【相続に関する手続きは期限内に!】各手続きに必要な書類や流れを時系列でご紹介!貯預金の名義変更や保険金請求までわかりやすく解説します

相続 手続き

財産を相続する際に必要な手続きは非常に多く、なおかつ複雑です。

ほとんどの手続きには期限が設けられており、期限内に申請や申告をしなければ無効になったり、ペナルティを課せられたりする可能性があります。

また、期限がない手続きだからといって先延ばしにすれば、相続トラブルへと発展してしまうことも珍しくありません。

この記事では、相続に必要な手続きを相続発生からの時系列に沿ってわかりやすく解説します。

手続きの流れ時系列表

税理士と話し合う2人の相続人

早見表

相続発生からの期限 手続き内容
なるべく早く
  • 健康保険証の返却
  • 遺言書の調査・検認
  • 相続人の確定
  • 故人の財産調査
  • 遺産分割協議の開始
  • 遺産分割協議書の作成(遺言書がない場合)
  • 不動産の名義変更登記
  • 預貯金・有価証券等の解約や名義変更
10日
(国民年金は14日以内)
  • 年金受給停止の手続き・年金受給権者死亡届の提出
  • 健康保険証の返却※国民健康保険
  • 介護保険の資格喪失届
  • 住民票の抹消届・住民票の除票の申請
  • 世帯主の変更届
3か月以内
  • 相続放棄・限定承認
  • 相続の承認または放棄の期間の伸長
4か月以内
  • 故人の所得税の確定申告(準確定申告)
10か月以内
  • 相続税の申告
  • 相続税申告の手続きの流れ
  • 相続税の特別な納付方法の「延納」と「物納」
1年以内
  • 遺留分減殺請求
2年以内
  • 葬祭費、埋葬料の給付申請
  • 高額医療費の請求
  • 生命保険(死亡保険金)の請求
3年以内
  • 相続税軽減の手続き
5年以内
  • 遺族年金の受給申請
  • 相続税の還付請求の手続き

専門家に任せるべき手続き

相続に必要な手続きの中で、専門家に任せるべき手続きは以下のものです。

  • 個人の財産調査
  • 不動産の名義変更登記
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続の承認または放棄の期間の伸長
  • 故人の所得税の確定申告(準確定申告)
  • 相続税の申告
  • 遺留分減殺請求
  • 遺族年金の受給申請

これらの手続きは非常に複雑なうえに、専門知識がなければ正確に行うことは難しいため、専門家に依頼するほうがよいでしょう。

期限はないが早めに行う

健康保険証の返却

必要なもの 被相続人の戸籍謄本
相続人の印鑑証明書(必要な場合もあり)
費用 無料
返却場所 被相続人の勤務先

被相続人が会社で健康保険に加入していた場合は、死亡日から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。

喪失届は会社経由で年金事務所に提出するため、不明な点があれば勤務先に問い合せてください。

また、残された家族が被相続人の健康保険の扶養に入っていた場合は、保険証が使えなくなるため注意が必要です。

遺言書の調査・検認

遺言書を手にする老人
必要なもの 戸籍書類
申立書類
費用 収入印紙800円分(一通につき)
提出場所 被相続人の死亡時の住所を管轄する家庭裁判所
備考 専門家に依頼する場合は、別途費用が必要

相続財産や相続人を正確に把握するためには、遺言書の調査が必要です。

遺言書が見つかった場合は裁判所に検認申し立てを行います。

家庭裁判所の検認手続きが済んで初めて遺言書を開封できるため、それまでは勝手に開封しないようにしましょう。

ただし、公証人役場で認証してもらった「公正証書遺言」は、検認手続きを経ずに開封しても問題ありません。

相続人の確定

必要なもの
  • 法定相続人の戸籍書類
  • 法定相続人全員の同意
費用 戸籍の取得費用(一通450円~)
手続きにかかる期間
  • 窓口の場合…即日
  • 郵送の場合…2~3日

