臨済宗の仏壇の選び方や仏具の並べ方とは?本尊や脇侍についても解説

臨済宗 仏壇 アイキャッチ

臨済宗は日本三禅宗の一つです。

臨済宗は宗派が細かく分かれているため、仏壇や仏具を購入する際には、どの宗派に属しているのか確認しておく必要があります。

今回は、臨済宗の仏壇の選び方や飾り方について解説します。

臨済宗の仏壇の選び方

仏壇のイメージ

仏壇には金仏壇や唐木仏壇、モダン仏壇、ミニ仏壇などがあります。

臨済宗の場合は「どの仏壇を選べばよいのか」「宗派によって決まりはあるのか」など、気になっている方もおられるのではないでしょうか。

自分が信仰する宗派のしきたりにしたがって正しい供養をするためにも、まずは臨済宗における仏壇の選び方を押さえましょう。

厳格な決まりは特にない

臨済宗では、基本的にどの種類の仏壇を選んでも問題ありません。

ただし、浄土真宗でよく用いられている金仏壇は敬遠されがちなため、唐木仏壇モダン仏壇が好まれています。

また、住宅事情が多様化している現代では、ミニ仏壇などのよりコンパクトなものが選ばれる傾向にあります。

したがって、新しく仏壇を購入する際は無理に大きなものを用意しようとせず、部屋の雰囲気やライフスタイルに応じて選ぶとよいでしょう。

臨済宗は宗派が細かく分かれているため注意

臨済宗の仏壇に関して明確な決まりがないとはいえ、地域やお寺によっては選び方や飾り方が異なる場合もあります。

仏具店で確認するというのも一つの方法ですが、すべての販売店が細かい宗派を把握しているとは限りません。

そのため、1度菩提寺のご住職に確認してから購入することをおすすめします。

「臨済宗」は妙心寺派を指す場合が多い

数ある臨済宗の宗派の中でも、中心となるのが「妙心寺派」です。

仏具店や通販サイトで臨済宗向けとされている仏壇も妙心寺派であることがほとんどで、知らないまま購入すると、信仰する宗派のものとは違う仏壇を飾ってしまうことにもなりかねません。

ご本尊および脇侍は仏壇とセットで販売されている場合が多いですが、宗派によって組み合わせは異なるため、十分に確認したうえで購入しましょう。

臨済宗の仏壇の向き

臨済宗では、お釈迦様が南向きに座って説法をしたという由来から「南面北座説」を推奨しています。

ただし、必ず南向きに仏壇をおかなければならないという決まりはなく、基本的にどの方角へ向けても差支えはありません。

近年の住宅事情から見ても、推奨される方角に仏壇の向きを合わせるのは容易ではないため、生活様式や参拝のしやすさなどで決めてもよいでしょう。

また、仏壇の多くが木材で作られていることから、直射日光や湿気を避けることも重要です。

自宅に神棚も置いている場合は、仏壇と向かい合わせに置かないよう、配置に注意して飾ってください。

臨済宗の仏壇に飾る本尊と脇侍について

仏壇のご本尊

宗派にはそれぞれのご本尊と脇侍がありますが、なかでも脇侍は宗派の歴史や教えに基づいて決められているため、購入時には注意が必要です。

仏壇に飾る際のポイントや、仏像と掛け軸どちらを選べばよいのかなども解説するので、購入時の参考にしてください。

本尊(仏像・掛け軸)

臨済宗には決まったご本尊はありませんが、すべての宗派において「釈迦如来」(別名:釈迦牟尼仏)を飾るのが基本です。

菩提寺や先祖代々で祀っているご本尊が他にあれば、そちらを飾る場合もあります。

飾る際は、必ずご本尊を仏壇の最上段中央に置き、脇侍と位牌よりも高い位置になるように飾ります。

このとき、位牌の先端がご本尊の目線の位置より下に来るように置くのがポイントです。

脇侍

仏壇に祀る信仰対象はご本尊だけでも十分ですが、より丁寧に飾りたい場合は両脇に脇侍を揃えます。

脇侍には宗派の開祖や教えを表した言葉を飾ることがほとんどです。

臨済宗では、仏壇を正面にしてご本尊の左に普賢菩薩、右に文殊菩薩を祀るのが一般的です。

しかし宗派ごとの脇侍は異なるため、自分が信仰する宗派の決まりについては菩提寺に確認するのが最も確実と言えるでしょう。

以下に各宗派の脇侍を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

宗派名 脇侍(左) 脇侍(右)
妙心寺派 花園法皇 無相大師
建長寺派 大覚禅師 達磨大師
円覚寺派 佛光国師
南禅寺派 大明国師
方広寺派 聖鑑国師
永源寺派 正燈国師
佛通寺派 愚中禅師
東福寺派 聖一国師
相国寺派 普明国師
建仁寺派 栄西禅師
天龍寺派 夢窓国師
向嶽寺派 大円禅師
大徳寺派 大燈国師
国泰寺派 妙意禅師

