光触媒コーティングは、セルフクリーニング効果や耐久性に優れる高機能塗料です。
ただし、費用がやや高いという側面もあるため、外壁塗装に導入するかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、光触媒コーティングのメリット・デメリット・費用相場などをまとめているので、「外壁塗装に光触媒コーティングを検討している」方はぜひ参考にしてください。
目次
【基礎知識】光触媒コーティングとは
日常生活で「触媒」という言葉を耳にする人は少ないかもしれません。
触媒とは、化学反応や物質変化を促進する装置です。
したがって、光触媒とは光を使って化学反応を促進させる仕組みを意味します。
光触媒の例としてよく使われるのが、植物の光合成の仕組みです。
植物は、クロロフィルに光を当てることで、二酸化炭素と水を酸素と炭水化物に変化させます。
植物が葉緑素に化学変化を起こすのと同じように、光触媒技術では酸化チタンという物質を使って化学変化を促します。
酸化チタンに光を当て、酸素や水分と反応させることで、有機物の有害物質を無害化するのです。
酸化チタンは主に食品や化粧品などの着色料として使われている安全な物質で、人体への悪影響はありません。
光触媒コーティングの効果についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
光触媒コーティングで外壁塗装をする4つのメリット
前述のように、光触媒コーティングには有機物の有害物質を無害化する作用がありますが、ほかにもさまざまなメリットがあります。
セルフクリーニング機能がある
光触媒塗料に含まれる酸化チタンは、太陽光(紫外線)に反応して外壁の汚れを分解し、雨が当たるとその汚れを洗い流してくれるのです。
新築時はきれいだった家も、年月が経つと様々な汚れが付着し、美観が損なわれていきます。
そのため、他の塗料では、家の美観を保持するために外壁を洗うなどメンテナンスが必要でした。
光触媒塗装はこのような手間を省いてくれるため、メンテナンスが非常に簡単です。
耐久性が高い
光触媒コーティングの耐用年数は10〜15年、場合によっては20年とも言われています。
一般的に使われているウレタン塗料の耐用年数は6〜10年、シリコン塗料は8〜15年なので、他の塗料よりも耐用年数が長いといえるでしょう。
前述の通りセルフクリーニング効果もあるため、美しい外観を長期間維持することが可能です。
空気清浄効果がある
光触媒塗料には空気中のチリやホコリだけでなく、大気汚染物質も分解する空気清浄効果があります。
使用する塗料やグレードにもよりますが、TOTOの光触媒の最高グレードで塗装すると、延べ床面積30坪(外壁面積150㎡)の戸建て住宅でテニスコート4面分(約1000㎡)の緑地と同じ空気清浄効果が見込めるのです。
つまり、乗用車12台分の排出される二酸化炭素やその他の窒素酸化物を除去できます。
遮熱機能でヒートアイランド現象を軽減できる
「ハイドロテクトコート」「ピュアコートANプラス」など一部の光触媒塗料には、太陽光を反射して熱を遮断し、蓄熱を抑えて放熱を抑える効果があります。
基本性能だけでも夏場の暑さ対策には有効ですが、シェルター自身の遮熱機能により、よりアクティブに空間の温度をコントロールすることができるのです。
光触媒コーティングで外壁塗装をする5つのデメリット
光触媒塗料を導入するか決める際には、メリットだけでなく、デメリットにも注目しましょう。
塗料の色が限られている
カラーバリエーションが少ないため、外観イメージに合った色が得られない可能性があります。
光触媒塗料は光に反応することで効果を発揮しますが、光に反応しにくい濃い色や鮮やかな色は少ないので、白を基調とした色が定番です。
無機質系の汚れ・過度の汚れは分解できない
光触媒塗料はセルフクリーニング効果により汚れにくいというメリットがあります。
ただし、無機質の汚れを分解することはできないため、土や砂、錆の汚れは付着してしまう点を踏まえておきましょう。
また、分解効果や親水効果によって汚れが落ちやすいとはいえ、強い汚れも自然に落ちるというわけではありません。
光や雨の当たりにくい場所では効果が出にくい
セルフクリーニング機能は、太陽光(紫外線)で汚れを分解し、雨で洗い流す機能です。
そのため、光が届かないような暗い場所では、その機能を十分に発揮することができません。
工事に専門性を要する
工事に専門性を要するのもデメリットの一つといえます。
光触媒塗料は粘度が非常に低く、サラサラとした水のような塗料です。
そのため、塗ったときに垂れやすく、そのままにしておくと美観が損なわれてしまいます。
また、光触媒塗料は他の塗料に比べて乾燥が遅いので、塗布する日の天候や気温には他の塗料以上に気を配りましょう。
ひび割れのリスクがある
光触媒コーティングのデメリットは、塗膜が硬いため追従性が弱い点にあります。
そのため、木材や樹脂との相性が悪く、ひび割れの原因となるのです。
また、ひび割れが発生しやすいコンクリートには使用しないほうがよいとされています。
【費用相場】光触媒コーティングの外壁塗装費用はいくら必要?
