【相続関係説明図】作成すると司法書士への相談・不動産登記で戸籍コピーが不要!法務局の記載例から書き方を解説

相続 相続関係説明図 アイキャッチ

不動産の相続登記や司法書士への相談などに必要な戸籍謄本ですが、何度も取り直すのは面倒という方はいませんか?

実は、相続関係説明図を作成すれば、毎回の戸籍謄本を集める時間と手間、手数料をかけずに手続きを行えます!

この記事では、相続関係説明図を活かせる場面から実際の作成の仕方まで、わかりやすく解説します。

目次

【下準備】相続関係説明図を作成する前に必要な3つのポイント

ポイントのイメージ

相続関係説明図とは、被相続人と相続人の関係をまとめた表のことで、被相続人を中心に親や兄弟など関係人を線でつないで表します。

相続関係説明図を作成すると、さまざまな相続の手続きをスムーズに行えます。

この相続関係説明図を作成する前に必要な3つのポイントを、押さえておきましょう。

  1. 戸籍などの必要な書類を集める
  2. 戸籍の取得方法について
  3. 情報を整理する

それぞれについて詳しく説明していきます。

戸籍などの必要な書類を集める

必要書類イメージ-

まずは必要な書類を集めましょう。

相続関係説明図を作るために必要な書類は、以下の通りです。

  • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の住民票の除票もしくは戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍抄本または戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍の附票または住民票

被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本は、それぞれの時点で本籍を置いていた市区町村役場で取得します。

手数料は戸籍謄本であれば1通450円、除籍謄本と原戸籍謄本は1通750円です。

また被相続人の住民票の除票は、被相続人の最後の住所地の市区町村役場、戸籍の除票は被相続人の最後の本籍地の市区町村役場で取得できます。

いずれも市区町村により取得手数料は異なりますが、1通200~400円程度が一般的です。

戸籍の取得方法について

窓口相談のイメージ

戸籍の取得方法はいくつかあります。

どの方法がスムーズに取得できるか、検討してみましょう。

  • 本人が窓口で直接取得する
  • 委任状を持った代理人が窓口で取得する
  • 本人が死亡している場合は、本人との親族関係が確認できる資料(戸籍など)を持った親族が窓口で取得する
  • 郵送で請求、取り寄せる(本人死亡の場合も可能)

情報を整理しよう

相続関係説明図の作成には、準備した書類に記載しているすべての情報が必要なわけではありません。

以下の必要な情報のみ前もって整理しておくと、作成する際により楽になります。

  • 被相続人:氏名、出生日、死亡日、最後の本籍、最後の住所
  • 相続人:氏名、出生日、現在の住所

相続関係説明図の作成をしてみよう!

それでは実際に、相続関係説明図を作成してみましょう。

相続関係説明図は書式などが法律で決まっているわけではなく、ある程度自由に作成できるので、順を追って説明していきます。

意外と簡単?相続関係説明図の書き方

相続関係説明図は書くべきことが決まっているので、相続人が少ないほど簡単に作成できます。

法務省の作成した相続関係説明図のフォーマットを基に、解説していきます。

テンプレート-

引用:法務局HP

配偶者と子1人の場合を例に作成してみます。

以下は全体の記入例です。

細かく見ていきましょう。

記入例-

引用:法務局HP

まずは被相続人の名前を2か所に記載します。

Inked記入例

続いて、被相続人の最後の住所地および最後の本籍地、出生日、死亡日を記載します。

Inked記入例2

被相続人に関する記載は以上です。

次に、相続人に関する情報を記載していきます。

まず、配偶者の「住所、出生日、名前、続柄」、続いて、子の「住所、出生日、名前、続柄」を記載しましょう。

Inked記入例3

続いて、申出人になる相続人の名前を書きます。

Inked記入例4

最後に、作成日と作成者の情報を記載すれば完成です。

Inked記入例5-

ちなみに、不動産の相続登記のために相続関係説明図を書く場合、不動産を相続する人の箇所に「相続」と明記しましょう。

不動産は相続せず、他の遺産を相続する人は「遺産分割」もしくは「分割」と書き、不動産を含むすべての遺産を相続しない人は「相続放棄」もしくは「放棄」と記載します。

相続関係説明図はエクセルや専用ツールでも作成可能!

相続関係説明図は、先ほどご紹介した法務局のフォーマットを基に、作成できます。

他にも「そうぞく工房」というフリーソフトを使って作成する方法や、Excelテンプレートでも可能です。

テンプレートを無料で配布しているサイトもあるので、使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

司法書士や弁護士の事務所に作成を依頼するのも一つの手段

専門家への相談

相続手続きの仕方がわからなかったり、相続人が多くて相続関係説明図の作成が難しかったり、正しく書けるか自信がない方などは、司法書士や弁護士に依頼するのも一つの手です。

ただし、その場合は別途費用がかかるのでしっかり検討して決めましょう。

特殊なケースの書き方を事例ごとに解説

相続関係説明図には特殊なケースがいくつかあります。

たとえば、被相続人に離婚歴や再婚歴があった場合や数次相続代襲相続となった場合の相続関係説明図について解説します。

【ケース1】離婚や再婚した場合の相続関係説明図の書き方は?

離婚や再婚した場合は、離婚した前妻を結ぶ二重線に×印を付けて、離婚が成立した日を記入します。

日付の後ろに協議離婚もしくは調停離婚と書いておきましょう。

離婚した前妻との間に子がいれば、子については相続人になるので注意が必要です。

離婚歴あり相続関係説明図-

無料テンプレート引用

【ケース2】初めの相続手続きが終わっていない段階で次の相続手続きが開始してしまったときの書き方は?