遺言がない場合は相続人を確定させることが必要です。

相続人の確定には、まず被相続人の「出生から死亡までの戸籍」を取得します。

被相続人と前妻の間に子どもがいたり認知している子どもがいたりなど、残された家族が知らない相続人が後から出てくるかもしれません。

そうなれば、相続手続きをすべて最初からやり直す事態にもなりかねないため、この段階で相続人を確定させておきましょう。

戸籍謄本は、被相続人の本籍地の市区町村役場において取得申請できます。

被相続人が転籍を繰り返していた場合は、すべての市区町村役場から戸籍謄本を取り寄せなければならないため、専門家に取得代行を依頼することも検討しましょう。

故人の財産調査

相続財産の種類 調査方法
不動産(土地・建物)
  • 登記簿謄本
  • 固定資産納税通知書
  • 権利証(登記識別情報通知、登記済証)
貯金、現金
  • 自宅金庫
  • 通帳
  • カード
  • 銀行の残高証明
借地権、借家権
  • 登記簿謄本
  • 賃貸借契約書
  • 不動産業者への問い合わせ
生命保険金
  • 保険証券
  • 保険会社への問い合せ
株式、その他の有価証券
  • 証券会社から送付される通知書
  • 証券会社への問い合せ
  • 金庫 など
ゴルフ会員権
  • 金庫 など
自動車
  • 車検証
宝石、骨董品
  • 自宅
  • 貸金庫
  • 別荘 など

被相続人の財産を調査し、相続財産を明らかにします。

ここで大切なのは、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も正確に把握することです。

もし被相続人に巨額の借金などがあった場合は、相続放棄や限定承認などの手を打たなければなりません。

被相続人の自宅に届いている金融機関や役所などの郵便物を確認すれば、被相続人名義の預貯金、証券口座、金融機関からの借入金などを把握できます。

また、固定資産税納税通知書があれば、被相続人名義の不動産も把握することが可能です。

遺産分割協議の開始

法定相続人と相続財産が把握できたら、相続人全員で「どの財産を誰がどれだけ相続するか」を話し合う遺産分割協議を開始します。

遺産分割は、相続人全員の合意がなければ成立しません。

そのため、反対する相続人がいたり協議に非協力的な相続人がいたりして、協議がなかなか進まないケースもあります。

遺産分割協議に期限はありませんが、協議を遅らせれば相続財産が散逸したり相続人の範囲が拡大したりするリスクもあるため、できる限り早めに終わらせましょう。

遺言書がない場合は遺産分割協議書の作成

被相続人の遺言がない場合は、遺産分割協議で決めた内容を遺産分割協議書にまとめます。

遺産分割協議書は、不動産の相続登記や金融機関での名義変更・口座解約などを行う際に必要です。

遺産分割協議書に決まった書式などはありませんが、書いておくべき事項や注意すべき事項が多いため、専門家に作成してもらうほうがよいでしょう。

なお、遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印での捺印が必要です。

不動産の名義変更登記

不動産の文字、家の模型、電卓
必要なもの
  • 登記申請書(法務局HPからダウンロード可)
  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 故人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 遺言書 など
費用 登録免許税(不動産固定資産評価額の0.4%)
提出場所 相続する不動産の所在地を管轄する法務局
手続きを行う人 相続人、代理人

不動産を相続する場合は、不動産の名義変更(相続登記)が必要です。

相続する不動産の所在地を管轄する法務局に、必要書類と登記申請書を提出して申請しましょう。

不動産の名義変更には期限が設けられていません。

とはいえ、名義変更をしないまま放置してしまうと、「相続した不動産を売却できなくなる」「2次相続や3次相続の際に権利関係が不明瞭になる」などのリスクがあります。

遺言や遺産分割協議で不動産の所有者が確定した段階で、確実に名義変更しておくことが大切です。

預貯金・有価証券等の解約や名義変更

被相続人の銀行(証券会社)口座の名義変更や解約を行います。

銀行や証券会社ごとに相続手続きが異なるため、各金融機関(証券会社)の方法に従って手続きを進めましょう。

被相続人名義の銀行口座は、名義変更や解約手続きをしなければ凍結してしまうため注意が必要です。

各手続きに必要な書類は以下の通りです。

共通の必要なもの
  • 本人確認書類
  • 通帳
  • カード
  • 貸金庫の鍵 など
遺言書がある場合の必要書類
  • 相続届(相続手続依頼書)
  • 遺言書
  • 相続関係を証する戸籍謄本等
  • 払い戻しを受ける者の印鑑証明書 など
遺言書がない場合の必要書類
  • 相続届(相続手続依頼書)
  • 相続関係を証明する戸籍謄本等
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書 など