外壁用光触媒コーティングの平均価格は、1平方メートルあたり3,500〜5,500円程度です。
シリコン塗料が1㎡あたり2,300~3,500円、フッ素塗料が1㎡あたり3,500~4,800円ということを考えると、光触媒コーティングは高いと思われがちです。
とはいえ、耐用年数や数々のメリットを考えると、費用対効果が高いという見方もできます。
【耐久性比較】光触媒コーティングの耐用年数はどれくらい?
一般的に紫外線は塗膜の劣化の原因となりますが、光触媒コーティングの場合は汚れを分解するために使われることから、紫外線によるダメージをあまり受けません。
そのため、光触媒コーティングの耐用年数は10~20年と、一般的なシリコン塗料の7~15年よりも長くなっています。
グレード | 耐久性 | 単価(m2) ※3回塗りの合計 |
アクリル | 5~7年 | 1,400~1,600円 |
ウレタン | 8~10年 | 1,700~2,200円 |
シリコン | 10~15年 | 2,300~3,000円 |
ラジカル制御形 | 12~15年 | 2,500~3,000円 |
フッ素 | 15~20年 | 3,800~4,800円 |
光触媒 | 15~20年 | 4,200~5,000円 |
無機 | 20~25年 | 4,500~5,500円 |
フッ素塗料も同様に12〜20年の耐用年数です。
ただし、塗料によって得られる効果は異なるため、耐用年数だけで決めないようにしましょう。
【こんな人におすすめ】光触媒コーティングに向いている人の特徴
ここからは、光触媒コーティングで塗装するのに向いている人の特徴を解説します。
外壁掃除の頻度を減らしたい
光触媒コーティングで塗装した外壁は汚れがつきにくいので、掃除の頻度を減らしたい人におすすめです。
ただし、光触媒コーティングで塗装したからといって、掃除が全く不要になるわけではありません。
外壁に汚れが長期間残っていると、耐久性が低下してしまいます。
光触媒コーティングで塗装した後でも、汚れが目立つようであれば適宜清掃を行いましょう。
白系の色で外壁塗装をしたい
光触媒コーティングは白色でないと効果が十分に発揮されないので、濃い色で塗装したい人には不向きです。
セルフクリーニング機能を発揮させるためには、白色顔料に多量に含まれる酸化チタンによる活性酸素の移動が欠かせません。
そのため、濃い色を選ぶと、この酸化チタンの効果が得られにくいのです。
光触媒コーティングは、もともと外壁を白い色で塗ろうと考えている人におすすめです。
施工費用が高額になっても構わない
光触媒コーティングはウレタン塗料やシリコン塗料に比べて高価になりがちなので、一般的な施工費よりも高くついても構わないという人におすすめです。
特に、費用よりも塗料の耐久性や防汚性を重視する人に向いています。
光触媒コーティングを検討する際の注意点
光触媒コーティングは比較的新しい塗料で、画期的な機能を備えているため、悪徳業者も目を付けやすい特徴があります。
以下に、注意点を挙げていますので、確認しておきましょう。
屋根や特定の外壁に塗装できないことを把握しておく
光触媒コーティングは現在、屋根には使用できません。
屋根は外壁に比べて光の当たり方が大きいので、使用する塗料には高い耐久性が求められます。
外壁だけを光触媒コーティングで塗装し、屋根は機能性のない一般的な屋根用塗料で塗装すると、外壁のみが長持ちしてしまいます。
そのため屋根のみを早く塗り替える必要があり、工事費が割高になってしまうのです。
そのため、屋根も外壁も同じグレードの塗料を使用するのがベストです。