また、ご本尊と脇侍は仏壇・掛け軸どちらを選んでも構いません。

家庭に置く仏壇であれば、ご本尊は仏像、脇侍は掛け軸で揃えるとバランスよくコンパクトに飾ることができるでしょう。

より重厚かつ丁寧に祀りたい場合は、ご本尊・脇侍ともに仏像を購入するとよいのですが、仏壇のサイズによっては難しい可能性があります。

仏壇の大きさや雰囲気に合わせて選ぶことが大切です。

臨済宗の仏壇の仏具やお供えの飾り方や配置について

香炉とおりん

仏壇は位牌などの仏具を飾って初めて存在意義をもちます。

お供えものにはお花やお線香、ろうそくといった仏具が欠かせません。

臨済宗における仏具やお供えものの飾り方は基本的に他の宗教と同じですが、お線香に関しては異なるため、供え方に注意が必要です。

また、仏壇に飾る仏具には三具足、五具足と呼ばれるものがあります。

仏壇の大きさや使用する仏壇の状態に応じて仏具を揃えることが飾り付けのポイントです。

位牌

宗派によっては位牌を飾らない場合もありますが、臨済宗では必ず飾ります。

位牌のデザインや色には決まりがないため、予算と好みに応じて選択できますが、サイズはご本尊や脇侍より大きくならないよう注意してください。

加えて、ご先祖様の位牌よりも小さいサイズにしなければなりません。

仏像や掛け軸に対し7〜8割程度の高さが目安であり、4.0寸が標準です。

飾るときは仏飯とお水を挟むようにして仏壇中段の右端に古い位牌を置き、増えるにつれて左端、再び右端と並べます。

数が多くなると置き場所にも困るため、ご先祖様の位牌を1つにまとめるなどの工夫も必要になるでしょう。

ご飯の供え方

仏壇に供えるご飯を仏飯と言い、月命日やお盆、お彼岸、お正月にはお膳として用意します。

毎朝炊きたてのご飯を用意し、中段の右側に供えてください。

お水の供え方

仏壇にはご飯と一緒にお水も供えますが、お茶でも問題ありません。

毎朝新しいものに替え、中段の左側に仏飯と隣り合わせで供えましょう。

お花の供え方

仏壇に供える花立は、下記のろうそく(燭台)、お線香(香炉)と並んで三具足と呼ばれています。

仏壇に供えるべき最低限の仏具であり、どのタイプの仏壇でも用意が必要です。

仏教で禁忌とされる花は避け、故人が喜ぶ綺麗な花を供えましょう。

供える際は、下段の左側に飾ります。

五具足の場合は、2つの花立を左右一対で飾ってください。

ろうそくの供え方

ろうそくは燭台に立て、下段の右側に供えます。

五具足の場合は2つ用意し、香炉を間に挟んで左右に1つずつ飾ってください。

お線香(香炉)のお供え方

香炉は、下段の中央に供えます。

宗派によってお線香を2つに折るなどのしきたりがありますが、臨済宗では折らずに1本をそのまま香炉の真ん中に供えるのが原則です。

おりんの飾り方

おりんはお線香を供えた後、拝む際の合図として鳴らす仏具です。

美しい音色を響かせ、さまざまなデザインやカラーがあります。

おりんは鳴らしやすいよう、下段の右端に飾りましょう。

臨済宗とはどんな宗教?

手を合わせる僧侶

臨済宗とは、座禅によって修行を行う禅宗であり、曹洞宗や黄檗宗と並んで日本三禅宗の一つとされています。

もともとは中国を起源とする宗派ですが、日本では鎌倉時代初期に栄西という僧侶によって伝えられました。

臨済宗が初めて日本に伝来して以降は、中国から渡ってきたさまざまな僧の影響を受け、現在の14派に分かれたと言われています。

14派のうち最も多いのが「臨済宗妙心寺派」で、全国にある臨済宗寺院約6,000寺に対し、約3,500寺が妙心寺派の寺院です。

臨済宗には「悟りを開いて仏様の心を直接感じることが大切だ」という教えがあり、経典は存在しません。

修行者は座禅によって師の公案を解き、自分自身を見つめ直しつつ悟りの道を極めていくというのが臨済宗ならではの修行のあり方です。

まとめ

臨済宗にはさまざまな宗派がありますが、仏壇の選び方や仏具の並べ方はさほど大きく異なることはありません。

しかし、ご本尊の左右に祀る両脇侍は宗派ごとに違うため、注意が必要です。

自分の宗派をよく知ることは、故人のよりよい供養にもつながります。

特に初めて仏壇を購入する際は、あらかじめお世話になっている菩提寺に確認し、宗派のしきたりや地域の習わしについて理解を深めておきましょう。

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