一般的に、以下の流れで手続きを進めます。

金融機関での手続き 証券会社での手続き
金融機関へ連絡 証券会社へ連絡
残高証明の開示・照会請求 残高証明書の請求
所定の届出用紙を入手 所定の相続手続き依頼書を入手
届出用紙と必要書類の提出 相続手続依頼書と必要書類の提出
相続人の口座開設

証券会社の相続手続きを行う場合は、その証券会社に口座を持っておかなければなりません。

口座がない場合は開設する必要があります。

相続発生から10日or14日以内の手続き

年金受給停止の手続き・年金受給権者死亡届の提出

年金手帳を持つビジネスマン
期限
  • 厚生年金:死亡日より10日以内
  • 国民年金:死亡日より14日以内
必要なもの
  • 年金証書
  • 死亡診断書または埋葬許可書
  • 戸籍謄本もしくは除籍謄本
  • 被相続人と年金請求者の住民票写し
入手場所 被相続人の住民票に記載された住所を管轄する社会保険事務所
費用 無料
提出場所 社会保険事務所
備考 未払い年金がある場合は給付請求も行う

被相続人が年金受給者だった場合は、厚生年金は死亡後10日以内、国民年金は死亡後14日以内に受給停止手続きを行わなければなりません。

また、年金の一部が未払いになっている場合は、受給停止手続きと同時に給付の請求も行いましょう。

健康保険証の返却※国民健康保険

必要なもの
  • 国民健康保険資格喪失届
  • 後期高齢者医療資格喪失届(故人が75歳以上の場合)
入手場所 被相続人の住所の市区町村役場
費用 無料
その他、必要なもの
  • 国民健康保険の保険証
  • 高齢受給者証・限度額適用認定証(あればでよい)
  • 死亡を証明するもの(戸籍謄本、死亡届のコピーなど)
  • 窓口で手続きする人の本人確認書類(運転免許証など)
  • 認印(不要の場合もあり)
提出場所 被相続人の住所の市区町村役場

被相続人が国民健康保険に加入していた場合は、市区町村の役場に国民健康保険資格喪失届を提出する必要があります。

また、被相続人が75歳以上だった場合は、後期高齢者医療資格喪失届を提出しなければなりません。

これらの喪失届を提出する際に、健康保険証を返却します。

介護保険の資格喪失届

必要なもの
  • 介護保険の資格喪失届
  • 介護保険被保険者証

※還付金が発生する場合は、保険料過誤状況届出書が必要

入手場所 被相続人の住所の市区町村役場
費用 無料
提出場所 被相続人の住所の市区町村役場

被相続人が介護保険の被保険者だった場合は、介護保険の資格喪失届を市区町村役場に提出する必要があります。

また、被相続人が要介護認定を受けていた場合は、14日以内に介護被保険者証も返還しなければなりません。

また、被相続人が65歳以上だった場合、未納保険料があれば相続人に請求され、反対に納めすぎていた場合は相続人に還付されます。

還付金が発生する際は、保険料過誤状況届出書の提出が必要です。

住民票の抹消届・住民票の除票の申請

必要なもの
  • 故人の住民基本台帳カード
  • 届出人の身分証明書
入手場所 被相続人の住所の市区町村役場
費用 無料
提出場所 被相続人の住所の市区町村役場

住民票の抹消届の手続きは死亡届の提出により自動的に処理されるため、相続人の手続きは不要です。

住民登録が抹消された住民票(住民票の除票)は、不動産登記や相続税を申告する際に必要になるため、この段階で取得しておきましょう。

世帯主の変更届

必要なもの
  • 届出人の印鑑
  • 届出人の身分証明書
入手場所 被相続人の住所の市区町村役場
費用 無料
提出場所 被相続人の住所の市区町村役場
備考 被相続人が3人以上の世帯の世帯主であった場合に必要な手続き

