仏壇はご先祖様を祀り継承していくものであるため、何度も買い替えるものではありません。
だからこそ、購入する際の失敗は避けたいものです。
仏壇選びで失敗しないために、仏壇についての基本的な知識や選び方を知っておきましょう。
今回は、仏壇の選び方のポイントや必要な仏具も併せて解説します。
目次
仏壇の選び方
仏壇の選び方は大きく分けて以下の3つの方法があります。
- 仏壇の種類から選ぶ
- 配置場所から選ぶ
- 値段から選ぶ
こちらでは仏壇の種類で変わるメリットやデメリット、配置場所に最適な仏壇の紹介をしています。
仏壇の種類から選ぶ
仏壇には大きく分けて「唐木仏壇」「金仏壇」「家具調仏壇」の3種類があり、さらにその中から「床置きタイプ」と「上置きタイプ」の2つのタイプに分けられます。
それぞれの仏壇の特徴とメリット・デメリットを紹介していきます。
唐木仏壇
唐木仏壇とは、黒檀や紫檀など木目の美しい銘木を素材としていることが特徴の仏壇です。
唐木仏壇の代表的な種類には東京唐木仏壇や大阪唐木仏壇などがあり、唐木仏壇の中でも種類によって外観や仕様なども異なります。
メリット
デメリット
|
金仏壇
金仏壇とは、杉やヒノキなどに漆を塗り、内部に金箔・金粉で装飾されている仏壇です。
お寺をそのまま小さくしたような造りになっており、「浄土」の世界を表現していると言われています。
メリット
デメリット
|
家具調仏壇(モダン仏壇)
家具調仏壇とは、現代の生活スタイルに合わせたおしゃれなデザインが特徴の仏壇です。
その外観から、若年層に選ばれる傾向があります。
メリット
デメリット
|
床置きタイプ
床に直接置くタイプの仏壇を床置きタイプと言います。
高さが106〜173cm程度で、床の間や仏間に置くことが一般的です。
メリット
デメリット
|
上置きタイプ
一方で、床に直接置かず、家具やサイドボードの上に置くタイプの仏壇を上置きタイプと言います。
一般的な高さが36~88cm程度のため、床置きタイプよりも軽量でコンパクトなサイズです。
メリット
デメリット
|
配置場所から選ぶ
家の間取りを考慮し、配置場所から選ぶのも一つの方法です。
ここでは4つの代表的な配置場所と、それぞれの場所にふさわしい仏壇の種類を紹介します。
仏間
仏間とは仏壇を安置するための部屋です。
一般的に仏間は畳が敷かれており、仏壇を置くことを前提としているため、仏壇に必要なスペースが確保されています。
そのため、仏間には床置きタイプの仏壇が適しており、唐木仏壇や金仏壇のような伝統的で重厚感のあるものを置くとよいでしょう。
床の間
床の間も畳が敷かれていますが、仏間とは少し役割が異なります。
本来の床の間とは本来、掛け軸や花を飾ることを目的としているため、「客間」としての役割を果たすことが仏間との違いです。
しかし、床の間に仏壇を置くことは宗教的に特に問題はなく、仏間と同様に床置きタイプの唐木仏壇や金仏壇がおすすめです。
リビング
リビングは家族が集まる場所でもあり、明るく楽しい雰囲気に包まれている場所です。
仏壇をリビングに置くことで、ご先祖様も寂しい思いをすることがなく、家族も故人に見守ってもらうことができます。
リビングに仏壇を置く場合は、お部屋のインテリアや雰囲気に合わせやすい家具調仏壇がおすすめです。
上置きタイプなら、移動の際にかかる負担も最小限に抑えることができます。
また、立ったまま供養することができるため、ご先祖様に感謝と祈りを捧げることが習慣化しやすくなるでしょう。
寝室
寝室に仏壇を置くことについて不安を感じるに思う人もいるかもしれませんが、宗教的には全く問題ありません。