外壁を光触媒コーティングで塗装する場合は、屋根も無機フッ素樹脂などグレードの高い塗料を選択する必要があります。
屋根のほか、木部(木材)、石材、しっくい、樹脂には光触媒コーティングを使用できません。
実績を重視して業者を選ぶ
光触媒コーティングは取り扱いが難しいため、光触媒コーティングの施工実績があり、適切な施工管理ができる業者を選びましょう。
他の塗料に比べて粘度が低い光触媒コーティングは、塗り方を熟知していないときれいな仕上がりになりません。
見た目だけでなく、効果や寿命も変わってくる場合があります。
また、乾燥が遅いので、塗布する日の天候や気温にも注意が必要です。
さらに、メーカーによっては取り扱える業者を認定販売店に限定しているケースもあるため、事前に取扱の有無を確認しましょう。
事前に見積もりをとる
適正な価格で施工してもらうためには、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
見積もりを比較し、不当に高い業者はもちろん避けるべきですが、逆に工事費が安すぎる業者も要注意です。
最初は安い工事費を提示して契約を取り付けたものの、後から追加費用を請求したり手抜き工事をしたりして、その費用を補うというケースもあるようです。
相場と大きく異なる場合は、その理由を業者に確認し、正当な回答があった場合のみ契約するようにしましょう。
光触媒コーティングの主要メーカー3選
ここでは、代表的な光触媒コーティングメーカーについて説明します。満足のいく施工をするためには、各製品を理解することが大切です。
TOTO:ハイドロテクトコート
ハイドロテクトコートは、TOTOエクセラ株式会社が販売する光触媒塗料で、価格は1平方メートルあたり3,500円程度となっています。
光触媒塗料のパイオニア的存在でしたが、現在は販売されていません。
日本特殊塗料:エヌティオ
エヌティオは、日本特殊塗料株式会社が販売している光触媒塗料で、汚れを防ぐだけでなく、抗菌・消臭効果もあります。
この商品の特徴は、メーカーが施工できる業者を指定していることです。
価格は1平方メートルあたり3,500〜4,000円程度です。
ピアレックステクノロジーズ:ピュアコート水性
ピュアコート水性は、ピアレックステクノロジーズ社が販売している光触媒塗料です。
汚れはもちろん、色あせにも強く、長持ちするのが特徴です。
価格は1平方メートルあたり2,800円程度となっています。
外壁塗装に光触媒コーティングを検討している方は林商会にご相談ください!
林商会では、「ナノゾーンコート」という光触媒コーティングを導入しております。
ナノゾーンコートでは、抗菌・防汚効果だけでなく新型コロナウイルスの分解作用も実証されました。
参照:日本国内の環境中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化効果試験に関するプレスリリース
一般的な光触媒コーティングと比較すると、下記のようなメリットもあります。
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施工したい場所・面積などからお見積もりをいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください!
また、ナノゾーンコートについて詳しく知りたい人はこちらもご覧ください。
まとめ
光触媒塗料はメリットの多い塗料ですが、価格も高く、施工者の技術や自宅の状態によって性能や耐久性が大きく左右されます。
自宅の外壁塗装は、人生で数回しかない高価な買い物です。
そのため、専門家のアドバイスも参考にしながら、ご自宅に最適な塗料を選ばれることをおすすめします。