被相続人が世帯主だった場合は、世帯主を変更する必要があります。

ただし、残された世帯員が1人だけ、もしくは15歳未満の子どもとその親権者の2人だけである場合、届出は必要ありません。

相続発生から3か月以内の手続き

相続放棄・限定承認

書類に捺印する女性の手

相続が発生した場合、相続人には3つの選択肢があります。

単純承認 被相続人の財産・債務のすべてを相続する
相続放棄 すべての財産・債務を相続しない
限定承認 相続した財産の範囲内で、被相続人の債務も相続する

被相続人の財産がプラスの財産だけであれば、単純承認をするのが一般的です。

しかし、被相続人に借金などの負債があった場合は、単純承認をすると負債まで背負ってしまいます。

そこで、相続人は「相続放棄」か「限定承認」を選ぶことで、負債の相続を免れたり相続する負債を減らしたりできるのです。

相続放棄とは、相続人としての立場を放棄して一切の財産を相続しないことです。

負債を相続しないで済む代わりに、プラスの財産を相続する権利も失うため、相続放棄は慎重に判断する必要があります。

プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多い場合は、相続放棄をするのも1つの手でしょう。

▼相続放棄に必要なものなど

必要なもの 相続放棄申述書(裁判所窓口またはHPでダウンロード)
被相続人の死亡および相続人であることがわかる戸籍謄本
故人の住民票除票または戸籍附票 など
費用の目安 収入印紙800円、郵便費用1,000円程度
提出場所 被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所
手続きを行う人 相続放棄をする人、法定代理人

一方の限定承認は、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続する方法です。

たとえば、被相続人に5,000万円の財産と1億円の借金があったとします。

限定承認をすれば5,000万円の財産は相続でき、負債の相続額も5,000万円で済みます。

限定承認は、マイナスの財産が後から出てきそうな場合や、マイナスの財産があることは明確だが金額が不明などの場合に有効な相続方法です。

限定承認の手続きは非常に複雑なため、専門家に依頼するほうがよいでしょう。

▼限定承認に必要なものなど

必要なもの
  • 家事審判申立書(裁判所窓口またはHPでダウンロード)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続人の戸籍謄本等
費用の目安 収入印紙800円、郵便費用1,000円程度
提出場所 被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所
手続きを行う人 相続人全員が共同で行う

相続の承認または放棄の期間の伸長

相続開始から3か月以内に、相続人は相続の単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを行う必要があります。

3か月以内に何もしなければ、単純承認をしたとみなされます。

被相続人と疎遠だったなどの理由で3か月以内に財産の調査が終わらず、相続するかどうか判断できない場合もあるでしょう。

その場合は家庭裁判所へ申し立てをすれば、期間をさらに3か月延長できます。

相続発生から4か月以内の手続き

故人の所得税の確定申告(準確定申告)

確定申告書と印鑑、ボールペン
必要なもの 準確定申告書第1表・第2表・付表
源泉徴収票
提出場所 被相続人の住所を管轄する税務署
手続きする人 相続人
包括受遺者
※遺言により財産のすべてまたはその割合的な一部を譲り受けた者
備考 手続きに時間がかかるため、早めに取りかかる

被相続人(故人)が自営業などで確定申告をしていた場合、相続人は被相続人に代わって死後4か月以内に所得税の確定申告(準確定申告)を行わなければなりません。

準確定申告が必要なのは、以下のようなケースです。

  • 個人事業を行なっていた
  • 不動産を賃貸していた
  • 2か所以上から給料をもらっていた
  • 給与所得が2,000万円を超えていた
  • 給与や退職金以外の所得があった
  • 多額の医療費の支払いがあった  など

準確定申告では、1月1日から亡くなった日までの所得を申告します。

被相続人が3月15日までに亡くなった場合は、前年分の確定申告を行なっているかどうか確認してください。

行なっていなければ、前年分の申告も行う必要があります。

相続発生から10か月以内の手続き

相続税の申告

相続人は、被相続人の死亡を知ってから10か月以内に相続税の申告を行わなければなりません。

相続税には、相続財産の一定額までは非課税にする「基礎控除」が設けられています。

基礎控除額は、以下の計算式で算出します。

基礎控除額=3,000万円+(600万円 × 法定相続人の数)

相続財産額が基礎控除の範囲内であれば相続税は発生しないため、申告・納付は不要です。

対して、相続財産額が基礎控除の範囲を超えた場合は、超えた分に課税されるため速やかに申告・納付を行う必要があります。

期限内に申告できなかったり意図的に申告しなかったりすると、無申告加算税延滞税などのペナルティを課せられるため注意が必要です。

相続税申告の手続きの流れ

相続税の申告書、ボールペン、砂時計

一般的に、相続税の申告手続きは以下の流れで進めます。

相続財産の評価額を算出 被相続人の財産を調査、評価額を算出
相続税の総額を計算 相続税の計算を行う
申告書の作成 計算間違いや申告漏れにより、ペナルティが課せられる場合がある
申告書の提出・納税 相続人全員が共同して税務署に提出する

