流れは、以下の通りです。

照会書が届いたら返信する

相続放棄の手続き書類を提出した後、1週間程度で家庭裁判所から照会書が届きます。

照会書には回答欄が設けられているので、回答して裁判所に返信しましょう。

相続放棄申述受理通知書が交付される

照会書の返信後、特に問題がなければ家庭裁判所から相続放棄申述受理書が届きます。

これで相続放棄の手続きは完了です。

相続放棄申述受理書は紛失しても再発行はできないので、大切に保管しましょう。

また申請することで、受理書とは別に相続放棄申述受理証明書の発行が可能です。

相続放棄の証明として必要な場合は、相続放棄申述受理証明書の交付申請書に必要事項を記入し、申述を行なった家庭裁判所へ申請しましょう。

次の相続人に知らせる

相続放棄の手続きが完了したら、次の相続人に知らせましょう。

次の相続人は以下の相続順位で確認できます。

相続順位 被相続人から見た続柄 代襲相続人
常に相続人
相続順位1位 孫・ひ孫
相続順位2位 親(直系尊属) 祖父母
相続順位3位 兄弟姉妹 甥・姪

補足ですが、相続放棄によって代襲相続人が相続権を取得するわけではありません。

あくまで死亡している場合に限るので、混同しないように注意してください。

相続放棄の期間は「3か月以内」

注意

相続放棄の期間は、相続の開始を知ってから3か月以内です。

期限を過ぎてしまうと、被相続人の財産を相続することになります。

もし相続財産の調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に対し、相続放棄手続きの期間を伸ばす申し立てを行いましょう。

手続きには、以下の書類が必要です。

● 相続放棄の期間伸長申立書(裁判所のホームページよりダウンロード可)
● 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
● 被相続人との相続関係を証明するための戸籍謄本
● 収入印紙800円
● 連絡用郵便切手(裁判所によって異なる)

期間の伸長は、審査後1~3か月の間で認められることがほとんどです。

相続放棄の手続きの注意点

注意のイメージ

相続放棄の手続きを行う際は、以下の点に注意しましょう。

相続発生前に相続放棄はできない

相続放棄は、相続発生後に家庭裁判所で手続きを行うことで成立します。

仮に、被相続人の生前に財産を相続しないことを明言していても、相続放棄とは認められません。

相続放棄の手続きは撤回できない

原則として、相続放棄の手続きは撤回できません。

相続放棄の手続きを行う前に、その点も踏まえて十分に検討する必要があります。

相続放棄すると相続権が移転する

相続放棄した場合、相続権は次の順位の相続人に移転します。

代襲相続人に移転するわけではないので、間違えないよう注意しましょう。

相続放棄に関するご相談は林商会にお任せください

少しでも書類に不備があると、相続放棄の手続きがスムーズに進まない可能性もあるため、専門家に任せたほうが安心です。

相続放棄に関するご相談は、ぜひ相続の専門家集団である林商会にお任せください。

相続診断士、弁護士、司法書士などの専門家が、確かな知識をもとにお悩みに寄り添った解決のお手伝いをさせていだきます。

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まとめ

今回は、相続放棄の手続き書類の取得方法と手続きの流れについてご紹介しました。

相続放棄には相続財産の調査や書類の作成など、想像以上の労力と時間がかかります。

準備不足で思わぬ負債を相続してしまわないよう、しっかりと準備しましょう。

相続放棄の手続きに不安がある場合や、期限内に手続きできそうにない場合などは、専門家へ依頼するのもおすすめです。

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