寝室は静かな場所であるため、ご先祖様とゆっくり語り合うことができます。
ただし、仏壇に足を向けて寝ることは失礼にあたるので注意しましょう。
スペースや雰囲気にもよりますが、寝室にはコンパクトでやわらかい印象の家具調仏壇がおすすめです。
伝統的な仏壇でも構いませんが、やや圧迫感を感じることがあるため、よく検討してから選ぶようにしましょう。
値段から選ぶ
仏壇は高価なもののため、値段を基準にして選ぶ人も少なくありません。
仏壇の価格には差があり、5万円程度で購入できるものもあれば300万円以上する高価なものもあります。
仏壇の値段は、大きさや素材、造りや産地などによって決まりますが、あまり安価なものはおすすめしません。
仏壇は長く使うものであり、何より大切なご先祖様や故人を祀る場所のため、値段の安さだけで選ぶことは避けましょう。
以下の表では、種類別の仏壇の価格相場を紹介していますので、ご自身の予算と照らし合わせながら参考にしてみてください。
上置きタイプ | 床置きタイプ | |
唐木仏壇 | 約15万円〜 | 約25万円〜 |
金仏壇 | 約50万円〜 | 約100万円〜 |
モダン仏壇 | 約5万円〜 | 約20万円〜 |
仏壇を選ぶときには仏具もセットで
仏壇を購入しただけでは供養はできないため、必要な仏具をセットで用意する必要があります。
一般的に必要な仏具
仏具にはさまざまな種類がありますが、特に必要になるのが「礼拝仏具(らいはいぶつぐ)」です。
礼拝仏具とは礼拝の対象となる仏具のことで、具体的には以下のようなものがあります。
仏具の名前 | 目的や用途 |
ご本尊(ごほんぞん) | 宗派の仏様の仏像や掛け軸 |
ご位牌(ごいはい) | 故人の魂が宿るとされており、没年月日や戒名などが記される |
そして、お参りに必要なのが「三具足(さんぐそく)」と呼ばれる仏具で、以下の3つが該当します。
仏具の名前 | 目的や用途 |
花立(はなたて) | 花を供えるための器 |
香炉(こうろ) | お香を焚くための道具 |
燭台(しょくだい) | ロウソクを立てるための台 |
これらの5つの仏具は、どの宗派であっても必ず用意するべき一般的な仏具です。
その他にも、揃えておくとよい仏具として「線香差し」や「りん」などが挙げられますが、必要な仏具は仏壇と同時に購入することをおすすめします。
仏壇を選ぶ前に確認しておきたいこと
宗派の確認
浄土真宗を信仰する人は金仏壇を選ぶ傾向にありますが、仏壇選びに宗派はほとんど関係ありません。
そのため、住居の状況や素材、好みや予算などに合わせて自由に選ぶことができます。
ただし、仏具やご本尊は宗派によって違うため、事前にきちんと確認しておきましょう。
以下の表はそれぞれの宗派に必要なご本尊と脇侍を示しています。
参考にしていただき、不安な場合は信仰するお寺のご住職に相談すると安心です。
宗派 | ご本尊 | 脇侍(右) | 脇侍(左) |
天台宗 | 釈迦如来 | 天台大師像 | 伝教大師 |
真言宗 | 大日如来 | 弘法大師 | 不動明王 |
浄土宗 | 阿弥陀如来 | 善導大師 | 法然上人 |
浄土真宗(西本願寺) | 阿弥陀如来 | 十字名号 | 九字名号 |
浄土真宗(東本願寺) | 阿弥陀如来 | 親鸞聖人 | 蓮如上人 |
臨済宗 | 釈迦如来 | 達磨大師 | 観音菩薩 |
曹洞宗 | 釈迦牟尼仏 | 承陽大師 | 常済大師 |
日蓮宗 | 大曼荼羅 | 鬼子母神 | 大黒天 |
購入時期
仏壇はいつ購入しても問題はありませんが、四十九日の法要までに購入することが望ましいでしょう。
なぜなら、葬儀で受け取った白木位牌は四十九日の法要後に処分し、本位牌を仏壇に安置する必要があるからです。
