長年使っている仏壇には、思っている以上に傷や汚れがあるものです。
そのため、購入から30年以上経っている仏壇の場合は、クリーニングを検討してみてもよいかもしれません。
今回は、仏壇のクリーニングについて紹介します。
目次
仏壇のクリーニングについて
仏壇のクリーニングについて「よく知らない」という方も多いでしょう。
まずは仏壇のクリーニングについて紹介します。
仏壇のクリーニングとは?
仏壇のクリーニングは、仏壇全体の状態を隅々までチェックし、破損部分などを修理したうえで洗浄などを行います。
仏壇を完全修復することを指すので、仏壇の洗濯とも呼ばれています。
長年大切にしてきた仏壇も、じっくり見ると思っている以上に傷や汚れ、木地の反りや彫刻の欠けといった劣化を感じるものです。
購入から30年以上経っている仏壇でも、クリーニングを行うことで新品のようにきれいな状態に戻すことができます。
クリーニングの費用については、仏壇の種類やクリーニング方法によってかなり差が出るため、「なるべく価格を抑えたい」という方は簡易クリーニングを利用するとよいでしょう。
金仏壇のクリーニング
金仏壇のクリーニングでは、仏壇を解体し特殊な洗剤で汚れやホコリをきれいに落としてから、板の割れや虫食い部分を修復または新しく作り直します。
塗装部分はすべて塗り直し、金箔もすべて貼り直すため、お預かりから納品までおおよそ3か月程の期間が必要です。
金仏壇にかかるクリーニング費用の相場は以下の通りです。
幅 | 本格クリーニング | 簡易クリーニング |
50cm前後 | 約60万円~ | 約28万円~ |
65cm前後 | 約80万円~ | 約40万円~ |
85cm前後 | 約160万円~ | 約55万円~ |
120cm前後 | 約190万円~ | 約70万円~ |
三方開きなど | 約250万円~ | 約100万円~ |
金仏壇の簡易クリーニングの場合、仏壇を解体し特殊な洗剤で汚れを落とした後、活かせる金箔はそのまま使用し、必要な部分にだけ金箔を足していきます。
そのため、本格クリーニングよりも低価格で、お預かりの期間も約1か月程と短期間です。
唐木仏壇のクリーニング
唐木仏壇のクリーニングは、仏壇を解体し特殊な洗剤で仏壇のヤニやスス汚れをきれいに落としてから、板の傷などを修復して背面の金紙を貼り直します。
仕上げに全面にクリア塗装を施して仏壇をきれいにするため、金仏壇のクリーニングと同様にお預かりから納品までおおよそ3か月程の期間が必要です。
唐木仏壇のクリーニング費用の相場は以下の通りです。
幅 | 本格クリーニング | 簡易クリーニング |
50cm前後 | 約20万円~ | 約9万円~ |
65cm前後 | 約40万円~ | 約14万円~ |
85cm前後 | 約60万円~ | 約22万円~ |
100cm前後 | 約80万円~ | 約26万円~ |
唐木仏壇の簡易クリーニングは、金仏壇のくすんだ金がきらびやかになるような変化は感じにくいかもしれません。
しかし、お線香のススなどであればしっかりと落とすことができます。
仏壇のクリーニングはどんな場合におすすめ?
仏壇のクリーニングは以下のような場合におすすめです。
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仏壇のクリーニングの流れ
ここでは、仏壇のクリーニングの流れについて詳しく紹介します。
①解体
まずはお預かりした仏壇を丁寧に分解し、戸障子・段廻りや金具などもすべて取り外します。
分解することで細部の傷が見つかることもあるため、大切な作業です。
②洗い
お湯を張った水槽を2つ用意し、1つには専用の洗剤を入れ、分解した木材の汚れやお線香のスス、ホコリなどをしっかりと洗います。
仏壇に張り付いてしまったロウも、ブラシでこすって丁寧に落とします。
もう1つの水槽で洗い流した後、自然乾燥で乾かすため、洗いの工程だけでも2~3週間程度の時間が必要になる作業です。
③金具磨き
金具は一つひとつ金ブラシで丁寧に磨いていき、サビや汚れ、金属アクなどを除去します。
④木の交換
木材に傷や削れのある部分は補修しますが、板が割れていたり反り返ったりしていて修復できない場合は、新しい板を同じ形に作り直し交換します。
⑤下地調整
塗装が剥がれた部分を完全に除去し、その後、塗りと研磨を何度も繰り返し行います。
塗りと研磨を何度も繰り返すのは、塗り間を均一にするためです。
下地調整が終わったら、ホコリが表面に付着しないよう素早く上塗りをします。
⑥蒔絵作業
蒔絵は、蒔絵職人によって心を込めて描かれます。
⑦金箔・金粉仕上げ
お預かり前の金箔をはがし、塗り工程を経てから金箔を押し直します。
金との相性がよい透き漆を接着剤としてハケで塗り、布で均一に拭き取る繊細な作業です。
金箔に凹凸がある箇所は割れてしまうため、再度金箔を重ね押し、筆で馴染ませながら仕上げていきます。
⑧組み立て
仏壇の各仕様による仕上げ・金具打ち・組み立てが行われ、クリーニング完了です。
仏壇のクリーニングの注意点
新品のようにきれいになる仏壇のクリーニングですが、注意点もあります。
クリーニングを依頼する前に確認しておきましょう。
クリーニングできない場合がある
仏壇のつくりや素材によっては、クリーニングできない場合があるため、注意が必要です。
一般的にクリーニングができるのは、ある程度しっかりと作られた仏壇のみとされています。
理由は、価格の高い仏壇はクリーニングや修復することを考えて作られているためです。
もちろん、価格が高い仏壇でもクリーニングできないものもあります。
しかし、傾向としては価格の高い仏壇はクリーニング可能なものが多く、価格の低い仏壇はクリーニング不可の場合が多いものです。
クリーニングを依頼する前に、修理専門業者や仏壇店で確認するとよいでしょう。
魂抜きと魂入れを忘れずに行う
仏壇をクリーニングに出す前には「魂抜き(閉眼供養)」、クリーニングから戻ってきたら「魂入れ(開眼法要)」の儀式が必要です。
仏壇やお墓などはそこに魂が宿っていると考えられているため、魂が宿っている状態のまま移動させたり捨てたりすることは禁忌とされています。
そのため、仏壇をクリーニングに出す際は事前にお坊さんを呼んでお経をあげていただき、仏壇に宿ったご先祖様の魂を抜いてから運んでもらいましょう。
同様に、仏壇がクリーニングから戻ってきた際にも、お坊さんにお経をあげていただき、きれいになった仏壇にご先祖様の魂入れを行なってもらいます。
また、魂抜きと魂入れは宗派によって儀式に違いがあるため、宗派に合った方法で行いましょう。
まとめ
仏壇のクリーニングは、仏壇全体の状態をチェックして、破損などを丁寧に修理したうえで洗浄・クリーニングして完全修復することです。
新品のようにきれいになるため、仏壇を購入してから30年以上経過している場合や、仏壇本体の傷や金箔剥がれなどが気になる方は、一度クリーニングを検討してみてはいかがでしょうか。