初めの相続手続き中に次の相続手続きが開始することを、数次相続といいます。

たとえば、父の死亡による相続手続きをしている最中に、相続人である次男も亡くなってしまったケースです。

この場合、次男は相続人兼被相続人となり、二次相続が行われていることを記載することで次男の死亡により、次男の子に相続権が移ったことを示せます。

数次相続記入例-

参考:法務局

【ケース3】孫が相続人としているときの書き方は?

子のうちの1人が死亡しており、孫が代襲相続者となった場合は、以下のように記載します。

代襲相続記入例-

引用:法務局HP

相続関係説明図完成後の流れについて相続登記を例に紹介

相続関係説明図が完成したら、土地や建物の名義を変更する相続登記を行いましょう。

【相続登記】相続関係説明図を作成したら法務局へ

相続登記は管轄の法務局で行います。

相続登記は法改正により2024年から義務化されることが決定しました。

ただし、施行までに登記をしなくてもよいわけではなく、以下のように早めの登記をしないことによるデメリットも挙げられます。

  • 土地や建物が売りたいときに売れない
  • 税金を支払っていても自分のものにはならない
  • 次の相続が発生してしまい話し合いがこじれやすい

後々トラブルにならないためにも、相続登記は速やかに行なったほうがよいでしょう。

法務局に行けば、書き方や必要書類の詳細を教えてもらえますが、直接窓口に持っていく場合は相談や書類の収集など少なくとも4日前後かかるので、余裕をもっておくことが大切です。

作成すれば本当に便利?そもそも相続関係説明図とは

疑問のイメージ

相続関係説明図とは、被相続人を中心とした家系図のようなものを指します。

被相続人とすべての相続人を明らかにして、関係性を図表で表すことが目的で作成される一覧表です。

相続関係説明図には2つの大きなメリットがあります。

  • 相続登記の際、戸籍謄本の原本を返却してもらえる
  • 相続関係が図によってわかりやすくなる

相続関係説明図は必要なシーンばかりではありませんが、相続人の情報をわかりやすくまとめるという点で、複雑な相続という手続きの整理に役立つでしょう。

不動産登記や相続相談時に役立つ相続関係説明図を解説

不動産登記には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人の戸籍謄本が必要です。

そこで、相続関係説明図を提出すれば、不動産登記以外でも必要な場面の多い戸籍謄本の原本を返してもらえるメリットがあります。

また、専門家に相続の相談をする際、相続関係説明図があれば1~10まで説明せずとも、相続人が一目でわかるので相談がスムーズに進み、的確な回答も得られるはずです。

相続関係説明図が実際に使える4つの場面を紹介!

相続関係説明図が実際に使える4つの場面をご紹介します。

①相続登記における戸籍謄本の原本還付手続き

先ほどもご説明した通り、相続登記には戸籍謄本の原本の提出が必須です。

謄本の原本に対して還付手続きをする場合は、原本とその写し(コピー)をセットで窓口に提出する必要があります。

ですが、相続関係説明図を提出することで、写しがなくとも戸籍謄抄本(除籍謄本、改製原戸籍を含む)原本還付が可能になります。

②金融機関での解約・払い戻し手続き

金融機関での解約や払い戻し手続きに、相続関係説明図が必要な場合もあります。

金融機関の数が多い場合、相続関係説明図を作成しておけば待ち時間が短縮でき、スムーズに手続きを行えるため、安心です。

③相続税の申告手続き

相続税申告手続きには、戸籍謄本の原本の提出が求められていましたが、2018年4月より相続関係説明図を戸籍謄本の代用として使えるようになりました。

④司法書士や税理士へ依頼するとき

専門家への相続の相談をする場合、相続関係説明図があればスムーズに手続きが進むため、便利です。

法定相続情報一覧図との違いをわかりやすく解説

相続関係説明図と法定相続情報一覧図とは混同されることがほとんどですが、似ているようで実は全く別物なので注意しましょう。

ほとんど一緒?相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い

相続関係説明図と法定相続情報一覧図は、いずれも不動産名義変更などの相続手続きで使われる点では共通しています。

反対に「証明力」と「記載事項」について違いがあるため、2つを混同して考えないようにしましょう。

相続関係説明図 決定相続情報一覧図
証明力 相続関係を証明する効力なし 相続関係を法務局が証明
記載事項 決まったルールはない 記載事項が決まっている

法定相続情報一覧図は法務局がその相続関係を証明してくれるので、戸籍謄本の代わりとして使えます。

一方、相続関係説明図は記載事項の決まりがないため、相続分割や相続放棄についての記載が自由にできる反面、証明力はありません。

相続関係説明図や相続の手続きについてのご相談なら林商会へ

この記事では、相続関係説明図についてご紹介しました。

相続関係説明図は作成しておくと非常に便利ですが、手間と時間がかかり、パソコンでの作業が得意ではない方には難しいかもしれません。

そのような不安は、ぜひ相続の専門家集団である林商会にご相談ください。

相続診断士、弁護士、司法書士などの専門家が、確かな知識と経験をもとに、丁寧に対応させていただきます。

まずは無料相談、無料お問い合わせからお気軽にご相談ください。

お問い合わせ

まとめ

相続関係説明図は、被相続人とすべての相続人を把握し、手続きをスムーズに行えるため非常に便利です。

作成の仕方は自由なので迷うかもしれませんが、フリーソフトやテンプレートをうまく活用すると、意外と簡単に作成できます。

相続人が多かったり複雑なケースだったりする場合は、専門家への相談がおすすめです。

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