60歳以上で一人暮らしをする高齢者の、およそ4割は孤独死に対して不安を抱いているという世の中です。
できれば孤独死は防ぎたいですよね。
核家族化が進み孤独死のリスクは高まりましたが、現在は孤独死対策のサービスもたくさん提供されています。
今回この記事では一人暮らしの賃貸マンションに導入できるサービスや、地域のサービスなどをご紹介します。
見守りサービスとは?大きく分けて3種類

離れて暮らす高齢の親がいると、どうしても健康状態が悪くなったり、何か異変が起きたりしていないか気になるもの。
見守りサービスは、人感センサーの取り付けや、電話や訪問を行うことで高齢者の状況を知らせるサービスです。
なかなか会いに行けない家族に代わって高齢者をサポートしてくれるので、一人暮らしの高齢者には心強い味方です。
見守りサービスには、自治体によるものや、民間企業によるものが存在します。
「接触型」、「非接触型」、「対面型」の大きく3種類に分けることができるので、順を追ってご説明していきましょう。
接触型
高齢者の自宅に機器を設置し、何か異常を知らせたいときに本人がボタンを押すとセキュリティ会社などに通知が届くシステムを「接触型」といいます。
また、高齢者が毎日指定されたボタンを押したり、自動音声の番号に電話を掛けたりして安全を知らせるタイプも接触型に含まれます。
ただし、突然倒れてしまった場合や、転倒などをしてボタンまで手が届かない場合には異常を知らせることができないというデメリットがあります。
接触型は高齢者に動作が伴うので、どうしても「高齢者扱いされている」「監視されている」と感じてしまう方もいます。予め使うことに抵抗がないか確認してから導入したいですね。
非接触型
接触型とは異なり、高齢者が何かの動作を行う必要はありません。
高齢者の自宅に監視カメラや人感センサーを設置して感知する方法や、電気メーターで安否確認をする方法が非接触型です。
センサーが感知すると、家族のPCやスマートフォンに通知がいくので24時間体制で見守りができます。
さらに「いつもと違うかもしれない」と、緊急事態の可能性があると家族が判断した場合には高齢者の自宅までホームセキュリティ会社が駆けつけてくれるサービスもあります。
センサーが感知した場合だけでなく、センサーが長時間感知しなかった場合にも、「高齢者が自宅で倒れているかもしれない」と予測することができます。
監視カメラや人感センサーは、リビングやトイレ、浴室など各部屋に設置するのが一般的です。
そうなると、機器設置のための初期費用が数万円かかってしまう可能性があることは覚えておきたい点ですね。
対面型
対面型のサービスは、専任のスタッフが高齢者の自宅を訪問したり、食事や郵便物の宅配時に安否確認を行うものです。
最近では、自動配信のテレビ電話などもあります。
対面型のメリットは、高齢者の安否だけでなく、些細な体調や表情の変化まで把握することができる点にあります。
しかしその反面、高齢者自身が人と関わりたくない場合はストレスとなり得るので注意が必要です。
また、対面型は訪問する頻度が少ないと次の訪問まで間隔が空いてしまい、本当の緊急時には対応ができない…といったことも。
見守り対象者の生活スタイルや性格に合わせたものを選びたいですね。
見守りサービスの選び方

見守りサービスは種類が多すぎて、どれを選ぶべきか分からないという声をよく聞きます。
大切なのは、料金面と緊急時の対応の有無、高齢の利用者が受け入れてくれるかというところではないでしょうか。
意外にも、見守りサービスは介護保険の適用外です。
見守りサービス導入・維持費用はすべて自己負担になるのであらかじめ予算を決めてから導入してください。
サービスによっては、自治体の補助が受けられるものもありますよ。
緊急時に対応してくれるか
セキュリティ会社などが提供する見守りサービスであれば、緊急時に高齢者の自宅まで駆けつけてくれるものもあります。
見守り対象の高齢者と家族が離れて暮らす場合は、このような見守りサービスを選ぶと安心できます。
利用者が受け入れてくれるか
見守りサービスの導入に最も大切と言っていいのが、対象者本人の意思です。
「高齢者扱いされるのは嫌だ」「ボタンや電話の操作が覚えられない」「監視されているようで落ち着かない」など、見守り対象者の性格なども踏まえて選ぶ必要があります。
トラブルを防ぐためにも、家族と高齢者でよく話し合ってから導入するサービスを選ぶと良いでしょう。
孤独死対策としておすすめの見守りサービス