そのため、多くの人は四十九日の法要を目安に仏壇を購入しています。
また、引っ越しのタイミングに合わせて住居にふさわしい仏壇を新たに購入するケースも少なくありません。
仏壇のサイズ表記の見方
仏壇のサイズ表記は統一されていません。
仏壇の種類によってサイズ表記が異なり、「号」「尺」「代」の3種類があります。
最近では、すべての仏壇のサイズ表記を「号」で表されることが多くなってきています。
号のサイズについて
「号」は上置きタイプに用いられます。
1号は約3cmです。
サイズ表記 | 高さ | 幅 | 奥行き |
14号 | 44cm | 30cm | 25cm |
20号 | 63cm | 48cm | 34cm |
28号 | 86cm | 72cm | 50cm |
尺のサイズについて
「尺」は台付きタイプに用いられます。
1尺は約30cmです。
サイズ表記 | 高さ | 幅 | 奥行き |
40尺 | 122cm | 62cm | 52cm |
50尺 | 152cm | 73cm | 58cm |
55尺 | 165cm | 78cm | 63cm |
代のサイズについて
「代」は仏壇の中の掛け軸のサイズ表記に使用されています。
金仏壇はご本尊や脇侍の掛け軸を3枚掛けるため、どの大きさの掛け軸をかけるかわかるようにするため、「代」を用いた表記がされることがほとんどです。
サイズ表記 | 高さ | 幅 | 奥行き |
30代 | 131cm | 66cm | 50cm |
100代 | 173cm | 85cm | 70cm |
200代 | 80cm | 122cm | 81cm |
仏壇を購入する際は事前に設置場所の広さを確認しておきましょう。
また、仏壇扉の開閉や供養するスペースなどにも考慮し、余裕のあるサイズの仏壇を選ぶことが大切です。
仏壇を購入する際のお店選びのポイント
仏壇は高価なものであり、一般人には正しい価値を判断することは難しいでしょう。
だからこそ、詳しい知識をもった専門スタッフのいるお店で購入することをおすすめします。
仏壇公正取引協議会加盟店かどうか
仏壇公正取引協議会とは、消費者庁と公正取引委員会に認可・承認されている組織です。
加盟店は、この協議会の厳しいルールに基づいて産地や品質表示をしなくてはなりません。
そのため、この協議会の加盟店であれば安心して購入できるでしょう。
加盟店であることを証明するステッカーが店舗の入口などに貼ってあれば、誰でも簡単に判別することが可能です。
全宗協加盟店かどうか
全日本宗教用具協同組合加盟店(全宗協)とは、経済産業省から認可を受けており、宗教用具の業界では唯一の全国的な法人組織です。
独自に「仏事コーディネーター資格」なども設けており、仏教や仏事、仏壇や仏具に至るまで高い知識をもつ専門スタッフがいるため、疑問や不安をすべて解消したうえで仏壇を購入できます。
アフターサービスや保証があるお店かどうか
仏壇は、ご先祖様を祀り代々継承していくもので、ほとんどの方が一生の買いものとして購入します。
そのため、アフターフォローや保証がしっかりとしているお店で購入するようにしましょう。
まとめ
仏壇の選び方は種類や値段、配置場所などさまざまですが、「何を優先して選ぶのか」を事前に決めておき、多方面からバランスよく選ぶことが大切です。
また、仏壇の購入をする際は仏具も必要です。
ご先祖様や故人を供養するためにも、宗派やサイズなどをしっかりと確認しておきましょう。
仏壇を購入する機会はあまりないため、信頼ができるお店に相談しながら納得のいくものを選ぶことをおすすめします。