相続税の計算や申告は、相続人が自ら行うこともできます。

しかし、相続税の計算は非常に複雑なため、専門知識に乏しい相続人だけで行うのはやや難しいでしょう。

また、相続税にはさまざまな控除や特例があり、うまく使えば節税できたり相続税が0円になったりするケースも多いです。

どのような特例が適用されるか判断するのは難しいため、相続税の計算や申告手続きは税理士などの専門家に任せるほうがよいでしょう。

相続税の特別な納付方法の「延納」と「物納」

相続税は、被相続人の死亡日から10か月以内に現金一括で納付しなければなりません。

ただし、現金を期限までに用意できない場合は、「延納」や「物納」という特別な納付方法をとることが認められています。

延納とは相続税を分割払いできる制度です。

延納期間は原則5年以内ですが、相続財産の評価額のうち50%以上を不動産が占めている場合などは、最長20年まで延納できます。

延納が認められるには、以下の条件を満たしていることが必要です。

  • 相続税の納付期限までに必要書類を提出すること
  • 税額が10万円を超えていること
  • 現金一括で納めるのが困難な理由があること
  • 担保として認められた財産(有価証券や土地、建物、登記船舶など)を提供すること

また、延納の申請には以下の書類が必要です。

相続税延納申請書 分納税額や期限に関する計算明細書、担保に関する確約書などがついた書類
金銭納付を困難とする理由書 前年の確定申告書や源泉徴収票などの裏付け書類も添付
担保目録および担保提供書 担保として提供する財産に関する書類

延納を利用した場合、利子税が課せられるため注意が必要です。

「相続財産における不動産が占める割合」「延納の期間」などに応じて利率が設定されます。

一方の物納とは、財産的価値があるものを現金の代わりに納める方法です。

延納でも納付が困難な場合に、最後の手段として認められることがあります。

物納が認められる財産には以下のものがあり、それぞれ優先順位が決められています。

第1順位 不動産、船舶、国債、地方債、上場株式等
第2順位 非上場株式等(第1順位の財産がない場合)
第3順位 動産(第1順位や第2順位の財産がない場合)

物納が認められる条件は以下の通りです。

  • 延納でも金銭で納付することが困難であること
  • 金銭で納付できない金額を限度とすること
  • 物納する財産が国内にあること
  • ​​管理処分不適格財産(税務署側で管理や処分が難しいと判断された財産)に該当しないこと
  • 納期限までに物納申請書を提出すること

また、物納の申請に必要な書類は以下の通りです。

相続税物納申請書 必要書類を速やかに提出する旨の確約書がついた書類
金銭納付を困難とする理由書 前年の確定申告書や源泉徴収票などの裏付け書類も添付
物納財産目録 物納する財産の種類によって書式が異なる

物納は延納よりも要件が厳しいため、認められるケースは稀です。

相続発生から1年以内に行う手続き

遺留分減殺請求

電卓を提示するスーツ姿の女性

遺留分減殺請求とは、「不公平な遺言や生前贈与によって自らの相続分を侵害された者が、贈与または遺贈を受けた者に対してお金で清算するよう求める行為」です。

兄弟姉妹以外の法定相続人には、「遺留分(最低限の遺産収得割合)」が定められています。

これは、たとえ配偶者や子どもなどの法定相続人でも、不公平な遺言や生前贈与があった場合に本来相続できるはずだった遺産が受け取れない可能性もあるためです。

遺留分減殺請求できるのは、「法定相続分の2分の1(両親が相続人になる場合は3分の1)」です。

ただし、遺留分減殺請求には「時効」と「除斥期間」があるため注意が必要です。

  • 時効:相続開始と遺留分の侵害を知ってから1年以内
  • 除斥期間:相続開始から10年以内

いずれかの期間を過ぎてしまうと、請求できなくなってしまいます。

相続発生から2年以内に行う手続き

葬祭費、埋葬料の給付申請

国民健康保険、健康保険に加入している喪主は、葬祭費や埋葬料の給付を受けられます。

受け取れる「給付額」「申請期間」「申請先」は以下の通りです。

▼葬祭費(国民健康保険加入の場合)

