天理教は仏壇ではなく神棚を安置して祀ります。
他にも葬儀に参列する際など、天理教は他の宗教と比べて異なることが多く、誰に聞けばいいかわからず不安になる方も多いでしょう。
そこで今回は、天理教の神棚についてや葬儀の特徴である玉串奉奠とみたまうつし(御霊写し)の流れだけでなく、参列した際のマナーと注意するポイントも解説します。
目次
天理教は仏壇ではなく神棚を用いる
天理教は教派神道の一種でもあるため、仏壇ではなく神棚を用いて祀るのが特徴です。
しかし一般的な神棚とは違い、神棚の下部に引き戸のある収納棚を取り付けています。
【参考に】天理教の神棚を紹介
天理教の神棚の種類や価格相場は下記の通りです。
扉無し | 御社一社 約13~15万円 |
扉無し | 御社二社 約14~16万円 |
硝子引戸付 | 御社二社 約25~28万円 |
天理教の神棚の種類や価格については、下記サイトをご覧ください。
http://shinjitsu.info/case/#sec_02
天理教について解説
天理教とは1800年代に、中山みきが教祖となり設立した新興宗教の一つです。
奈良県天理市に教会本部を構え、人間がお互い助け合う「陽気ぐらし」の実現を目指しています。
他にも人間の体は神様からの借りもので、心は自身のものであるといった教えや、悪い心遣い「八つのほこり」をしないようになど、さまざまな教えがあります。
このように、天理教独自の考えや行事が多く存在するのも特徴の一つで、祭典や行事などは天理教の教会で行うことがほとんどです。
天理教の葬儀の特徴
ここでは、天理教の葬儀の特徴や参拝方法の流れをご紹介します。
天理教の葬儀に対する考え方
天理教の死生観として、亡くなることは終わりではなく「出直す」という意味をもちます。
そのため、天理教においての葬儀は「借りていた身体を神様に一度お返しし、新しい身体が見つかるまで、自分の魂を神に預かっていただくための儀式」とされています。
また、天理教は教派神道の一種であることから、仏式よりも神式に近い葬儀の内容だと言えるでしょう。
みたまうつし儀の意味とは?
みたまとは魂のことで、天理教では仏式におけるお通夜のことを「みたまうつし」と呼びますが、正しくは「遷霊祭」のことです。
先述したように、天理教の死生観として「魂は生まれ変わって出直す」という概念があるため、亡くなることは「神様に体を返すこと」という解釈をします。
そこで、みたまうつしを行い亡くなった身体を神様にお返しし、新しい身体が見つかるまで魂を神様に預かってもらうために、霊代(みたましろ)にうつすとされています。
みたまうつしは天理教において、告別式より重要な儀式と言えるでしょう。
串奉奠(たまぐしほうてん)と参拝方法の流れ
玉串奉奠とは、仏式のお葬式で行う焼香にあたります。
榊の枝に木綿(ゆう)などを付けたものを玉串と呼び、神様に捧げます。
玉串奉奠のやり方と参拝方法の流れは、下記の通りです。
玉串奉奠のやり方
天理教の玉串奉奠のやり方は神道の方法と同じです。
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参拝方法の流れ
参拝方法にも下記のようなマナーがあります。
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一般的な葬儀の拍手は「しのび手」とされており、音は立てません。
しかし天理教の場合は、しのび手である必要はないとされているのが特徴です。
天理教の葬儀の流れ
ここでは、天理教の葬儀の流れについてご紹介します。
みたまうつしの流れ
天理教のみたまうつしの儀は、神式と同じく夜に自宅や葬祭場などで行います。
大まかな流れも神式と似ていますが、参拝方法などが異なる点もあるため、注意しましょう。
みたまうつしの流れは下記の通りです。
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しかし同じ天理教でも地域によって、細かい作法が異なる場合があります。
葬式・告別式の流れ
天理教では葬儀のことを「発葬祭(はっそうさい)」と呼びます。
発葬祭や告別式の大まかな流れは下記の通りです。
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先程ご紹介したみたまうつしの流れと同様に、発葬祭や告別式のやり方にも、地域差などがある場合もあります。