これまでの注意点を踏まえて、対象者の状態に合わせて適切な見守りサービスを選びましょう!
24時間体制で見守りが必要なのか、緊急時のみで大丈夫なのか、電子機器が得意なのか、など高齢者の状態やライフスタイル、性格に合わせてサービスを決めると良いです。
民間警備会社による見守りサービス

【ALSOK みまもりサポート】
月々2,000~3,000円で利用でき、プランによっては初期費用がゼロなものも用意されています。
機器に相談と緊急のボタンがついていて、気軽な体調相談から緊急時の通報まで幅広く対応。
何かあればALSOKの警備員が駆け付けてくれるのも安心ですね。
【セコム 親の見守りプラン】
月々3,000~5,000円で利用できます。
室内にセンサーを取り付け、一定時間動作を検知しない場合はセコムに通知され駆けつける仕組みです。
また、離れた家族からでも在宅・外出状況が把握できます。
電気会社による見守りサービス

【東京電力 遠くても安心プラン】
月々1,000円〜4,000円で利用でき、エネルギーセンサーを買い取るかレンタルするかで月額費用が異なってきます。
レンタルなら、初期費用は3,000円程度なので比較的始めやすい価格です。
「○時から○分ほどテレビをつけていました」など家電の利用状況をAIが分析し、家族のスマートフォンに通知してくれるシステム。
エアコン、炊飯器、洗濯機など日常的に使用する8種類の家電から見守ってくれます。
年2回まで、無料の訪問確認が依頼できるのも嬉しい点です。
【アイキューフォーメーション 見守り電気】
月々たった300円で利用できます。機器の設置なども一切不要なので、良心的な価格で始めやすいですね。
平常時の電気使用量をAIが分析し、起床していない可能性など、いつもと違うパターンが発見されると家族に通知するサービスです。
メールやラインなど、家族が使いやすい通知方法を選択可能。
電気の切替完了後、約3ヶ月でAIがいつものパターンを分析し、学習が完了したら見守りスタートです。
ガス会社による見守りサービス

【東京ガス くらし見守りサービス】
月々980円で利用できます。
冷蔵庫やトイレのドアなどに「開け閉めセンサー」を設置し、扉の開閉を感知すると家族のスマートフォンに知らせるサービスです。
センサーは10個までなら、いくら設置しても月額料金が変わらないので部屋中に設置できて安心!
ほかにも、帰宅通知やカギ、窓の戸締りについても知らせるように設定することも可能です。
万が一のときは、電話一本で自宅まで駆けつけてくれます。
自治体により、初期費用の一部が補助される場合もあるので、契約前に一度確認してみましょう。
郵便局による見守りサービス

【郵便局 みまもり訪問サービス】
月々2,500円で利用できます。
みまもり訪問サービスとは、見守り対象の高齢者の自宅に、近くの郵便局社員が定期的に訪問してくれるものです。
具体的には、毎月1回30分程度滞在し、全10問の質問を行います。
基本項目には食事、睡眠、外出状況などの質問があり、選択項目には通院、服薬、喫煙状況など具体的な質問があります。
その結果を自治体や家族へメールで通知するか、書面がよければ月額200円で郵送での報告もしてくれます。
もし見守り対象者がケガをして入院することになった場合、日額3,000円の保険金が支払われるので医療保険としても活躍。
さらに、専門スタッフに健康・医療・介護に関する電話相談を無料でできるなど、手厚いサポートが受けられます。
電話による見守りサービス