国民健康保険加入 50,000~70,000円
後期高齢者保険加入 30,000~70,000円
申請期間 2年間
申請・問い合わせ先 市役所・区役所の保険年金課

▼葬祭費(健康保険加入の場合)

葬祭費 上限50,000円までで実費清算
申請期間 2年間
申請・問い合わせ先 全国健康保険協会

▼葬祭費(国家公務員共済組合の組合員)

葬祭費 100,000~270,000円(各組合ごとに異なる)
申請・問い合わせ先 各共済組合

▼埋葬料

埋葬料 50,000円
申請期間 2年間
申請・問い合わせ先 全国健康保険協会

高額医療費の請求

きれいな病室に並んだベッド

被相続人の医療費が高額になっていた場合、高額医療費の還付金を相続の際に請求できます。

ただし、高額医療費の還付金は被相続人が受け取るはずだったもので、相続財産として課税対象となる点に注意が必要です。

また、相続放棄をしている場合は受け取ることができません。

高額医療費の請求には、以下の書類が必要です。

  • 高額療養費支給申請書
  • 被相続人との関係を証明できる戸籍の写し
  • 病院の領収書 など

生命保険(死亡保険金)の請求

被相続人が生命保険に入っていた場合は生命保険金を受け取れますが、生命保険金は受取人が請求しない限り支払われません。

まずは、被相続人が加入していた生命保険会社に連絡を入れましょう。

必要書類と案内が送られてきたら、受取人が請求手続を行い、保険会社の支払い可否判断後に保険金が支払われます。

生命保険金の請求期限は被相続人の死亡から3年以内です。

相続発生から3年以内に行う手続き

相続税軽減の手続き

相続税には配偶者控除小規模宅地等の特例などのさまざまな税額軽減措置があります。

しかし、遺産分割協議が長引いて遺産を分割しないまま申告・納税した場合は、これらの税額軽減措置が適用されません。

遺産を分割しないまま申告・納税した後に遺産分割協議がまとまった場合は、相続税の修正申告や更正の請求手続きを行うことができます。

ただし、税額軽減を受けるには、最初の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出しておかなければなりません。

  1. 申告期限後3年以内の分割見込書を、最初の申告時に提出しておく
  2. 被相続人が亡くなってから3年10か月以内に遺産分割協議をまとめる
  3. その後4か月以内に税務署に税額軽減の請求を行う

以上の条件を満たせば、相続税を一旦納税した後でも配偶者控除や小規模宅地等の特例を受けられます。

相続発生から5年以内に行う手続き

遺族年金の受給申請

遺族年金とは、国民年金や厚生年金保険の被保険者が亡くなったときに遺族が受け取れる年金です。

年金事務所もしくは市区町村の年金窓口にて請求手続きを行います。

遺族年金の受給申請に必要なものは、以下の通りです。

  • 国民年金被保険者死亡届または年金受給権者死亡届
  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 住民票の除票
  • 所得証明書
  • 死亡診断書

相続税の還付請求の手続き

電卓で計算する税理士の手

相続税の還付請求とは、払い過ぎた相続税を取り戻す請求のことです。

相続税を納めた後、相続税額を減額できることがわかる場合もあります。

その場合は、払い過ぎていた分を税務署から返金してもらうことが可能です。

相続の手続きについてのご相談なら林商会へ

相続が発生すると、多くの手続きを踏む必要があり、法が絡むものでは判断が難しいものも多くあります。

こうした手続きは、少しでも誤りがあると受理されないだけでなく、ペナルティとして追徴課税が請求されるものもあるため、注意が必要です。

手続きに困っている、何から始めるべきか分からない、そんな時は専門家に任せることをおすすめします。

株式会社林商会では、弁護士や税理士、司法書士など相続に関する法のスペシャリストが多数在籍しており、困った際には気軽にご相談いただくことが可能です。

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まずは無料相談、無料お問合せからお待ちしております。

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まとめ

相続の手続きには、期限や時効が設けられているものが多くあります。

期限を過ぎて余分な税金を支払うことがないように、早めに取りかかることが大切です。

また、相続の手続きをスムーズに進めるには、専門家の力を借りることも必要です。

自分でできる手続きは自分で行い、書類作成や調査などの複雑な手続きに関しては専門家に任せて、滞りなく相続の手続きを進めてください。

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