不安がある場合は、みたまうつしの儀や発葬祭について、教会に相談してみるとよいでしょう。
天理教の葬儀の参列時のマナーと注意点
ここでは、葬儀に参列する際のマナーや注意点を解説します。
天理教は他の宗教と比べて異なることが多いので、しっかりと確認しておきましょう。
香典のマナー
天理教ではお香を使用しないため、香典のことを「玉串料」と呼びます。
香典袋を選ぶ基準や表書きの書き方は、神式に近いものがあります。
玉串料を入れる封筒は無地で白色の封筒を使用し、蓮の花が書かれた封筒は使用しないように注意しましょう。
なお、玉串料として包む金額は、仏式の葬儀と同じ考え方で問題ありません。
封筒 | 無地で白色 |
表書き | 「御玉串料」「御霊前」「御榊料」などが一般的 |
水引 | 白黒・黄白・銀 |
葬儀での服装のポイント
葬儀での服装は、一般的な喪服であるブラックフォーマルを着用します。
一般的な仏式の葬儀で着用する喪服や黒色の靴でよいでしょう。
ただし、天理教ではお経を唱えないため、数珠は不要です。
またアクセサリーも基本的には不要ですが、宝石や飾りのないシンプルな結婚指輪であれば、つけたままでも差し支えないとされています。
お悔やみの言葉に注意する
天理教では、亡くなることは新たな出発や再生の節目として「出直す」という意味をもつため、「お悔やみ」という概念がありません。
そのため、仏式の葬儀で使われる仏教用語や「お悔やみ」にまつわる挨拶は使わないように注意しましょう。
具体的には、下記のような挨拶や言葉に注意が必要です。
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これらの言葉を使わずに遺族に挨拶をする場合は、「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」「哀悼の意を表します」などを使うとよいでしょう。
天理教のお供えものと供花について
天理教の葬儀などでは、お供えものと供花にもマナーや特徴があります。
お供えものは「消えもの」が一般的
お供えものは食べたり使ったりするとなくなる、飲食物や日用品といった「消えもの」が一般的です。
しかし仏式と異なる点として、天理教ではお酒や魚をお供えできます。
飲食物なら、賞味期限が長く個包装されたお菓子や季節の果物、事前に遺族が好むことがわかっていればお酒をお供えものにするのもおすすめです。
日用品であれば、どの家庭でも使用する洗濯洗剤や食器洗剤、ハンドソープといった消耗品を選びましょう。
飲食物や日用品なら、双方に負担が少なく喜ばれます。
花を選ぶ際のポイント
供花を選ぶ際には、神式に準じた白色と黄色の菊などを選びましょう。
仏式の場合、一般的に四十九日までは白色の花がよいとされていますが、天理教の場合、白色だけではなく黄色の花も飾られます。
花束やフラワーアレンジメントを贈ると喜ばれるでしょう。
ただし、同じ天理教でも地域によってマナーが異なる場合があるため、必要であれば事前に相手先に尋ねてみてください。
また、蓮の花はお釈迦様を表すとされているため、天理教の供花としては避けたほうがよいとされています。
NGなお供えものに注意
天理教の葬儀では、線香や抹香、ろうそくは不要とされているため、お供えものとして贈るのは避けましょう。
理由は、線香や焼香といった「香」と、ろうそくを意味する「灯」に関する儀式がないからです。
天理教は教派神道の一種であることから、「天理王命(てんりおうのみこと)」を神様としているため、線香やろうそくは基本的に使用しません。
線香やろうそくに意味をもつ仏式の葬儀とは異なるため、参列する葬儀の宗教に合ったお供えものを贈りましょう。
まとめ
天理教は教派神道であるため、仏壇ではなく神棚を用います。
さらに「魂は生まれ変わって出直す」という概念があり、亡くなった方の魂を神様に預かってもらうために霊代にうつす、「みたまうつし」の儀式が告別式よりも重要視されていることも特徴の一つです。
葬儀の内容としては仏式よりも神式に近く、香典やお供えもの、遺族への挨拶のマナーも神式に準じます。
特に、仏式の葬儀で使われる仏教用語や「お悔やみ」にまつわる挨拶は、使わないように注意しましょう。
天理教の葬儀は、仏式の葬儀と異なる点も多いですが、参列する宗教に合ったマナーや特徴を知っておくことが大切です。