【見守りにーよんコール】
週1〜3回、あらかじめ決めておいた曜日、時間に自動安否コールが掛かります。
利用者が自動音声に従い、1の「いつも通り」もしくは9の「緊急対応を必要」を押すことで安否確認ができます。
その結果を家族にメールで通知。通知先は5箇所まで登録可能です。
9が押された場合は、コールセンターから直接利用者へ電話を掛けて詳しい内容を聞き取り、その結果をキーパーソンに連絡します。
有料ではありますが、不在や応答なし、押し間違いが3回続くと、スタッフが直接自宅まで安否確認に行ってくれます。
【孤独死防止サービス】
驚くことに、費用が一切かからないサービスなんです。
週に一度、好きな時間に利用者が事務局へ電話を掛けるというもの。会話をする必要はなく、通話料も無料で掛けられます。
事務局が着信履歴を確認して、もし着信がなければ利用者へ電話を掛けてくれます。
このとき、もし利用者と連絡が取れなければ、家族へ報告をしてくれるサービスです。
【ごえん】
月々150円から利用できます。
毎朝、起床後に電話を掛けて天気予報を聞くことで無事を知らせるサービスです。
もし平均の起床時間から一定時間経過しても電話がない場合、確認電話が掛かってきます。
それでも起床が確認できなかった場合は、事前に登録された緊急連絡先に連絡がいくというシステム。
天気予報を聞く電話の発信時に5円/回、確認電話と緊急電話の発信時に100円/回が消費されます。
事前に1ポイント1円でポイントを購入し、ポイント残高を使用していく形式のサービスです。
家電による見守りサービス

【象印 みまもりホットラインiポット】
初期費用が5,000円、月々3,000円で利用できます。
無線通信機を内蔵した、象印の「iポット」という給湯器を利用することで、一人暮らしの高齢者を見守るサービスです。
ポットの電源、給湯など利用状況を1日に2回家族にメールで通知してくれます。
また、ポットに搭載されている「おでかけ」ボタンを利用者が押すことで外出と帰宅の通知も可能です。
お茶を飲む機会の多い高齢者を、さり気なく見守ることができるサービスです。
【パワーエレック 見守りコンセントWi-Fi-plug】
見守りコンセントWi-Fi-plugは1万円程で本体購入ができ、月々360円で利用できます。
利用者の自宅にある家電をこの専用コンセントに差し込み利用するだけで、家電の消費電力を24時間体制で把握できます。
家電の長時間のON/OFFなど不自然な利用パターンが見つかったときには、家族へプッシュ通知とメールでお知らせ。
リアルタイムにグラフで閲覧することも可能で、IoT×クラウドの力で多彩な機能を実現しています。
アプリによる見守りサービス

最近では高齢者でもスマホを持っていることが多く、便利なアプリを導入して孤独死対策する人も増えてきています。
アプリなら無料で使えるものもあります。まずは手軽なものから、と考えるならアプリを利用してみてはいかがでしょうか。
おすすめのアプリについては関連記事をご覧ください。
孤独死を防ぐには周りの見守りが大切

核家族化が進む現代では、遠くで一人暮らしをする親がいることも多いでしょう。
いつもそばで見守れないのは不安ですが、孤独死対策のサービスを利用すれば緊急時や異変が起こった際にいち早く気付けるという利点も。
しかし、何より大切なのは周りにいる「人」による見守りであることを覚えて置きましょう。
サービスをうまく活用しつつ、地域社会、家族のみんなで協力し合って高齢者を支えたいですね。
そのためには、普段から孤独に感じさせないための配慮が必要です。
サービス以外の予防方法を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
まとめ

このように、孤独死を防ぐための見守りサービスには、数えきれないほどの種類があります。
その中から、月々の費用や使いやすさ、利用者の性格など、それぞれの家庭に合ったものを選ぶことが大切です。
今回ご紹介した対策サービスにも、それぞれメリットデメリットがあります。
導入前に、利用者と家族でよく相談してみてください。
必要であれば、2つ以上のサービスを組み合わせて利用するとより安心ですね。
孤独死全般について知りたい方はこちらの記事をお読みください。